【冬のガーデニング】ベランダにも置けるおしゃれ&コンパクトなビニールハウスで植物の冬越し

多くの方が悩まれているであろうサボテンの冬越しについてのお話です。イチ推しアイテムとしてご紹介するのは、タカショーのビニールハウス『パンタグラックハウス』。スタイリッシュな中にも機能性を追求した今おすすめの家庭用ビニールハウスです。編集部員Kがパンタグラックハウスを使ったサボテンの冬越し準備を実際に行い、その魅力に迫るとともに、サボテンの冬越しのノウハウについて解説します。
目次
サボテンの冬の管理
サボテンを強くする冬の寒さ
昨今の多肉植物ブームにより、園芸店の多肉植物コーナーにはとても多くのサボテンが並ぶようになりました。しかし、初心者の方の多くが、最初の冬を迎えた時に「冬の管理」という壁にぶつかるようです。サボテンは不毛の砂漠地帯で灼熱の太陽を浴びながら自生しているイメージがあるためか、冬の寒さを生き抜く印象がイマイチ湧かないという方も多いでしょう。ある意味、間違ってはいません。
しかし、サボテンの自生する米国南西部や南米諸国も、冬はそれなりに寒くなり、時には気温が0℃まで下がることもあります。そんな中を生き抜くサボテンは意外にも寒さに強く、少々の降雪にも耐えることができるんです。そして何よりも、この寒さを経験することによって、美しい花を咲かせ、色艶のよいたくましいサボテンに育つんです。
サボテンは可愛い花が咲くと聞いたのに、何年経っても咲かない・・・という方は、案外この寒さを経験させていないからかもしれませんよ。

冬の育て方のポイント
自生地でのサボテンは、日本の冬にあたる11〜2月が乾季となることから、この時期に休眠して寒さや渇きを凌ぎ、次の成長期である春〜夏に向けてエネルギーを蓄えます。しかし日本の冬は寒さが厳しいため、外で管理していると、休眠どころか、凍死してしまう危険があります。そうならないようにビニールハウスに入れたり、夜間だけ屋内に取り込んだりと、ちゃんとお世話をしてあげなければなりません。
水やりに関してですが、休眠期の12〜2月は根が水を吸い上げないため、水は断つ必要があります。断水するとみるみるうちにシワシワになっていくので、初めての方は枯れてしまったのではないかと心配になりますが、ちゃんと休眠させ、春先に少しずつ水をあげれば、徐々に元の姿へと戻るので大丈夫です。元の姿どころか、冬越ししたサボテンは色艶もよく、何よりも大きく育ちますよ!
そもそも屋内でサボテンを管理している方も多いと思いますが、植物にとって自然の環境は、呼吸と光合成を促す重要な要素が盛りだくさんなので、冬場でも日中2〜3時間は外に出してあげてください。これをやらずに室内で過保護にばかりしていると「徒長(とちょう)」といって、品種本来のパフォーマンスを発揮しないまま虚弱体質に育っていき、結果的に寿命も縮めてしまいます。

サボテンを外で冬越しさせるメリット・デメリット
メリット
屋外には、植物にとって大切な要素、光、風、水(水蒸気)が全て揃っています。特に自然の風は、サボテンを病害虫にも強い健康な株に育てます。自然の風は室内のエアコンの風と異なり緩急があり、何よりも新鮮です。人の手では作れない微妙な温度の変化や、ゆらぎなどのニュアンスがサボテンの細胞を活性化し、株本来のパフォーマンスを引き出します。そして自然の風に晒すことにより、休眠明けの株の色艶がよくなり、トゲの質も上がり、また開花率も高まります。

