【プロのおすすめ16選】おしゃれな寄せ植えのコツは「葉っぱ(リーフプランツ)」にあり!
秋から冬にかけては寄せ植えのシーズンです。センニチコウやガーデンマム、パンジー、ビオラなど色幅の豊富な花が増えてきて、花選びもウキウキ! でも、おしゃれな寄せ植えを作りたいなら、花ばかりでなく「葉っぱ(リーフプランツ)」にもご注目を。寄せ植え上手は、じつは葉っぱ使いの達人。脇役を生かしてこそ素敵な1鉢が完成します。寄せ植えの達人M&Bフローラの難波良憲さんに、葉っぱ使いの極意を教わります。
目次
寄せ植えの中の「葉っぱ」の役割
さまざまな草花を1鉢に植え込んで、素敵な風景を作る寄せ植え。フラワーアレンジメントや生け花とよく似ており、共通点もたくさんあります。それが葉っぱの使い方。花屋さんでブーケをお願いすると、必ず葉っぱを組み合わせて素敵に仕上げてくれますよね? この葉っぱはあまり注目されませんが、ブーケ全体の中ではとても大事な役割を担っています。花を引き立たせたり、ボリュームや高さを出したり、動きを加えたり、複雑な表情を演出したり…。葉っぱの働きっぷりは偉大です。寄せ植えでも葉っぱは同様の役割を果たします。
花を引き立てる役割
植物の中には、花ではなく、主に葉っぱを観賞する種類があります。それをカラーリーフ、またはリーフプランツと呼びます。葉っぱといえば緑色を思い浮かべますが、カラーリーフ類は、その名のとおり色が特徴です。例えば、写真のようなチョコレート色のクローバーもカラーリーフの一つ。オステオスペルマムの花色とぴったり合い、花をより可愛らしく見せてくれます。
【Point!】
「同系色」の花でまとめた寄せ植えは、まとまりがよく美しく仕上がりますが、そこに花色と同じリーフプランツを少し添えることで、寄せ植えに複雑性が生まれ、花だけの寄せ植えよりも全体のおしゃれ感が増します。リーフにもシルバーやピンク、黄、紫、キャラメル、チョコレート、斑入りなどさまざまな色があるので、ぴったり合うものが見つけられるはずです。
寄せ植えに動きを出す役割
寄せ植えは植え込んだばかりのとき、植物同士がまだあまりなじまず、全体のまとまりに欠けることがあります。特に秋から冬にかけては植物の生育がゆっくりなので、寄せ植えがまとまるのに時間がかかってしまいます。そんなときに便利なのが、つる性のリーフプランツです。例えば上の寄せ植えでは、ハゴロモジャスミンを鉢の中央あたりに植栽し、つるを前後左右に垂らすことで動きを加えています。この「動き」が、寄せ植えに自然な雰囲気を演出してくれます。また、つるがふんわりあちこちにかかることで、他の植物同士をつなぐ役割も果たし、全体のまとまりをよくしてくれます。
【Point!】
寄せ植えに動きを加えるリーフプランツは、つる性のものだけではありません。細長いライン状の葉も適役で、全部の苗を植え込んだ後、他の植物と絡めるように細長い葉をアレンジして仕上げると完成度が高まります。
花と花の緩衝材の役割
素敵な花をたくさん選んだはずなのに、寄せ植えにしてみたら、なんだかイマイチ。という経験はありませんか。その原因は、それぞれ花の主張が強く、個性を打ち消し合っているのかもしれません。そんなときもリーフプランツが活躍します。花と花の間にリーフを挟み込むように配置すると、それぞれの個性が際立って、花選びをしたときの「素敵」が失われません。寄せ植えの中で主役となる花は1〜2種類程度に絞り、ほかはリーフプランツで構成すると成功しやすいでしょう。
鉢との一体感を演出する役割
寄せ植えは植物だけでなく、鉢も含めた美観が大事。気をつけたいのは、選ぶ花によって植物と鉢が分離して見えることです。例えば、上の写真の寄せ植えではポットマムが主役ですが、ポットマムは草丈が30〜40cmほどあり、花と鉢との間に距離が生まれます。そこで、間をつなぐように活躍しているのがアルテルナンテラ‘キャッツラマーズ’です。鉢の縁を少し覆っているだけですが、上部を彩る植物と鉢をつなぎ、一体感を生む大事な役割を果たしています。鉢は人工物なので、直線的なラインが目立つことがありますが、このように葉っぱで鉢縁を覆ってやると、よりナチュラルな雰囲気が演出できます。
個性的な花との組み合わせ
