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【冬のガーデニング】ベランダにも置けるおしゃれ&コンパクトなビニールハウスで植物の冬越し|多肉植物狂いVol.6

【冬のガーデニング】ベランダにも置けるおしゃれ&コンパクトなビニールハウスで植物の冬越し|多肉植物狂いVol.6

連載「多肉植物狂い」Vol.6は、多くの方が悩まれているだろうサボテンの冬越しについてのお話です。イチ推しアイテムとしてご紹介するのは、タカショーのビニールハウス『パンタグラックハウス』。スタイリッシュな中にも機能性を追求した今おすすめの家庭用ビニールハウスです。編集部員Kがパンタグラックハウスを使ったサボテンの冬越し準備を実際に行い、パンタグラックハウスの魅力に迫るとともに、サボテンの冬越しのノウハウについて解説します。

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サボテン冬の管理

サボテンを強くする冬の寒さ

昨今の多肉植物ブームにより、園芸店の多肉植物コーナーにはとても多くのサボテンが並ぶようになりました。しかし、初心者の方の多くが最初の冬を迎えた時に「冬の管理」という壁にぶつかるようです。サボテンは不毛の砂漠地帯で灼熱の太陽を浴びながら自生しているイメージがあるためか、冬の寒さを生き抜く印象がイマイチ湧かないという方も多いでしょう。ある意味間違ってはいません。

しかし、サボテンの自生する米国南西部や南米諸国も、冬はそれなりに寒くなり、時には気温0度まで下がることもあるため、そんな中を生き抜くサボテンは意外にも寒さに強く、少々の降雪にも耐えることができるんです。そして何よりも、この寒さを経験することによって美しい花を咲かせ、色艶のよいたくましいサボテンに育つことができるんです。

サボテンは可愛い花が咲くと聞いたのに、何年経っても咲かない・・・という方は、案外この寒さを経験させていないからかもしれませんよ。

雪の弁慶柱
米アリゾナ州にあるサボテンの自生地「サワロ国立公園」では今冬、滅多に降らない雪が降った。(サワロ国立公園公式インスタグラムより)

冬の育て方のポイント

自生地でのサボテンは、日本の冬にあたる11〜2月が乾季となることから、この時期に休眠して寒さや渇きを凌ぎ、次の成長期である春〜夏に向けてエネルギーを蓄えます。しかし日本の冬は寒さが厳しいため、外で管理していると休眠どころか、凍死してしまう危険があります。そうならないようにビニールハウスに入れたり、夜間だけ屋内に取り込んだりと、サボテンの冬は、ちゃんとお世話を焼いてあげなければなりません。

水やりに関してですが、休眠期の12〜2月は根が水を吸い上げないため、水やりは断つ必要があります。断水するとみるみるうちにシワシワになっていくので、初めての方は枯れてしまったのではないかと心配になりますが、ちゃんと休眠させ、春先に少しずつ水をあげれば、徐々に元の姿へと戻るので大丈夫です。元の姿どころか、冬越ししたサボテンは色艶もよく、何よりも大きく育ちますよ!

そもそも屋内でサボテンを管理している方も多いと思いますが、植物にとって自然の環境は、呼吸と光合成を促す重要な要素が盛りだくさんなので、冬場でも日中2〜3時間は外に出してあげてください。これをやらずに室内で過保護にばかりしていると「徒長(とちょう)」といって、品種本来の持つパフォーマンスを発揮しないまま虚弱体質に育っていき、結果的に寿命も縮めてしまいます。

徒長ウチワ
室内のみで管理し徒長してしまったウチワサボテン。天頂に子ができてもウチワ状に広がらずに太陽を求めてヒョロヒョロと情けなく伸びてしまった。これはこれで可愛いが(笑)、短命であった・・・。

サボテンを外で冬越しさせるメリット・デメリット

メリット

屋外には植物にとって大切な要素、光、風、水(水蒸気)が全て揃っています。特に自然の風はサボテンを病害虫にも強い健康な株に育てます。自然の風は室内のエアコンの風と異なり緩急があり、何よりも新鮮です。人の手では作れない微妙な温度の変化や、ゆらぎなどのニュアンスがサボテンの細胞を活性化し、株本来の持つパフォーマンスを引き出します。そして自然の風に晒すことにより、休眠明けの株の色艶がよくなり、トゲの質も上がり、また開花率も高まります。