上の写真は「オレンジ花桃太郎」というちょっと変わった名前のサボテンです。屋外のビニールハウスでの越冬中は、色も茶色く変色し、この後さらにシワシワになっていきました。しかし3月上旬ごろから週に1回のペースで少しずつ水を与えると、みるみるうちに太って緑色を取り戻し、花期である初夏を迎える頃には、大変美しい花を咲かせました。ちなみに、同種類のサボテン(年齢も同じ)がもう1鉢あり、そちらは試しに屋内管理してみましたが、結局花は咲きませんでした。
デメリット
天気予報をちゃんとこまめにチェックする必要があります。サボテンの多くは0℃くらいまでの低温には問題なく耐えることができるので、ほんの1〜2時間程度なら氷点下に晒しても枯れはしませんが、これが長時間となるとさすがに枯れてしまうので、毎日最低気温は確認する必要があります。
また、冬の雨も大敵。根のパフォーマンスが落ちている時に冬の冷たい雨が鉢内に溜まると、霜や氷結により根がダメージを受ける可能性があります。大切な株のためにも、毎日の空模様のチェックは欠かせません。
このデメリットを解消できるのが、ビニールハウス、即ち温室なのです。
冬越しに最適の「パンタグラックハウス」

メリットを確保しながら、デメリットを補ってくれるのが、ビニールハウス。さまざまな種類が販売されていますが、組み立てが難しそう、スペースが確保できない、おしゃれじゃない、そもそもビニールハウスが必要な理由が分からない、などといった理由から導入を躊躇する方も多いです。しかし、世の中を見回してみると、簡単に組み立てられ、大きさも選べて、尚かつおしゃれなビニールハウスというのもあるもので、「パンタグラックハウス」がまさにそれ!
今回、私編集部員Kが、実際にそのパンタグラックハウスを取り寄せて、古くなったビニールハウスからパンタグラックハウスにサボテンを入れ替えてみました。
すでに冬本番を迎え、外で栽培している多肉系植物の冬越しをどうしようか考えている方、今からでも遅くはありませんよ! 必見です。

ビニールハウスを使うメリット
ビニールハウスって必要なの? と思っている方も多いでしょう。しかし、ビニールハウスがもたらす効果を知れば、その考えは一転するかもしれません。
一般的にはビニールハウス=温室ということから、中はさぞかし暖かいのではと思われますが、プロの農家が使うヒーター付きのビニールハウスならともかく、家庭用のビニールハウスの室内は冬はそれなりに低温になります。しかし、ビニールのカバーが冷たい風や外気を遮断してくれて、尚かつ、日中の陽射しで温まった室内の空気を長時間とどめておけるので、冬の夜間の温度を室外より1〜2℃高く保つことができます。たったそれだけ? と思うかもしれませんが、我々人間と違い、植物にとってはこの1℃の差がとても大きいんです。吹き晒しで放置した鉢植えには霜が降りることもありますが、ビニールハウス内に置くことにより冬の霜害を防ぐことができます。
ただし、春も近くなり外気が暖かくなるにつれ、閉めっぱなしにしていると蒸れるというデメリットもありますが、これはカバーについている扉を開けるなどして調節すれば、簡単に解決できます。
また、パンタグラックハウスは、フォルムがとてもスタイリッシュなため、ビニールカバーを外せば、おしゃれなガーデンラックとしても活躍します。ただしサボテンの場合、直射日光で日焼けし、それが原因で枯れてしまうことも多いため、夏場はビニールカバーの代わりに20%程度の遮光ネットを付けてあげるとよいでしょう。

実際に組み立てる
パンタグラックハウスは、天板と底板、棚板が1段の「Sサイズ」と、天板と底板、棚板が2段の「Lサイズ」の2タイプがあります。サボテンを大量に栽培する編集部員Kのもとには、Lサイズが届きました。

箱から取り出してみると、とてもコンパクトに収納できることが分かります。使用しない場合は場所を取らずに保管できますね!

