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手づくり味噌が1日で完成?! ほんのり甘い絶品「手前味噌」のつくり方

手づくり味噌が1日で完成?! ほんのり甘い絶品「手前味噌」のつくり方

世界のセレブがこぞってスーパービューティーフードとして注目する日本の伝統調味料「味噌」。今回はそんな大注目の味噌が1日で仕上がる、とっておきの方法を料理研究家の本間のぞみさんが教えてくれます。できあがった手づくり味噌の美味しさは格別。さらに、味噌づくりの過程で出る煮汁がフワッとサクサクの「アレ」に変身してしまうんですって!!

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味噌づくりは普通、時間がかかるものです。また、我が家はマンション暮らしで、適温で長期保存できる場所もありません。そんな私のような人でも、気軽に挑戦できるのが「白味噌(西京味噌)」です。白味噌は麹を多く使い短期熟成で仕上げる味噌で、麹の華やかな甘みが特徴です。温度を一定に保つ発酵器があれば1日でできてしまうため、初心者の方にもとてもオススメ。今はさまざまなデザインの発酵器が販売されているので、それぞれのお家や用途に合った発酵器を探してみるのも楽しいですよ。

手前味噌の魅力は好みの材料を選べること。私は3色の大豆で白味噌をつくってみました。大豆の種類は大変多く300種類以上あるといわれ、色や大きさもさまざまです。それぞれに栄養や味に特徴があるので、いろいろ試してぜひ、あなた好みの「手前味噌」を見つけてください!

*黄大豆 最も一般的で生産量が多い大豆。用途に合った品種改良も盛ん。
*青大豆 日本の在来種または固定種で熟しても緑色を保つ。黄大豆よりも脂肪が少なく甘みが強い。
*黒大豆 おせちの黒豆に使われる。黒大豆ポリフェノールが健康効果に注目されている。

【材料】

大豆100g、米麹200g、塩40g

【準備】

大豆は洗って一晩水につけ、十分に吸水させる。
使用するボウルや発酵容器などは、アルコール除菌スプレーや煮沸による消毒をしておく。
米麹を細かく手で砕き、塩をすり合わせておく。

【作り方】

  1. 鍋に吸水させた大豆とかぶるくらいより多めに水を入れ、弱火で柔らかくなるまで煮る。途中吹きこぼれそうになったら差し水をし、水が蒸発したら水を足す。指先で簡単につぶれるくらいになったら煮あがり。
  2. 大豆をざるに空けて水気を切り、温かいうちにまんべんなくつぶす。
  3. 材料をすべて混ぜ合わせる。
  4. 発酵容器に1を入れ、発酵器の温度を60℃で8時間にセットする。

*室温で発酵させる場合は、1をジップロックに入れて空気を抜き、温度がなるべく変わらない室温で2週間ほどおけば完成します。
*小さめのラップを敷いた上に味噌床を大さじ1ずつ、好みの具と一緒に丸めておけば、即席みそ汁の素が完成。時間のない朝などに重宝しますよ。

 

母から誕生日プレゼントに贈られた発酵器「醸壺(かもしこ)」。これを使うと味噌、甘酒、塩麹、自家製パン酵母、さらには納豆や麹菌まで手づくりで楽しめる優れものです。

今大注目の「菌活」とは、発酵食品を継続的に摂ることで腸内環境を整え、免疫力アップ、ダイエット、肌質改善など女性に嬉しい効果を得ることです。日々の「菌活」に発酵器を1台持っていると、とても便利です。
「醸壺(かもしこ)」販売先 https://subaruya.com/kamosico/

シャモジに塗って香ばしく焼いた味噌は、日本酒のアテに最適。味噌大さじ2、砂糖大さじ2、刻みネギ5㎝分くらいをよく混ぜ合わせ、シャモジに塗りつけたものをコンロで軽く炙って完成。好みで生姜やゴマなどを混ぜても美味しいです。ご飯のお供にも。

