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長かった2023年の夏を終えてバラを回復させる手入れ術

長かった2023年の夏を終えてバラを回復させる手入れ術

やっと暑さが一段落して、秋のガーデニングに意欲が増すようになった今日この頃。みなさんの庭や鉢植えのバラたちは今、どんな様子でしょうか。長い猛暑でお疲れモードの株もあるのではないでしょうか。神奈川の自宅で多数のバラを育てている「日本ローズライフコーディネーター協会」の代表を務める元木はるみさんに、秋バラの開花シーズンに向けた作業と使用する薬剤について教えていただきます。

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お手入れする私たちも大変だった夏

記録的な暑さとなった今年の7~8月に続き、9月後半まで厳しい残暑となり、今年は夏が長く続いたように感じられました。

ちょうどバラの夏の本剪定や施肥を行う時期が、例年9月上旬頃ですので、今年は気温の高い残暑の厳しい時期と重なり、バラのお手入れを行う者にとっては、過酷な作業となったのではと思います。

今回は、そんな長かった夏を振り返り、今後の秋バラの開花シーズンに向けての作業について、さまざまな症状と対処方法、おすすめの薬剤や資材などを織り交ぜながら、体験談をご紹介します。タイミングを過ぎた項目もありますが、来年の参考に記事を保存しておかれることをおすすめします。

今年の長かった夏を振り返って

我が家の夏の庭。
  • 雨天の日が少なく、気温が高く乾燥気味のため、水やり、葉水をほぼ毎日行わなければいけなかった。
  • 自分自身の熱中症予防のため、庭仕事は短時間しかできなかった。
  • 高温続きで、バラの枝が徒長したり、摘蕾をしてもすぐにつぼみが上がった。
  • 葉が高温にさらされたため、黒っぽくなるなどの葉焼けが見られた。
  • 落葉した枝や、枯れ枝が多く見られた。
  • 夏を乗り越えられずに枯れてしまった株も見られた。

夏の間は、庭仕事の時間がしっかり取れなかったこともあり、私の庭では、9月に入ってから下記のような症状が見られました。これらについての対処法を解説します。

症状1.バラの株元に、オガクズのようなものが見られる

これは、「テッポウムシ」と呼ばれるカミキリムシの幼虫が幹の中に入って食害した形跡です。

【対処方法

放置しておくと、幹の中の空洞化が進んで枯れてしまうので、直ちに専用の薬剤のノズルを、穴のある場所から幹に差し込んで噴霧します。数日間、様子を観察し、さらにオガクズのようなものが出てこなくなったら、ひとまず退治が完了です。

【使用薬剤例】殺虫剤 園芸用キンチョールE 木の中のカミキリムシ幼虫退治に」(住友化学園芸)
*容器に書かれている使用容量、使用方法を厳守しましょう。

3方向噴射専用ノズルがついているので、柑橘やイチジクなどの果樹やカエデなどの樹幹に食入したカミキリムシ(ゴマダラカミキリ、クワカミキリ)を効果的に退治できるのが特徴。また、アブラムシ、ケムシ、ハダニなどの害虫にも幅広く効きます。

症状2.株元がグラグラしている

バラの株元がグラグラ動き、株が傾いてしまったら、これはコガネムシの疑いが。幼虫に、根が食害されてしまった場合などに起こることが多いです。

【対処方法

放置しておくと枯れてしまいますので、直ちに専用の薬剤を表土にまき、水をまいて浸透させるか、鉢植えの場合は、新しい用土に植え替えます。この時期の植え替えは、残っている根を切らないように慎重に取り出し、コガネムシの幼虫や卵のいない新しい用土に植え付け、水やりを行いましょう。

【使用資材例】土にまくだけ!ベニカXガード 粒剤」(住友化学園芸)
*袋に書かれている使用容量、使用方法を厳守しましょう。

野菜にも使用でき、害虫と病気を同時に予防できる薬剤です。

種まきや植え付け時に用土に混ぜ込んだり、植え付け後に株元にばらまくだけで効果を発揮する殺虫殺菌粒剤です。殺虫成分は根から吸収され、薬効が葉の隅々まで行きわたり、害虫の被害から植物全体を守ります。微生物(B.t.菌)の作用により植物の抵抗力を高め、丈夫にすることで病気を予防します(抵抗性誘導)。

