5株でも見応えあり! 簡単寄せ植え#12 初夏
狭い場所でも、地植えできない場所でも、気軽に季節の花を楽しめる「寄せ植え」。たった5株の苗を組み合わせることで、花の愛らしさと葉の調和によって、うるおいのある一鉢ができます。見応えある寄せ植えを紹介してくれるのは、グリーンギャラリーガーデンズの堀田裕大さん。初心者でも簡単にできる初夏の寄せ植え作りのコツと花苗選びについて教えていただきます。
目次
寄せ植えづくり【5苗の役割】
寄せ植えの作り方は、用途や製作者によって多少異なりますが、植えた草花の成長も楽しむためには、ある程度ゆとりをもって植え込むことがポイントです。ここではあちこちに置けて汎用性が高い、内径21cmのコンテナを使いますが、それには9cmポット苗なら5株ほどがちょうどいいボリューム。植物それぞれに、主役、準主役、脇役(引き立て役)といった役まわりを持たせて植え込みます。
主 役:1種類/花が大きくて目立つなど存在感を放つ植物。
準主役:2種類/主役に次ぐ、存在感を放つ植物。
脇 役:2種類/主役、準主役を引き立てつつ、全体を調和させたり、動きを出したりする植物。
※主役が2種類あって、準主役がないこともあります。
◆今回使う5株の花苗
- ヤマアジサイ 九重麗華 ……主役
- ロベリア‘マリーン・アイス’ ……準主役1
- ユーフォルビア‘ダイアモンドスノー’ ……準主役2
- ヒューケラ‘ライムリッキー’ ……脇役1
- カレックス‘フロステッドカール’ ……脇役2
では、今回セレクトした5種の魅力をご紹介しましょう。
【今回使った植物紹介】
ヤマアジサイ 九重麗華
アジサイ科落葉低木
草丈:0.5~1m
開花期:5~7月
花色:青紫
深みのあるブルーのヤマアジサイで、大輪花の獅子手まり咲き。株はコンパクトにすっきりまとまり、清涼感たっぷり。寒さに強くて育てやすい。
ロベリア‘マリーン・アイス’
キキョウ科非耐寒性多年草
草丈:15~30cm
開花期:4~10月(夏は休む)
花色:白×青
発色のよいブルーと白のコントラストが美しいロベリア。株を覆うように蝶のような花を咲かせる。従来種よりも、雨や暑さに強く育てやすい品種。過湿を嫌うので、やや乾燥気味に管理して。
ユーフォルビア‘ダイアモンドスノー’
トウダイグサ科非耐寒性多年草
草丈:30~45cm
開花期:4~11月
花色:白
やや大型の丸い株に育つ、生育旺盛な八重咲きのユーフォルビア。雪が積もったような小花が株を覆い尽くし、ふんわり美しい草姿になる。‘ダイアモンドスノー’は、春から晩秋までずっと咲き続ける品種。過湿が苦手なので梅雨時などは注意を。
ヒューケラ‘ライムリッキー’
ユキノシタ科多年草
草丈:約40cm
開花期:5~7月
花色:白
しっとりとした印象のカラーリーフで、別名ツボサンゴ。輝くようなライムグリーンの葉が美しい品種で、特に春は黄色の発色がよい。初夏に白い小花を細長い花茎にたくさん咲かせる。丈夫で生育が早い。
カレックス‘フロステッドカール’
カヤツリグサ科多年草
草丈:約30cm
開花期:5~6月
花色:茶
葉が極細でやわらかくカールする品種で、葉色は白みがかる。生育は旺盛で強健なので、株が大きくなったら株分けをして調節して。
◆寄せ植えに使うコンテナと基本の道具
どんな植物ともよくなじむ、色が薄くシンプルなデザインの素焼きのコンテナを使います。床に直置きでも何かの上に置いても、違和感のない大きさなのもポイントです。サイズは、高さ23cm、内径21cm。
- 土入れ用トレイ/植え付け時の土がこぼれるのをキャッチ。
- 土入れ/狭い場所に土を注ぎ入れるのにも便利。
- 鉢底ネット/土の流出や、ナメクジなどの害虫が鉢内に侵入するのを防ぐ。
- 植え替え棒/植え付け時に、根株の隙間に培養土がきれいに入るようにつつくための棒。
