本格的な春到来! 「第2回 東京パークガーデンアワード 神代植物公園」の『ショーアップ審査』を迎えた5人の庭と審査の様子をご紹介
4月上旬、神代植物公園正門のシダレザクラが開花し、本格的な春が到来したことを告げたあと、エントランスに並ぶ10のコンテストガーデンが賑わいを見せ、道行く人の目を喜ばせています。今回は、4月中旬に行われた『ショーアップ審査』とガーデンの様子をご紹介します。
目次
年3回審査を行うガーデンコンテスト「東京パークガーデンアワード」

5人のガーデナーが手掛ける日向と日陰の2つのガーデン。
最終結果が決まるまでに4・7・11月の3回に渡って審査が行われますが、ガーデンの施工から約5カ月経過した今回、第1回目となる『ショーアップ審査』が行われました(春の見ごろを迎えたガーデンの観賞性を審査します)。審査期間:2024年4月11日~17日。

事前に公表されているコンテスト審査基準
公園の景観と調和していること/公園利用者が美しいと感じられること/植物が会場の環境に適応していること/造園技術が高いこと/四季の変化に対応した植物(宿根草など)選びができていること/「持続可能なガーデン」への配慮がなされていること(ロングライフ) /メンテナンスがしやすいこと(ローメンテナンス)/デザイナー独自の提案ができていること/総合評価 ※各審査は別途定める規定に従い、審査委員による採点と協議により行われます。

今回の評価のポイントは主にガーデンの観賞性で、「植物の春の美しさがしっかりと表現されているか」。しかし、単に華やかであることだけが重要ではなく、「植物個々の特性・魅力がしっかり見せられているか」、「葉や花の組み合わせがデザイン的に美しいか」、そして「今回のテーマ=武蔵野の“くさはら”、が表現されているか」などの項目も含めて評価されています。
※年によって気象条件が変わるため、開花の時期がずれていても評価に影響しません。
※今回行われた審査結果の公表はありません。
4月の審査時期を迎えた5名のガーデンをご紹介
コンテストガーデンA
Grasses and Leaves, sometimes Flowers ~草と葉のガーデン〜

【作品のテーマ・制作意図】
武蔵野のくさはらを表現するにあたり、オーナメンタルグラスとカラーリーフ、特徴的な葉を持つ植物をメインにしたガーデンをつくってみたいと思いました。「グラスガーデン」は馴染みが薄かったり、地味にとらえられたりすることもあるかと思いますが、宿根草に加え、球根植物も多用し華やかさをプラスすることで、多くの方に楽しんでいただけるガーデンを目指しています。
【日向のエリア】

開花期を迎えていた植物 カマッシア‘ライヒトリニー’
【日陰エリア】

開花期を迎えていた植物 スイセン‘タリア’、プルモナリア‘トレビファウンテン’、イカリソウ’スルフレウム’、アネモネ・シルベストリスなど
コンテストガーデンB
花鳥風月 命巡る草はら

【作品のテーマ・制作意図】
ガーデンの美しさは緑量や花の色目や形状だけで測れるものでなく、空や光や風や生きもの全ての関わり合い、生命の尊さを感じることでガーデンがより輝いて見えます。ガーデンに長く根付いて、地域に馴染む風景、生態系の一部になることを想定し、植えっ放しに耐えられる丈夫な品種を中心に、蜜源植物や、風や光の動きを反映しやすい植物を多く取り入れ、地味な在来種でも組合せや配置で奥行ある豊かな草はらの表現を目指します。
【日向のエリア】

開花期を迎えていた植物 カッコンセンノウ、シラー・ベルビアーナ カッコンセンノウ、シラー ベルビアーナ、カマッシア レイヒトリニー、スイセン ピピット
【日陰エリア】

開花期を迎えていた植物 ミニチューリップ ホンキートンク、ムスカリ アルメニアカムブルー、オルレア ホワイトレース、ビオラ ラブラドリカ、ムラサキサキゴケ、イフェイオン ジェシー、イフェイオン ウィズレーブルー、イフェイオン ホワイトスター
コンテストガーデンC
草原は、やがて森へ還る。

