【プロが解説】春を満喫!色変わりが楽しいオステオスペルマムの寄せ植えの作り方
ブーケのように華やかながら、植物が生育して日々姿を変えていく姿を長く楽しめるのが寄せ植えの魅力です。1鉢で華やかな寄せ植えの作り方を、花のスペシャリスト、エム・アンド・ビー・フローラの難波良憲さんに教わる連載「1鉢で華やか!寄せ植えブーケ」。第6回は、オステオスペルマムのカラフルな寄せ植えです。かわいく仕上げるコツを教わります。
目次
主役は色変わりが美しいオステオスペルマム‘マスカレード’

今回の主役は、オステオスペルマム‘マスカレード’。ライムイエローのつぼみから黄色、オレンジピンクへと、咲き進むにつれ色が変わっていく新しい品種です。1株のなかで、さまざまな色合いが織りなす美しいグラデーションが魅力。次々に花が上がり、初夏までたっぷり楽しめます。
同系色の植物で組み合わせ

オステオスペルマムに合わせて、同系色の植物と赤い鉢を選びました。左はプリンセスクローバー‘イザベラ’。ワインレッドの小ぶりな葉が愛らしい品種です。中央は、主役のオステオスペルマムと同じ2色のグラデーションで咲くプリムラ・ジュリアン‘キャンディマジック’。右は赤の斑が入るワイヤープランツ‘スポットライト’。動きをつけるため、ほかに細葉のカレックス・ブルンネア‘ジェネキー’と、つる植物のハゴロモジャスミン‘ミルキーウェイ’をセレクト。
オステオスペルマムの寄せ植えの作り方
【素材】

- オステオスペルマム‘マスカレード’ 2苗
- プリムラ・ジュリアン‘キャンディマジック’ 1苗
- プリンセスクローバー‘イザベラ’ 2苗
- ワイヤープランツ‘スポットライト’ 2苗
- カレックス・ブルンネア‘ジェネキー’ 1苗
- ハゴロモジャスミン‘ミルキーウェイ’ 1苗
【その他の材料と道具】
- 鉢/直径20cm前後
- 鉢底石
- 培養土
- 水を張ったバケツ(手洗い用)
- 何も入っていないバケツ(土捨て用)
- 回転台(あると便利)
【作り方】
① 鉢の底に鉢底石を入れ、培養土を8〜9分目くらいまで入れます。鉢は回転台の上に乗せて作業します。

② オステオスペルマム‘マスカレード’をポットから取り出し、株元をよく見て黄変している葉があれば取り除き、根をほぐします。ここではまだ鉢に植えずに、いったんそのまま置いておきます。

③ ハゴロモジャスミン‘ミルキーウェイ’をポットから取り出し、2つに分けます。生産者によって1ポットに複数株植えていることがあるので、株元を見て無理なく分けられそうな場合は株分けします。1株が小さいほうが、寄せ植えに繊細な雰囲気を出しやすいです。

④ オステオスペルマムと株分けしたハゴロモジャスミンを手の中で組み合わせ、つるを花の間に絡ませます。そうして小さな花束のようにした状態で植え付けます。後からもう1つ同じものを作って隣に植えるので、鉢内の左右どちらか片側に寄せて植え付けます。基本的に後から土を足さないので、株元までしっかり植わるように、グッと苗を土に押し込みます。
【きれいのPoint!】
苗をほぐす際に土を触ったら、1回1回、手を洗ってきれいにしましょう。土のついた手で植物を触ると、葉っぱや花が汚れて仕上がりが汚くなってしまいます。寄せ植えの花たちは、鉢の中で共演するいわば舞台役者です。汚さないように丁寧に扱いましょう。

⑤ もう1つ、④と同じ組み合わせを作って植え付けます。このとき、鉢の中央部が最も高くなり、全体のフォルムが緩やかな弧を描くように、花の高さと向きを意識して植え付けましょう。

⑥ カレックス・ブルンネア‘ジェネキー’を鉢の後方中央に植え、葉っぱを先に植えた草花と絡めてなじませます。
【きれいのポイント!】
葉先を絡めていく際は、カリスマ美容師の仕上げのヘアセットのごとく繊細に! これをやらないと、苗がただ横並びに植わっているだけのような野暮ったい仕上がりになります。いずれ成長の過程で葉同士が自然に絡んでいきますが、最初からそのように手を加えておくと、完成時の見栄えが断然よくなります。

⑦ カレックスの左右に、プリンセスクローバー‘イザベラ’を植え付けます。苗をポットから出した際は、根がほぼポットの形状になっています。ここでは鉢縁に沿って2苗が帯状につながるようにしたいので、根をグッと開いて平らにし、鉢縁に沿わせて植え付けます。

⑧ プリムラ・ジュリアン‘キャンディマジック’をポットから取り出し植え付けますが、プリムラ・ジュリアンは葉が大きく、寄せ植えでは邪魔になるので、植える前に大きな外葉は取ってしまいます。外葉を取っても、右の写真くらいのボリュームで葉が残っていれば、生育や開花に影響はありません。

⑨ プリムラを鉢の中央前方、オステオスペルマムの株元に植え付けます。このとき、苗をやや前傾させて植えるとプリムラの花がよく見え、カラーコーディネートの効果がアップします。植え付ける際は、それぞれの魅力が際立つように、花の向きや見え方に気を配りましょう。

⑩ 最後に前方鉢縁にワイヤープランツ‘スポットライト’を⑦と同様に植え付けます。バランスを見て、枝先を絡めたり垂らしたりして調整し、完成です。

鉢色も揃えた鮮やかなオステオスペルマムの寄せ植えは、よく目立って春らしい雰囲気満点。同じ寄せ植えを2鉢作って左右に並べれば、フォーマルでより華やかな演出ができ、お店の入り口や玄関先にもぴったり。今が旬のオステオスペルマムの寄せ植えで、春を満喫しましょう!
協力/株式会社エム・アンド・ビー・フローラ
Credit
寄せ植え制作&アドバイス / 難波良憲(なんば よしのり)

八ヶ岳にある種苗メーカー「エム・アンド・ビー・フローラ」に勤務。膨大な植物の知識を生かし、花の個性を生かしたブーケのように華やかな寄せ植えが好評。ブーケ作りも得意。同社のショップ(現在はクローズ)での店長を担当しつつ、寄せ植え教室を開催。現在は、同社インスタグラムを通じて、季節毎の華やかな寄せ植えの紹介や、水やりなどガーデニングの基本知識や様々なお役立ち情報の発信を行っている。
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写真&文 / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。2026壁掛けカレンダー『ガーデンストーリー』 植物と暮らす12カ月の楽しみ 2026 Calendar (発行/KADOKAWA)好評発売中!
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