ではさっそく、同梱の説明書を見ながら組み立ててみます。
組み立てはまず、フレームの天頂部を持ち上げて全体を展開します。

パンタグラックハウスの名の由来は、電車の屋根でもお馴染みの、菱形に収縮する構造物の総称「パンタグラフ」と「ラック(棚)」を合わせた造語。一般的な家庭用ビニールハウスは何本もの部品パイプを組み立てて作るために手間と時間がかかり、工作が不慣れな人は一人では組み立てられないことも。しかしパンタグラックハウスは、パンタグラフの伸縮機構を活かして設計されているため、誰でも簡単に展開し、組み立てることができます。
実際の組み立ての様子は、この動画をご覧ください。2分間、最後までご視聴いただければ、パンタグラックハウスの組み立てがいかに簡単で、なおかつスタイリッシュであるかが分かります。
設置してみる
【設置に最適な場所】
- 陽の当たる場所
- マンションのバルコニーなどで日照時間に限りがある場合は、少しでも多く陽が当たる場所
- 風の影響を受けない壁際やフェンス際
【POINT】 日中の太陽の恵みを十分活用するためにも日向が最適ですが、マンションのバルコニーはフェンスなどで下段まで陽が届かないことも。その場合は、上段に植物を置き、下段を土や空鉢などの保管場所として使用するのがおすすめです。
【設置に適さない場所】
- エアコンの室外機の風の影響を受ける場所
【POINT】 パンタグラックハウスのビニールカバーはエアコンの室外機から出る風も防いではくれますが、それではカバー自体の耐用年数に大きな影響が出てしまいます。また、室外機のファンの目の前に設置することにより、屋内の暖房効率を低下させる可能性があります。

サボテンたちのお引っ越し
導入したパンタグラックハウスは、中2段タイプのLサイズ。背が高い分、バランスよく配置しないと風により倒れる懸念があります。このため、重量のある鉢を下段に置き、中段にはやや軽い鉢、上段には3〜4号鉢程度の小さいものを配置し、重心が下に向かうようにします。





【POINT】 それでも、冬の「木枯らし1号」や春の「春一番」、夏〜秋の台風など、季節ごとの強風対策のため、最下段には写真(上)のようにレンガをいくつかのせて、揺れに対する下部の強度をさらに高めます。これにより上が多少揺れても中の鉢はビクともしなくなりました。そもそも風問題は、壁際やフェンス際に設置すれば発生しないのですが、そうでない場合はこの「極低重心策」はおすすめです。
日頃のメンテナンス
どのメーカーの商品も共通して、扉を開け閉めする際にジッパーの上げ下げを丁寧に行わないと、ビニールカバーは必ずこのジッパー部分から傷み始めます。ビニールハウスは屋外で日夜風雨に晒されているため、常に力が加わる開閉部から壊れるのは仕方のないことではありますが、パンタグラックハウスはその点にも配慮されています。

パンタグラックハウスは、カバーのビニール素材に適度の厚みがあり、またジッパーレールも2列縫いでしっかりと縫い付けてあるため、この部分の強度には老舗エクステリアメーカーのこだわりを感じます。

でも、ここに一番力が加わることに変わりはないので、対策として、たまにミシンオイルなど市販の機械油をレールに薄く塗ってあげるとよいでしょう。これによりジッパーの開閉がよりスムーズになるので、耐用年数も上がるように思います。ちなみに、機械油はホームセンターで200〜300円で購入できます。

ビニールカバーはメーカーも消耗品としているため、カバーのみを通販で買うこともできます。
また、ビニールハウス内の空気をリフレッシュするためにも、冬とはいえ天気のよい日はお昼過ぎくらいまでカバーの扉を開けておきましょう。
朝晩の温度差でカバーの内側に水滴が付着する場合がありますが、これを放置してしまうと、乾燥を好むサボテンにとっては大敵の蒸れが生じ、根腐れの原因になります。この場合は水滴を拭き取り、2〜3時間はカバーの扉を開けておきましょう。


収納ラックとしても機能するビニールハウス
何よりも組み立てが簡単! そしてスタイリッシュ! 私はサボテンをメインで栽培しているため、収納する植物はサボテンのみとなりましたが、パンタグラックハウスは1段あたりの高さが35cmと十分にあるため、季節の花や観葉植物など、サボテン以外の植物ともとても相性がよいように思います。
植物を置かずとも、写真(下)のように、園芸道具の収納ラックとして使うのも洒落ていますね。

