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16種類の野菜&ハーブをベランダで! フードスタイリストが提案する「ベジトラグ」栽培&収穫レシピ
バジルにケール、ルッコラ、ビーツ…。仕事柄、食材のビジュアルに感度が高いフードスタイリストの黒瀬佐紀子さんは、おしゃれでカラフルな16種類もの野菜やハーブを自ら栽培して収穫レシピを次々に開発しています。驚くことに、この豊かなキッチンガーデンがあるのはマンションのベランダ! 限られた空間を駆使して、フォトジェニックで美味しい野菜を栽培する黒瀬さんの効率的家庭菜園の秘密と、手軽なのに華やかで美味しい収穫レシピを大公開。
目次
ジェノベーゼソースが何瓶も作れたのがベランダ栽培にハマるきっかけ
「ベランダ栽培にハマッたきっかけは、バジル。鉢植えで初めて育てた時に、わさわさ茂って最終的にバジルペーストが何瓶も作れたんです。ビギナーズラック! 摘み立てのバジルで作ったソースって、驚くくらい香りがいいんですよ。味も濃いし、色もすごく鮮やかで食卓にも映えるし、すっかり家庭菜園にハマッてしまいました」
そのときは複数の鉢植えにバジルを1株ずつ植えて育てていましたが、もっといろいろな野菜にチャレンジしてみたくなった黒瀬さん。とはいえ、マンションのベランダに置ける鉢の数も限られていますし、バジルのようにうまく育つかどうかという不安もありました。
ガーデニング初心者さんこそおすすめの脚付きプランター「ベジトラグ」
「そこでガーデニング好きの友人に相談したところ、すすめられたのがベジトラグという大型の木製プランターです。ベランダで野菜を育てるなら、鉢植えをいくつも並べるよりベジトラグを使うといいよと。土の容量が大きく深いので、バジルだけでなく根菜などいろんな種類が一緒に育てられるし、水切れもしにくく管理も楽だよとアドバイスされて。調べてみたら、ベジトラグっていろんな種類があるんですよね。中でもグレイッシュなカラーのベジトラグに一目惚れしちゃいました。ベランダに置いたらおしゃれな空間にもなりそうだなぁとか、生活が変わりそうだなぁと、どんどん興味が湧きました」
鉢植えからベジトラグにステップアップ! 野菜栽培を始める手順
「ベジトラグ検索のついでに、ベランダガーデニングのための商品はどんなものがあるのかと検索してみたら、ウッドデッキパネルとか、室外機を隠しながら収納までできちゃう屋外用の家具とか、ベランダ専用のいろんな製品が世の中にはあるんだと知って、この機会にベランダをプチリフォームすることにしました」
そうして、ベジトラグ導入と同時に、床材や家具も一新して、休日には手すりの汚れを落としてすっきりしたタイミングで、ベジトラグ一式が到着。
電動ドライバーを用意して、説明書の通り組み立てること2時間。
「久しぶりの大工仕事、ちょっと苦労した分、仕上がったときは達成感がありました。夫婦での共同作業も、いい思い出です」と黒瀬さん。
栽培のプロがおすすめする16種のおしゃれ野菜&ハーブ
さて、次は何を植えるのかが肝心。これまで仕事柄、生産農家から野菜を取り寄せたり、農場に通ったりして長年親しくしている野菜農家さんにアドバイスをもらうことにしました。
「ベランダの状況とベジトラグで育てたいということを伝えたら、限られたスペースでも栽培できて、食べがいがあって姿もユニークなおすすめの野菜の苗をセレクトして送ってくれたんです。そこに私が用意したハーブの苗をいくつか加えて、栽培をスタートしました」
そうして4月中旬に植え付けたのは、以下16種類。
サニーレタス、アカカラシナ、ルッコラ、スイスチャード、パクチー、イタリアンパセリ、バジル、ケール、ナスタチウム、スペアミント、モヒートミント、レモンタイム、コモンタイム、ローズマリー、ビーツ、トウガラシ。
限られたスペースを効率的に使う野菜レイアウト
ベジトラグのスペースを効率的に作業しやすく使うために、苗の配置を吟味。ポイントは2つ。
①草丈…草丈の高いものは基本的に後ろのほうが作業がしやすいです。
②収穫期間の長さ…常緑でずっと残るか、収穫したらスペースが空くかという条件ごとに、ある程度スペースを分類しておくと、栽培計画が立てやすいです。
