カメラマンが訪ねた感動の花の庭。長野・信州小諸「夢ハーベスト農場」
これまで長年、素敵な庭があると聞けばカメラを抱えて、北へ南へ出向いてきたカメラマンの今井秀治さん。カメラを向ける対象は、公共の庭から個人の庭、珍しい植物まで、全国各地でさまざまな感動の一瞬を捉えてきました。そんな今井カメラマンがお届けするガーデン訪問記。第22回は、長野にある、南フランスの田舎のバラ園をイメージさせる「夢ハーベスト農場」をご案内します。
目次
オールドローズを追いかけて
「夢ハーベスト農場」の名称を初めて聞いたのは、もうずいぶん前のこと。おそらく長野市あたりに取材に行った時に、どなたかから近くにあるオールドローズのバラ園に行ってきたという話を聞いたのだと思います。
当時の僕は、オールドローズと聞けば行かない訳にはいかないほどオールドローズを追いかけていて、長野市あたりからの帰りに立ち寄ったのが最初の訪問だったと思います。その時は、バラの開花期はすでに終盤で、素敵な写真が撮れたという記憶がありません。
その後も、もう一度、何処かへ行く途中か、帰りがけだったかに寄ってみた時は、まだ開花には早くて、ほとんど何も咲いていませんでした。「夢ハーベスト農場」は、浅間山の麓で標高900mの高原にあるため、開花のタイミングが長野市とも軽井沢とも違います。ふらっと立ち寄って、さっと撮影とはいかず、なかなか難しいと実感しました。とはいえ、よい撮影ができる確証もない小諸のバラ園のためだけに撮影のスケジュールを組むこともできず、その頃は、また近くに行くことがあったら寄ってみよう、そのうちよいタイミングが訪れることもあるだろうと考えていました。
開花のタイミングでの初訪問が叶う
2014年6月27日。この日は「軽井沢レイクガーデン」で早朝からの撮影がありました。その後は他に何も予定が入っていなかったので、天気もいいし「夢ハーベスト農場」に行ってみることにしました。遅い昼食をすませて、軽井沢からR18を少し走り、追分宿を右折。バラ園に向けて浅間サンラインを走っていくと、前方斜め右手、斜面の上方に満開のバラ園が青いラベンダー越しに見えてきました。
「夢ハーベスト農場」の看板を右折して駐車場に到着すると、フェンスの向こうは、つるバラもオールドローズも色とりどりに、草花も本当にきれいに咲いていました。時計を見ると、午後3時を大分過ぎています。急いで入り口に行って入園料を払い、バラ園へ。やっと会えたオールドローズ一つひとつの花に挨拶しながら、まずは花の表情を撮ることにしました。気候もオールドローズに合っているのか、どの花もとても表情がよく、可愛く咲いていました。あっちこっちと園内を歩き回っていると、時刻はあっという間に午後5時過ぎに。気がつくと、バラ園全体が優しい光に包まれていました。
夢中で撮影をしているとフランスにいる錯覚に
ここのバラ園は、つるバラのアーチやパーゴラも各所にあり、ハーブや宿根草もたくさん植わっているので、「この光ならきれいな撮影ができるぞ」とますますテンションが上がりました。園内を歩き回りながらシャッターを切りまくっていると、ファインダーの中の景色が、なんだか日本じゃないように見えてきました。
当時、僕が見慣れていたイングリッシュガーデンの白、ピンク、ブルーといった淡い色の組み合わせとは全然違い、濃いピンクや黄色や赤いバラが多用された植栽と、足元の宿根草のオレンジや飾り気のない木製アーチが、行ったことはないけれど、「フランスの田舎のガーデン」のように見えてきました。
そこに降り注ぐ柔らかい光も相まって、南フランスあたりの田舎の農場の一角にあるバラ園にいるような、最高な気分で撮影ができました。この日以来、6月中旬以降の晴れた日の夕方は「夢ハーベスト農場」に行くように。大好きな撮影スポットの一つになりました。
2020年には「夢ハーベスト農場」写真講座を予定
その後は、軽井沢にあるオールドローズで有名なペンション「カスティール」さんで、オーナーのオールドローズ仲間が集まる会に参加させていただいた時などは、皆さんで「夢ハーベスト農場」に行って写真撮影会をしたりしながら、このバラ園には毎年のように伺っています。昨年2018年には、「カスティール」さんに「夢ハーベスト農場」のオーナーの小林さんご夫妻がお見えになったので、ご挨拶もさせていただき、今年2019年も6月25日に伺って、来年の写真講座の約束もしました。来年の写真講座の日も、どうか夕方の魔法の光が、このバラ園を包み込んでくれることを祈るばかりです。
“夢を収穫できる農場”は夏の南フランスを感じさせる場所
今回、この原稿を書くにあたり、オーナーの小林千代子さんにいくつか質問をさせていただきました。「撮影していてフランスっぽいと感じることがあるのですが?」という質問に対し、「ハーブやバラ園もありますが、ラベンダーやブルーベリーなどを収穫できる畑もあり、当初南仏の農場をイメージしていました。名称の通り“夢(人それぞれに花を観たり味わったり)を収穫できる農場”を目指しています」というお答えでした。
考えたら、僕はバラの撮影で6月にしか行っていなかったけれど、7月にはブルーベリーの収穫もできるし、ラベンダーの蒸溜もしている農場なんですね。来年はブルーベリーの収穫をしながら、7月の南フランスのバラ園をイメージさせる撮影もしてみたいと思い始めました。
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