どこからともなくふんわりと甘い香りを漂わせ、秋の訪れを告げるキンモクセイ。今年は咲き始めるのが少し遅めの地域もありましたが、9月下旬~10月中旬にかけて小さなオレンジ色の花を咲かせる常緑樹です。そんなキンモクセイは、実は生活に役立つ香りのある植物“ハーブ”の仲間。原産地である中国では、お茶やお酒・漢方薬として広く活用されているんです。ということで、今回はキンモクセイの香りを長く楽しめる『ハーブチンキ』の作り方を、ハーバルライフコーディネーターの堀久恵さんにご紹介いただきます。
目次
キンモクセイの香りの成分には、リラックス作用がある
キンモクセイの収穫作業は、キンモクセイ好きさんにとっては、たまらなくいい香りのはず。キンモクセイには、リナロールやゲラニオールという香り成分が含まれていて、高揚した気分を落ち着かせる鎮静作用があるのです。ストレスや不安・イライラなどを鎮めて、気持ちをリラックスさせてくれますよ。夜に香りをかぐと、安眠にも一役買ってくれそうです。
*妊娠中・授乳中の方の利用はご注意ください。
キンモクセイを収穫してみよう
まずは、キンモクセイを収穫しましょう!
キンモクセイの香りがピークになるのは、五分~八分咲きの頃です。満開になるにつれ香りが弱くなっていきますので、早目に収穫しましょう。花を軽く触ってみて、ぽろぽろ落ち始める頃を目安に、丁寧に花を集めます。
お好みの量を収穫したら、枯れ葉や枝・終わった花を取り除き、軽く水で洗い、ペーパータオルなどでよく水気をふき取ります。
また、収穫した花は、紅茶とブレンドして飲むこともできます。茶葉に対して半量くらいのキンモクセイを加えて、通常のお茶と同じようにいれると、香りのよいアレンジティーが楽しめますよ。
収穫した花を使って作る『キンモクセイのチンキ』
収穫したキンモクセイの香りを長く楽しむために、アルコールに漬けてみましょう!
ハーブをアルコールに漬けたものは、「ハーブチンキ」「ティンクチャー」などと呼ばれ、キンモクセイだけでなく、ラベンダーやローズなどでも作ることができます。アルコールに漬け込むことで、甘い香りを長く楽しめることに加え、水やお湯では抽出できない有効成分を取り出すことができ、より薬効の高い状態になります。直射日光の当たらないところで保管すれば、おおよそ1年ほどの保存が可能です。
―『キンモクセイのチンキ』の作り方―
<材料>
- 収穫したキンモクセイ
- アルコール度数35~40度のお酒(ウォッカ・ホワイトリカーなど)
- 密閉容器
<作り方>
- 容器を消毒しておく。
- 収穫したキンモクセイを容器に入れ、浸るくらいまでお酒を注ぐ。
- 室内の冷暗所に置き、1日1回容器を振って3週間ほど馴染ませる。
*その際、キンモクセイはお酒より上に出ないように注意します。 - 3週間ほど経ったら、キンモクセイを取り出して、完成。
キンモクセイの花が咲いている時にしかできない庭仕事です。今年の秋には、ぜひ香りを楽しみながらキンモクセイを収穫して、ハーブチンキをつくってみてください。
キンモクセイのチンキの使い方や活用方法、ルームフレグランスなどのつくり方については、後日改めてご紹介します。
<注意点>
ハーブは薬ではありません。健康状態が気になる方は医師にご相談ください。また、紹介したレシピの作用や反応には、個人差がございます。ご利用の際には、身体に合うかどうかパッチテストを行い、違和感がある場合にはすぐ使用を中止するなど、ご自身で責任を持ってお試しいただくようお願いします。
チンキにはアルコールを使用しているため、子どもの口に入らないようご注意ください。
Credit
写真&文 / 堀久恵 - 花音-kanon- 代表 -
ほり・ひさえ/ガーデンセラピーナビゲーター。一般社団法人日本ガーデンセラピー協会専門講師。
生花店勤務を経て、ガーデンデザイン・ハーブ・アロマセラピー等を学び、起業。植物のある暮らしを通じて、病気になりにくい身体を作り健康寿命を延ばすことを目指した「ガーデンセラピー」に特化した講座の企画運営と庭作りを得意とする。埼玉県熊谷市の『花音の森』にて、日々植物に囲まれ、ガーデンセラピーを実践中。
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