四季がはっきり変化する日本には、豊かな自然と幅広い植物群、そして花を美しく咲かせる技術力があり、海外からも注目されるガーデンもたくさんあります。全国各地で育まれ、訪れる人々を感動させる花咲く数々のスポット。人生で一度は訪れてほしい観光ガーデンへご案内します。

Print Friendly, PDF & Email

珍しい植物に出合える見本園「真鍋庭園」

北海道・帯広市にある樹木の輸入・生産・販売を行う真鍋庭園苗畑が運営する「真鍋庭園」。1966年より一般に開放されているこの庭園は、約2万5000坪の敷地が、日本庭園、西洋庭園、風景式庭園の3つを主体に、いくつかのテーマを持つガーデンエリアに分けられた回遊式のガーデンです。日本初のコニファーガーデンとしても知られ、世界各地から集められた珍しい樹種など、数千品種を超える植物のコレクションが見られる樹木の見本園です。ここでしか出合えない植物がそこかしこに植わり、植物好きな人にとってはワンダーランドのような空間です。

入り口から個性豊かな植物がたくさん

広大な敷地の中に大きな樹木がたくさん育つ真鍋庭園。見通しがきかないほどに生き生きと茂っているため、迷子になってしまう人も珍しくありません。エゾリスコースやキタキツネコースなど、周遊コースが設定されているので、自分好みのコースを選んで観覧しましょう。

入り口のゲートをくぐった先には、下から見上げると首が痛くなるほど大きく育った樹木が幾本も並び立っています。隣にそびえる針葉樹の葉を手に取ってみると、柑橘系に似た爽やかな香りが。その先へ進むと、本格的な日本庭園風の庭が現れます。コイが泳ぐ大きな池がある日本庭園は、植栽されている植物がすべて寒さの厳しい北海道でも育つ耐寒性の強いものであることが特徴です。さまざまな針葉樹や高木が背景となる、和洋折衷の一風変わった雰囲気を持つ庭園になっています。

日本庭園からつながるヨーロッパガーデンの、カーブを描く道々の脇には、多種多様なコニファーやメギなどのカラーリーフ、ジュニパーなどの低木まで、とりどりの植物が植栽されていて、一つひとつじっくり見て回るには時間が足りなくなってしまいそう。周囲をバラに彩られた赤い屋根の家が木々の合間に見えてくると、まるで外国の森を訪れたようです。

芝生の広場から滝、林まで、起伏に富んださまざまな光景

展望デッキの横を通り、まるで鉛筆のような細長い円柱形になるヤマナラシ‘エレクタ’の木の下を抜けた先には、広々とした芝生の空間が。その一角で大きく枝を広げるヤナギの大木は、挿し木から38年経ったもの。そのまま育てていると、地面につくほど枝が伸びてしまうので、時々切り揃えているのだそうです。

さらに奥、足元に注意しながら急な階段を降りると、オリビンの滝と呼ばれるカンラン石(ペリドット)の石を積んでつくられた人工の滝が現れます。水源は、札内川(さつないがわ)の伏流水を循環させたもので、季節によって水量は変化します。

滝の前にかかる橋を渡った先にあるのが、ストローブマツなど、マツボックリを落とす樹種が多く植えられたストローブマツの森。このエリアではリスのかじった後のマツボックリが転がっていることもあります。マツカサの部分がすっかりなくなり、芯だけが残されている様子は、エビフライにそっくり。そんな森の中にあるのが、リスの教会と呼ばれる小さな教会。数名入ったらいっぱいになってしまう可愛らしいサイズで、まるで童話の中に迷い込んだような景色です。

個性的な植物に出合えるガーデンエリア

カルガモなどが遊ぶ水辺の道を離れると、成長の遅い植物を集めてデザインされたドワーフガーデンへ。あまり大きくならないため、剪定などの手入れが簡単で、家庭の庭やあまり手を掛けられない人にぴったりの樹種を紹介しています。

続いて見られるリバース・ボーダー・ガーデンは、多様なカラーリーフのモデルガーデン。ミラー・ボーダー・ガーデンのように鏡に映したような対称的な植栽ですが、南側の並木では、片側に黄金葉の高木と銅葉の低木、もう片側に銅葉の高木と黄金葉の低木が植栽されているのが面白いところ。北側の並木も同様に、銀青葉と緑葉の植物がコントラストを描くように植栽されています。

真鍋庭園を一周して、最後に見られるのが50周年を記念してつくられたモンスターガーデン。広い芝生のあちらこちらに、ユニークな形のモンスターたちが枝を伸ばしています。枝垂れる性質を持った樹木を骨組みに添わせることで、個性的な形のモンスターたちが生まれます。ユーモアたっぷりのガーデンは、子どもたちだけでなく大人にとっても面白い光景です。

入口ゲート前のガーデンセンターでは、園内に植えられている植物の苗も手に入ります。園内で見た植物がほしい場合、真鍋庭園苗畑で手に入れることができます。通信販売も行っていて、苗一本から配送してくれます。樹種によっては大きく育つものもあり、何より長いつき合いになるので、購入するときは慎重に検討したいもの。ぜひ、真鍋庭園に足を運んで、実際に育っている姿をその目で確かめてみてはいかがでしょうか。一目ぼれできる木との出合いがあるかもしれません。

Information

「真鍋庭園」

帯広市稲田町東2-6

Tel. 0155-48-2120  http://www.manabegarden.jp/index.htm

open 5月~11月下旬

レギュラーシーズン(6~8月を除く) 8:00~日没まで

サマーシーズン(6~8月) 8:00~19:00(入園は18:00まで)

入場料 大人800円、子ども(小・中学生200円)

写真&文/3and garden

ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

Print Friendly, PDF & Email