秋を代表する花材「マム(キク)」を用いた、おしゃれな寄せ植えをご紹介します。マムの魅力は、抜群の花もちのよさと丈夫さ。花色が豊富で、秋の寄せ植えのメイン花材として大活躍してくれます。組み合わせ方や寄せ植えにする際のコツを、花のスペシャリスト、エム・アンド・ビー・フローラの難波良憲さんに教わります。
目次
マム(キク)の魅力
マム(キク)はもともと日本の気候によく合っているため、病害虫に強く丈夫です。マムと並んで秋にガーデンを彩ってくれるダリアも華やかで人気ですが、うどんこ病にかかるため対策が必要です。一方、マムはその心配がなく、初心者でも難なく育てられます。そして、花色が豊富なのもマムの大きな魅力。かつて日本から海外へ渡ったキクは、品種改良によって多種多様に変化し、ライムグリーンやアプリコット、グラデーションにバイカラー(2色咲き)、覆輪など繊細なカラーバリエーションが多数ラインナップします。
2年目以降は大きくなります
ポットマムの多くは、もともと切り花として楽しまれている品種で、本来の草丈は50〜60cm。ポットマムはそれをガーデン用に草丈を小さく生産したもので、1年目の草丈は30〜40cmと寄せ植えに使いやすいサイズです。しかし、越冬して2年目以降になると本来の草丈になるので、寄せ植えにする場合には大鉢を使うか、花壇や庭植えにして楽しむとよいでしょう。
マムを寄せ植えで使う際のコツ1「葉を摘む」
マムの葉は、平べったく濃い緑色をしています。そして密に茂っているため、寄せ植えにしたときにやや葉っぱが重たい印象になることがあります。そこで、大きな葉や重なり合って茂っている葉は、あらかじめ摘んでから寄せ植えに用います。葉は全て摘んでしまわない限りは、その後の生育に全く影響がありません。
むしろ、葉を摘むことで風通しもよくなり、印象も軽やかになります。
マムを寄せ植えで使う際のコツ2「株を分ける」
マムのポット苗は複数の芽を挿して生産されることが多く、1ポットに2苗以上入っていることがあります。そうした場合には、これらを分けて配置することで、より複雑で繊細な寄せ植えを作ることができます。
マムが主役の寄せ植え実例
ポットマム ‘ダンテ ダーク’のワインレッドの花心に合わせて、カラーリーフや小花を選びました。草丈30〜40cmのポットマムの株元には少し隙間があくので、ピンクの斑入りのアルテルナンテラ・ルビノイデスや、赤い実が愛らしいジュズサンゴなどでふんわりと覆います。草丈の高いコルジリネをマムの後方へ植栽し、鉢の高さとバランスをとりました。シャープな葉の間をアルテルナンテラ・ポリゲンスのプチプチとした花でつなぎ、扇状のフォルムに仕上げました。
●使った鉢はウィリアム・モリスのデザイン。こちらで好評販売中!
【使った植物】
ポットマム‘ダンテ ダーク’、コルジリネ‘エレクトリックフラッシュ’、ジュズサンゴ、アルテルナンテラ・ポリゲンス、アルテルナンテラ・ルビノイデス
イエローのポットマムに、ライムイエローや白の斑入りのカラーリーフを合わせて爽やかに仕上げました。横長の鉢にマムを前後左右ずらしながら3カ所に配置し、間に葉の細やかなリーフ類を植栽。リーフ類は常緑のものも多いので、花後はマムだけを抜き取って別の花に替え、引き続き楽しむことができます。
【使った植物】
ポットマム‘ダンテ イエロー’、ジュズサンゴ‘絣’、ゴールデンタイム、オレガノ‘マルゲリータ’、セイヨウイワナンテン‘レインボー’、ルー、斑入りアメリカヅタ
ポットマム‘ダンテ イエロー’を主役にした明るいイエローの寄せ植えです。花心のブロンズ色に合わせて、鉢縁にリシマキア‘リッシー’、カルーナを植栽。マムの花の間からジャスミンやコウシュンカズラのつるをふんわりのぞかせて、寄せ植えに動きを出しました。トウガラシ‘ホットポップスパープル’の艶やかな実がアクセントに。
【使った植物】
ポットマム‘ダンテ イエロー’、ジャスミン‘フィオナサンライズ’、コウシュンカズラ、リシマキア‘リッシー’、カルーナ、トウガラシ‘ホットポップスパープル’、セロシア
マムを長く楽しむためのコツ
マムは、長期間次々に花を咲かせるロングランタイプの花です。植物が花を咲かせ続けるにはとても体力を使うため、定期的に液肥や置き肥などを与えましょう。花もちがよくなり、花色もきれいに保てます。環境によっては、マムにサビ病などが発生することがあります。サビ病はカビの一種で蒸れなどが原因で発生するため、日当たりと風通しを確保しましょう。鉢植えなら花台を使ったり、地植えの場合はやや盛土をして高さを上げるなどするとよいでしょう。地面が10cm上がっただけでも風通しは変わります。
花後の手入れ
ポットマムは多年草なので、屋外で冬越しすることができます。11月下旬から12月にかけて、花が終わったら株元を10〜15cm残してバッサリと茎を切ります。これを「切り戻し」といいます。翌春、また葉っぱが芽吹いて、きれいな株姿で育ちます。
協力/株式会社エム・アンド・ビー・フローラ
Credit
寄せ植え制作&アドバイス / 難波良憲
八ヶ岳にある種苗メーカー「エム・アンド・ビー・フローラ」に勤務。膨大な植物の知識を生かし、花の個性を生かしたブーケのように華やかな寄せ植えが好評。同社のショップ(現在はクローズ)での店長を担当しつつ、寄せ植え教室を開催。現在は、同社インスタグラムを通じて、季節毎の華やかな寄せ植えの紹介や、水やりなどガーデニングの基本知識や様々なお役立ち情報の発信を行っている。気になる方はぜひアカウントを覗いてみてください。
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取材&文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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