野菜苗の植え付け時期です。近年の野菜苗は驚くほど進化し、例えばミニトマトやミニパプリカなら、1株で100個以上の収穫ができることも珍しくありません。上手にレイアウトして植え付ければ、1坪でいろいろな野菜が栽培でき、夏から秋にかけ料理に困らない実りが得られますよ。食費もどんどん上がる昨今、節約と楽しみをかねて家庭菜園を始めてみませんか?
目次
1坪で多種を栽培するバーチカル家庭菜園
家庭菜園を始めるのに広いスペースは必要ありません。むしろそんなに広い畑を持つと、育てるにも、採れた野菜を消費するのにも苦労することになりがち。一般の家庭なら、1坪程度で、夏から秋まで十分すぎるほどの収穫が望めます。限られた空間でいろいろな野菜を育てるには、フェンスなどを使って立体的に仕立てることと、株が立つもの、地中に育つものを組み合わせて栽培することがポイント。
立体的に仕立てられる、つる性の野菜やトマトでスペースを有効活用

野菜の中には大きく分けて①つるが伸びるもの②つるがなく株が立つもの③地中に実るものの3タイプがあります。これから育てられる夏野菜の中で①はキュウリやゴーヤ、つるありインゲン、カボチャ、メロン、スイカなどがあります。

②にはトマトやナス、パプリカ、トウガラシ、枝豆、オクラ、トウモロコシなど、③にはイモ類やネギなどがあります。
ワイヤーメッシュを利用した菜園作り

つる性のタイプは通常、支柱を組んでつるを留め付けながら育てます。また、トマトなど草丈が高くなるものも、支柱やフェンスに留め付ける必要があります。支柱のほかに、ワイヤーメッシュなどを利用するのも便利。コンクリートの基礎材として使われるワイヤーメッシュは、メッシュのサイズが10〜15cm角、大きさは1×2mのものが、ホームセンターなどで1枚600〜700円ほどで販売されています。
1坪菜園レイアウト例

例えば奥行き80cmの土地に、上のイラストのようにワイヤーメッシュを4枚設置すれば、約1坪のバーチカル野菜畑ができます。このエリアでどんな野菜が育てられるか、家庭菜園初心者でも育てやすい野菜苗を数多く開発しているカネコ種苗に、1坪菜園のレイアウトアドバイスをいただきました。
【ワイヤーメッシュに仕立てる野菜】
野菜は基本的に日当たり良好な環境が必要なので、ワイヤーメッシュを南東向きに作るのが理想です。

① 超スィートトマト(1株)/ゴルフボール大くらいの中玉トマトで、1花房から8〜12果の収穫が見込めます。トマトがかかりやすい病害虫への耐性に優れ、丈夫で初心者も育てやすい品種。甘味が強く程よい酸味があり、フルーティーな味わいで、発売以来大人気のスター品種。

② スィートミニ イエロー(1株)/鮮やかなレモンイエローの果実がたわわに実ります。トロピカルフルーツのような高い糖度があり、裂果(実が割れること)が非常に少なく、安定して収穫できます。

③ 病気に強いきゅうり うどんこつよし(1株)/キュウリの代表的な病気に、うどんこ病があります。うどん粉を振りかけたように株全体が真っ白になって枯れる病気ですが、この品種は名前の通り、うどんこ病への耐性に優れ、初心者でも安心して育てられます。

④ ミニカボチャ パンプキッズ(1株)/果実の重さが500g程度のミニサイズのカボチャで、立体的に仕立てやすい品種。カボチャは親づる(最初に伸びた茎)と子づる(親づるから伸びた茎)があり、親づるを途中でカットし、子づるに実を付けさせる仕立てが一般的ですが、初心者にはそのタイミングやカットする箇所が判断しにくく難しく感じられることも。この品種はどのつるにも着果するので、親づるをカットしそびれても安心。
【ワイヤーメッシュの手前で育てる野菜】

⑤ 鈴なりパプリカ りんりん・らんらん(3株)/4〜5cm程度のミニパプリカ。大型のパプリカと比べて1カ月も早く色づき、上手に育てれば100個近く実ることもあります。株間は60cm程度確保します。

