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プリザーブドフラワーとは、preserved(プリザーブド)「保存された」という意味を持つ花材です。生の植物に特殊な加工を施すことで、ナチュラルな姿や質感、鮮やかな花色を長期間にわたって保つことができ、水替えの手間もないので、花がもたない暑い季節のアレンジにもおすすめです。フラワー&フォトスタイリストの海野美規さんによる、今回のWeb上フラワーアレンジレッスンで作るのは、このプリザーブドフラワーを使ったナチュラルな風合いの“アーリーオータムリース”。プリザーブドフラワーでアレンジを作る際のポイントもご紹介します。

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夏も花が長く楽しめるプリザーブドフラワー

プリザーブドフラワーのリース

今年の夏は本当に暑いですね。花を飾っても長もちしませんし、水替えが大変です。

こういう季節には、プリザーブドフラワーのアレンジが重宝します。

プリザーブドフラワーのリース

最近ではプリザーブドフラワーの種類もますます増えてきて、よりアレンジの幅が広がり、いろいろな雰囲気に仕上げることができるようになりました。生花のようにナチュラルな雰囲気にしたり、小さな花を集めて柔らかい優しい雰囲気にしたり。

私は小さな花のアレンジが好きなので、プリザーブドフラワーでもそんなスタイルのアレンジをご紹介したいと思います。小さなプリザーブドフラワーのアーリーオータムリースはいかがでしょうか?

プリザーブドフラワー

アレンジに使った花

プリザーブドフラワーのアレンジ
  • アナベル(グリーン、オレンジ、ホワイト)
  • センニチコウ(ピンク、オレンジ)
  • バラ(オレンジ)
  • ミニダリア(ピンク)
  • ポンポンギク(ホワイト)
  • ルスカス(ホワイト、ピンク)
  • クリスパム
  • ムギワラギク
    ※ムギワラギクはドライフラワーを使いました。

用意するもの

・オアシスリング(直径15cm)とシサル麻

オアシスリングは生花用のものを使用。リング全体にシサル麻を巻き付けます。

・ワイヤー

ワイヤー

プリザーブドフラワーは基本的に茎のない状態で箱に入っているため、アレンジする際にはワイヤーで茎になる部分を作ると扱いやすいです。

残っている茎の太さによってワイヤーの番手を決めます。若い番号のほうが太いワイヤーです。今回は、#26、#28のワイヤーを使っています。

・グルーガン

花にワイヤーをつける時に使います。ボンドでも大丈夫です。

・フローラルテープ

アレンジの準備① ワイヤリング

プリザーブドフラワーのアレンジ
ワイヤリングとテーピングをした状態。

花茎がないプリザーブドフラワーでリースを作る場合は、土台のリングに直接ボンドなどで花を貼り付けることもありますが、1本1本ワイヤリングをすると、生花と同じように扱うことができます。バランスを見て刺し直しができるのも嬉しい点です。

ワイヤリングには、花に合わせていくつかの方法があります。

バラ

バラのワイヤリング

花首の下、子房の部分にワイヤーを刺して、ワイヤーの中心まで通します。もう1本のワイヤーを、クロスさせて同じように刺します(上写真)。

両方のワイヤーをまっすぐ茎のように下ろします。計4本のワイヤーで茎を作るような形です。

バラのワイヤリング

ミニバラは、ワイヤーが1本でも大丈夫です。

アナベル

アナベルのワイヤリング

アナベルを適当なボリュームにカットします。ワイヤーをUピン状に曲げて、アナベルの茎に引っ掛けるようにします。ワイヤーの片方を、アナベルの茎ともう片方のワイヤーに数回グルグル巻きます。

アナベルの茎に引っ掛けられない場合は、茎に沿わせるだけでもよいでしょう。

クリスパムも同じようにワイヤリングできます。

センニチコウ

センニチコウのワイヤリング

ワイヤーの先端に小さなリングを作ります。茎があるものはリングの中に茎を通して、花本体にリングがピタリとくっつくようにします。

茎がないものは、そのまま本体にリングをくっつけます。

リングとセンニチコウをグルーガンでしっかりと付けます。

センニチコウのワイヤリング

ミニダリアも同じようにします。または、次にご紹介するポンポンギクと同様にしてもかまいません。

ミニダリアのワイヤリング

ポンポンギク

ポンポンギクのワイヤリング

茎の付け根の横から花のほうへ、ワイヤーを通します。花の頂上からワイヤーを突き出し、フック状に曲げて、下からワイヤーを引っ張り、花の中へ戻します。

フックはなるべく小さめにして、引っ張りすぎないように注意します。

アレンジの準備② テーピング

テーピング

花にワイヤリングをした後で、フローラルテープを巻きます。テープは巻く前に軽く引っ張り、伸ばしてから巻いてください。

フローラルテープは、ワイヤーの下まできっちりと巻く必要はありません。オアシスリングに差し込むくらいのところまで巻いておけば十分です。

プリザーブドフラワーをリースに仕立てる

プリザーブドフラワーのリース

今回は生花用のオアシスリングを使いました。オアシスリングは乾燥したまま使います。

ワイヤリングした花材は、生花のようにスポンジ部分に刺すことができます。また、何度でも刺し直しができます。

アーリーオータムリースの手順

1.オアシスリングにシサル麻を巻きます。

プリザーブドフラワーのリース

2.アナベルを全体に入れます。

プリザーブドフラワーのリース

3.バラを入れます。

プリザーブドフラワーのリース

4.センニチコウ、ミニダリアなどを入れます。

プリザーブドフラワーのリース

5.ルスカスは茎をそのまま刺します。

プリザーブドフラワーのリース

花は均等に入れるというより、不規則に何本かまとめて(グルーピングで)入れるようにすると、ナチュラルな雰囲気に仕上がります。

プリザーブドフラワーのリース

プリザーブドフラワーも高温多湿が苦手です。日光やエアコンの風が直接当たらない場所に飾ってくださいね。

プリザーブドフラワーのリース

フェアトレードのバラで

フェアトレードの商品というと、コーヒーやチョコレートを思い浮かべる方も多いかと思います。

フェアトレードとは、売り手と買い手が商品の価値や労働に見合った価格で取り引きをすること。その背景には、発展途上国の商品が労働に見合わない金額で先進国に買われていたり、不当な契約で取り引きが行われている事実があります。

花屋のバラ
Fusionstudio/Shutterstock.com

バラやカーネーションなどの切り花にも、フェアトレード認証製品があります。海外の切り花は大規模なプランテーションで生産されていることが多いそうですが、そこで使用される農薬や汚水が適切に処理されずに環境に大きなダメージを与えたり、農薬を散布する労働者へ十分な防護服が提供されずに健康被害をもたらしたり、低賃金で働かされたりといった問題が指摘されてきました。

そこでフェアトレード基準の設定を求める声が強まり、2004年、切り花にも国際フェアトレード基準が設定され、以来、日本でも2006年から一部のスーパーマーケットや花屋でフェアトレード認証のバラやカーネーションが販売されています。フェアトレードフラワーは、ケニアやタンザニアを中心とした東アフリカ諸国と、コロンビアやエクアドルなどで多く生産されています。 プリザーブドフラワーのバラもコロンビアやケニア産が多く、切り花として輸入されたものを国内でプリザーブド加工したり、現地でプリザーブド加工されたものを輸入したりしています。

プリザーブドフラワーのバラは、色がたくさんありますね。花の大きさや咲き方もバリエーションが豊かです。美しいプリザーブドフラワーを使って、アレンジやリース作りを楽しみましょう。

プリザーブドフラワーのリース
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