野の花のようにのびやかに育つ花々と色彩の庭「紫竹ガーデン」

四季がはっきり変化する日本には、豊かな自然と幅広い植物群、そして花を美しく咲かせる技術力があり、海外からも注目されるガーデンがたくさんあります。全国各地で育まれ、訪れる人々を感動させる花咲く数々のスポット。人生で一度は訪れてほしい観光ガーデンへご案内します。
紫竹おばあちゃんのつくるのびやかな庭「紫竹ガーデン」

北海道帯広市の郊外、十勝平野のまっただなかに広がるお花畑、「紫竹ガーデン」。紫竹おばあちゃんこと紫竹昭葉さんが、「子どものころに遊んだ、野の花が咲く野原のような風景をつくりたい」という思いでタネを播き、木々を植え、25年もの間、手をかけてきたガーデンです。約5万㎡という広大な敷地には、さまざまなシーンを楽しめるガーデンエリアがあり、季節を通して2,500種もの花々が咲き乱れます。その色彩にあふれた庭の美しさに惹かれ、日本国内はもちろん、海外からも毎年多くの人が訪れます。
広々としたガーデンに展開するさまざまなシーン

足を踏み入れた後、どのガーデンシーンを見に行くか迷ってしまうほど広大な「紫竹ガーデン」。季節によってガーデンシーンも大きく異なる表情を見せます。たっぷりと時間をかけて散策しましょう。入り口近くに立てられた園内地図で、その日に見頃を迎えているガーデンエリアを確認して行くのもいいですね。

初夏にちょうど見頃を迎えるエリアは、「バラとクレマチスの道」。色とりどりのバラが咲く長さ約150mの道の両側を飾るのは、オダマキやシャスタ―デージーなどの花々と、200種以上のクレマチスのコレクションです。

「紫竹ガーデン」の花々は、ガーデン内でつくられた堆肥で生き生きと育ち、特にクレマチスはびっくりするほど大きな花を咲かせます。アーチやオベリスク、ポール、木の枝などに絡んで咲き誇るバラとクレマチスは、互いを引き立てあって優しく華やかな景色をつくっています。


何本もの道が交差し、自由に歩くことができる「花の径」から続く「リボン花壇」と、芝生の上に一年草を植栽してつくられた「パレット花壇」は、「紫竹ガーデン」の中でも最も色鮮やかな一角です。デルフィニウムやルドベキア、ルピナス、ポピーなど、さまざまな植物がつくり出すリズムと色彩がガーデンを満たし、風に揺れる花々を眺めれば、ゆったりと流れる時を実感できます。

ガーデンの周囲を囲むのは、北海道らしいシラカバの木。シラカバの白い幹の美しさと、十勝平野ののどかな田園風景がガーデンの背景となってカラフルな花々を引き立てます。
自然の中のようなのびやかで心地よいガーデン風景

ガーデンを奥へと進むと、木々の足元にひっそりと育つ植物たちのシェードガーデン「木陰園」と、小高い丘につくられた「ロックガーデン」が。丘の上からは、ガーデンの風景を一望できます。ゴツゴツとした岩の道の脇では、シダやギボウシなどが葉を大きく広げてこんもりと茂り、ナチュラルで迫力ある景色を生み出しています。

「ロックガーデン」から、カキツバタやオダマキなどが群れ咲く先には、スイレンの池があります。周囲を湿生植物で囲まれ、ピンク色の花弁の中から黄色い花心をのぞかせるスイレンの姿は、しっとりとして風情があります。午後には花が閉じてしまうので、訪れるときは午前中に楽しんでおきましょう。夢中になりすぎて池に落ちないようにご注意を。

一面にシロツメクサの白い花が咲く広場は、野原のような自然でのびやかな美しさ。広々とした広場のところどころに、ヘメロカリスの群落やハーブガーデンのエリアが設けられています。「紫竹ガーデン」では、野の花もガーデンの風景をつくる仲間として大切な存在です。その場所を気に入った植物たちは根をおろしてのびのびと育ち、場所が気に入らなかったものは、いつの間にか消えてしまう。すべてに手をかけず、一部は自然にまかせるのも、紫竹ガーデンが生き生きとして、エネルギーにあふれ、心地よい理由かもしれません。

ベンチに座ってひと休み。ガーデン内には、そこここに椅子やベンチが置かれていて、散策中に、座ってちょっとひと息入れることができます。緑豊かなガーデンに座り、心地よい風に吹かれていると、時間のたつのを忘れてしまいそう。
朝のガーデンで心地よい朝食を

「紫竹ガーデン」を訪れる人に大人気なのが、ちょっと早起きしてガーデン内のレストランでいただくビュッフェスタイルの朝食セット。事前に予約をしておけば、花々が咲き競う朝の爽やかなガーデンで、十勝の新鮮な季節の野菜をふんだんに使った盛りだくさんの料理をお腹いっぱい味わうことができます。食後にガーデンを散策してからスコーンやハーブティーでティータイムなど、ガーデンの朝をたっぷり楽しむことができます。
レストランの隣に立つガーデンショップでは、約1,600品種もの花や野菜のタネや苗が揃い、思わず手を伸ばしてしまう珍しい品種のタネも壁一面に並んでいます。季節を通してナチュラルな花咲く景色をつくれる、ワイルドフラワーのオリジナルミックスシードも販売。紫竹ガーデンを訪れた際には、ぜひ立ち寄りたいショップです。
Information
「紫竹ガーデン」
帯広市美栄町西4線107番地
Tel. 0155-60-2377 http://shichikugarden.com/
Open 4月中旬~11月初め
8:00〜18:00
入場料 大人800円、小・中学生200円
Credit

写真&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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