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北海道の豊かな大地が育んだ美しい庭園を巡る旅に出かけませんか? 涼やかな風と花の香りに癒やされたいあなたにおすすめしたいのが、雄大な北海道を舞台に美しいガーデンが連なる「北海道ガーデン街道」。この「北海道ガーデン街道」を、神奈川県葉山で植物を身近に暮らしながらアンティークバイヤーとして活動中のルーシー恩田さんが初夏に訪れました。十勝エリアの3つのガーデンと、少し足を伸ばして富良野のラベンダーを満喫するプランをご案内します。

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花も団子も楽しむ、初夏の北海道ガーデン街道

北海道ガーデンかいどう

みなさま、ごきげんよう!どちらかといえば、花も団子も楽しみたいタイプの私です。いつもはレシピをお届けしていますが、今回は番外編で「北海道ガーデン紀行」をお届けします。というのも、少し早めの夏休み気分で、7月初旬に北海道に行ってきたから。目指すは「北海道ガーデン街道」です!

北海道ガーデン街道とは、人気ガーデンがある地域を結んだ観光ルート。上川町 〜 旭川市 〜 美瑛町 〜 富良野市 〜 十勝地方を結ぶ、約250kmの街道として2009年に命名された「北海道ガーデン街道」は、街道沿いに8つのガーデンがあり、さまざまな観光地をスムーズに巡ることができます。

北海道名物スープカレー
食いしん坊な私。北海道名物スープカレーやザンギを楽しみながら、ガーデン巡りをしました。

ガーデンでは豊かな自然に咲く野の花々を満喫し、ドライブの車中からはダイナミックな小麦畑やジャガイモ畑などの丘陵風景を楽しみ、休憩がてら美味しいものを食べる。そんな最高の時間を楽しめるのが「北海道ガーデン街道」を巡る旅です。

今回の目的地は十勝エリアにある5つのガーデン。そのなかでも個人的にイチオシな3つのガーデンをご紹介します。夏の避暑旅行にもおすすめ。それでは出発進行〜!

穏やかな空気を纏う「六花の森」

六花の森

はい! あっという間に北海道に到着です。まず1日目は帯広空港から車で15分ほどの、「六花の森」へ。受付で十勝エリアの5つのガーデンがお得に巡れる「とかち花めぐり共通券」を購入して、いざ出庭!

とかち花めぐり共通券

「六花の森」はマルセイバターサンドで有名な「六花亭」によるガーデンで、「六花亭と言えば」の包装紙に描かれた北海道の山野草を見ることができます。敷地内には美術館、ミュージアムショップ&レストラン、工場が併設されています。

ハマナス
六花亭の包装紙でひときわ目を引く赤い花。それがこのハマナス。

私が訪れた7月初旬は、ハマナスが満開。あたりに立ちこめる、フルーティーで艶っぽく甘〜い香りで夢見心地に。力強い北海道の大地を踏みしめる私の足、呼吸のリズムで身体に入るハマナスの香り、全てが一体となり「もしかして、アタシ! ハマナスになっちゃったのかも」という不思議な感覚を味わいました。

六花の森

私の住む神奈川県では見かけない植物たちにご挨拶。自然豊かな北海道の大地で育つ植物は、とってもパワフル!

六花の森

広い園内には7つのギャラリーが点在し、山小屋のような素敵な建物の中で、六花亭の花の包装紙を手掛けた坂本直行氏の作品などを見ることができます。

六花亭のバターサンド
左はアイスサンド、右が出来たてホヤホヤのバターサンド。

さてさて、散策後は併設された素敵なカフェでひとやすみ♡ こちらは敷地内に工場があるので、なんと出来たてのマルセイバターサンドが頂けちゃう。いつものしっとりとしたクッキーに、ラムレーズンクリームの「一体感」があるバターサンドも大好きですが、ここで食べる出来たてバターサンドは全くの別物! クッキーがサクッとしていて、柔らかいクリームを包み込む感じは新食感! こちらでしか頂くことができないので、ぜひガーデン散策後のお楽しみに。アイスサンドも絶品でした。

アフリカンマリーゴールド
「道の駅 なかさつない」にて。大きいマリーゴールド「アフリカンマリーゴールド」ですが、ついついアメリカンと書いてしまったのかしら。おおらかな訂正がいい感じ。

帯広空港に到着して、その足でこちらに伺いましたが、大正解! 早起きして忙しなく、バタバタと飛行機でやってきた北海道。「六花の森」は、そんな心拍数高めの状態から、リラクシングモードへと気持ちを切り替えるのにピッタリな場所でした。木陰も多く、小川の流れの音も心地よい、穏やかな空気を纏ったガーデンです。

