コンパニオンプランツにはどんな効果がある? よい組み合わせや注意点も解説

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家庭で野菜などの食用にする植物を育てるなら、知っておきたいキーワードが「コンパニオンプランツ」。この記事では、互いによい影響を与え合う植物の組み合わせ、コンパニオンプランツのメリットやデメリットから、おすすめの組み合わせまでご紹介します。
目次
コンパニオンプランツとは

コンパニオンプランツをご存じない? そんな方もご安心を。まずは、コンパニオンプランツがどのようなものなのか、詳しくご紹介します。
互いによい影響を与え合う植物の組み合わせ

コンパニオンプランツとは、一緒に育てると成長促進や害虫防除といったよい効果をもたらす野菜や花などの組み合わせのことです。「共栄作物」や「共存作物」とも呼ばれ、異なる科同士の野菜などを組み合わせることが多いです。合わせて植えるだけで効果が期待できる一方で、よい効果を得るためには正しい植え方をする必要があります。
植え方の基本

コンパニオンプランツの代表的な植え方には「混植」と「間作」の2つがあります。
混植とは、同じ畝に2種類以上の異なる作物を混ぜて植える方法です。例えば、アブラナ科のキャベツとキク科のレタスを交互に植えると害虫を減らす効果がありますが、これが混植に当たります。
間作とは、畝の列ごとや畝の間に違う作物を植える方法です。同じ植え穴で育てたり、作物を囲むようにほかの植物を植えるといった方法もあります。キュウリやナスなどの野菜の周囲をネギやハーブで囲うように植える方法などがよく知られています。
コンパニオンプランツのメリット4つ

コンパニオンプランツには、たくさんのメリットがあります。ここでは4つのメリットについて、1つずつ解説します。
害虫防除

害虫の多くは、匂いを頼りに好みの野菜や植物を探します。野菜を植える際に異なる種類を混ぜることで、目当ての植物や野菜を探しにくくする効果があります。
キク科やセリ科、シソ科など匂いの強い植物を植えると、その匂いが苦手な害虫が寄り付きにくくなります。逆に、害虫が好む匂いを発する植物を植えて、その植物をおとりにすることで育てたい野菜を守るという方法もあります。虫によっては益虫と害虫両方の側面を持つものもあり、例えばアブラムシを食べてくれるタバコカスミカメというカメムシの仲間は、ゴマを食べてしまう害虫でもあります。アブラムシを防ぎたい作物のそばにゴマを植えておいてタバコカスミカメを集め、アブラムシを食べてもらうということも行われています。
病気予防

一緒に植えることで病気の予防効果がある組み合わせもあります。
例えばネギ属の野菜は、根に共生する微生物が抗生剤となる成分を出すので、ウリ科やナス科の野菜に対して病原菌を減らす効果があります。また、マリーゴールドの根から分泌される成分は、センチュウ類を減らす効果があります。
畑に1種類の作物だけを植えていると、その植物を狙う病原菌がどうしても増えてしまいます。複数の(できれば違う科の)植物を周りに植えておくことで土壌環境が多様になり、病気の発生を減らすことができます。
成長促進

一緒に植える野菜の草丈が伸びやすくなったり、収穫量が増えたりする、成長促進の効果がある組み合わせもあります。
マメ科の植物では、根に共生している根粒菌が空気中の窒素を固定して植物の栄養として供給するため、一緒に植えたほかの植物の生育がよくなります。
日陰を好む植物や野菜では、草丈の高い植物の株元で育てることで日差しが遮られ、ちょうどよい環境になって育ちやすくなる、という組み合わせ方もあります。
相互作用

お互いにメリットを生み出す組み合わせもあります。あまり肥料を必要としない植物では、過剰な栄養分を一緒に植えた別の植物が吸収してくれるため、お互いを助け合う効果を生み出します。
コンパニオンプランツのデメリット2つ

たくさんのメリットがあるコンパニオンプランツですが、残念ながらデメリットも存在します。野菜を混植した場合などは、複数の種類の野菜が混ざっているため、単独で育てているときよりも手入れや収穫の際に手間がかかってしまうことも少なくありません。できるだけ作業しやすいような配置や組み合わせを考えてから植えるとよいでしょう。
また、植物によっては相性が悪い組み合わせもあり、そうした組み合わせで植えてしまうと、いい効果が得られないだけでなく、単独で育てるよりも生育が悪くなったり病気になりやすくなる可能性があります。よい効果が得られる組み合わせをしっかりと把握して植えるようにしましょう。
人気があるコンパニオンプランツとは

