素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪23 神奈川「サカタのタネ ガーデンセンター横浜」
ひと口に園芸店といっても、今やさまざまなスタイルのショップがあります。それぞれの個性が色濃く反映されたこだわりの空間は、ガーデニングのセンスを磨ける最高の場所。今回は、本格派ガーデナーにはたまらない品揃えのショップ「サカタのタネ ガーデンセンター横浜」を訪ねました。
目次
2021年、開店70年を迎える
老舗の園芸店
日本を代表する種苗メーカー「サカタのタネ」のアンテナショップとして、1951年にこの地にオープンした「サカタのタネ ガーデンセンター横浜」。今年開店70年を迎えますが、その時々の園芸スタイルに合わせて、改修・リニューアルを重ね、多様化する人々の暮らしに寄り添いながら、多くのガーデナーに支持されるショップに成長し、現在に至ります。
「サカタのタネ」は1913年の創業以来、多岐にわたる種子の研究・開発に取り組んできました。また園芸店の先駆けとして、美しい花とおいしい野菜でうるおいのある暮らしを届け、実りある世界づくりに貢献することを第一に考えています。その理念を一般の園芸を楽しむ人々にダイレクトに伝える役割を担っているのが、「サカタのタネ ガーデンセンター横浜」。本格的なガーデニングブームに対応するためにも、園芸教室や催し物を開催し(新型コロナウイルス感染拡大防止のため、当面の間休止しています。再開は店頭・ホームページをご確認ください)、夢のある店づくりを目指しています。
広い敷地に並ぶ無数の植物に
テンションアップ!
ターミナル駅・横浜の隣駅から徒歩圏に位置し、幹線道路に面しているので利便性は抜群。120台駐車できるパーキングを完備し、郊外にあるような広々とした解放感が魅力です。
2,000㎡近くもある店舗には、花や野菜、ハーブ、花木、果樹、バラ、盆栽、資材のコーナーが設けられ、植物の数は年間約1,200種類にものぼります。外の売り場にも屋根があるので、雨の日でも安心。陽気のよい時季は爽やかな風が吹き抜け、とても心地よい空間となっています。
時期により見本鉢が飾ってあるので、花色や植える鉢のサイズを確認できます。大きく育った実物を見ることで、栽培条件に合っているかを事前に確認できるだけでなく、理想的な目標として育てることができます。売り場にはベテランの園芸アドバイザー(主にサカタのタネOB)が常駐しているので、栽培方法など分からないことは気軽に尋ねてみるといいでしょう。
山野草コーナーも充実。洋から和まで、あらゆるスタイルの庭づくりに対応しています。
カラーリーフやオージープランツなど、季節に応じてさまざまな花木や樹木が並ぶ樹木売り場。定番の樹木と併せて販売しています。
最近は、ハーブやブルーベリーをはじめとする果樹など、食べられるものが大人気。ナチュラルライフにおすすめの種類・品種が多数並んでいます。
緑が瑞々しい盆栽コーナーの小鉢に入ったコンパクトなカエデ(右)や、白い小花をつけた白紫壇(左)。ほとんどがビギナーさんでも気軽に始められるお手頃価格。なかには、マニアもうなるような、風格のある糸魚川真柏などの本格的な盆栽も。春・初夏・秋には盆栽フェアを開催。育て方などを盆栽栽培専門家に相談できます。フェア開催予定等はHPをチェックして。
育てやすくおいしいと評判の
「サカタのタネ」自慢の野菜
色・形がよく、さらには病気に強く、高い生産性を併せ持つオリジナル品種を次々に生み出している「サカタのタネ」。種苗会社だけに、野菜コーナーも充実しています。自社開発品種の多くは、指定生産者が育てているので品質は抜群。
苗のラベルはもちろん、丁寧に説明が書かれたポップ類は、品種選びの際にとても便利。野菜栽培はビギナーさんには難しいと思われがちですが、育てやすく改良されているので、ぜひトライを。園芸アドバイザーは野菜にも詳しいので、ぜひ話を聞きながら、おすすめ品種を教えてもらいましょう。
おすすめの野菜の見本鉢の展示は、成長後をイメージしやすく、眺めているだけで楽しい。このときは、丈夫でおいしい長卵形のミニトマト‘アイコ’(左)と、トウモロコシの中でも強風にも倒れにくく、暑さに強くて育てやすい品種 ‘ゴールドラッシュ’(右)、ナス、インゲンなどが展示。自宅でこんなに実ったら嬉しいですね。
