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【プロが伝授】「日本一ガーデニングを楽しむ男」がイチ押しのガーデニングの楽しみ6選

【プロが伝授】「日本一ガーデニングを楽しむ男」がイチ押しのガーデニングの楽しみ6選

神奈川の自宅の庭で100種以上のオージープランツをはじめ、和洋問わず数々の植物を育ててきた自称、「日本一ガーデニングを楽しむ男」ガーデンプロデューサー遠藤昭さん。ガーデニング歴27年の経験から、人生が豊かになるガーデニングの楽しみを6つピックアップして伝授! ガーデニングは何から始めたらいいのか迷っている人や、ガーデニングがマンネリ化してきた人、人生の楽しみを模索している人へ、ヒントをお届けします。

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ガーデニング歴27年の幸せ体験

モッコウバラとベンチ

コロナ禍が4年目に突入し、ガーデニングが静かなブームだが、2017年から当サイト「ガーデンストーリー」に記事を書き続けて今回の原稿が通算100本目になる。ガーデニングの趣味趣向は百人百様だが、ほんの少しの工夫でガーデニングがもっと楽しめるものだ。さまざまなガーデニングを経験した私から、ガーデニングをもっと楽しめるアイデアをご紹介しよう。

バラとクレマチス

私は、現在73歳。趣味でガーデニングを始めたのは45歳の時だった。海外駐在の5年間、オーストラリア、メルボルンに住んでいた家は300坪の広い庭付きで、専属のガーデナーが隔週手入れに来てくれた。「庭っていいなあ~」と思ったのが興味をもつきっかけだったかも知れない。帰国してまもなく猫の額ほどの庭付きのマイホームを購入。本格的にガーデニングを始めた。

ガーデニング
上/当時の庭写真。下左/ハワイにて。下右/ニュージーランドにて。

プロを目指したきっかけは、全国規模の2つの異なるガーデニングコンテストで2年連続グランプリを受賞したこと。賞品のハワイ旅行とニュージーランド旅行を満喫し、その他コンテストでも入賞したことで、ついその気になってしまった。

オージープランツ

プロになってからは、個人宅のガーデンレッスンや庭のデザインを手掛け、日本庭園からオージーガーデンまで幅広く庭づくりを楽しませていただいた。

サクラソウ、ツバキ、クリスマスローズ、ハナショウブ
上左から時計回りに、サクラソウ展、椿展、ハナショウブ展、クリスマスローズ栽培。

さらに並行して8年間は、植物園に勤務して相談員をしながら、広い園内を自分の庭のごとく花壇を作ったり、寄せ植えを作ったりして楽しませていただいた。自宅のガーデニングでは叶わなかったであろう伝統園芸植物の「サクラソウ」「ハナショウブ」「ツバキ」などの品種保存や、クリスマスローズの促成栽培の研究もさせていただいた。振り返れば、恵まれた環境だった。

はじめてのオージープランツ図鑑

当サイトを中心に執筆活動を続けてきたことも手伝って、2021年には『はじめてのオージープランツ図鑑』(青春出版社)を出版し、日本におけるオージープランツの栽培ハウツーを世に伝えることもできた。

ブログ「Alex’s Garden Party」
ブログ「Alex’s Garden Party」

この執筆活動の原動力のもとといえば、27年間、毎朝書き続けているブログ「Alex’s Garden Party」だ。塵も積もれば山となるというか、継続は力なのである。27年間の膨大な量の写真と文章は私の宝だ。こんな具合で、自分は日本一ガーデニングを楽しんだ男だと自負している。

楽しむ基本は「チャレンジする事」、楽しみの幅を広げようじゃないか!

人生も園芸も失敗を恐れずチャレンジ!

