真冬の窓辺で野菜と花を育てる方法! おうちガーデニング
雪深い北海道の集落のはずれで、家族とともに森を育み、庭づくりをする山崎亮子さん。長い月日をかけて育ててきた庭は、この時期、降り積もる雪の中です。そんな時期でも大好きな植物と暮らしたい! と実践しているのは、ガーデンルームの窓辺で育てる「寄せ植え風キッチンガーデン」。カゴやブリキの器など雑貨を使った、可愛くて実用的な菜園づくりの手順と楽しみ方をご紹介します。
目次
雪国の長い冬
私は北海道の森の中で、ガーデニングを楽しみながら暮らしています。
とはいえ、北国北海道です。私が暮らす地域は初雪がだいたい11月。12月になれば根雪に覆われ、庭仕事ができない分、雪かきに追われる日々となります。1〜2月は最高気温ですらマイナスの日も多く、雪と氷にすっぽり覆われるのが毎年恒例です。
大人はみんな口を開けば冬の厳しさへの愚痴ばかり。
「いやあ〜今日も寒いわ」
「雪、こんなに積もって、嫌になるね」
と冬を嘆くのが挨拶代わりになっているくらいですが、一面の銀世界の美しさは例えようもありません。文句を言いつつも、雪が無い冬は想像もできないのが道産子のように思います。
3月には本格的な雪どけが始まり、月末からは地面が顔を出すものの、4月になってもうっすら雪が積もったり、霜が降りたり……。
こんな感じで、屋外でガーデニングを楽しめない期間は、およそ半年も続きます。
「寄せ植え風キッチンガーデン」で室内ガーデニングを半年楽しむ
半年間、屋外でのガーデニングができない時期は、我が家では室内でキッチンガーデンを楽しんでいます。場所は「ガーデンルーム」と名付けた西日の当たる部屋です。もとは屋根付きのデッキスペースでしたが、 2×4材やアクリル板を使ってDIYで囲い、年中楽しめる空間に変えました。
この場所で、外が少しずつ暖かくなっていく雪どけ時期から早春にかけて、野菜苗やパンジーやビオラを育てています。室内とはいえ、国内のほとんどの地域でいう「真冬」に当たる気温のため、選ぶのは寒さに強い葉ものが中心です。
いろんな色や形のレタスが入ったミックスは、料理の彩りとしてちょっと添えるのにもピッタリで、メニューに連日レタスが入っていても違う気分になれるお気に入り。ほかには、水菜、小松菜、苗で買ったイタリアンパセリなども育てます。
紅茶やデザートに合うレモンバームやミント類、セロリやチャイブなど、料理の幅を広げるハーブの苗もおすすめです。
器に添えると食卓が彩り豊かになるグリーンがすぐ側にあるだけで、いつもの食卓が「おうちカフェ」になりますよ。
お気に入りの収納グッズとポリポットで小さな「畑」を作る方法
種まきをした後って、植えた本人はワクワクしていても、一見したら「ただの土」。
ちょっと味気ないので、収納用のカゴやBOXを器にして育てると雑貨感が加わります。インテリアグッズなどを自由に使うと、あらゆるインテリアに合わせられるので楽しさ倍増です。
【用意するもの】
- お気に入りのカゴや収納グッズ
おすすめは、内寸A4サイズ(210×297mm)のトレー状になった浅い器。 - ビニール…お米の袋など厚手で丈夫なもの。
- ポリポット…カゴのサイズに合わせて用意。
例えば、幅20cm(200mm)のカゴなどの浅い容器に直径75mmのポットを3つ入れようとすると25mmオーバーになる計算ですが、ポットの直径×個数=容器の幅より数mmから2~3cmほど大きいくらいでOK。ポリポットはフニャフニャと形が変形しやすいので、うまく収まりますよ。
【カゴの中のキッチンガーデン作り方】
1、カゴの下にビニールを敷き、カゴの底面より3cmほど大きめにカットする。
2、ビニールの角を内側に折り込みながらカゴの内側に敷く。
3、種まき用の土をポットにあらかじめ入れておく。その際、牛乳パックを切った升(ます)を使うと土が入れやすいですよ。
4、土を入れたポットをカゴの中に並べて種を播く。
野菜は育った順に収穫して食べちゃうため、常に見栄えよくこんもり維持するのは難しいのですが、小分けのポットで育てているので、差し替えは簡単。
最初の種まきから1週間後くらいに、予備のポットとして2回目の種まきをしておけば、空になったポットと入れ替えることができます。いろいろな品種を並行して育てて、味の違いを確かめるのも楽しいですよ。
また、同じカゴの中で花が咲くポットを組み合わせると、とても可愛い寄せ植えになります。2月のバレンタインの時期ならリボンやハートのモチーフを、イースターの時期なら卵の殻など、雑貨も添えると、季節のインテリアとしても大活躍!
器はカゴだけではなく、ブリキ缶や木箱など、植物を引き立てる素材なら何でもおすすめです。可愛くて実用的な菜園、ぜひ作ってみてくださいね。
北国に訪れる遅い春とガーデニングの再開
そうこうしているうちに、春の遅い我が家も芽吹きの時期を迎えます。
春を待ちわびているのは我が家だけではありません。
ガーデンシーズンが再び訪れるゴールデンウィークには、地元のガーデンショップは、「待ってました!」とばかりにやってくる家族連れで大にぎわいです。近年は野菜苗が人気で、めぼしい品種はすぐに売り切れてしまうので、我が家も負けじと買い込みます。
ところが、山の上にある我が家の庭は平地と比べて寒く、購入時期は野菜苗の定植には少し早め。ですから、しばらくは室内で管理することになります。ご覧の通り、ガーデンルームは苗でぎっしり!
私の庭では、5月半ば、山鳩が「デデポッポー…」と鳴き始める頃が植え付け時です。それまでは、こうしてガーデンルームでの室内菜園を満喫しています。
Credit
写真&文 / 山崎亮子
やまざき・りょうこ/北海道で家族とともに裏の森へとけこむような花と緑のガーデンを作る。厳しい自然環境でたくましく育つ植物を丹念に観察しながら庭づくりを楽しみ、庭の実りを食卓やインテリアなど暮らしへ豊かに展開し、その様子を本誌で執筆。自身の暮らしを描いたやさしいタッチのイラストも人気。
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