母娘で17年間、北海道の大地にガーデンをつくり続けている上野砂由紀さんは、楽しみながら自然と親しむ方法をよく知っている女性です。そんな彼女が北海道旭川の「上野ファーム」を舞台に、庭づくりをしながら感じたこと、発見したこと、感動したことを季節の写真とともにご紹介します。ガーデンは思いがけない感動をくれる、心の栄養補給ができる場所ですよ。
花が咲き出す直前のフレッシュグリーンは、この季節ならではの見どころ

にぎやかな春の球根が一段落すると、上野ファームの庭は、フレッシュな葉を広げる植物たちがつくりだす、美しい緑の世界になります。宿根草が多い上野ファームは、すぐに花で埋め尽くされるガーデンというよりも、美しい緑のキャンパスに毎日一色ずつ色をつけていくように、ゆっくりと開花が進みます。徐々に開花する花で庭全体を描くように、色数が増えていきます。
春から秋までに「どんな葉が展開するか」も観察ポイント

彩りあふれる花がいっぱいの季節も素敵なのですが、開花を待つ植物たちがつくりだす、静かな緑の期間が私はとても好きです。開花後は葉の色も落ちてきてしまうことが多いのですが、花が咲く前の緑は、どの植物も勢いがあり、とても美しいのです。
葉の美しさや形状に思わず惚れ込んだ植物も

私は植える植物を選ぶ時、花の魅力以外に、その植物がもつ葉の美しさや形状に惚れ込んで植えることもよくあります。季節を迎えて咲く宿根草の場合、花の開花期はそれほど長いものではありません。長くても見頃は1カ月ほど、短いものなら10日ほどで見頃が終わってしまう花もたくさんあります。
そう考えるとシーズンの半分以上は花よりも葉を見る期間が長いので、春から秋までどんな葉が展開するのかをじっくりと観察することも、デザインにおいてはとても重要なこと。そのため、みずみずしい緑いっぱいの初夏は、私にとってわくわくする時期でもあるのです。
庭の美しさには、緑と花のバランスが大切

緑の中から鮮やかなアリウムが浮遊するように開花し始めると、美しい緑があるからこそ花がきれいに見えるということに、改めて気づかされます。緑のバランスが庭づくりにおいて、とても大切だということがよく分かります。

西洋オダマキやゲラニウムなど緑を背景にすることで、魅力が引き立つ初夏の花はいろいろとあります。黄緑の葉と黄色の花が美しいアルケミラ・モリスも、葉がとても美しい植物の一つです。

花が咲く前の植物がもつ葉だけの美しさに気づくと、ますますガーデンを見ることが楽しくなると思います。「どんな花が咲くのかな」、「どこからつぼみが出てくるのかな」など、想像を広げながら植物を観察することがとても大切なので、ガーデナーにとってはどの時期でも植物から学ぶことは山のようにあります。
緑のキャンバスに少しずつ花の色が増えていくガーデン

花咲く前のミラーボーダーの様子です。美しい緑のグラデーションだけを楽しむ「グリーンガーデン」というジャンルや楽しみ方があってもいいくらい。植物の豊かな表情は花咲く前から十分楽しめます。この緑のキャンバスにさまざまな色をつけて描くと、下写真のように夏にはこんな絵に仕上がっていきます。

一色一色、日に日に増えていき、にぎやかな色で華やぐ夏の庭へ。

黄金色の葉をもつ花咲く前のアガスターシェ‘ゴールデンジュビリー’。緑と黄緑の組み合わせがとてもきれいでした。葉の美しさを生かした組み合わせもいろいろと研究中です。

北国ならではの美しい新緑の季節は、いよいよこれからです。緑あふれるガーデンに今日も新しい色が描かれています。
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