ガーデニング

園芸のみならず、人生を楽しむ基本は「チャレンジすること」だと思う。何か新しいことをするには、一歩を踏み出さないと始まらない。やはりチャレンジして成功すると楽しい! チャレンジというと大げさに聞こえるから、「試してみる」「やってみる」でよいと思う。例えば、ベランダや玄関先、空き地などに「お花があったらいいなぁ~」「ミニトマトやハーブが収穫できたらいいなぁ~」「クリスマスローズやバラ、オージープランツも育ててみたいなぁ〜」という願望はないだろうか。ガーデニング以外でも「ピアノが弾けるようになりたい!」と思えば、まずは「やってみる!」ことだ。何事も行動を起こさないと、何も始まらない。そこにも当然、失敗はある。

バーベキュー

私のガーデニングのきっかけは、「オーストラリアの植物を日本で育ててみたい!」「オーストラリアの植物に囲まれて、当時の豊かなライフスタイルを再現したい!」というのがきっかけだった。ユーカリの木の下でBBQをやり、オージーワインが飲みたい! そんな動機だったのだ。

約30年前というと、日本ではオージープランツは入手が難しく、またインターネットも無かった。ファックスを使って、現地の種苗業者とのやりとりに苦労したのを覚えている。

100種以上の種子を個人輸入したが、成功したのはほんの数種だった。

ユーカリとディクソニア
種子から育てたピンク花のユーカリ(左)と胞子から育てた木生シダ、ディクソニア。

それでも、種子を播いて数年が経ち、当時日本には無かったピンク花のユーカリが咲いた時は感動だった。また、同時に輸入した木生シダのディクソニアの胞子が、最初は苔のような状態から、シダの葉が出てきた時も感動だった。あれから27年程経ち、すっかり木々は成長したが、あの時、育つかどうか分からないもののオーストラリアの植物を輸入するというチャレンジをしていてよかったと、つくづく思うのである。
あの時のチャレンジがあって、充実した楽しい今がある。

おすすめガーデニング①
果樹や野菜にチャレンジ

イチゴ

僕がおすすめしてお客様が成功体験しているのが、花に加えて実のなる「レモンの木」や「ブルーベリー」、「ミニトマト」や「イチゴ」などの食べられる「楽しみの実感作り」だ。食べるという人間の本能に訴えるのが強力である。今も家庭菜園がブームだが、時流に適っていると思う。そして、私が、このレモンやミニトマトなどの栽培をおすすめする理由は、「育てて楽しむ」園芸の醍醐味を経験することで、その後の草花の栽培力が身に付き、結果としてガーデニングがもっと楽しくなる。

ミニトマト

そして実はもう一つ理由がある。長年仕事をしていて気づいたのだが、夫婦で、あるいは家族でガーデニングをやっている家庭は、ガーデニングのレベルアップも早く、より楽しそうなのである。そして、旦那さんや、お子さんにガーデニングに興味を持ってもらうには、このレモンの木やミニトマトなど、口にできる実がなる植物が絶対強力なのである。

レモン

旦那さんの多くは、「すっぱい初恋の味」なのか、何故かレモンに弱い。殿方をガーデニングに引き引きずり込むきっかけには「レモンの木」が有効なのである。今の時代に、男だ女だと言うと叱られるが、男は「薔薇やひらひらお花」より、果実や多肉植物、オージープランツなどのカッコイイ系が好みなのだ。それゆえ、夫婦でガーデニングを楽しむには、幅広い分野の植物にチャレンジすることをおすすめする。老後は、夫婦で共通の趣味としてガーデニングや家庭菜園を楽しめると、とっても幸せですよ。

おすすめガーデニング②
増やして育てるガーデニングにチャレンジ!