近年、パンジー&ビオラには1輪の中に複雑な色合いが混じる個性派の品種が増えています。個性の強い花は、ほかの花と組み合わせるのが難しいものですが、脇役に徹してくれるリーフプランツならその個性を邪魔することがありません。上の寄せ植えでは、花はパンジーとネメシアの2種類のみ。あとはすべてリーフプランツで、じつに10種類もの葉っぱを使っています。花色に合わせて黄味がかった葉とシルバーリーフを選び、華やかな雰囲気を演出しています。
リーフプランツのメリット
葉を観賞するリーフプランツは花がら摘みの必要がなく、メンテナンスが楽。また、基本的にどれも丈夫で初心者でも難なく育てられます。見頃が長く、一年を通じて楽しめるものや、常緑で何年も楽しめるものも少なくありません。一度寄せ植えで使ったものを別の花と組み合わせて、繰り返し使うこともできます。リーフプランツは、コスパがよくてローメンテナンスな素材なのです。
寄せ植えに重宝するリーフプランツ16選
寄せ植えに大活躍するリーフプランツを選びました。寄せ植えに限らず地植えでも使え、持っていると何かと重宝する植物たちです。
① アイビー(ヘデラ)/常緑のつる性植物で、観葉植物としても楽しめる。斑入り葉やカールした葉など、品種のバリエーションが豊富。
② サントリナ/シルバーリーフが美しい常緑性の低木。葉に爽やかな香りがあり、ハーブとしても楽しめる。夏に黄色の花が咲く。
③ ハゴロモジャスミン/半常緑性のつる性植物。繊細な葉と春に咲く香りの強い花が楽しめる。
④ キンギョソウ‘ブランルージュ’/ワインカラーに染まる葉が美しい常緑多年草。寒さによって赤色が濃く出る。
⑤ シルバータイム/斑入りの小さな葉は香りがあり、ハーブとしても利用される常緑低木。茎が赤っぽく、秋から冬にかけて紅葉する。
⑥ アルテルナンテラ‘キャッツラマーズ’/ワインカラーをベースにした複雑な斑入りの葉っぱが美しい多年草。
⑦ クローバー/特に秋から春まで美しい葉が楽しめる多年草。赤葉やチョコレートカラーなどカラフルな園芸品種がある。
⑧ セイヨウイワナンテン‘フロマージュ’/斑入りの柔らかい色合いが美しい常緑低木。秋から冬にかけては、ほんのりピンクがかる。
⑨ ワイヤープランツ‘スポットライト’/ワイヤーのような丈夫なつるを盛んに伸ばし、マーブル模様の丸い小さな葉を茂らせる。
⑩ キンギョソウ‘ムーンライトオブトリニティ’/密に茂るクリーム色の斑入り葉はフワフワと起毛している。一年草扱い。
⑪ リシマキア ‘リッシー’/黄金色の葉が美しい多年草。這うように広がるので鉢縁に最適。庭ではグラウンドカバーとしても利用される。
⑫ オレガノ‘ノートンズゴールド’/黄金色の葉が美しい宿根草。
⑬ ヘーベ‘ジュエル・オブ・ナイル’/細葉の斑入り葉に赤い茎が特徴の常緑低木。秋から冬は葉がピンク色に染まる。
⑭ オレガノ‘ミルフィーユリーフ’/ライムグリーンの丸葉の多年草。茎の先端が花のようになり、日当たりによってピンク色に変化する。
⑮ ヒューケラ/赤、黄、オレンジ、紫、茶、黒、シルバーなど葉色のバリエーションが豊富にあり、カラーリーフを代表する常緑多年草。
⑯ コリウス/春から秋まで葉が楽しめる。日本では一年草扱い。色のバリエーションに加え、葉の大きさや形も多くカラーリーフとして重宝される。
Credit
寄せ植え制作&アドバイス / 難波良憲
八ヶ岳にある種苗メーカー「エム・アンド・ビー・フローラ」に勤務。膨大な植物の知識を生かし、花の個性を生かしたブーケのように華やかな寄せ植えが好評。同社のショップ(現在はクローズ)での店長を担当しつつ、寄せ植え教室を開催。現在は、同社インスタグラムを通じて、季節毎の華やかな寄せ植えの紹介や、水やりなどガーデニングの基本知識や様々なお役立ち情報の発信を行っている。気になる方はぜひアカウントを覗いてみてください。
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取材&文 / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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