大型ホームセンター「ジョイフル本田」が運営する、「アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン」。イギリス人のガーデナー、アンディ・マクルーラさんとウィリアム・ウルフさんが手がけた、本場の英国式庭園を再現したガーデンです。現在ヘッドガーデナーを務める、太田 勲さんにこの庭園の魅力について、語っていただきました。

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カントリーサイドに佇む
豪奢な邸宅の庭園がコンセプト

2002年4月にオープンした「アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン」。約2万㎡の敷地を持ち、ゆっくり歩いて散策すると、1時間ほどかかる規模です。大型ホームセンターの「ジョイフル本田」が、群馬県・新田への新規出店の機に、本格的なイングリッシュガーデンを作る構想を立案。1999年より着工し、3年がかりで完成させた英国式庭園です。

基本的なコンセプト立案からデザイン、施工計画などのほとんどは、イギリス人のアンディ・マクルーラさん、ウィリアム・ウルフさんの手によるものです。また、ウィリアム氏の奥さまのフレッド・ウルフさんも一部のガーデンやエンブレム、園内マップのデザインを手がけています。施工時は両英国人の仕事仲間のガーデナー、左官職人達も一緒に来日し、園内の構造物や植栽など普段の彼らのやり方そのままで施工されました。

アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン
英国式庭園を手がけたアンディ・マクルーラさん(右)、ウィリアム・ウルフさん(左)。

「アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン」は豪奢な田舎の邸宅にある庭をモチーフとした、本格的なイングリッシュガーデンです。「日本人がイメージするイングリッシュガーデンのスタイルにはこだわらず、イギリス人が肌で感じている、イギリスの長い歴史の中で培われた伝統的なスタイルのガーデンを楽しんでほしい」と、英国様式のさまざまなスタイルの庭がつくられました。

入口から入るとまず「整形式庭園」のゾーンが続きます。トラディショナルなスタイルと華やかなイメージのガーデンを抜けて奥に進むと、広大な「風景式庭園」のゾーンに入ります。イギリスの邸宅のイメージのため、屋敷の近くに「整形式庭園」奥に「風景式庭園」となり、その奥に森が続くというコンセプトです。

園内は「ガーデンルーム」と呼ばれる小さなガーデンが20以上あり、生け垣や塀などで仕切られ雰囲気の異なる庭同士があまり見えないようになっています。これもイギリスの邸宅の庭でよく見られる手法です。

アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン
「ルイスガーデン」のエリアだけで、チューリップは15種類約3,000球を植栽。

「アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン」では、2,000種類以上の植物が息づいています。イギリスの伝統的なガーデンスタイル(ノットやパーテア、キッチンガーデン)やイギリス人ならではの植物チョイスや構造物の演出、施工方法などが見られ、日本にいながらイギリスの庭園を巡っている感覚を味わえます。

早春はクリスマスローズやスイセン。春本番にはチューリップ、アヤメ類、バラと続き、初夏から夏は宿根草、アジサイ、ユリ。初秋はコスモス、ダリア、秋バラ。晩秋は各ガーデンの紅葉が楽しめ、四季の移ろいを強く感じられます。

アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン
初夏には園内はユリの甘い香りで満ちあふれます。

また、園内には膨大な種類の植物や多種の資材が使われていますが、「アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン」の向かいにはジョイフル本田ガーデンセンターがあります。園内で使われている資材や植物の多くを購入することができるのも魅力で、「自宅の庭づくりの参考になった」という声もたくさん寄せられています。

「現実の世界から離れるためにイングリッシュガーデンを見に来る」「自分で庭をつくるためにイングリッシュガーデンを見に来る」という、相反するような目的のどちらも両立できるのが「アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン」の特長です。大型ホームセンターが運営するイングリッシュガーデンに、ぜひお出かけください!

多様な英国式庭園のスタイルを
日本にいながらにして堪能できる贅沢

アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン

写真は、「アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン」のエントランスで、ヴィクトリア王朝時代に流行したカーペットベディングを基本にしています。花壇部分は背の低い一年草を絨毯状に隙間なく植えつけ、左右対称幾何学模様に花で模様を描いています。常緑の芝とも相まって、豊かな時代のヴィクトリア朝ならではのコントラストが効いた華やかな色使いが特徴です。トピアリーに使われているのは金目ツゲで、「WELCOME」と刈り込んでいます。

アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン

この「アナガーデン」は、ウィリアムさんの娘の名前からつけられています。女の子らしい背が小さくかわいらしい植物で構成。手前からグレーの石の壁、黄色のツルマサキ、青の藤、緋色のキクモモと色とりどりですが、新緑の緑がベースになっているので、うるさい印象になりません。また、小道が蛇行して下の植栽のチューリップが効果的に見えます。

アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン

「シールズパレード」のエリアでは、タイルをずらしながら積み重ねた柱が特徴的なバラのパーゴラが見どころ。この柱はバラのつるが登っていきやすい形状になっています。また、オブジェとしても楽しむことができ、夕刻になると柱の縁に影ができてシルエットが浮き出るようになっています。