症状3.枝の徒長や暴れた枝

【対処方法

10月には、秋バラの開花シーズンがやってきますので、例年、8月下旬~9月上旬頃に、夏の本剪定や整枝を行います。
つるバラ以外のバラは、基本、枝の1/3をカットし、2/3を残します。同時に、枯れ枝や細枝などの不要な枝はカットし整枝を行います。

つるバラも、誘引のために残す枝を見極めて、徒長し暴れた枝など、不要な枝をカットし、整枝を行っておきます。

症状4.9月中に付いてしまった小さなつぼみ

【対処方法】

高温続きで、夏の本剪定後、9月中に小さなつぼみが付いてしまった場合は、バラの体力温存のため、つぼみを付けた枝の一番上の外芽の本葉の上のところで、ピンチ(手で摘む)を行うか、鋏で切り戻しを行います。このときも、深く切り戻しすぎてしまうと、秋バラの開花が遅くなりますので注意が必要です。

今後、気温がどうなるかによっても、開花の時期が早くなったり、遅くなったりしますので、バラを育てることは、まさに自然と向き合うことといえるかと思います。

10月のつぼみは、基本咲かせますが、病害虫の被害にあったものや、弱々しいつぼみは摘蕾します。

症状5.落葉が多かったり、枯れ枝などを取り除いた後、枝の本数が少なく貧弱な株立ちになった

暑さによってバラも大変だったことが見て取れます。秋バラ開花の前は、元気を回復させる時期です。対処法は症状6の後で解説しています。

症状6.葉の色が薄く、葉脈が浮き出て見える黄白化「クロロシス」状態

左側の葉は黄白化しクロロシス状態。右側の葉もなりかけている。

このような葉緑素が不足した状態は、鉄やマグネシウム、カルシウムなどの微量要素が不足したときに見られます。

【症状5&6の対処方法

中耕、活力剤、施肥、土壌改良、盛り土などを例年、8月下旬~9月上旬に行います。

<中耕>施肥を行う前に、草が生えていれば中耕を兼ねて取り除いておきます。また、株元から約20cm離れた外側の表土を、バラの根を傷めないよう、浅く軽く耕す「中耕」をします。

<活力剤>中耕したすぐ後に、たっぷりの水を散布し、活力剤を与えます。活力剤を与えると、根張りがよくなり、根が肥料などの栄養分や水分を吸収しやすくなります。クロロシスの予防効果もあります。

【使用資材例】マイローズ ばらの活力液DX」(住友化学園芸)
*容器に書かれている使用容量、使用方法を厳守しましょう。

酵母抽出物の働きで根張りがよくなり、バラが丈夫に育つので、夏バテした株や根傷みなどで弱った樹勢回復に役立ちます。マルチミネラル、ビタミン、アミノ酸入りの天然有機質によって土壌中の微生物環境が整い、土質の改善にも有効で、植え付けや植え替え時の発根を助けてくれます。吸収しやすいキレート鉄を配合しているので、新葉の白化防止に役立ちます(鉄は葉の緑色を保つ葉緑素に必要な微量要素です)。

<施肥>バラ専用の肥料を施します。
中耕した場所に漉き込んだり、パラパラと表土にまくだけでも大丈夫です。元肥用、追肥用どちらにも使用できます。

【使用資材例】マイローズ ばらの肥料」(住友化学園芸)
*袋に書かれている使用容量、使用方法を厳守しましょう。

配合されている成分は、チッソ(N)10:リンサン(P)13:カリ(K)6:Mg1:B 0.012。元肥はもちろん、株のまわりにも追肥としてばらまくだけで、施肥後すぐに効き始め、その後2~3カ月間しっかり効き続ける「3ピーク・ブレンド」製法も特徴です。

植物が肥料を吸収しやすくする働きや、土の保水性・通気性を高め、土に活力を与える作用をもつ腐植酸に加え、高品質の植物性有機質をブレンドした緩効性肥料として特許を取得している資材です。

また、温度変化に合わせて肥料の溶出量が調節される「リリースコントロールテクノロジー」により、暖かく生育が盛んな時期は肥料成分が速やかに溶出され、逆に冷涼で生育が鈍くなる時期は肥料の溶出は緩やかになります。バラの生育に合わせて、無駄なく効率よく栄養分を与え、丈夫に育てて美しい花を咲かせる専用の肥料です。