場所に余裕があれば、Sサイズは鉢や道具の収納ボックスとして、Lサイズは植物の温室として使えば、狭い空間もすっきり効率的。園芸道具には金属製のものも多いので、風雨に晒されずにツールを保管できる収納ボックスとしても優秀です。
ただし、昨今の夏の凶器のような陽射しと、凍てつく冬の寒さで、ビニール製のカバーは劣化が避けられません。その点、パンタグラックハウスはカバーだけを気軽に替えられるところも便利です。
また、屋外用ではなく、屋内で植物用ラックとして使っても、かなり映えると思います。写真(下)ではビニールカバーをつけていますが、屋内使用の場合はビニールカバーを最初から外したほうがよいと思います。植物を置いてインテリア映えするラックって、あるようでなかなか出会えないものです。それがビニールハウスとしての顔もあるわけですから、まさに一石二鳥ですね。

パンタグラックハウスのラインナップと価格
【パンタグラックハウス L /A】(Lサイズ)
- 価格 : 9,460円 (税込) ※下記オンラインショップにおける価格
- 青山ガーデンオンラインショップ
https://aoyama-garden.com/shop/g/g54106500/
- 材質 : [本体]スチール [カバー]ポリエチレン・ポリエステル
- サイズ : 約幅86×奥行36×高さ121cm
本体の折りたたみサイズ:約幅86×奥行53.5×高さ8cm
棚板サイズ:[上段・下段の外寸]約幅79×奥行36cm [中段の内寸]約幅79×奥行29.5cm - 重量 : 約5.9kg
- 棚板1枚あたりの耐荷重:[上・中段]10kgまで [下段]15㎏まで
【パンタグラックハウス S /A】(Sサイズ)
- 価格 : 8,250 円(税込) ※下記オンラインショップにおける価格
- 青山ガーデンオンラインショップ
https://aoyama-garden.com/shop/g/g54103400/
- 材質 : [本体]スチール [カバー]ポリエチレン・ポリエステル
- サイズ : 約幅86×奥行36×高さ81cm
本体の折りたたみサイズ:約幅86×奥行53.5×高さ6cm
棚板サイズ:[上段・下段の外寸]約幅79×奥行36cm [中段の内寸]約幅79×奥行29.5cm - 重量 : 約4.3kg
- 棚板1枚あたりの耐荷重:[上・中段]10kgまで [下段]15㎏まで
ビニールハウスを活用した冬越しでサボテンの花を咲かせよう!
本文序盤でも記述している通り、とても多くの方が購入したサボテンを過保護に管理されているために、本来咲くはずの美しい花をずっと見られないでいるのがもったいないなと、かねがね思っていました。
別に花が見られなくても、トゲトゲしたサボテン然とした姿をお部屋で楽しめればいいと考える方もいらっしゃるとは思いますが、花を咲かせるための方法を模索するのも、園芸の醍醐味だと思います。その醍醐味を味わうためにも、サボテンの冬越し、ぜひチャレンジしてみてください!
パンタグラックハウスは、そんな冬の園芸ライフをスタイリッシュに演出してくれるスグレモノのビニールハウスなのです。
Photos / 1、3〜4、6、8〜21、23:ガーデンストーリー編集部
2:Saguaro National Park(AZ/U.S.A.)
5、7、22:株式会社タカショー
Movie / ガーデンストーリー編集部
Credit
文&写真(クレジット記載以外) / 編集部員K - ライター・エディター -

フリーランスのロックフォトグラファーの傍ら、サボテンを愛し5年、コーデックスに魅せられ3年を経て、2022年4月にガーデンストーリー編集部に参加。精力的に取材、執筆を行う。飼い猫「ここちゃん(黒猫♂6歳)」に日々翻弄されている。
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