花の庭巡りならここ! 花苗生産が盛んな地域ならではの演出「やまぐちフラワーランド」
四季がはっきり変化する日本には、豊かな自然と幅広い植物群、そして花を美しく咲かせる技術力があり、海外からも注目されているガーデンがたくさんあります。全国各地で育まれ、訪れる人々を感動させる花咲く数々のスポット。人生で一度は訪れてほしい観光ガーデンへご案内します。
目次
年に7回の植え替えにより、500品種45万本の花を植栽!
2006年にオープンした「やまぐちフラワーランド」は、35,000㎡の敷地を持ち、大人の足でゆっくり歩いて1時間半ほどで回れる広さです。山口県柳井市は温暖で日照時間の長い気候のため、花の生産が盛ん。そんな地域の振興をはかる目的で整備されたのが「やまぐちフラワーランド」で、地元で生産された花苗を植栽しています。年間を通して約500品種45万本もの花を植栽しており、毎年新品種も導入しているので、最新トレンドを知ることができるのも魅力です。
園内には大きく分けて21の区画があり、家庭でも実践できるような提案型のモデルガーデンや、園内に植栽されている花を集合させたコレクション花壇など、区画ごとにテーマが設けられています。それぞれに“インスタ映え”を意識した色彩豊かなシーンを演出しているので、訪れた記念にナイスビューを写真に収めましょう!
棚田だった地形を生かした
斜面を覆うように彩る花畑が特徴的
「歴史と自然に囲まれた、ちょっとおしゃれな花と緑の庭園」をコンセプトにしている「やまぐちフラワーランド」は、一年を通して季節の花々が咲き競います。
写真は2018年3月下旬の自由広場沿いのエリア。カーペットのように咲いている赤やピンクの花は、デージーです。土手の頂で白い小さな花を枝いっぱいに咲かせるユキヤナギは3月末〜4月上旬が見頃。約100mにわたって約500株が植栽されています。
写真は「やまぐちフラワーランド」の一角で、2018年春の景色です。約130㎡にわたって群植されている黄色い花は、クリサンセマム。約4,000本が咲き広がり、見頃は4月〜5月上旬です。ゆるやかにつながる階段を上り切ると、高低差が50mの迫力ある全景が一望できます。
「やまぐちフラワーランド」は、もともとあった棚田の地形を生かした花壇も特徴的です。写真は2018年4月のフラワーガーデンのエリア。左手の黄色やオレンジの花はエスコルチアで約6,000本を植栽、見頃は3月下旬〜5月上旬です。右手のピンクや白、クリームイエローをミックスさせたフラワーベッドは、リビングストーンデージー。約4,000本が植栽され、見頃は4月〜5月上旬です。
2018年5月のフラワーガーデンでは、オレンジ&黄色のナスタチウム、ピンク&白のダイアンサス、黄色のダールベルグデージーが競演。里山の借景が美しく、野鳥の楽しそうなさえずりも聞こえてきます。園内では飲食物の持ち込みが自由なので、好きな場所でお弁当やおやつを広げることができますよ。花景色を前に、心地よい風を感じながら好きな食べ物をほおばるのは、なんとも贅沢な時間です。園内にはゴミ箱を設置していないので、持ち帰りのマナーは守ってくださいね。
「やまぐちフラワーランド」の2018年夏の屋上庭園には、センニチコウが60㎡に約700本植栽されています。見頃は7〜9月上旬です。同時期にはアンゲロニアやルドベキアなども見頃になり、夏らしいトロピカルな雰囲気をもつ草花が主役に。また涼を呼ぶ演出として、白やブルー、紫の花色のクールカラーでまとめた花壇も見られます。
秋は楽しいハロウィンディスプレイが見どころ
冬でも寂しくない! パンジー&ビオラが花盛り
毎年10月には、園内の至るところにジカボチャやキュートなオバケ雑貨を使った装飾が施され、ハロウィン一色になります。2018年はハロウィンボディペインティングやジャック・オ・ランタン作り(要予約)などのオータムフェスタが開催されます。
ハロウィンの時期に限らず、毎月の週末を中心に、ガーデニングセミナーや寄せ植えコンテスト、クイズラリー、コンサートなど、興味津々なイベントが開催されているので、事前にホームページをチェックして参加してみましょう!