植物の種

私が長年ガーデニングをしてきて「楽しい!」と思った瞬間は、庭で採取した種子を播いて翌年に芽が出た時。また、挿し木や取り木をして根が出てきたとき。株分けをして子株が育った時等々。「増やして育てる」という行為は、これまた人間の本能なのかも知れないと思ったりする。

挿し床

我が家の庭は、すでに飽和状態なのに、貴重なオージープランツに花が咲くと、衝動がおさえられず種子を採取して播いて増やしてしまう。挿し木に向くアジサイやキク、バラなどもつい増やしてしまう。育てた苗は、ガーデンレッスンの時に使用したり、知人に譲ったりしているが、珍しいものが多いからか、とても喜ばれる。歳を取ると他人が喜んでくれるのが嬉しい。

自分の好きな植物を増やして、他にプレゼントすることは、微力ではあるがガーデニングや園芸の確実な普及啓蒙活動だと思う。

ホスタとニューサイランの株分け
上/ホスタ(ギボウシ)の株分け。下/ニューサイランの株分け。

株分けできるニューサイランやホスタなども、鉢がパンパンになると株分けして増やしてしまう。

取り木したグレビレア。
取り木したグレビレア。

ガーデンレッスンでも、時々、挿し木や取り木、株分けの指導をさせていただくが、成功すると、とても喜んでくださる。誰でも植物を増やすことは、何故か楽しいのだ。

ぜひ、増やす園芸にチャレンジして欲しい。

おすすめガーデニング③
自分の庭は自分で剪定にチャレンジ

刈込鋏

ガーデニングの楽しみ方は多彩だが、簡単なのに多くの人が諦めてしまっているのが樹木の剪定だ。植木屋さんに頼むと、数万円かかるが、松の木など特殊なものを除けば、意外と簡単で楽しいのだ。私は専門学校で、ほんの数時間しか剪定の授業実習は受けていないが、自分の庭はもちろん、仕事でもやっている。

ガーデニング

きちんと樹木ごとの剪定時期や方法を学習し、センスを磨けば問題ない。もちろん、熟練の植木屋さんよりスピードは落ちるが、自分の庭なら時間をかけてやればよいのだ。樹木の剪定や伐採はガーデニングとは異なる”格闘系”の体力を使う作業だが、それゆえに楽しい部分がある。ぜひ、男女問わずチャレンジしてほしい。

ツバキの剪定
右、剪定後の地面を覆うものは切り落とした枝葉。結構な量、切り落としたことが分かる。

自分のセンスで時間をかけて、樹木を丁寧に美しい姿に仕上げるのは、本当に楽しいのだ。出来上がりは、自分の技量とセンスの結果なので、自分の「努力の結果」が正直に反映されて面白い。何事も、失敗を重ねると上達する。ただ、高所などの危険な作業は避けて、できる範囲で。私はもう歳なので、ハシゴを使用しないで剪定できる範囲に樹木をダウンサイジングしている。

おすすめガーデニング④
ネットでガーデニングにチャレンジ

グレヴィレアの蜜を吸いにきたキリハシミツスイ。オーストラリアにて。

今更ではあるが、私がガーデニングを楽しむのを後押ししてくれたのがインターネットだった。20年以上前は「インターネットガーデニング」の創成期だった。当時、インターネットは、まだ普及しておらず、ネットでガーデニングのサイトを自分で作っている人はかなりマニアックで、ある意味、時代の最先端を行く、尖った人たちだった。

ガーデンベンチ

同時に英文サイトも作ったので、オーストラリアの人々とも交流ができた。今でも何人かとは繋がっているが、サラリーマンが会社でガーデニングを話題にする人などいない時代。ネットで知り合った人たちとのコミュニティが楽しかった。ガーデニングという趣味は、案外孤独な趣味で、私自身はインターネットと共に成長できたと思う。

ブログはかれこれ22年ほど継続して更新していて、ほぼ毎朝、写真を撮ってアップしてきた。基本は、その日の朝の「感動した植物」の写真4枚と愛犬の写真1枚を撮り文章を加えて、出勤前の忙しい時間に制限時間15分でやる習慣をつけた。

プルメリアの育て方

正直なところ、毎朝、感動する植物があるわけでは無い。しかし、感動を求める感性と、撮影技術は27年間で鍛えられたと感じている。ガーデニングは栽培力プラス感性やセンスが必要だが、いずれも努力で鍛えられるのである。日々、よいものを求め、より高きに挑戦することである。

