神奈川県の自宅の庭で100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主で、ガーデニングコンテストでも数々の受賞歴がある遠藤昭さんによる、ガーデニングの耳より植物レポート。早春の庭の主役、クリスマスローズの実生株を最短で開花させるワザをご紹介します。
クリスマスローズは、種子をポットに播いたり、こぼれダネで庭で発芽した後、開花まで3年程度かかりますが、今回、チューリップの冷蔵保存にヒントを得て、なんとタネ播きから1年で開花させることに成功! その手順をご紹介したいと思います。
タネ播きから1年で開花したニゲル種

この株は2016年9月にタネ播きをしたもので、2017年10月から咲き始めた。

つまり、実生1年で開花したのだ。

写真左は、2017年10月に開花したニゲルを苔玉に仕立てたもの。右は、リビダスもつぼみをつけた2018年の1月上旬。では、普通、開花に2~3年かかるクリスマスローズが、なぜ1年で開花したのかを解説しよう。
最短の開花を目指す育て方手順

タネを採取する
クリスマスローズの花が終わる5月ごろ、タネがこぼれ落ちないようにお茶パックを一輪一輪の花にかぶせる。左写真は2016年の5月。右は、お茶パックを外してタネを取り出した後の種房。

タネを冷蔵庫で保管する
すべての種房からタネを取り出し、品種が分かるように名前を書き込んだ小袋に入れ、すべての小袋をビニール袋などに入れて2カ月は常温で保存。さらに7月からは冷蔵庫で2カ月保存してから、9月にタネを播く。
小袋に保存する際は、パーライトと湿らせた殺菌剤(ベンレート)を入れてタネを混ぜた。湿度を保ちながら、タネ同士がくっつかないようにして傷むのを防いだ。

ポットにタネを播く
品種ごとに、ポットにタネを約20粒ずつ播き、やさしく水をやる。保存していた小袋の中で、すでに根を出しているタネもあった(写真右)。

発芽から本葉展開
タネ播き後、10日で発芽(写真左)。発芽率はだいたい80%程度の印象だった。その後、直径9㎝程度の大きいサイズのポットに移植して、翌年の3月まで約半年(10〜3月)、温室で栽培。写真右は、2017年3月上旬の様子。
その後、まだ外気温が上がらないうちに戸外での栽培に切り替えます。ここで苗はおそらく、「さっきまで春だったのに、また冬が来た」と錯覚?
つまり、タネを採取して冷蔵庫に入れた段階で1度目の冬を体験し、3月にはまだ寒い戸外に出されたのを2度目の冬と間違えて、9月につぼみを出し、10月には開花をしたと推測されます。

10月から3月の間に春夏を経験させる温室設備(冬は最低温度13℃、日中は20℃を保つのが目安)が必要ですが、通常、開花まで3年はかかるところが、1年でできれば品種改良のスピードも早くなりますね。クリスマスローズの交配も家庭で楽しめるものなので、挑戦してみてはいかがでしょうか?
Credit

写真&文/遠藤 昭
「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。
ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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