- 園芸用ハサミ/枯れた花や葉を摘んだり、茂りすぎた枝葉を整理するのに使います。
- 肥料/鉢内で植物が成長するのに必要な栄養。
- 鉢底土/水はけをよくするために、鉢底に敷く軽石。
- 培養土/植物が成長するための土壌。園芸店やホームセンターで販売されている草花用を使用しましょう。
初夏の寄せ植え作り【植え付け手順】
1. 植え込む前に、苗を並べてイメージのデザインを確認しておく。
2. コンテナの穴に鉢底ネットを置く。
3. 鉢底土をコンテナの2割ほどまで入れる。
4. 培養土に元肥を混ぜ込んでおく(※肥料によって、入れる量は異なります。パッケージに記載された規定量を使いましょう)。
5. 鉢底石が入ったコンテナに、土入れで培養土を入れる。
6. 苗の根鉢が入る程度のスペースを残しておく。
7. 植え替え棒を使って、根鉢をほぐすようにしながら崩していく。
8. 根鉢の肩の部分も削り、写真の程度まで崩す。
9. アジサイを向かって中央右側に植える。
10. ロベリアをアジサイの左脇後方に植える。
11. ユーフォルビアをアジサイの左側に植える。
12. 一番手前にヒューケラを植える。
13. カレックスは根鉢を2分割にする。
14. カレックスをヒューケラの左右後方に植える。
15. 全部の苗を入れたら、土をやさしく入れていく。ウォータースペース(水やり時に水や土があふれてこないようにとる、土の表面から鉢の上縁までの空間)として、2cm程度あけること。
16. 植え替え棒で根鉢のすき間を軽くつつきながら、でこぼこした土の表面を指でならす。
17. 葉や茎の重なりを直して、見栄えを整える。
18. 完成!!
アジサイを主役にしてブルーでまとめた涼やかなアレンジです。アジサイは花をかたまりで咲かせるので、ふんわりと空気をまとうユーフォルビアとロベリアを合わせ、アジサイの魅力を際立たせました。手前に植えたヒューケラは、明るい葉が鉢の縁からあふれ出るような向きに植え、アレンジの存在感を高めています。
【デザインのポイントまとめ】
◇アジサイはヤマアジサイ系をセレクト
→コンパクトな系統を使い、草花となじみやすく。
◇小花類やヒューケラを合わせる。
→花や葉の大小でメリハリをつける。
◇ヒューケラは明るい品種を選ぶ。
→ともすると地味になりやすいブルー系のアレンジは、反対色の黄緑系のリーフでインパクトをアップ!
◇カレックスは2カ所に入れる。
→動きと軽やかさをプラス。
【置き場所や管理のポイント】
植栽の手前にあるレンガの上にアレンジを飾り、半日陰の陰影のある緑とアジサイの放つ清涼感を対比させました。しっとりとした花合わせの艶やかさが、美しく際立っています。
日向~半日陰の風通しのよい場所に置きましょう。
アジサイは水切れに、小花類は蒸れに弱いので、水やりなどに気をつけて。
花がらは花茎の根元からこまめに摘むようします。株が弱ったり花数が減ったりしないように、液肥なら1週間に1回、粒状の肥料なら1カ月に1回、追肥を忘れずに施します。
Credit
制作&アドバイス/グリーンギャラリーガーデンズ 堀田裕大
グリーンギャラリーガーデンズ店長。切り花の業界で学んだデザインのノウハウを生かした寄せ植えづくりに定評があり、2017年日比谷ガーデニングショーの寄せ植えコンテストで農林水産大臣賞を受賞。園芸誌などでも活躍中。
グリーンギャラリーガーデンズ紹介記事はこちら
SHOP DATA
東京都八王子市松木15-3
TEL:042-676-7155
営業時間;10:00~19:00 (火曜日10:00~17:00)
http://www.gg-gardens.com/
写真・文/井上園子
ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。
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