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専門家が解説! 秋冬にやっておきたいバラの大苗の植え付け【鉢植え編】

専門家が解説! 秋冬にやっておきたいバラの大苗の植え付け【鉢植え編】

バラ栽培をスタートするのによい季節がやってきました。来春に花を咲かせるために、この晩秋から早春に購入した大苗はそのまま放置せず、適時植え付けをしましょう。バラ栽培の初心者さんでも簡単にできる大苗の植え付け(鉢植え)のプロセスを、バラの専門家、河合伸志さんに教えていただきます。

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購入した大苗を確認しましょう

晩秋から早春にガーデンセンターや通信販売などで購入できるバラの大苗には、大きく分けて3タイプあります。(詳しくは『よいバラ苗を選ぼう!初心者でもチャレンジしやすいバラの大苗をご紹介』を参照)。鉢に植え込まれた大苗(右)は春の開花までこのまま育てることができますが、裸苗(左)やロング・ポット苗(中央)は、植えつけ作業が必要です。

【全苗共通】植え付け前の準備

株元のテープを外す

株元を見ると、テープが巻かれていることがあります(接ぎ木の仕方によってはない場合もある)。これは、接ぎ木(ノイバラの台木に園芸品種を接合する増殖方法)の際に固定するために巻いたテープなので、大苗まで生育すれば、もう必要ありません。テープが巻かれたままだと株に食い込んでしまうこともあるので、残っている場合は写真右のように外します(自然分解性のテープの場合は放置しても問題ありません)。

【裸苗】の植え付け前の準備

用土に植え込まれていない裸苗は、時に苗が乾燥気味になっていることがあります。特に輸送時間を要する輸入苗はその傾向が強く、また同時に植物検疫に対応するために輸入苗は根を強く洗浄しているため、国産苗に比べると根が傷んでいることがあります。その状態から回復させるために、植え付け前に活力剤を30〜60分程度吸水させます。この作業によって植え付け後の活着が良好になり、特に輸入苗は劇的にその効果が現れます。

ここでは活力剤として『バイオゴールドバイタル』(発売元:タクト)を使用しました。なお使用した後の活力剤は、植え込み後の水やりに再利用しましょう。

【ロング・ポット苗】の植え付け準備

ロング・ポット苗は植えつける際に、仮植えの用土を無理のない範囲で落とします。白い根がびっしりと張り、土を落とすと根が切れる場合は無理せずにそのまま植え込みます。水を張ったバケツなどに根鉢を入れて軽くゆすると、ピートモスなどは落ちることもあります。なお裸苗と同様に活力剤を吸水させると活着がよりよくなります(写真の事例では、根が伸び始めであったため、周囲のピートモスが自然にポロポロと落ちました)。

【裸苗とロング・ポット苗】植え付けの5つの手順

植え付けるバラの苗(品種:ラディアント・パフューム)、用土、元肥、鉢(7号)、土入れ、割り箸などの棒を揃えたら、植え込みスタートです。

1 鉢底石を入れる

排水性を高めるために底が見えなくなる程度、鉢底石を入れます。鉢底石は軽石やパーライト、硬質赤玉土(大粒)などを用います。多数の小さな穴があいているプラスチック鉢やスリット鉢では鉢底網は必要ありません

2 植え込み用土の準備

バラ専用用土に元肥を混ぜて、植え込み用土を準備します(輸入苗は国産苗に比べて根が傷んでいることが多いので、植え付けの際はなるべく肥料分の少ない用土を用い、元肥を入れないほうが活着はよくなります)。

今回は、天然素材をブレンドし、有効菌も豊富な培養土『バイオゴールドの土』に、天然有機肥料の『クラシック元肥』をブレンドしました。(両資材ともに販売元:タクト)

3 苗を据える

枝の広がりのバランスがよいように鉢の中央に苗を据えたら(根が長い場合は切らずに巻き込むように入れます)、株を押さえながら2で準備した用土を周囲に入れていきます。

4 土を詰める

ある程度土が入ったら、根と根の間にも土が入るように軽く割り箸や棒などで用土をつつきます。ウォーター・スペース(灌水の際に水が溜められる)を残すため、鉢の縁から3〜5cmほど下まで土を入れたら完了です。

5 水やり

活力剤を入れた水をたっぷり与えます(鉢底から水が流れ出るまで)。

植え付け後の置き場所

関東以西の平地では、植えつけが終わったら寒風にさらされない陽だまりになる場所(建物の南面など)に鉢を置きます。寒冷地では、苗や土が凍結しない程度の場所で越冬させます。風除室や玄関、納屋など最低温度が0〜5℃程度を維持できる場所が適しており、リビングのような暖かい場所は避けます。

バラの株元が寂しいならば、草花を一緒に植えることも可能です。ミントやススキなど、バラよりも旺盛に生育する植物は適しませんが、ビオラやアリッサム、宿根ネメシアなどの草花や、ヒューケラやワイヤープランツ、ヘデラなどのリーフ類など、バラとの生育のバランスを取りやすいものは可能です。バラの季節まで美しい状態を維持できる植物であれば、開花期には草花との混植風の鉢を楽しめます。また、下草が植えてあることで水のやり忘れの防止にも役立ちます。

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