パーゴラのトンネルは幅3m、高さ2.5m、長さ40mに及び、18種類のバラが植栽されています。左手前から‘ヴェスターランド’、‘マリー・キュリー’、‘珠玉’、右手前から‘バロン・ジロー・ド・ラン’、‘パレード’、‘つるクリムゾン・グローリー’、‘つるうらら’、天井に‘ロング・ジョン・シルバー’、‘ポールズ・ヒマラヤン・ムスク’が見えて、大変華やかです。

天井にかかっているバラは数本で、残りは上の柱にはほとんどかかっていません。つるが長く伸びる品種はあまりたくさん下の方に花をつけないよう、また長く伸びるように調整して誘引。逆に短めのつるバラは縦の柱に花が咲くように調整し、メリハリをつけて役割分担をしています。

アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン

「Newローズガーデン」のエリアでは、芝の中に小さい丘になるようにバラを植栽。外から見るとバラが盛り上がって見えるよう配慮されています。主に2000年以降に作出された新しいバラ、60種類、約120株が見られるので、現代の品種トレンドが見えてきそうです。春と秋には、バラの専門家などを招いて園内を散策しながらの講習会なども行っているので、ぜひご参加を。写真のアーチに仕立てられて、たわわに咲くバラは‘アンジェラ’です。

アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン

「ダヴコートガーデン」には、ウィーピングローズが3種類、20本ほどあります。品種は‘フューシャ・メイディーランド’、‘ファイヤー・メイディーランド’、‘ニュー・ドーン’など。いずれも遅咲き種で、5月の下旬から咲き始め、6月上旬まで咲き続けます。

イギリスで自生する植物に限らず
世界の植物を集めているのも英国様式の特徴

アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン

「シークレットガーデン」のエリアは「プラントハンターのプライベートガーデン」というコンセプトでつくられており、そのほとんどがイギリスに自生していない植物で構成されています。

イギリス(ブリテン島)はもともと大西洋からの暖流が流れ込み、高い山もほとんどないことも相まって、北部と南部の気候の差が日本ほど大きくないそうです。そのような場所では生えている植物の変化が乏しく、庭づくりには外国の植物が必須とのこと。そんな輸入植物も今ではすっかりイングリッシュガーデンにはなくてはならないものになっています。

植栽しているのは、奥の白い花からフロックス(北アメリカ原産)、ギボウシ(東アジア原産)、ベゴニアセンパフローレンス(南アメリカ原産)、ルドベキア(北アメリカ原産)、シュウメイギク(東アジア原産)。世界中から集められた植物が共存する、豊かな景色をつくり出しています。

アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン

「ウッドランド」のエリアは、欧州圏で19世紀に流行した日本庭園の影響を受けていた頃の風景式庭園がモチーフになっています。しだれ柳、睡蓮、アヤメ類、アジサイなど当時流行していた植物がふんだんに使われています。池の周りには木々が植えてあり、早春の花木類、春の新緑、夏は涼しげな木陰、秋は紅葉と四季の変化を体感できるのもこの広いガーデンならではの楽しみです。

アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン

写真は「ペレニアルボーダー」のエリア。ボーダーガーデンはイギリス人が最も愛する庭のスタイルの一つですが、残念ながらこの場所でイギリスのボーダーガーデンを再現するのは難しいもの。夏の暑さに耐えられるいろいろな植物を模索し、関東で育てやすい植物を厳選したこのボーダーガーデンは、「クールボーダー」といい、パステル調の花で構成しています。

紅葉が楽しめる高木の植栽選びにより
黄昏ていく秋の景色も素晴らしい

アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン

「ジョイフルガーデン」の花壇の縁にはスパイラルに刈り込まれているツゲのトピアリーが等間隔に植えてあります。これは長細いガーデンのため視線が池の向こうに誘われるので、特徴的な形のトピアリーで視線を植栽側に誘導する効果を狙っているためです。また植栽のカラーは青、黄色、シルバーリーフを基調にコーディネート。季節に応じて、さまざまな植物でその3色が表現されていきます。

イギリス人ガーデナー両名は、高木を選ぶ時に、紅葉する色、形、時期を考えて配置したとのこと。園内の広さの割には、奥深い紅葉の風景をつくり出しているのは、木々のコントラストを効果的に利用しているためです。

アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン

「アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン」の紅葉は、10月中旬から始まり、12月中旬までが見頃に。ニセアカシアからスタートし、アメリカフウの木、ミズナラ、ベニカエデ、アカガシワ、マメナシへと紅葉リレーが続き、最後にメタセコイヤがオレンジ色に輝き、やがて冬へと移ろいます。

Information

アンディ&ウィリアムス ボタニックガーデン(Andy&Williams Botanic Garden)

所在地:群馬県太田市新田市野井町456-1
TEL:0276-60-9021

http://www.joyfulhonda.com/aw/

アクセス:公共交通機関/東武鉄道 太田駅よりタクシー20分 木崎駅よりタクシー10分
車/北関東道 太田藪塚I.C.より10分、または太田強戸スマートI.C.より15分

オープン期間:2月21日〜12月20日

休園日:なし(6月に休園日あり。詳細はHPを参照)

営業時間:9〜17時(4〜9月まで閉園時間18時まで延長)

料金:大人¥550 小学生以下¥300(保護者同伴無料)

駐車場/約600台

Credit


取材&文/長田節子
ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。
https://twitter.com/passion_oranges/
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