ちなみに、「六花の森」からすぐの「道の駅 なかさつない」もおすすめ。美味しそうな採れたて野菜や卵、苗などが売っていました。旅のお供に道の駅、どこへ行くにも私のお決まりコースです。

家族みんなで楽しめる「十勝ヒルズ」

十勝ヒルズ

六花の森を後にした私は、そこから車で15分ほどのところにあるお花好きのおばあちゃんがつくった「紫竹ガーデン」に立ち寄ってから、一路「十勝ヒルズ」へ。「花と食と農」をテーマにしたガーデンとのことで、期待が高まります。ダンサブルでイケイケなミュージックがお出迎えしてくれる入り口にはショップ&カフェもあり、賑やか! 小躍りしたくなるような楽しい雰囲気。

十勝ヒルズ

こちらはその名のとおり、丘にあるガーデン。抜け感のある景色が爽快! 高低差を生かしたリズミカルな造りで、園内のさまざまな場所にイスやベンチが置かれていました。おかげさまで、何度も休憩しながら眺めを楽しみました。芝生にゴローンも最高です。

十勝ヒルズ

こちらのガーデンで特に印象的だったのが、ガーデナーの方が、ニコニコと楽しそうにお仕事をされていたこと。当たり前なことかもしれませんが、働く側が楽しんでいる職場っていいですよね。植物たちもとても綺麗にお手入れされて、イキイキと嬉しそうでした。

十勝ヒルズ

後から調べてみたら、十勝ヒルズのガーデナーの方々が発信しているインスタグラムがありました。毎日ガーデンや植物の様子をアップされていて、とても楽しい! 勝手にご紹介しちゃいます。

tokachihillsgardeners

十勝ヒルズ
ガーデン入り口に併設されたカフェ。

園内には、入り口のカフェとは別にガーデンレストランもありました。私はあいにくお腹いっぱいだったので利用はしませんでしたが、ハンガリー人シェフが腕を振るう、十勝食材とハンガリー料理のマッチングが楽しめるそう。次回は堪能してみたい!

十勝ヒルズ
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結局、散策後は小腹が空いてしまい、入り口のカフェで一休み。フルーティーなアイスティーとおにぎりを。他にも美味しそうなメニューがありましたが、おにぎりを売っているってのがいいですねえ。好感度高め。

こちらの「十勝ヒルズ」、独断と偏見の私視点で総合的にパーフェクト! 家族全員が楽しめる巨大な公園みたい。庭園やガーデンというと少し大人向けで、子どもやヤングは退屈してしまうこともありますが、こちらでは心配ご無用! ぜひ親子3世代で訪れてほしいガーデンです。

油絵のような木々が見られる「真鍋庭園」

真鍋庭園

2日目は「真鍋庭園」へ。なんとこちら、1966年から一般開放しているのだとか。しかも樹木の「輸入・生産・販売」会社が運営しており、60年以上かけて世界中から収集し続けている数千品種の植物コレクションが、どのように育つのかを確認できるショールームのような植物園とのこと。花のガーデンとは、また違った迫力です。

真鍋庭園
入り口ではケン君がお出迎え。隣には同じく木彫りのトミー君もいました。

この「真鍋庭園」は25,000坪の敷地内に、なんと「日本庭園」「西洋風庭園」「風景式庭園」の3つがつくられており、まるで異なる国を旅するように風景が変わっていきます。いろいろ楽しめて、欲張りな私にぴったり。

真鍋庭園
突如現れる日本庭園。奥に見えるのは、明治44年に当時の皇太子による北海道行啓のため帯広市中心部に建築された御在所。その後こちらに移築し、昭和43年に完成。

日本庭園のすぐ横には、赤い屋根がチャーミングな可愛い建物。オーストリアのチロルハウスをモチーフにしたもので、「真鍋庭園」の4代目オーナーが昭和52年に自身の住居として建てたそうです。一見チグハグな日本庭園と西洋風建築、全てが溶け込み和洋折衷。違和感はありません。

真鍋庭園
内部は非公開だそうですが、とにかくかわいい! こんなお家に住みたい。

日本初のコニファーガーデンとしても知られている「真鍋庭園」。コニファーとは針葉樹の総称で、マツ科・スギ科・ヒノキ科など、いくつもの科をまたいだ常緑性の針葉樹の総称です。日本でコニファーというと、オーソドックスな生け垣がポピュラー。最近では、ブルーアイスなどのコニファーを植えているお宅も多く見かけます。やはりコニファーは葉の色が美しい! 針葉樹のいい香りが漂い、自然と呼吸が深くなるのを感じます。ふと、木陰から視線を感じると思ったら、エゾリスが私を見つめていました。