<土壌改良>完熟堆肥などを使用して土壌改良します。

中耕した所に、漉き込んだり、表土に乗せるだけでも大丈夫です。これまでさまざまな堆肥を使用してきましたが、この堆肥は、バラの生育が格段によくなる実感があります。

【使用資材例】特選有機 バラのたい肥」(花ごころ)
*袋に書かれている使用容量、使用方法を厳守しましょう。

土壌を元気にする力(地力)が強く、土がふかふかになります。また、土壌をきれいにするデトックス効果もあり、土壌バランスを保つことで連作障害にも効果を発揮します。しっかりした根が張って、きれいな花を咲かせる、バラのために選び抜かれた堆肥です。

<盛り土>
特に鉢植えで育てている株は、水やり時の泥跳ねなどで用土が減っている場合が多いので、肥料や土壌改良剤が入ったバラ専用の用土を盛り土します。バラ専用用土の代わりに、上記の完熟堆肥に上記の肥料をよく混ぜ合わせたものを使っても大丈夫です。

【使用資材例】特選有機 バラの土」(花ごころ)
*袋に書かれている使用容量、使用方法を厳守しましょう。

熟成堆肥や肥料分がバラ専用にブレンドされたバラの土は、必要なときにすぐに使用できるよう、いつもストックしておくと便利です。こちらの用土にはミネラル豊富な海藻成分も入っていますので、根張りがよくなり元気に育ちます。

今からでも行いたいバラの株回復方法

元気がない株には、まず活力剤を与えます。枯れ枝など不要な枝は取り除き、堆肥や専用用土で土盛りを行い、肥料は、秋バラのシーズンまで間がないため、これからの施肥には即効性のある液肥(チッ素・リン酸・カリをはじめ、各種微量要素とビタミンなどがプラスされた液肥)を利用するのもよいでしょう。

*ただし、10月になって、つぼみが色付き始めたら、施肥はストップします。与え続けると、かえって開花した花が綺麗ではないことがあります。

【使用液肥例】花工場」(住友化学園芸)
*容器に書かれている使用容量、使用方法を厳守しましょう。

配合成分は、チッソ(N)8:リンサン(P)10:カリ(K)5:Mg0.01:Mn0.004:B0.016です。早く効果を出したいときや、追肥に使用します。

植物の健やかな生育に必要な、必須元素及びビタミンなどのさまざまな栄養をバランスよく配合した、素早い効きめの肥料です。硝酸態窒素、アンモニア性窒素、尿素などが配合されているので生育がアップし、そのまま速やかに吸収される製品です。

今から行っておきたいバラの病害虫対策

以上のように、せっかく手をかけても、害虫や病気に侵されては、美しい秋バラの開花にたどり着けないこともあります。秋バラの開花シーズンまであと1歩、病害虫の被害をできるだけ最小限に済ませるために予防をしておきましょう。

特に高温続きですと、ハダニが発生して広がり、つぼみにも影響します。

【使用薬剤例】ベニカ ナチュラルスプレー」(住友化学園芸)
*容器に書かれている使用容量、使用方法を厳守しましょう。

この薬剤は、化学殺虫成分ではなく、天然成分で作られています。バラに散布しても、そのバラを飲食に利用できるなど、ナチュラル派には嬉しい薬剤です。さらに嬉しいことに、今までより効き目がよくなりました。ハーブや野菜に使用できるのもメリットです。

選び抜かれた3つの天然力で、食べる直前まで何度でも使えるという特徴があります。有用菌(B.t.菌)によって、アオムシ、ヨトウムシ、ケムシを2週間ブロックしてくれます。また、トマトを食べるオオタバコガにも効果があります。植物油[調合油]によって、やっかいなハダニの成虫と卵まで効き、水あめ(還元澱粉糖化物)によってアブラムシやうどんこ病を包んで退治してくれます。

引き続き、コガネムシの幼虫が心配な株には、前出の「土にまくだけ!ベニカXガード 粒剤」(住友化学園芸)を株元にまいておくと安心です。

また、こちらの薬剤は、秋の新芽を食い荒らすゾウムシにも効果があります。

秋バラの開花シーズンまであと少し。爽やかな気候となった現在、たくましく酷暑を乗り越え、庭で健気に生きるバラたちが、また美しい花を見せてくれるように、よく見回り、お手入れを頑張りましょう。

参考/ 住友化学園 花ごころ 

長かった夏も終わり!バラを回復させる手入れ術

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