素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪38 神奈川「安藤農園」

ひと口に園芸店といっても、今やさまざまなスタイルのショップがあります。それぞれの個性が色濃く反映されたこだわりの空間は、ガーデニングのセンスを磨ける最高の場所。今回は、多くの花や庭の専門家たちに支持される山野草の店「安藤農園」を訪ねました。
目次
卸中心の玄人向けの
知る人ぞ知る農園
川崎の北西部に広がる緑豊かな多摩丘陵エリアに位置する「安藤農園」。ウグイスやホトトギスの鳴き声が響き、のどかな雰囲気に満たされています。

600坪もの広い敷地一面に花が並ぶ風景は、まるで圃場のよう。この農園は卸がメインなので、買い付けの卸業者やこだわりのある造園家、園芸店の人たちが出入りしており、一般客は全体の1割ほど。お茶の先生や寄せ植え講師、近所の花好きな人など、いろいろな方が訪れています。


右/首都圏では珍しいイトトンボも見られる。
戦後すぐに近所の農家に野菜や花の種子を販売していた安藤農園。今のような苗の販売スタイルになったのは、昭和30年代に入ってからだそう。その後約60年、茶花に使えそうな雰囲気のある花木や山野草などを扱い続けています。山野草は主にここの環境でしっかりと育つ種類を扱っており、低地で育ちにくい高山植物などは、ほんの一部です。

「一般的な園芸店では見かけないものが多いと思いますが、特別珍しいものにこだわっているわけではありません。珍しいというよりは見慣れないものといったほうがいいかな。近年出回らなくなった古来の植物も、よいと思うものは積極的に並べています。最近は、楚々とした洋の山野草や花木も並べていますよ」と、代表取締役の氏家修司さん。

1シーズンに約500種類、年間3回ほど入れ替え、いつも1,000種類ほどの苗が並んでいます。ここに並ぶ7割ほどの苗は、日本全国の信頼する生産者から取り寄せており、1種類1~2パレットと、少量でなるべく多品種を揃えるようにしています。これも玄人に人気の秘密。例えば、汎用性があって人気の高いギボウシ、特に小葉タイプは、数パレットにわたりたくさん並んでいます。「流通上の関係から、まだ花芽のない時期のものも取り寄せています。並べてしばらくすると花芽が上がってくる。成長の段階を見るのも楽しいよね」と氏家さん。

つる植物コーナーも充実。見慣れない植物がたくさん並んでいますが、どれもナチュラルな庭にぴったり。苗は基本的に支柱に誘引されています。旺盛に茂る中で、斑入りイワガラミが目を引きます。

売り場には落葉植物が9割、1割ほどが常緑植物です。樹木苗のなかでも面白いのは、枝が「ぐねり」と曲がったタイプや松ぼっくりから芽が出たマツなど、今どきの手軽に楽しむ盆栽におすすめの苗がたくさん揃っています。


右/くねくねとしたナナカマドの苗。カッコいい鉢に1本植えるだけで絵になりそう。

見ていて楽しい
農園内あれこれ
売り場の通路には、いろいろな植物がこぼれ種から芽を出し、自然なシーンを楽しませてくれます。これらの植物は、丈夫でこの地域でよく育つものとして、農園で鉢上げされて店頭にも並んでいます。


右/八重のドクダミやフジバカマ、シュウカイドウなどが自然に茂る園路。そのまま切り取って帰りたい素敵な花合わせ。
楽しみ方の参考にと、売り場のところどころに寄せ植えが並んでいます。この状態でも購入できるので、贈り物などにも最適。ギフト用のラッピングは対応していません。

右/ハコネギク、タンナチダケサシ、アサギリソウ。


素焼き鉢や角鉢、軽石鉢なども販売されています。お手頃価格でカラフルに揃うので、まとめ買いしたくなってしまいます。
売り場で見つけた
おすすめプランツ・初夏
訪問時に咲いていた魅力的な植物をご紹介します。
【花が愛らしい宿根草】






【球根植物】

【斑入りリーフ】



【花がきれいな樹木】

【実をつける樹木】


【アジサイ】

【つる植物】

「卸が中心なので一般的な店舗と異なり、作業に追われて十分な接客ができないこともありますが、植物は自生地の環境に合わせて育てることが大切ですので、分からないときは近くにいるスタッフに声をかけてくださいね。春や秋が特に楽しいですよ」と氏家さん。

細やかな管理で少量多品種を徹底し、たくさんのプロに支持され続けている「安藤農園」。‘今らしさ’を感じさせる日本古来のものから洋種までを揃えた山野草の宝庫です。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、JR南武線「稲田堤」から徒歩約5分、京王相模原線「京王稲田堤」駅より徒歩で約8分。
【GARDEN DATA】
安藤農園
神奈川県川崎市多摩区菅北浦3-3-8
TEL :044-944-2984
営業時間:8:00~17:00
定休日:なし(お盆と年末年始のみ)
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