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新たな挑戦「屋上テラスガーデン」でバラ咲く庭づくりスタート
日本人の引越し回数は平均3回といわれていますが、住み替えを機に、新しい庭づくりに4度目のチャレンジをすることになった神奈川県在住で「日本ローズライフコーディネーター協会」の代表を務める元木はるみさん。今回は、初めて屋上のテラスガーデンづくりに挑みます。バラを育てて約35年の経験を持つ元木さんは、どんな形の庭を目指しているのか、工夫と苦労など現在の様子を教えていただきます。
目次
4度目のバラの庭づくりへの思い
2020年から区画整理で離れなければならなかった住み慣れた地域に、今年2024年2月、約4年ぶりに戻って来ることができました。
元の自宅は戸建てでしたが、区画整理後の再開発に伴い、新居はマンションの最上階。それを機に11階の屋上にテラスガーデンを設け、新しくローズガーデンをつくることになりました。
バラを育てて35年以上になりますが、屋上のテラスガーデンというのは初めての試みです。うまく育てられるか、とても心配です。
ずっと気掛かりになっているのは、風がとても強い、気温も高く、暑くなるという特殊な環境であること。
しかし、周囲に高層ビルが増え、日の当たらない狭い地面にバラを植えるよりは、はるかによいのではないか。そして、昨今注目される屋上緑化に、バラがもっと利用されてもよいのではないかなど、自分にとって今できることをあれこれと考えながら、屋上テラスガーデンでのバラの庭づくりに着手することになりました。
一体これからどんなガーデニングになるのか。ドキドキしながら、新たな庭づくりに挑戦してみたいと思います。
設計から始まった屋上テラスガーデン
約5年間の長きにわたり、建設会社(設計・施工:株式会社平成建設)さんと、新居と共に屋上テラスガーデンの完成に向けて打ち合わせを重ねました。
希望する絵や設計図を私も何度も書かせていただいたり、変更に変更を重ね、現在の形になりました。こちらの希望を丁寧にくみ取ってくださり、形になりましたことに感謝しております
設計に際して希望したポイント
【ベンチを備えたパーゴラ】
特に、限られたスペースの中でのガーデンプランですので、これまでガーデンツアーなどで見てきた心に残る風景をイメージしながら、私なりのアレンジを加え、再現を試みました。それは、3本の柱が連なるパーゴラと、その奥にベンチのある風景です。
塀の高さは、高所による防風を考慮して高さ160cmとし、景観に似合わない機械類を目隠しする部分は、200cmにしています。
【パーゴラを囲む花壇】
植物の高さに合わせて植え升を選べるように、花壇の高さは70cm、50cm、30cmと3段階に分けています。この高低差のある花壇は、柱を囲むように配置しました。
【細部の工夫】
草取りなどの時間を軽減するためにも、フロア部分は全面タイル敷きにし、パーゴラの下にイスとテーブルが置けるように、約220cm以上の幅を取っています。
また、テラスを囲む内壁には、バラの誘引が行えるように、また、暴風雨時にバラが吹き飛ばされないよう結束できるように、あらかじめワイヤーをぐるりと張りました。
屋上ガーデンならではの花壇用土
屋上ガーデンでは、地植えの庭で使っている一般的な用土は重すぎるので、使うことはできません。そこで、建設会社さんから紹介された軽量に抑える専用の用土「ビバソイル」(東邦レオ株式会社)を使用することにしました。バラの用土には今までこだわってきただけに、経験のない用土を使用しなければならないことに、最初は抵抗がありました。
水やりと排水の考慮
花壇には、自動灌水機を設置し、朝7時と夕方17時に、張り巡らせたチューブから少量ずつ水が出てしっかり土壌に浸透するように30分間のタイマーをセットしました。この水分量は、今後季節に応じて調整していく必要があります。
また、この灌水は、植物への水分補給のみならず、「ビバソイル」が風などで飛ばないよう、湿らせる効果もあります。
自動灌水機のほかにも、ホースが届かない場所がないよう、洗面台を2カ所設置しました。排水口は合計6カ所あり、下の階とは別になる配管も用意しました。
これらの多岐にわたる設備の選択やデザインを決めながら、引き渡しの日を無事に迎え、いよいよ屋上テラスガーデンへの植栽を進めることができました。
屋上でも四季を感じる場所を目指して
庭のコンセプトは、「屋上でも、四季を通じてバラや緑を楽しむ庭」です。
まず、今まで育ててきたバラの中から数種類、この屋上に植栽したいと思います。暑さや乾燥に強いと感じたバラを中心に、試みも含めて、植栽プランニングを考えていきました。
先に決定しなければならなかったパーゴラの柱の色や壁の色は、植えたいバラの花色に合わせて選択しました。
今回の庭では、パーゴラの柱に‘トレジャー・トローヴ’(R)を這わせたいと考えています。
建築図面を下敷きに、トレーシングペーパーに色鉛筆でイメージの色を書き足し、その他のバラの花色を決めていきます。
花色が決まったら、植栽するバラの品種を決めていきます。迷ったときは、バラの小さな写真の切り抜きを用意し、合わせてみるとイメージがつかめて選びやすくなります。
選んだバラの品種に番号を付け、植栽する場所にその番号を書き込めば、植栽プランニングが完成です。
植栽プランニングは、今後、新たなバラとの出会いにより、変更する可能性も大ですが、植栽する目安があるのと無いのでは、効率的にも大きな違いが出てきます。
ひとまず、この植栽プランニングに沿ってバラの植栽を終え、これからはバラの株元に、季節の花々を植える予定です。その際も、色や株の本数など、事前に図面を書きながら植栽計画をしていきたいと思います。
しばらくは、ご紹介の新しい屋上テラスガーデンと、仮住まいだった今までのガーデンの2カ所でガーデニングを頑張っていくことになりました。苦労やハプニングもありそうですが、体力が続く限り、これからも「バラのある心豊かな暮らし」を目標に、バラとの楽しい日々を重ねていきたいと願っています。
Credit
写真&文 / 元木はるみ - 「日本ローズライフコーディネーター協会」代表 -
神奈川の庭でバラを育てながら、バラ文化と育成方法の研究を続ける。近著に『薔薇ごよみ365日 育てる、愛でる、語る』(誠文堂新光社)、『アフターガーデニングを楽しむバラ庭づくり』(家の光協会刊)、『ときめく薔薇図鑑』(山と渓谷社)著、『バラの物語 いにしえから続く花の女王の運命』、『ちいさな手のひら事典 バラ』(グラフィック社)監修など。TBSテレビ「マツコの知らない世界」で「美しく優雅~バラの世界」を紹介。
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