真鍋庭園

同じグリーンでも、トーンがさまざま。まるで油絵のよう。もぅ、とにかくすごい!「わーっ!」とか「すごい!」とか、子どものような感想しか出てこない、なんて乏しい私の語彙力よ。とほほ。でもこれこそ、純粋無垢で素直な感動なのかもしれません。

真鍋庭園

私のお気に入りは、西洋ヤナギの木。すんごい大きいのよ。大きい私と比べても、この大きさ。これだけ大きい柳の下では「うらめしや〜」と幽霊が出ても目立たなそう。

真鍋庭園

散策のあとは併設されているカフェへ。イギリスのガーデンも大体カフェとショップが併設されていますが、こちらの「真鍋庭園」にも気持ちのよいカフェがありました。

真鍋庭園

ガーデンショップではさまざまな種類の苗が売っていて魅力的! ゆっくり散策しながら50分ほどのお散歩コースでした。しみじみと、あぁ本当に楽しかった。花よりも木がメインですが、とにかくスケールが別次元。

この後は、「真鍋庭園」の近所にあるスープカレー屋さんで舌鼓を打ち、「十勝千年の森」を満喫して2日目は終了。これで十勝エリアにある5つのガーデンをコンプリート。さて、残りあと1日です。やっぱりラベンダーが見たいなぁ。

少し足を伸ばして、ラベンダー香る富良野へ

ファーム富田のラベンダー畑
ファーム富田のラベンダー畑。

ってなわけで、3日目は少し足を伸ばして富良野へ。初夏の北海道といえば、ラベンダー。十勝エリアから富良野までは車で2時間ほど。日帰りでも十分に楽しめるドライブコースです。ラベンダーといえば「富田ファーム」。昨年は8月上旬に訪れ、満開の「ラバンジン」を楽しみました。今回は昨年よりも少し早い7月初旬、昨年は見頃が終わり刈り取り&蒸留されていたイングリッシュラベンダーが、今年は満開!

ファーム富田のラベンダー畑
7月初旬。イングリッシュラベンダーよりも開花が少し遅いラバンジンは五分咲き。

お花も好きですが、特にハーブが大好きな私。一面のラベンダー畑を目の前に、テンションあげあげの心臓ドキドキ。動悸がするほどのラベンダーの香りに包まれて、ラベンダーハイ! あぁ幸せ。本来ラベンダーには「鎮静作用」があるのですが、このときばかりは「高揚作用」です。

ラベンダー
フレッシュなラベンダーの束がこの時期だけ販売されています。

こちらでも、「ぎゃー、いい香り!」とか「すごいムラサキ!!」とか、口から出てくるのは 子どものような感想でした。だって、本当にいい香りで、一面ムラサキなんだもん。

ファーム富田
大きな釜でラベンダーを蒸留する様子も見ることができます。

ラベンダーの蒸留の様子は、昨年こちらを訪れた際に書いた『ラベンダー香るハーブレモネード』の記事に詳しくレポートしていますので、こちらもぜひ。

締めは、ラベンダーを見ながらラベンダーティーを飲んで、ひと休み。

ファーム富田

以上で私のサマーバケーション2023「北海道ガーデン巡りの旅」は無事におしまい、おしまい。北海道の恵みを盛大に楽しみ、大満足です。

英語の諺には、こんな一節があります。「Stop and smell the roses」直訳すると、「立ち止まってバラの匂いをかぐ」ですが、

私の意訳は「この世は急ぐ旅でもあるめぇし。たまには立ち止まり、花の香りで一服。リラックスすれば、今までとは違う景色が見えるはず♡ 」。みなさま、素敵な夏を過ごしてね!

イベント情報

8月30日から東京「日本橋三越本店」にて「英国展」が開催されます。会場では、以前ガーデンストーリー記事でもご紹介した「ローズボウル式のアレンジメント」を実演します。ぜひお越し下さい!

「ティーカップを使ったローズボウル式アレンジメント デモンストレーション」

日時:9月8日 (金) 午後2時〜2時30分 場所:日本橋三越本館7階催事場 ※予約不要

気軽に季節を楽しむことができるローズボウル式アレンジメントで、お庭の草花を可愛く飾るとっておきのアイデアをご紹介します。

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