小さなタネから緑色の芽が芽吹く姿は、ガーデニングの大きな喜びの一つです。でも、なぜタネ播きの時期が決まっているのか、どのようにしてタネから芽が出るのか、疑問に思ったことはありませんか? ここでは、タネが芽吹く仕組みについて探ってみましょう。
目次
タネからどうして芽が出るの?

ほとんどのガーデナーのみなさまは、植物のタネを手に取り、播いてみた経験があることでしょう。タネはタネ袋に入った状態では芽を出すことがありません。水を与えたり、冷蔵庫に入れたりと少し手をかけないと、小さくて固いタネのままなのです。これは、タネが発芽するためには、次のような3つの条件が必要なため。一つは「水」、一つは「温度」、そして「酸素」です。植物によっては、これらの要素のほかに光や刺激が必要な場合もあります。
タネの中には生物が成長していく元となる「胚(はい)」と、成長の養分となる「胚乳(はいにゅう)」がありますが、多くの場合細胞の水分も少なく生命活動が低下している休眠状態にあります。休眠状態のタネは、普通は植物が耐えられないような乾燥や寒冷などの過酷な環境にも耐えることができ、長い寿命を保つこともできます。成長に必要なものが揃った環境にタネを置いてやることで休眠から覚め、胚が成長して芽や根ができ、種皮を破って外へと成長を始めるのです。この仕組みは、休眠中のタネが十分に吸水すると、胚で「ジベレリン」という植物ホルモンがつくられ、ジベレリンによって胚乳に蓄えられているデンプンが糖に分解されて胚に吸収され、成長が始まると考えられています。
発芽時期ってどうやって決まるの?

園芸店などで販売されている植物のタネ袋には、タネ播きに適した時期が記載されています。なぜタネ播きに適した時期は決まっているのでしょうか? これは、それぞれの植物の生育様式に関係があります。例えば、寒さが厳しい地域などで寒い冬を避けて成長する植物は、低温が一定期間続くことが種子休眠から覚める条件となり、乾燥が厳しい地域の植物は、多くの場合土壌の湿度が発芽の大きな条件になります。ガーデニングでタネ播きをする際、種類により、吸湿させつつしばらく冷蔵庫に入れてから播いて発芽率を高める手法があるのは、植物のこのような性質を利用しているためです。
また、タネによっては、発芽には光を必要とする「光発芽性種子(こうはつがせいしゅし)」や、反対に光を嫌う「暗発芽性種子(あんはつがせいしゅし)」などもあります。光発芽性種子は、地表面が明るい状態で発芽することで、発芽後に光合成できる可能性を高めていると考えられています。このようなタネは、深い土の中では発芽しにくいので、播く時には表面を薄く覆うように土をかけてやりましょう。光が発芽の条件にかかわってくるタネは、吸水することによって光を感じるようになります。ちなみに、発芽に有効な光は赤色光で、反対に遠赤色光は発芽を抑制する効果があるのだそうです。

自分で播いたタネが、一斉に芽を出す様子はとても可愛らしいもの。タネが一斉に芽を出すことが多いのは、同じ種類のタネなら同じ条件が揃うと芽を出しやすいためです。普段なにげなく行っているタネ播きからも、植物の性質を知ることができるのも面白いですね。
Credit

取材&文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
Photo/ 1,4)elwynn/ 2)Mona Makela/ 3)Anukool Manoton/ Shutterstock.com
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