越冬図

上の写真は「オレンジ花桃太郎」というちょっと変わった名前のサボテンです。屋外のビニールハウスでの越冬中は色も茶色く変色し、この後さらにシワシワになっていきました。しかし3月上旬ごろから週に一回のペースで少しずつ水を与えると、みるみるうちに太っていき緑色を取り戻し、花期である初夏を迎える頃には大変美しい花を咲かせました。ちなみに、同種類のサボテン(年齢も同じ)がもう一鉢あり、そちらは試しに屋内管理してみましたが、結局花は咲かせませんでした。

デメリット

天気予報をちゃんとこまめにチェックする必要があります。サボテンの多くは0℃くらいまでの低温には問題なく耐えることができるので、ほんの1〜2時間程度なら氷点下に晒しても枯れはしませんが、これが長時間となるとさすがに枯れてしまうので、毎日最低気温は確認する必要があります。

また、冬の雨も大敵。根のパフォーマンスが落ちている時に冬の冷たい雨が鉢内に溜まると、霜や氷結により根がダメージを受ける可能性があるので、大切な株のためにも毎日の空模様のチェックも欠かせません。

このデメリットを解消できるのがビニールハウス、即ち温室なのです。

冬越しに最適の「パンタグラックハウス」

パンタグラック

メリットを確保しながらも、デメリットを補ってくれるのがビニールハウス。さまざまな種類のものが販売されていますが、組み立てが難しそう、スペース確保が難しい、おしゃれじゃない、そもそもビニールハウスが必要な理由が分からない、などといった理由から導入を躊躇する方も多いです。しかし、世の中を探してみると、簡単に組み立てられ、大きさも選べて、尚かつおしゃれなビニールハウスというのもあるもので、「パンタグラックハウス」がまさにそれ!

今回、私編集部員Kが、実際にそのパンタグラックハウスを取り寄せて、古くなったビニールハウスからパンタグラックハウスにサボテンを入れ替えてみました。
すでに冬本番を迎え、外で栽培している多肉系植物の冬越しをどうしようか考えていた方、今からでも遅くはありませんよ! 必見です。

サボテンたち
古くなったドーム状のビニールハウスからパンタグラックハウスへと引っ越す瞬間を待ち焦がれるサボテンたち。

ビニールハウスを使うメリット

ビニールハウスって必要なの? と思っている人の多くは、ビニールハウスがもたらす効果を知れば、その考えは一転するかもしれません。

一般的にはビニールハウス=温室ということから、中はさぞかし暖かいのかと思われますが、プロの農家が使うヒーター付きのビニールハウスならともかく、家庭用のビニールハウスの室内は冬はそれなりに低温になります。しかし、ビニールのカバーが冷たい風や外気を遮断してくれて、尚かつ、日中の陽射しで温まった室内の空気を長時間ためておくことができるので、冬の夜間の温度を室外より1〜2℃高く保つことができます。たったそれだけ? と思うかもしれませんが、我々人間と違い、植物にとってはこの1℃の差がとても大きいんです。吹き晒しで放置した鉢植えには霜がおりることもありますが、ビニールハウス内に置くことにより冬の霜害を防ぐことができます。

ただし、春も近くなり外気が暖かくなるにつれ、閉めっぱなしにしていると蒸れるというデメリットもありますが、これはカバーについている扉を開けるなどして調節すれば、簡単に解決できます。

また、パンタグラックハウスはフォルムがとてもスタイリッシュなため、夏場はビニールカバーを外せば、おしゃれなガーデンラックとしても活躍します。ただしサボテンの場合、直射日光で日焼けし、それが原因で枯れてしまうことも多いため、夏場はビニールカバーの代わりに20%程度の遮光ネットを付けてあげるとよいでしょう。

ラックのみ
ビニールカバーを外せばスタイリッシュなガーデンラックに早変わり。夏も楽しめます。

実際に組み立てる

パンタグラックハウスは、天板と底板、棚板が一段の「Sサイズ」と、天板と底板、棚板が二段の「Lサイズ」の2タイプがあり、サボテンを大量に栽培する編集部員Kの元にはLサイズが届きました。

パンタグラック届いた
届いた瞬間の印象は、とにかく軽い!

箱から取り出してみると、とてもコンパクトに収納できることが分かります。使用しない場合は場所を取らずに保管できますね!

