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【プロが解説】芝生の庭のつくり方&絨毯のように美しくするコツ

【プロが解説】芝生の庭のつくり方&絨毯のように美しくするコツ

青々とした芝生が広がる庭には、たくさんのメリットがあります。人が集える広場として活躍したり、植栽帯の花々を美しく見せたり、夏場に家周辺の地温を下げる機能や、裸足で歩くことで健康を維持する効果も! 芝生の効用や管理方法などを造園家の阿部容子さんに伺いました。すでに芝生を張ってある人も必見の、カーペットのように美しく保つコツもご紹介。

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芝生のメリット

緑の絨毯のように広がる青々とした芝生…そんな庭に憧れる人は少なくありません。「芝生の庭つき一戸建て」は、ヨーロッパでかつて芝生の庭が富の象徴とされた歴史を経て、第二次大戦後にアメリカで大人気となり、日本にもその価値観が持ち込まれました。

「確かに手入れの行き届いた芝生はとても美しいですが、見た目の美しさ以上に芝生にはたくさんのメリットがありますし、広いエリアに敷き詰めるだけではない使い方があるんです」と阿部さん。芝生を庭に取り入れるメリットと、さまざまなシチュエーションでの芝生の取り入れ方を伺いました。

【芝生のメリット1】リラックスして過ごせる屋外空間

芝生は植物の中でも踏圧性に優れており、人がその上を歩いたり、集ったりすることができます。ですから寝転んだり、遊んだり、ピクニックをしたり、芝生はそんなリラックスして過ごせる空間を屋外に提供してくれます。

芝生の庭
芝生の庭にガーデンテーブルを設置した施工例。テーブルの下は日陰になり芝が育たないので、あらかじめ砂利敷きに。

【芝生のメリット2】雑草を抑えて庭の機能性を高める

芝生の庭

上の写真は、広々とした芝生の奥に植栽帯を設けた庭です。庭を作ろうとするときに、花いっぱいの庭にしたいと思われる人は少なくありませんが、全てのエリアに花を植えるとメンテナンスに追われて苦労することになります。花を含む植物を植えるエリアは、敷地面積に対し20〜30%あれば緑の量感は十分。残りの70〜80%は庭の機能を果たすエリアになりますが、土がむき出しになっていると雑草が生え放題になり、また雨のたびにドロドロになります。芝生が密に地面を覆っていれば、雑草が生える隙を与えませんし、雨の後も芝地が水分を吸収してドロが跳ねずに快適に歩けます。

【芝生のメリット3】地温を下げる効果

芝生の冷却効果

芝生は地温を下げる効果もあります。上の写真は7月の同じ日に同じ庭の砂利敷きのエリアと芝生のエリアで測った温度です。砂利敷きのエリアは50.2℃、芝生は33.2℃と、17℃もの差があります。これは植物には蒸散作用があり、葉っぱから水蒸気を放出して周囲の温度を下げる効果があるためです。家の周りが全面コンクリートや砂利で覆われている場合と、芝地が広がっている場合とでは冷房効率にも影響を及ぼします。また、ペットを飼っている場合、地面の温度が50℃以上あると肉球を火傷してしまいますが、芝生なら安心して遊ばせることができます。

【芝生のメリット4】植栽を美しく見せ暑さから守る

芝生の植栽

芝生は広いエリアに敷く使い方だけではありません。植栽帯とタイルなどのペイビングの間に芝生を入れると、植栽の色合いを美しく引き立たせてくれる緑のキャンバスとして活躍し、なおかつ夏場の高温から草花を守ってくれます。芝生はハサミで簡単に切ることができるので、上の写真のように細いライン状に使うことも可能です。

芝生の使い方
張る前の芝生は園芸バサミで根っこごと切り分けられる。

【芝生のメリット5】足裏刺激と緑の効果で健康維持に

芝生の庭
VALUA VITALY/Shutterstock.com

足裏への刺激が健康維持につながることは、足裏マッサージなどで周知の事実です。裸足になって芝生の上を歩くことで刺激が得られ、脳の活性化が促進され老化防止や子どもの生育を促す効果が分かっています。また、千葉大学大学院園芸学研究科の岩崎寛准教授の研究では、芝生を眺めながら5分座って休憩した場合、ストレス値が下がり、血圧が正常化されるという結果も得られています。

芝生の種類

芝は大きく暖地型と寒地型に分かれます。

【暖地型の特徴】

  • 種類は高麗芝(コウライシバ)や野芝(ノシバ)など。
  • 11〜3月は休眠。地上部の葉は枯れて茶色くなり、春に再び芽吹く。
  • 高温多湿に適し、病害虫に強い。

【寒地型の特徴】

  • 種類は多くが西洋芝。
  • 常緑性があり、冬でも緑を保つ。
  • 夏の暑さに弱く、特に関東以南では管理が難しい。
芝生の庭

「私の施工先では、主にTM9という高麗芝の園芸品種を採用しています。従来品種に比べて草丈が短く、緻密で青々としており、足で踏んだ感触もよい芝です。また、芝刈りの頻度が圧倒的に少なくて済むのも魅力です」(阿部さん)