手前味噌と茹でて刻んだふきのとうでつくった自家製ふきのとう味噌。

豆の煮汁を活用した卵を使わないメレンゲ菓子のつくり方

味噌づくりで煮出した豆の煮汁は大量に余ってしまいますが、大豆のうまみや栄養がたっぷり滲み出ているため、捨てずに味噌汁や煮物などに使えます。さらには、煮汁を使ってメレンゲ菓子をつくることも。数年前、フランス人シェフのJoël Roesselさんが、ヒヨコ豆のゆで汁を泡立てると卵白の代替として使えることを発見し、卵アレルギーやビーガン対応のメレンゲを使った料理ができるようになりました。それは「アクアファバ(豆のゆで汁)」と名付けられ、海外ではアクアファバを使ったレシピがベジタリアンや健康志向者の間で広まり、近年日本でも注目されつつあります。今回は味噌づくりで余った大豆の煮汁を使って、メレンゲ菓子に挑戦。実験のように楽しんでみましょう。

味噌づくりで煮出した豆の煮汁。左が黄大豆の煮汁で右が黒大豆の煮汁。
泡立つ理由は豆に含まれる「サポニン」の作用だと考えられています。大豆に豊富に含まれるサポニンはダイエット効果や健康効果があるとして話題です。

【準備すること】

味噌づくりで残った煮汁をトロトロになるまで煮立たせ、冷蔵庫で冷やしておく。

【材料】

大豆の煮汁大さじ2、グラニュー糖30g

【作り方】

  1. 小さめのボウルに煮汁を入れ、泡立て器で泡立てる。泡が均一になってきたら、グラニュー糖30gを2~3回に分けて入れ、ツノがピンと立ち、固めのメレンゲ*になるまでしっかりと泡立てる。
    【point!】固めのメレンゲ*の目安は、ボウルを逆さにしても落ちてこない固さです。
  2. 100~110℃のオーブン(予熱なし)で60~80分ほど焼成する。指で押して固まっていたら完成。

*好みで抹茶や果物、野菜のパウダーで色づけすると、かわいらしく仕上がります。
*グラニュー糖を使うと泡立ちが安定しますが、別の砂糖でもつくることができます。
*アクアファバが余ったら冷凍保存もできます。

古くから人々の健康を支えてきた
スーパーフード「味噌」の発展

味噌の歴史は古く、起源は古代中国とされており、日本には飛鳥時代(7世紀頃)に伝来されたといわれています。鎌倉時代に味噌汁という食べ方が登場し、現在の和食の基本となる「一汁一菜」が確立されます。戦国時代には先陣食として重宝されました。なかでも天下統一を果たした将軍、徳川家康は、平均寿命が37歳くらいだった中で75歳と大変長生きしたのも、味噌汁を常食していたのが要因だったようです。その後江戸時代には人々の生活に浸透し、味噌汁の他、各地で味噌料理が発展していきました。

近年は発酵食品の健康効果やダイエット効果が注目され、発酵食品を日々の食事に取り入れる「菌活」という言葉が流行しています。なかでも日本の食卓を支えてきた味噌は、その美味しさもさることながら、絶大な健康効果が期待されるスーパーフードとして再注目されています。その波は、和食が世界文化遺産に登録されたことも手伝い、今や世界中に広まっています。フランスでは料理の隠し味として使われ、またアメリカではハリウッドセレブからも注目され、ついには日本の味噌会社とのコラボ商品まで出されるほどに。

世界が注目する味噌。手づくりにぜひチャレンジしてみてくださいね!

徳川家は、代々味噌汁を常食するのが家訓だったそう。

Credit

制作&レシピ/本間のぞみ
会津郷土料理研究家。福島県会津若松市生まれ。デザイン事務所のアシスタントを経てガーデニング雑誌編集部に入社。庭のある暮らしや食に関する記事をつくる中で、さまざまな食のプロに出会い魅了され、和菓子店、ベーグル店、ビストロなどで経験を積む。現在2人の子どもを育てながら、地元の母がつくった会津野菜や食品を使ったレシピの提供中。

Photo/3and garden

<参考資料>
みそ健康づくり委員会 http://miso.or.jp
会津味噌共同組合 http://www.aizumiso.jp
ベターホーム臨時増刊 かんたん手づくりみそテキスト(1998)
KAMOSICO発酵食レシピ
糀屋本店の塩麹レシピ(2011)
会津の風土が育んだ食文化-会津伝統料理十食(2015)

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