秋の北海道ガーデンに想いを馳せて 後編
日本中でいち早く秋が訪れる北海道は、紅葉も濃く色づき、味覚の楽しみもある、花好きさんが旅したい場所の一つです。今回は、10年間毎年北海道を旅してきたという千葉在住の橋本景子さんが、3年前に旅した北海道の秋をご紹介。後編の旅は、美瑛の丘にあるコテージの朝からスタート! 前編に引き続き、多数の写真とともに秋の北海道の魅力をお届けします。
目次
雨にけむる丘の上の朝
美瑛の丘の真ん中にあるB&B「スプウン谷のザワザワ村」のコテージで迎えた朝。やはりお天気は私たちに味方してくれなかったようです。
それでも雨にけむる美瑛の丘は、美しく優しい姿を見せてくれました。
恥ずかしがり屋の流星くんに「また来るね〜〜」と挨拶。赤いドアと焦がしバター色の壁面に、真っ白なシュウメイギクが映えるレセプション棟でチェックアウトを済ませ、次の目的地に向かいます。
とはいえ、この雨では美瑛の丘をゆっくり散策するということもできないので、ブログを通じて昔から知り合いのドッグカフェであり、ドライフラワーのお店でもある「花七曜」さんを訪ねました。
雨の効果もあってか、しっとりと鮮やかな紅葉が深い秋の景色を作っています。
アーチの上のセンニンソウやピンクのノリウツギなど、秋のガーデンの主役はバラでないことは確かです。
お店では、雑貨やドライフラワーをたくさん買い込み、発送してもらいました。
旅先でのお買い物は、なんて楽しいのでしょうか(笑)。
ランチの時間に間に合うように、旭川市内へと急ぎます。ところが、お目当ての回転寿司屋さんはメンテナンス日でお休み。ならばと、人気のガーデンショップ「RYOKKEN」さんへ。
お店やガーデン、庭をキーワードにその先へ
駐車場にこっそりと顔を出していた、薄いピンクのシュウメイギクと葉っぱの鮮やかな緑。アンティークのアイアンフェンスの黒と針葉樹の深い緑、ちらりと背景に見える紅葉のバランスが美しくて、一人夢中でシャッターを切っていました。
北海道のガーデナーさんにとっては、この時期はシーズン終盤で、冬支度を始める頃でもあり、植物の苗もお安くなっています。なんといっても本格的な雑貨の品揃えも素晴らしくて、「こんなお店が近くにあればねぇ」とつい呟いてしまいます。
ランチが終わったら、次の目的地はお友達のガーデンです。ここも秋のオープンガーデンはしていませんが、特別に見せていただきました。
秋雨に色を深めるガーデンもいいものです
レンガのアプローチや秋色に染まった植物に降る秋雨は、ガーデンの色をいっそう濃く、魅力的に見せてくれる気がします。
「雨のおかげで美しい秋の庭が見られてよかった」と、負け惜しみではなく本心から思いました。
旅の最終日。ホテルの部屋から旭川市内が一望できました。なんとか晴れそうな天気予報です。
旭川での定宿は、駅前のイオンモールの中にある「JRイン旭川」。
若い頃はみんなでワイワイも楽しかったのですが、歳をとるとなかなか疲れが取れないので、最近はシングルのお部屋でゆっくり休むことが多いです。
このホテルは駅に近くて、とっても便利。清潔な客室は居心地がよく、無料のドリンクサービスのラウンジや書籍のコーナーもあります。
最終日、最初の訪問先はダリア咲く銀河庭園へ
最初に向かったのは、恵庭市にある「銀河庭園」。
10ヘクタールという広大な敷地に、イギリスのガーデンデザイナー、バニー・ギネスさんがデザインした多種のテーマがあるガーデンとエリアで構成され、2006年にオープンしました。ここも通い始めて10年。いつ行っても感動を覚える、飽きないガーデンです。
『銀河ウエルカムガーデン』。
入場してすぐに記念撮影できるように、ベンチの周りをダリアが彩っていました。
ダリアは、私の庭の日陰の多い環境だとなかなかうまく育たないので、これまであまり興味がなかったのですが、この時の銀河庭園でのダリアとの出合いが、私にとってその魅力を再発見するきっかけになりました。初夏から咲き始め、真夏は少しお休みして、また秋から咲きますが、カラーバリエーションや咲き方が豊富で、ガーデンに彩りを添えるのはもちろん、抜群の存在感を誇る植物といえるでしょう。
白と黄色と紫の銀河ボーダー。前年からスーパーバイザーとして就任された吉谷桂子さんによるデザインです。
これも素敵、あらこれも可愛い……。どこを見ても、あちこちで咲いているダリアが気になって、なかなか前に進めません(笑)。
秋の植物たちの見所をご案内しましょう
ロズビィのバラのコーナーを歩いていて、男前の道具をびっしりと並べたシェッドを見つけました。すっきりと格好よくて憧れます。
枯れたシダがなんともいえない雰囲気を醸し出すガーデン。色づいたノリウツギのピンク色も心なしか濃いような気がします。
ドラゴンガーデンでは白いパンパスグラスに、明るい色のダリアを組み合わせていましたが、それはとにかく鮮やかで美しい!