収穫期間が短いサニーレタスやアカカラシナ、ルッコラは手前右側に集合させて、収穫が終わったら、その空いたスペースで次の野菜を育てられるように配置しました。一年中茂ったままで成長がゆっくりなローズマリーやタイムは左端に集め、背が高くなるトウガラシやケールは中央奥にと、生育の具合に合わせて配置をしました。
そうして植え付けて1カ月経たないうちに、わさわさとベジトラグの中は混み合いはじめて、5月上旬には早くも収穫の時期を迎えました。
「野菜を植え付けてからは、毎日のお天気がこれまで以上に気になって。ちょっと日差しが強い日があったり、風が強い日もあって、大丈夫かなぁと心配になることもありましたが、毎朝カーテンをあけてベジトラグの様子を見るのが楽しみになっていました。水をやる以外、何もしなくても育つだなんて、びっくりです。こんなに野菜栽培が楽しいなら、もっと早く始めればよかった」
地面がない場所でも手軽に家庭菜園ができるベジトラグ
野菜栽培やガーデニングの経験がない初心者でも野菜が丈夫に育つのは、イギリスで開発された木製プランター「ベジトラグ」に秘密があるから。一番の特徴は、植える容器部分が地面より高い位置にあることです。手入れがしやすかったり、植え付けたものがすくすく育つなど、野菜をはじめとした植物を栽培するのに優れた形状になっている人気急上昇中のガーデニングアイテム。このベジトラグの優れた点は、7つあります。
- 利点1:庭があるなしにかかわらず、狭い場所やベランダでも栽培場所が確保できる
- 利点2:深さがあるので、ハーブや葉物野菜に限らず、根菜類も育てられる
- 利点3:地面より高い位置にあるので、立ったまま手入れができてラク
- 利点4:プランター部分が地面に接地しないので、風通しがよく、育ちがいい
- 利点5:高さがあるので、ナメクジやダンゴムシなど、‘地を這う系’の虫被害にあいにくい
- 利点6:壁際などで日が当たりにくいような場所でも、プランターが高い位置にあることで日当たりがよくなる
- 利点7:木製で、見た目がナチュラル
強すぎる日差しや風を和らげるコツは不織布カバー
ベジトラグで推奨する置き場所は、日当たりと風通しがいい場所ですが、都内マンションの黒瀬さん宅のベランダは、南西向きで西日が強い場所です。風通しがよく西日がきついという条件で、マンションの高層階などではこのように日当たりがよすぎることがネックになることがあります。そこで黒瀬さんは、野菜農家さんが苗と一緒に同封してくれた不織布を上からかけ、葉焼けや強風から苗を守りました。そのかいあって、スクスク順調に野菜が育ちました。
植え付けたばかりで完全に根付いていない成長初期は、特にベランダでは吹き付ける風が苗にストレスを与えます。また、春先は寒の戻りがあったり、急激に暑くなる日も。でも適度に風を通して蒸れることがなく、優しく日差しを和らげる不織布をかけたことで、葉が傷むこともなく順調に成長しました。不織布は、ずっとつけっぱなしにせず、採りどきの葉がないか、水が切れていないか、虫がいないかチェックする意味でも、ときどき外すとよいでしょう。
ながーく収穫し続ける採取のコツと保存方法
ミントやタイムのように茎が伸びて本数が増えていくハーブや野菜は、茎の下方の節で切ると、残った節から新しい芽が伸びて、また次の収穫ができます。レタスなどの葉物野菜は、外側の葉から1枚ずつ剥がして、中心が残るようにすると長く収穫できます。
5〜6月に毎日採取できる葉物野菜。葉の色や形が違ういくつかの種類を一つの容器の中で育てて、味わいの違いを楽しめるセレクションです。
収穫したら、調理するまで冷水に入れておくとシャキッとします。もし、たくさん採れたけれど連日同じメニューではちょっと、というときや、採りどきの葉があるけれど、1品作るほどの量がないときは、冷蔵庫で保存しておけばOK。保存方法は、根元付近を水に濡らしたキッチンペーパーでふんわり包み、ビニール袋などに入れて冷蔵庫の野菜室へ。食べ頃になった葉が傷む前に冷蔵保存すれば、無駄になりません。
ベジトラグの野菜を毎日美味しく! 簡単レシピ
日頃、手軽で美味しいレシピを提案しているフードスタイリストの黒瀬さんによる、ベジトラグで収穫した野菜の簡単レシピをご紹介します。料理の決め手は、何といっても“フレッシュ採れたて野菜”の味を引き出すこと。