パンタグラック

では早速、同梱の説明書を見ながら組み立ててみます。

組み立てはまず、フレームの天頂部を持ち上げて全体を展開します。

パンタグラフのよう

パンタグラックハウスの名の由来は電車の屋根でもお馴染みの、菱形に収縮する構造物の総称「パンタグラフ」と「ラック(棚)」を合わせた造語。一般的な家庭用ビニールハウスは何本もの部品パイプを組み立てて作るために手間と時間がかかり、工作が不慣れな人は一人で組み立てられないことも。しかしパンタグラックハウスは、パンタグラフの伸縮機構を活かして設計されているため、誰でも簡単に展開し、組み立てることができます。

実際の組み立ての様子はこの動画をご覧ください。2分間最後までご視聴いただければ、パンタグラックハウスの組み立てがいかに簡単で、なおかつスタイリッシュなビニールハウスであることが分かります。

設置してみる

【設置に最適な場所】

  • 陽の当たる場所
  • マンションのバルコニーなどで日照時間に限りがある場合は、少しでも陽があたる場所
  • 風の影響を受けない壁際やフェンス際

【POINT】 日中の太陽の恵を溜めておくためにも日向が最適ですが、マンションのバルコニーはフェンスなどで下段まで陽が届かないことも。その場合、上段に植物を置き、下段を土や空鉢などの保管場所として使用するのがおすすめです。

【設置に適さない場所】

  • エアコンの室外機の風の影響を受ける場所

【POINT】 パンタグラックハウスのビニールカバーはエアコンの室外機から出る風も防いではくれますが、それではカバー自体の耐用年数に大きな影響が出てしまいます。また、室外機のファンの目の前に設置することにより、屋内の暖房効率にも影響を及ぼす可能性があります。

設置場所
以上のことから、フェンスから若干距離を取ることによりエアコン室外機のファンの影響を回避し、尚かつ午前も午後も存分に太陽を浴びられるこの場所に決定。

サボテンたちのお引っ越し

導入したパンタグラックハウスは、中二段タイプのLサイズ。背が高い分、バランスよく配置しないと風により倒れる懸念があります。このため、重量のあるタイプの鉢を下段に置き、中段にはやや軽い鉢、上段には3〜4号鉢程度の小さいものを配置し、重心が下に向かうようにします。

サボテンたち
サボテンたち
上段からぶら下がっているのはワイヤレス温度計の室外用端末。
室外端末
室内端末
ワイヤレス温度計は屋内で屋外の温度と湿度が確認できるため便利(上段が室外の温度・湿度で、下段が屋内の温度・湿度。Amazonで確か3,000円くらい)。
赤城
背が高いLサイズは特に、下段に重量物を置くのは鉄則です。

【POINT】 それでも、冬の「木枯らし1号」や春の「春一番」、夏〜秋の台風など、季節ごとの強風対策のため、最下段には写真(上)のようにレンガを幾つか載せて、揺れに対する下部の強度をさらに高めます。これにより上で多少揺らしても中の鉢はビクともしなくなりました。そもそも風問題は壁際やフェンス際に設置すれば発生しないのですが、そうでない場合はこの「極低重心策」はおすすめです。

日頃のメンテナンス

どのメーカーの商品も共通して、扉を開け閉めする際にジッパーの上げ下げを丁寧に行わないと、ビニールカバーは必ずこのジッパー部分から傷み始めます。ビニールハウスは屋外で日夜風雨に晒されているため、常に力が加わる開閉部から壊れるのは仕方ないことではありますが、パンタグラックハウスはその点にも配慮されています。

破れたジッパー
他社製品。2年も使うとどうしてもこうなる。

パンタグラックハウスは、カバーのビニール素材に適度の厚みもあり、またジッパーレールの縫い付けも二列縫いでしっかりと縫い付けてあるため、この部分の強度には老舗エクステリアメーカーのこだわりを感じます。

縫い

でもここに一番力が加わることに変わりはないので、対策として、たまにミシンオイルなど市販の機械油をレールに薄く塗ってあげるとよいでしょう。これによりジッパーの開閉がよりスムーズになるので、耐用年数も上がるように思います。ちなみに機械油はホームセンターで200〜300円で購入できます。

ミシンオイル塗る

ビニールカバーはメーカーも消耗品としているため、カバーのみを通販で買うこともできます。

[タカショーのカバー別売りサイト]