園内で見かけるガーデナーさんたちは、春の球根の植え込み中で大忙しのようでした。
尋ねてみると「水仙をたくさん植え込んでいます」とのこと。早春の「銀河庭園」もきっと素敵でしょうね。
サルベージガーデンでは、錆びたアイアンのアーチが秋の景色と一体化しています。マルメロの木の下にはピンクのシュウメイギクが咲き乱れて素敵でした。
斑入り葉をバックに、ハッとするような花色と銅葉の見事なコンビネーション。
ボートレースガーデンには枯れたギボウシと青空がよく似合います。晴れてよかったねとお友達もニッコリでした。
ブラック&ホワイトガーデンは、白と赤のダリアで大人なガーデン。借景の素晴らしさも味方につけています。ここにずっと居たくなるのですが、ランチをして移動しましょう。
最終目的地は「イコロの森」
次の目的地には美しい紅葉のトンネルをドライブして向かいます。
「イコロの森」が今回の旅の最終目的地でした。
「イコロの森」は新千歳空港に近く、数日間のガーデンツアーの興奮を沈めて現実に戻るリハビリの場所としてもピッタリです。
秋のバラも少し咲いていました。
枯れた植物やシードヘッドが好きな私には、もはや天国のようにしか思えない景色。
寒い地域だからこそ、こんなに美しく色鮮やかに枯れていく姿が見られるのですね。
芝生の上に、土の上に、模様のように落ちている紅葉を踏みながらの散策は、秋だけのお楽しみです。
傾いた秋の太陽は、思わぬ美しい光をプレゼントしてくれて、この美しさを絵にしたいと何枚も撮ってしまうのです。
閉園時間まで「イコロの森」の秋を堪能して、新千歳空港で美味しい回転寿司で夕ご飯を食べて、この旅はおしまい。
秋の北海道ガーデンを巡る時は
北海道の多くの公共のガーデンは、10月中旬からクローズして冬支度に入ります。
そのため、秋の北海道のガーデンツアーは事前にガーデンの営業日を確認してから出かけるのをおすすめします。また、日没時間も早まりますので、営業時間も短くなります。
早い地域では初雪も観測され、雨も降りやすくなるために雨具は必須です。昼間は暖かい日があっても、夜間など思わぬ寒さに出合うこともありますので、重ね着できる服装がベスト。寒がりの方は手袋を忘れずに。ストールや帽子があれば寒さに対応できるでしょう。
北海道ならではの美しい紅葉と秋のグルメなガーデンツアーにぜひおでかけください。
●旅の前編はこちらから。
『秋の北海道ガーデンに想いを馳せて 前編』
Credit
写真・文/橋本景子
千葉県流山市在住。ガーデングユニットNoraの一人として毎年5月にオープンガーデンを開催中。趣味は、そこに庭があると聞くと北海道から沖縄まで足を運び、自分の目で素敵な庭を発見すること。アメブロ公式ブロガーであり、雑誌『Garden Diary』にて連載中。インスタグラムでのフォロワーも3.
Noraレポート https://ameblo.jp/kay1219/
インスタグラム kay_hashimoto
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