「自分で育ててみると、一枚一枚よく味わって食べたくなって。葉物野菜がこんなにそれぞれ味が違うんだと、感動したんです。これまでも食べていたはずなのに、自家製野菜は愛おしくて美味しいんです。なので、野菜やハーブの味が引き立つように、調味料は旨味を引き出す程度に使うレシピです」
夏のドリンク「カンパリミントソーダ」
グラスに薄く切ったライムや缶詰の伊予柑、シロップ、カンパリを順に入れ、ミントを数枚入れたら炭酸を注いで出来上がり。酸味とミントのハーモニーが美味しい手軽なカクテルです。夏は氷も入れて、食前酒としてどうぞ。
季節のフルーツが映える「モッツァレラサラダ」
① モッツァレラチーズとイチゴなど旬の果物をボールに入れ、塩、コショウ、ビネガー、オリーブオイルを適量加えて混ぜ合わせ、馴染ませておきます。ビネガーは、シェリー酒ビネガーを使うと味がマイルドになります。
② ベジトラグで育ったアカカラシナやルッコラ、イタリアンパセリなどを皿に敷き詰めます。
③ 野菜の上に①のマリネを乗せます。
④ 仕上げに、ピリッとした味が美味しいナスタチウムの花びらを彩りよく散らしたら完成!
緑に引き立つ、イチゴとナスタチウムが目にも美味しい一品です。葉の味の違いを感じながらいただきましょう。イチゴの代わりに、プラムやオレンジなどでも味に変化がついておすすめです。
ハーブが香る「サーモンマリネ」
ボールにスライスした玉ねぎを入れ、ざく切りしたタイムと塩、コショウ、砂糖、ビネガーを混ぜてマリネを作ります。皿にマリネとサーモンを交互に盛り付けて、仕上げにタイムをトッピングしたら出来上がり! 短時間で作れるのに、食卓が華やぐ一品です。少量しか使わないタイムやローズマリーなどのハーブは、ベジトラグの片隅で育てておくと、すぐ使えて便利。
鮮やか「ケールの蒸し焼き」ウインナー添え
① 葉に厚みがあるケールや茎葉がしっかりしたスイスチャードは、火を通すことで柔らかくなり、旨みが引き出せるので、フライパンで蒸し焼きするのがおすすめです。一緒にマッシュルームやミニトマトを入れて、野菜から出る水分や旨みを生かします。
② 少し水を加えて蓋をします。
③ 数分経って、全体に火が通った頃合いを見て蓋をあけます。
④ 塩、コショウをふり、味を整えて出来上がり!
ソーセージを添えて食べ応えのある一品に。ケールとスイスチャードは、焼くと火が通る前に焦げてしまいますが、蒸し焼きにすると全体に短時間で火が通ります。また角が取れてマイルドな味に仕上がり、食べやすくなります。
「自分で育てた野菜や料理レシピをSNSに投稿するのも楽しい、思いがけない暮らしを手に入れました。夕方のベランダには、暗くなったら自動で点灯するランタン型のライトを吊して、夕暮れどきも絵になる空間に。ベジトラグから枝垂れているオレンジ色の花はナスタチウムで、私が育ててみたかった野菜の一つです。次々咲く花は、花瓶に活けて楽しんでいます。マンションに暮らしながら、自分で育てた花を飾って楽しんだり、季節の野菜やハーブを摘んで料理するような暮らしができるなんて、思ってもみませんでした。次は何を育てようかなって、夢がふくらみます!」
庭がなくても、ちょっとしたスペースやベランダで、一年中、野菜づくりやハーブ栽培が実現するベジトラグ。さあ、ベジトラグでガーデニングを始めませんか?
Credit
記事協力 / 青山ガーデン
“庭の暮らしを豊かに、幸せに”をコンセプトに、一人ひとりに合わせて「集う」「眺める」「くつろぐ」「育てる」など様々なライフスタイルの提案を行う、ガーデニング&エクステリア専門のオンラインショップ。
家族や友人、子どもたちの笑顔があふれ、季節の移ろいを感じられる憧れの庭に必要な全てのモノが揃うお店です。
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写真&文 / 黒瀬佐紀子 - フードスタイリスト -
くろせ・さきこ/書籍『缶つま』(世界文化社)や雑誌、 TVなどで、手軽で美味しいレシピを提案。
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