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やってみよう! 初めてのガーデニング。ベランダガーデンを成功に導くための構成のコツ

やってみよう! 初めてのガーデニング。ベランダガーデンを成功に導くための構成のコツ

都会のマンションで住む人にこそ、緑はひとときの癒やしをもたらす大切な暮らしの要素。ベランダを季節の花咲くお庭にしましょう。小さなスペースでも、花の彩りと香りは暮らしを豊かに変えてくれますよ。ベランダガーデンを成功に導くための空間構成のポイントを、全国の個人・企業の庭園設計を手がける阿部容子さんに教えていただきます。

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意図して統一感を演出しよう

ベランダという限られた空間で美観を保つには、意図して「統一感」を演出するのがポイントです。まず最初に、テーマを決めましょう。ただ漫然と思いついた植物をあれやこれやと並べていると、一つひとつの植物が美しくても、室内からの景色は雑然と見えがちです。

例えば、食べることに特化した「キッチンガーデン」をテーマにして、季節の野菜や果物を育ててみたり、あまり手をかける時間がない人は、今流行の「多肉植物」に絞るのもよいでしょう。このようにテーマを設定しておくと、衝動買いの防止にもなります。

さらに、植木鉢も色や素材を統一したほうが、ベランダガーデンの見栄えは断然Good。植木鉢がバラバラな場合でも、植物の色は揃えるなど、とにかく「統一感」を意識しましょう。

大鉢を一つ。高低差をつけて風景をつくろう

シンボルになる大きい鉢植えをまず一つ決め、それに添うように大・中・小と鉢を置いていくと、ベランダでもゆとりのあるガーデン空間を演出することができます。小さな植木鉢だけをチョコチョコたくさん並べていると、狭苦しく散らかった印象になってしまいます。また、同じサイズの鉢ばかりだと、「ガーデン」という風景ではなく「植物の陳列」の空間のよう。風景をつくることを意識して、高低差が出るように鉢のサイズや形を選びましょう。

お子さんのいる家は置き場所に要注意!

大型の鉢をベランダに置く場合、大人だけの世帯なら問題ありませんが、お子さんのいる家では置き場所に注意しましょう。手すり付近に大鉢を置くのは絶対にNG! 鉢に上り、手すりを越えて転落してしまう危険があるので、足がかりになりそうな鉢は、手すりから十分離して建物側に置きましょう。

同様の理由でプランタースタンドやガーデン家具なども、お子さんのいる家ではタブーです。ガーデン家具は大鉢と違って移動も簡単にできてしまうので、配置場所にかかわらず、小さなお子さんのいる家では、そもそもベランダには置かないほうが安全です。

温度を下げるための床材が必須

ベランダは地面が土ではなくコンクリートなので、夏場は表面温度が60℃にもなることがあります。コンクリートの上に直に植木鉢を並べていると、植物にとっては過酷な環境です。そこで熱を遮るために人工芝やデッキタイル、スタイロブロックなどを敷くことをオススメします。ベランダの温度は室内にも影響するので、床材を敷いておくと省エネにも貢献しますよ。

左/芝生の色合いや質感をリアルに再現したジョイント式の人工芝タイル。タイルなど異素材との組み合わせも自由自在。30×30×6cm 1枚840円(税込)/青山ガーデン
右/天然木のジョイント式タイル。30×30×2.6cm 18枚セット9,800円(税込)/青山ガーデン
http://aoyama-garden.com/shop/default.aspx

常緑の植物を少なくとも3〜4割。明度を高めに。

花の咲く植物が少なくなる冬のことを考えると、常緑の植物を少なくとも3〜4割程度入れておくことをオススメします。これはベランダだけでなく地植えの庭の場合でも同様です。これら常緑の植物を庭の骨格として、そこに季節の花で彩りを添えていくようにすると、いつも瑞々しい景観が保て、しょっちゅう 植え替えしなくてもよいので、メンテナンスも楽です。夜、室内から漏れる明かりだけでもベランダガーデンがよく見えるように、明度の高い植物を選ぶとよいでしょう。

オススメの常緑植物

1.アベリア

葉が斑入りのものやライムイエローなどたくさんの種類があり、初夏から晩秋まで長い間花を咲かせます。とても丈夫で成長が早いのですが、どこで切ってもOKなのでメンテナンスも楽です。

2.ローズマリー

寒さに強く生育旺盛なハーブです。葉によい香りがあり、剪定した枝葉は料理やお風呂、臭い消しなど、暮らしの中でいろいろ使えるのもオススメの理由です。立性と這性がありますが、立性なら大鉢でシンボリックにも使えますし、這性ならかけるタイプのプランターで育てるとよいでしょう。

3.カレックス

繊細な細葉が美しく、風にそよぐ様子は戸外の気持ちよさを室内に伝えてくれます。斑入りや黄色、キャラメル色などたくさんの種類があります。鉢の大きさ次第で大株にもなるので、シンボリックに使うこともできます。

併せて『やってみよう! 初めてのガーデニング。失敗しないベランダガーデニングの始め方』や『やってみよう! 初めてのガーデニング。Step2は空間づくりのイメージを固めよう』もご覧ください。

Credit

アドバイス/阿部容子
ガーデンデザイナー・造園家。岐阜県可児郡「かたくり工房」に所属。モデルガーデンのガーデンカフェ「ガズー(Garzzz)」を拠点とし、公共、企業、個人の庭を全国各地でデザイン、施工。ぎふ国際バラコンクール審査員として岐阜県「花フェスタ記念公園」でも活動。アメリカ園芸療法協会会員として米国のカンファレンスで学んだ知識や技術を活かし、病院のガーデンも施工しています。
かたくり工房/岐阜県可児郡御嵩町伏見747 TEL:0574-67-6633
http://www.katakuri.co.jp/

Photo/1) Tatiana Mihaliova/ 2) Franz Peter Rudolf/ 3) EAKKARATH THAMJAROEN/ 4) Ania K/ 5) Tatiana Mihaliova/ 6) Isabel Sala Casteras/ 7) Peter Turner Photography/ 8) PIYA PALAPUNYA/Shutterstock.com

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