⑥ 超やわらかナス(2株)/皮も果肉も柔らかくみずみずしいのが特徴ですが、それゆえ流通が難しく、家庭菜園でこそ作ってほしい品種。採りたてを生で食べると、ナスの新たな魅力を発見できます。一般に、ナスは真夏にいったん実りが少なくなりますが、この品種はそうした成り休みがなく、長期間にわたって収穫できます。株間は60〜70cm確保します。

⑦ ねぎ プラグ苗 極苗/‘植えたら100%失敗しない’を目指し、特殊な技術を用いて作られた、乾燥に強く、活着力に優れたねぎのプラグ苗です。品種は「一翠太(1本白ねぎ)」「九条太ねぎ(分けつねぎ)」「九条細ねぎ(分けつねぎ)」「下仁田ねぎ(1本白ねぎ)」があります。ねぎ苗は株間を10cm程度確保すればいいので、菜園の幅が4mなら最大40株ほど栽培できます。
野菜の魅力を再発見! ‘濃い味’にこだわったサントリーの苗

せっかく自分で育てるなら、味にこだわったユニークな品種を選んでみてはいかがでしょう。例えば、トマトには1万を超える品種があり、味や香り、大きさ、色など、それぞれ個性があります。サントリーが商品開発を行っている「サントリー本気野菜」は、“野菜の味が濃いか?”という視点で食味評価を繰り返してラインアップを揃えています。その中から人気の品種や、今年登場した注目の品種をご紹介します。
甘さを追求したミニトマト「純あま<高糖度接木>」

サントリーオリジナル高糖度専用台木に接木した苗。甘さはほぼイチゴと同じ9〜12度。より甘く、耐暑性、耐病性にも優れた選ばれし1本を台木にしており、誰が育てても安定した高糖度のトマトが約束されています。「接木苗」は初心者にも失敗が少なく栽培も安心。1株で80〜100個ほど収穫できます。

ポイントは、接合部分が土に触れないように植えること。深く植えてしまうと、上についだほうから発根し、台木のよさが生かされないので注意しましょう。台木から新芽が出たら、取り除いてください。
ポリポリ食感でおやつ&おつまみに最適のミニキュウリ「ポリッキュ」

手のひらにのるサイズのかわいいミニキュウリ。植え付けから約1カ月で収穫できる超早生で、初期の収量に優れます。うどんこ病、黒星病に抵抗性があり、着果率はほぼ100%。水切れと肥料切れに注意して栽培します。
ジューシーふんわり食感の「ホワとろナス」

つやつやの真っ白い皮で実りの姿も美しい新品種のナス。果肉はふんわりジューシーで、加熱するととろけるような食感になります。アクが少なめで色移りの心配もないので、和え物などにも重宝します。ナスは収穫時にヘタの部分にトゲが出ることがありますが、「ホワとろナス」は低温期は少し発生しますが、温度上昇後は比較的少ないほう。美味しさのポイントは、果長20cmの「収穫適期サイズ」を守ること。着果率が高く、秋まで長くなり続けるので、水切れ・肥料切れしないように注意して栽培します。
よく実をつける野菜には肥料が必須

植物は実をつけると株の体力を消費します。長く楽しむには、植え込み時に元肥を施し、生育過程でも追肥が必須です。肥料には、水で希釈して使う液体肥料と、土の上に置くタイプの固形肥料があります。固形肥料は土の上に置くだけで効果も長いため使い方が楽ですが、ペットや小さい子どもがいて心配な場合は、液肥を選ぶとよいでしょう。
病害虫対策には天然由来成分の殺虫殺菌スプレーで安心

病害虫で悩むことがあれば、天然由来成分の殺虫殺菌スプレーを選ぶとよいでしょう。「ベニカナチュラルスプレー」は食品成分の水あめ、植物油、有用菌(B.t.菌)という3つの天然系成分でしっかり病害虫を防除。葉を食害するアオムシ、ヨトウムシなどには約2週間効果が持続します。希釈不要のスプレータイプで、ガーデニング初心者でも扱いが簡単です。
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