芝生の正しい敷き方

芝生の敷き方

① まず、芝生を植えるエリアを決めたら、整地します。雑草が生えている場所であれば、短期的な効果の除草剤を用いて除草したのち、土壌改良を施して培養土を入れ、平らにならしてよく踏み固めます。このとき、水のはける方向へ1%ほど地面に傾斜をつけると雨がたくさん降ったときも安心です。これを水勾配といいますが、1%の水勾配は1mで1cm下がる斜度です。見た目にはほとんど傾斜しているようには見えませんし、歩いてもほとんど感じられないくらいの斜度です。

芝生の敷き方

② 芝生を張っていきます。写真のように、縦の切れ目のラインが上下で重ならないように配置すると、作業中にずれずにきれいに並べられます。また、切れ目のラインが揃ってしまうと溝ができやすくなり、芝が割れる原因にもなります。

③ その後、上から砂をかけ隙間を埋めます。芝生を踏んで上から圧力をかけ、芝生の根と地表をしっかり密着させます。

④ 最後に、たっぷり水やりをして完成です。このとき、根の生育を促進する活力剤を使うと、より芝生が根付きやすくなります。早く根付かせ密に茂らせることで、雑草が生える隙も与えません。できれば1カ月ほどは活力剤の使用を継続するとしっかりと根付き、その後の生育もよくなります。

きれいな芝生を保つには肥料が必須

芝生の庭

「芝生はカーペットのように広がっていて、変化もあまりないので、植物であるということを忘れられがちですが、もちろん他の植物と同じように手入れが必要です。定期的な芝刈りや散水、施肥は必須。手をかければかけた分だけ、きれいな状態を保ってくれますよ」(阿部さん)

芝生管理におすすめの活力剤&肥料

芝生の肥料と活力剤

芝生をきれいに保つために活躍してくれるのが、この3アイテム。活力剤のメネデールと液体肥料の芝肥料、芝肥料ecoです。それぞれの使い分けを解説します。

■植物活力素メネデール(茶色の容器)

植物の成長に欠かせない鉄を、根から吸収されやすいイオンの形で含む活力剤。芝張り直後の水やり時に与えると、新しい根の発生を促し、芝生を早くしっかりと根付かせてくれます。その後、週に1回程度のペースで3~4回与えると、より効果的。また、芝生が弱ったときや夏場の管理にも役立ちます。「肥料」は弱った植物に使うとさらに弱らせてしまうリスクがありますが、「メネデール」は肥料分を含まない活力剤で、そういったシーンでも安心して使用でき芝生の回復をサポートします。100倍に希釈したメネデールを、週に1回程度、1㎡あたり2~3ℓ散布します。夏場の管理においては毎日のように水やりが必要ですが、メネデールを使用する頻度を通常時より高める(週に2~3回にする)と、暑さなどで弱るリスクを低減できます。

■芝肥料

チッソ、リン酸、カリの三要素に、植物の成長に欠かせない鉄や微量要素をバランスよく配合している液体肥料です。速効性があることや肥料焼けが起こらないことが特徴です。また、ペットや小さい子どもがいるなど、粒状肥料を使いづらいシーンでも活躍します。1,000倍に希釈した芝肥料を週に1回程度、1㎡あたり2~3ℓ散布します。

芝肥料

下草類専用に配合した液体肥料で、リシマキアやクラピアなどのグラウンドカバー類や苔などにも安心して使うことができます。 

■芝肥料eco

芝肥料eco

一般的な液体肥料のデメリットを解消したアイテムです。緩効性の肥料分を主成分とし、長期間の肥料効果が期待できることが最大の特徴。一般的な液体肥料は散布頻度が高く、散布量も多いので作業が大変でした。芝肥料ecoは施肥が月に1回、散布量は一般液肥の1/6で済み、散布する水量も削減できるので、作業時間と作業量を削減できる逸品です。

芝生への施肥は今がやりどき

芝生の肥料

芝生が生育を始める4月は、施肥のタイミングです(ただし、今年張った場合は、張り付け2週間後から施肥してください)。施肥をすることで芝生がより早く密に茂り、雑草が生えてくるのも防ぐことができます。スカスカしていると雑草のタネが飛んできて、芝生の中に生えてしまうので、生育初期からしっかり茂らせることが大事です。

高麗芝などの日本芝の場合は4〜8月の間に、西洋芝の場合は3〜6月と9〜12月に定期的に施肥をすることで、カーペットのような美しい芝生を保つことができます。また、芝生の種類によりますが、定期的な芝刈りも芝生を美しく保つために必須です。草丈が2〜3cmを保つようにするのが理想的。芝刈り後も施肥を行うと分枝が促され、緻密な芝生をつくることができます。

芝生の庭

芝生を上手に使えるようになると、庭デザインの幅も広がります。円形や有機的なラインを描いて地面を緑で彩ったり、植栽の囲いとして使ったり、さまざまな使い方ができます。たくさんのメリットがある芝生を取り入れて、庭作りを楽しみましょう!

メネデール社のホームページ https://www.menedael.co.jp
メネデール社のInstagram公式アカウント

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