また、ビニールハウス内の空気をリフレッシュするためにも、冬とはいえ天気のよい日はお昼過ぎくらいまでカバーの扉を開けておきましょう。

朝晩の温度差でカバーの内側に水滴が付着する場合がありますが、これを放置してしまうと、乾燥を好むサボテンにとっては大敵の蒸れが生じ、根腐れの原因にもなるため、この場合は水滴を拭き取り、2〜3時間はカバーの扉を開けておきましょう。

蒸れ
サボテンに蒸れは厳禁。
サボテンたち
ビニールカバー越しに見るサボテンたちのシルエットはどこかドラマチック。

収納ラックとしても機能するビニールハウス

何よりも組み立てが簡単! そしてスタイリッシュ! 私はサボテンをメインで栽培しているため、収納する植物はサボテンのみとなりましたが、パンタグラックハウスは一段あたりの高さが35cmと十分にあるため、季節の花や観葉植物など、サボテン以外の植物ともとても相性がよいように思います。

植物を置かずとも、写真(下)のように、園芸道具の収納ラックとして使うのも洒落ていますね。

ラック使用

場所に余裕があれば、Sサイズは鉢や道具の収納ボックスとして、Lサイズは植物の温室として使えば、狭い空間もすっきり効率的に使えます。園芸道具には金属製のものも多いので、風雨に晒されずにツールを保管できる収納ボックスとしても優秀です。

ただし、昨今の夏の凶器のような陽射しと、凍てつく冬の寒さで、ビニール製のカバーは劣化が避けられません。その点パンタグラックハウスはカバーだけを気軽に替えられるところも使い勝手がよいです。

また、屋外での使用以外にも、屋内の植物用ラックとして使っても、かなり映えると思います。写真(下)ではビニールカバーをつけていますが、屋内使用の場合はビニールカバーを最初から外した使い方がよいと思います。植物を置いてインテリア映えするラックって、あるようでなかなか出会えないものです。それがビニールハウスとしての顔もあるわけですから、まさに一石二鳥ですね。

室内使い
パンタグラフ構造が屋内使いでも確実にインテリア性を高めてくれる。

パンタグラックハウスのラインナップと価格

【パンタグラックハウス L /A】(Lサイズ)

  • 材質 : [本体]スチール [カバー]ポリエチレン・ポリエステル
  • サイズ : 約幅86cm×奥行36cm×高さ121cm
    本体の折りたたみサイズ:約幅86×奥行53.5×高さ8cm
    棚板サイズ:[上段・下段の外寸]約幅79×奥行36cm [中段の内寸]約幅79×奥行29.5cm
  • 重量 : 約5.9kg
  • 棚板1枚あたりの耐荷重:[上・中段]10kgまで [下段]15㎏まで

【パンタグラックハウス S /A】(Sサイズ)

  • 材質 : [本体]スチール [カバー]ポリエチレン・ポリエステル
  • サイズ : 約幅86×奥行36×高さ81cm
    本体の折りたたみサイズ:約幅86×奥行53.5×高さ6cm
    棚板サイズ:[上段・下段の外寸]約幅79cm×奥行36cm [中段の内寸]約幅79cm×奥行29.5cm
  • 重量 : 約4.3kg
  • 棚板1枚あたりの耐荷重:[上・中段]10kgまで [下段]15㎏まで

ビニールハウスを活用した冬越しでサボテンの花を咲かせよう!

本文序盤でも記述している通り、とても多くの方が購入したサボテンを過保護に管理されているために、本来咲かせるべき美しい花をずっと見られないでいるのがもったいないなと、かねがね思っていました。

別に花が見られなくても、トゲトゲしたサボテン然とした姿をお部屋で楽しめればいいと考える方もいらっしゃるとは思いますが、花を咲かせるための方法を模索するのも、園芸の醍醐味だと思います。その醍醐味を味わうためにもサボテンの冬越し、ぜひチャレンジしてみてください!

パンタグラックハウスはそんな冬の園芸ライフをスタイリッシュに演出してくれるスグレモノのビニールハウスなのです。

Credit

Profilepix

Text / 編集部員K
フリーランスのロックフォトグラファーの傍ら、サボテンを愛し5年、コーデックスに魅せられ3年を経て、2022年4月にガーデンストーリー編集部に参加。精力的に取材、執筆を行う。
飼い猫「ここちゃん(黒猫♂3歳)」に日々翻弄されている。

Photos / 1、3〜4、6、8〜21、23:ガーデンストーリー編集部
2:Saguaro National Park(AZ/U.S.A.)
5、7、22:株式会社タカショー

Movie / ガーデンストーリー編集部

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