ここからは、コンパニオンプランツとして人気のある植物をいくつかご紹介します。
ネギ

ネギは独特の匂いにより害虫を遠ざける効果があります。それだけではなく、ネギ類に共生するアーバスキュラー菌根菌の働きで、立ち枯れ病や青枯れ病を防ぐ効果があるともいわれています。
ニンニク

ニンニクにはアリシンという匂い成分が含まれていて、抗菌作用があり、キュウリやトマト、ナスといったナス科野菜と一緒に植えると立ち枯れ病の発生を抑える効果が期待できます。また匂いに害虫を遠ざける効果もあり、特にアブラムシの付きやすいバラ科植物の虫よけに効果的です。ちなみにニンニクの学名はAllium sativumで、アリウム属の植物。ガーデニングでも人気のアリウムを植えておくことで、同様の効果が期待できます。
マリーゴールド

マリーゴールドは非常に多くの野菜と相性がよく、さまざまなよい効果が期待できます。根から出る分泌液はセンチュウを遠ざける効果があり、葉の匂いには防虫効果があります。
人気野菜におすすめの組み合わせ

家庭菜園で特に人気のトマトやナス、キュウリと相性がよい、おすすめのコンパニオンプランツをそれぞれご紹介します。
トマト

トマトと相性がよいコンパニオンプランツには、ネギ類、ニンニク、マリーゴールド、アスパラガス、バジルなどがあります。
ネギやニラをコンパニオンプランツにする場合は、トマトの株にくっつくほど近くに植えると効果が出やすくなります。
アスパラガスはトマトにセンチュウが付くのを防ぎ、トマトはアスパラガスにつきやすいハムシを防ぐため、お互いによい効果を生み出す組み合わせです。
バジルはその香りでトマトに害虫がつくのを防ぎ、さらに水をよく吸うことから土の過湿を防ぎ、糖度を向上させる効果もあります。
ナス

ナスと相性がよいコンパニオンプランツには、パセリやショウガがあります。
パセリとは、それぞれにつきやすい害虫がお互いの野菜を嫌うので、寄り付きにくくなるとされています。
またナスはある程度草丈が高い植物のため、株元に日陰を好むショウガを植えるとショウガが育てやすくなります。
キュウリ

キュウリと相性がよいコンパニオンプランツは、ネギです。
キュウリは連作障害が起きやすい野菜ですが、ネギを一緒に植えることで連作障害を回避しやすくなり、またお互いの根から排出される老廃物を利用できるため、生育の促進にもつながります。
さらにネギ類の匂いは、キュウリにつきやすいウリハムシ類を遠ざける効果もあります。
要注意の組み合わせ

野菜の中には、相性が悪い組み合わせもあるので注意が必要です。ここからは、一緒に植えるのは避けたい組み合わせをご紹介します。
代表的な例

相性が悪い組み合わせの代表的なものを、いくつかご紹介します。
キュウリとスイカ、ニンジンとインゲンの組み合わせでは、センチュウが発生した場合に被害が拡大しやすくなってしまいます。
ジャガイモとキャベツの組み合わせでは、キャベツの影響でジャガイモの生育が悪くなってしまいます。
トマトやピーマン、ナスなど、ナス科の実もの野菜や、同じくナス科のジャガイモを組み合わせると生育が悪くなりやすいです。
ダイコンと長ネギを一緒に植えた場合、ダイコンがネギの成分を嫌ってネギを避けるように成長するため、曲がったり、二股になったりしやすくなります。
相性が悪くなる組み合わせの法則

相性が悪い組み合わせには、いくつかの法則があります。
同じ科の野菜同士では似た害虫が集まりやすく、被害が拡大しやすいため、一緒に植えないほうが好ましいでしょう。
根の張り方が似ている野菜同士では、根がお互いに干渉しやすく、成長を阻害しあってしまいます。同様に草丈が同じくらいの野菜を植えた場合も、日光を奪い合ってしまうので好ましくありません。草丈が高いものと低いものを組み合わせるとよいでしょう。
また、多湿を好む野菜と乾燥を好む野菜など、好む環境が極端に異なる野菜同士も相性がよくありません。
コンパニオンプランツをうまく活用してガーデニングを楽しもう

コンパニオンプランツにはさまざまな組み合わせがあります。これを活用することで害虫を防いだり生育がよくなったりと、よい効果をもたらすこともできます。
ぜひこの記事で相性のよい組み合わせを覚えて、自宅での野菜作りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
Credit
文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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