ミニトマト‘アイコ’(左)に続き、姉妹品種がたくさん登場しています。オレンジ色の実をつける‘オレンジアイコ’(中)、愛らしいえくぼができる‘プリンセスアイコ’(右)、そのほか、甘みが強くフルーツ感覚で食べられるチョコレート色の‘チョコアイコ’など、他店では入手しにくい品種がたくさん。
葉野菜のミニチンゲンサイ‘シャオパオ’も、展示用レイズドベッドで栽培。ふっくらした株が規則正しく並んでいる様子に、気持ちがなごみます。
気候に左右されず、いつも快適
ゆったりとした屋内売り場
明るい光が差し込む建物内は、ギフトなどの花鉢や園芸資材の売り場。ゆったりと什器が配置されているので、長時間買い物をしていても疲れません。ここに並ぶ植物も、外の売り場同様、信用のおける生産者から仕入れた、確かな品質のものばかり。
母の日が近い時期に訪れたため、近年おしゃれな品種が増え続けている人気のアジサイがずらりと陳列されていました。「母の日の直前は、もっとたくさんのアジサイが並びます。どれも素敵なので、選ぶのに困ってしまいますよ」と、スタッフの小林秀美さん。
在宅時間が多くなり、需要がどんどん伸びている観葉植物。コンパクトな卓上タイプだけでなく、丈のある大きな尺鉢なども並んでいます。
種苗会社ならでは!圧巻の
種子&播種グッズコーナー
色とりどりの種子袋が壮観なコーナー。主に、自社開発の種子が並んでいます。その数は一番取り扱いの多い時期で、花・野菜を合わせてなんと約500種類! まるで図書館の一角のような光景です。春まきは1月頃、秋まきは7月頃が一番多いそう。
播種アイテムも充実。特にビギナーにおすすめなのが、そのまま植えられる土ポット ‘ジフィー’(左上、左下)と、種子とプランター、培養土が一緒になったセット(右下)。そのほか、さまざまなアイテムが揃っています。
豊富な品揃えのガーデンツール類。ハサミだけでもたくさんの種類があるので、迷ったらアドバイザーに相談を。そのほかガーデニング用エプロンやグローブなど、ガーデニングに必須の実用的なものがすべて揃います。
大人気。食卓に彩りを添える
野菜やスイーツ販売もときどき開催!
地元産新鮮野菜やスイーツ販売などのイベントも、不定期で催されます。詳しくはHPのチェックを!この日は「春日井 よし乃」の旬の和菓子が並んでいました。
おすすめの「サカタのタネ」オリジナル品種
春~秋まで楽しめる「サカタのタネ」オリジナルの品種をご紹介します。どれも育てやすいものばかりです。この夏、ぜひ庭に取り入れてみましょう。
「サカタのタネ ガーデンセンター横浜」スタッフ小林さんのイチオシはコレ! 一株でこんもり育つ‘サンパチェンス’
真夏の強い日差しに耐え、春から秋までと長期にわたりトロピカルな美しい花を咲かせる‘サンパチェンス’。大きな株に育つのが最大の魅力です。草丈は、鉢植えの場合約60cm、地植え(花壇植え)では約1m近くの大株になることも。生育速度も従来のインパチェンスより格段に早く、栽培は簡単です。
ホームセンターとは大きく異なり、園芸をするにあたり、あらゆるものが揃う本格派のガーデニングショップ「サカタのタネ ガーデンセンター横浜」。ワークショップや専門的な講習会などが定期的に開催されるなど(コロナ禍中は休み)、ガーデニングについて学べる格好の場です。ぜひ訪れてみてください。アクセスは、京浜急行・神奈川駅より徒歩約5分、東急東横線・反町駅より徒歩約7分、JR・東神奈川駅より徒歩約10分。
【GARDEN DATA】
サカタのタネ ガーデンセンター横浜
神奈川県横浜市神奈川区桐畑2
TEL:045-321-3744
営業時間:10:00~18:00
定休日:3~5月はなし。6~2月は水曜日。
https://www.sakataseed.co.jp/gardencenter/index.html
Credit
写真&文/井上園子
ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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