【作品のテーマ・制作意図】
森では、様々な木々が壮絶な生存競争を繰り広げています。しかしそれは草原もまた同じ。草原は生命力に溢れる草花たちの戦いの場です。そしてやがて、草原の中から樹木が芽生え、最終的には森へと遷移していきます。私は、草原から森へと還るこのはじまりの瞬間を、美しくもドラマティックに演出したいと思いました。ここは、森が好きなガーデンデザイナーが解釈し表現したペレニアルガーデンです。
【日向のエリア】

開花期を迎えていた植物 ゲラニウム’サンギネウム・ストラータム’、サポナリア・オキモイデス(ロックソープワート)、シレネ・ユニフローラ‘シェルピンク’、アリウム・ニグラム、アリウム‘カメレオン’、オルラヤ、ベロニカ‘ウォーターペリーブルー’、クランベ・マリティマ、リクニス・フロスククリ(カッコウセンノウ)など
【日陰エリア】

開花期を迎えていた植物 イカリソウ、ゲラニウム‘タイニーモンスター’、フリチラリア・ペルシカ、アジュガ‘チョコレートチップ’
コンテストガーデンD
feeling garden ~伝え感じる武蔵野の新しい風景づくり~

【作品のテーマ・制作意図】
人々の心に残る武蔵野の情景を骨格に、新たな要素を組み足して、これからの愛される武蔵野の風景を植物の魅力や武蔵野の風景を「伝え」「感じる」ことを軸に提案しました。武蔵野の草原を連想させるグラスをベースに、季節の流れの中で、さまざまな色や形の草花がガーデンを彩っていくような配置を心がけました。自然との距離が遠くなった現代で、このガーデンが少しでも自然と人とが寄り添うきっかけになればと思っています。
【日向のエリア】

開花期を迎えていた植物 チューリップ‘クイーンオブナイト’、チューリップ‘コンチネンタル’、チューリップ‘ドールズメヌエット’、チューリップ‘ホワイトバレー’、チューリップ‘スワラ’、ラナンキュラス ラックスシリーズ
【日陰エリア】

開花期を迎えていた植物 チューリップ‘クイーンオブナイト’、チューリップ‘コンチネンタル’、チューリップ‘ドールズメヌエット’、チューリップ‘ホワイトバレー’、チューリップ‘スワラ’、チューリップ‘ヒルデ’、ラナンキュラス ラックスシリーズ、ムスカリ、アジュガ
コンテストガーデンE
武蔵野の“これから”の原風景

【作品のテーマ・制作意図】
世界的に”Climate Change(気候変動)”が叫ばれ、日本でも夏の猛暑、雨不足による水ストレスが植物を苦しめました。農業技術である完熟した堆肥をはじめ有機資材を使い、微生物に富み団粒構造を持つ土壌を作ることからはじめ、これまで武蔵野の草原風景を担ってきた在来植物を中心にガーデンを構成します。都市の暮らしの中でこぼれ落ちてきた技術、植物でこれからの武蔵野の風景を模索していきます。
【日向エリア】

開花期を迎えていた植物 ―
【日陰エリア】

開花期を迎えていた植物 スイセン‘トレサンブル’、シラー・シベリカ、スノーフレーク
次回の審査は7月、梅雨を経て猛暑に向けた植栽と耐久性を審査する『サステナブル審査』です。庭作りスタートから月々見頃の植物と5名のガーデンを紹介する記事もご覧ください。
コンテストガーデンを見に行こう! Information

都立神代植物公園(正門手前プロムナード[無料区域])
所在地:東京都調布市深大寺元町5丁目31-10
https://www.tokyo-park.or.jp/jindai/
電話: 042-483-2300(神代植物公園サービスセンター)
開園時間:9:30~17:00(入園は16:00まで)
休園日:月曜日(月曜日が祝日の場合、翌日が休園日、年末年始12/29~翌年1/1)
アクセス:京王線調布駅、JR中央線三鷹駅・吉祥寺駅からバス「神代植物公園前」下車すぐ。車の場合は、中央自動車道調布ICから約10分弱。
Credit
写真&文 / 井上園子 - ライター/エディター -
いのうえ・そのこ/ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。ガーデニング以外の他分野のPR等にも携わる。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
撮影 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!
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