パンジーが絨毯のように広がっている様子、これは春の風景? いいえ、実は2017年冬のフラワーガーデンなんです。このエリアでは、100㎡に3,500本のパンジー、ビオラを植栽しており、11月下旬〜3月頃が見頃。園内の花壇すべてを合わせれば、16種類約32,000本のパンジー、ビオラを植栽しています(2017冬〜2018春)。さすが温暖で、花苗生産が盛んな地域だからこその贅沢さですね。パンジーの色合わせの妙も参考になりそうです。
冬は、ほかにも白や紫のハボタンが11月下旬〜3月上旬まで見頃になり、パンジーやビオラ、ストックとともに彩りを添えます。花色に飢えているこの時期のガーデナーにとっては、冬も元気に咲き続ける花たちと出合える、心浮き立つスポットですね。
「やまぐちフラワーランド」にはおしゃれな「レストラン 大地の恵み HANAHANA」があり、お食事も楽しめます。木曜定休(祝日の場合はオープン)です。
寄せ植え体験もできる充実の花苗ショップ
土産物コーナーも地元の名産品がずらり
「やまぐちフラワーランド」内の温室売店では、寄せ植え体験教室を常設しているので、ぜひご参加を! 好きな花、鉢を選んで、料金はセレクトによって変動します。予算に合わせての相談にも乗ってくれますよ。
そして、温室売店では、土にこだわって育てられた地元産の一年草や宿根草の花苗を約100品種、バラ100〜200品種を販売。熱心なガーデナーにとっては、「本気買い」のスイッチが入るスポットですね。来園者からは「庭園で一目惚れした花苗を、ここで買えたのでうれしい!」という声も聞かれます。営業時間は9:30〜16:30。
「やまぐちフラワーランド」内の売店「コッコロ」では、調味料やお菓子、雑貨類など地元の名産品が多数揃っていています。なかでも、毎年8月開催の「柳井金魚ちょうちん祭り」でも知られる郷土民芸品「金魚ちょうちん」は、お土産に大人気。まん丸の瞳にパクパクのお口、愛らしい表情がほほえみを誘いますね。700〜1,500円で販売されています。
また、「やまぐちフラワーランド」内にて、定期教室も行われています。フラワーデザイン、プリザーブドフラワー、ドライフラワーアレンジメントのほか、料理やウクレレ、絵手紙と多彩なラインナップ。近くにお住まいの方は公式ホームページでチェックし、趣味を広げる目的でレッスンに通うのもオススメです。
Information
やまぐちフラワーランド
所在地:山口県柳井市新庄500-1
TEL:0820-24-1187
https://flowerland.or.jp/
アクセス:公共交通機関/JR柳井駅からタクシーで5分(片道定額830円)
車/山陽自動車道玖珂ICから車で約15分、山陽自動車道熊毛ICから車で約20分
オープン期間:周年
休園日:木曜(祝日を除く)、12月27日〜1月1日 ※臨時休園あり
営業時間:9:00~17:00(最終入園16:30)
料金:高校生以上500円、小・中学生250円、70歳以上250 円、未就学児 無料 ※20名以上の団体20%割引
駐車場:300台(無料)
併せて読みたい
・花の庭巡りならここ! インスタ映えする景色の宝庫「淡路島国営明石海峡公園」
・花の庭巡りならここ! 四季を通して多様な植物で彩られる「はままつフラワーパーク」
・花き生産高1位の地域に生まれた、旬の花と野菜が並ぶショップ「Marché&Cafe hana・yasai はなやさい」
Credit
取材&文/長田節子
ガーデニング、インテリア、ハウジングを中心に、ライフスタイル分野を得意とするライター、エディター。1994年より約10年の編集プロダクション勤務を経て、独立しフリーランスで活動。特にガーデニング分野が好きで、自身でも小さなベランダでバラ6姉妹と季節の草花を育てています。草花や木の名前を覚えると、道端で咲いている姿を見て、お友達にばったり会って親しく挨拶するような気分になれるのが醍醐味ですね。
https://twitter.com/passion_oranges/
新着記事
-
ガーデン&ショップ
都立公園を新たな花の魅力で彩る「第3回 東京パークガーデンアワード」都立砧公園で始動
新しい発想を生かした花壇デザインを競うコンテストとして注目されている「東京パークガーデンアワード」。第3回コンテストが、都立砧公園(東京都世田谷区)を舞台に、いよいよスタートしました。2024年12月には、…
-
公共ガーデン
都立公園を花の魅力で彩る画期的コンテスト「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」全国から選ばれた…
2022年に代々木公園から始まった「東京パークガーデンアワード」。第2回の神代植物公園に続き、3回目となる今回は、東京都立砧公園(世田谷区)で開催されます。宿根草を活用して「持続可能なロングライフ・ローメ…
-
おすすめ植物(その他)
蜜源植物とは? ガーデンで人気の種類&ハチミツの香りと味わいの違いもご紹介
ミツバチが花の蜜を求めて訪れる植物を「蜜源植物」と呼び、その種類は日本だけでも500〜600種類もあるといわれています。たくさんの種類がある蜜源植物の中でも代表的なものをピックアップし、植物によって異なる…