 オーストラリア大使館の庭
参画した、オーストラリア大使館の庭。

27年間ネットで情報を発信し続けてよかったことといえば、メディアの目に留まり、テレビや雑誌に大変お世話になった。また、ネットと通じてオーストラリア大使館の庭づくりに参画した。近年は、作庭やガーデンレッスンの問い合わせも、ほぼネット経由である。ネットなしでは今の自分は無かった。

八重咲きのヘメロカリス

近年、インスタやYouTubeもチャレンジはしているが、昔ながらのブログが中心である。ブログは、すっかり老人のメディアになってしまい、現在の1日のアクセス数は約300人。最盛期の1/6程度である。しかし、20年以上継続してきたブログに今も訪れてくれる人がいて、役に立っているなら嬉しいものだ。これからも量より質を保ちたいと思う。

ネットには園芸情報も溢れており、情報入手に苦労はない。ネットで珍しい植物も簡単に手に入る時代だ。だからこそ、質を求めなければいけないと思う。

おすすめガーデニング⑤
コンテストにチャレンジ

ガーデニング
2010年日本園芸協会ガーデニングコンテスト・ゴールドメダルの拙庭。

上級者やプロを目指す人におすすめは、ガーデニングやハンギング、寄せ植えなどのコンテストへのチャレンジである。参加をすることで、自分の実力を知り、第三者に認められる機会になるだろう。私は「賞品に燃える」人間なのか、海外旅行がかかると必死になって、火事場の馬鹿力が出たようだ。最初は火事場の馬鹿力でも、その後は、馬鹿力は平常時であっても楽々出せるようになるものだ。自分自身、数々のコンテストを経験し、幸いほとんど入賞することができたことで自信につながった。人間、必死になれば潜在能力が発揮でるのだ。

おすすめガーデニング⑥
幅広い趣味にチャレンジし感性を育む

バイオリン

最後にもう一つ。私は、かつてある人に言われた言葉が忘れられない。もう一つの趣味のバイオリンで「趣味だと思っていると何時まで経っても趣味だ。だが芸術だと思うと、求めるレベルが違って上達できる」と言われた言葉だ。趣味ではなく芸術だと思い、求める目標レベルは常に上に置くのだ。

確かに! である。僕はその言葉で、「ガーデニングは芸術だ~」と、確信したのである。

その後、何故か楽器演奏とガーデニングが自分の中では、芸術を追求する、かなりの部分が共通した感性だと感じるようになり、相乗効果があるように感じている。バイオリン歴は30年になるが、自分のガーデニングの先生は、じつはバイオリンだったと感じているくらいだ。

そば打ち

ピアノも子供の時にやっていたが、やはり音楽などの情操教育で養った感性は、ガーデニングの感性を磨くのにとてもプラスになると感じている。下手の横好きで、燻製料理やそば打ちなどの料理も楽しんでいるが、小さなことでも「成功体験」すると他のこともチャレンジしてみたくなるものだ。

人間の感性は、さまざまな経験により、より一層磨きあげられるのだ。

ガーデニングを趣味にして充実した人生を

ジャカランダ

私の人生を変え、充実した老後を送れているのはガーデニングのお蔭だと思っている。そろそろ庭仕事によって、足腰が痛くなったりもする。それでも庭に出て、植物が生き生きと葉を広げ、花を咲かせていると、手が抜けないと励まされる。ガーデニングはまだまだやめられない。

デザートピー

昔は少なかったガーデニング用の植物も、本当に幅が広がり、あらゆる植物が手軽に入手できるようになった。また、気候変動に対応して耐暑性がある植物も、病害虫に負けない品種も続々登場している。一方、日本の伝統園芸植物も英国の園芸家がうらやむレベルの、素晴らしい世界がある。特に品種のネーミングは、当時の園芸家の知的レベルと感性の物凄さを感じさせる。

プロテア

ガーデニングは、植物を育てるばかりでなく、文学や絵画、環境保全など、あらゆる事象につながっている。ぜひ紹介した「チャレンジ・ガーデニング」を一つでも試してもらいたい。

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