憧れのバラ咲くトンネル! バラのアーチの魅力と作り方を徹底解説!

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西洋風の庭で見かけるおしゃれで豪華なバラのアーチを、自宅に取り入れたいと思っている方も多いのではないでしょうか? この記事では、そんな憧れのバラのアーチの魅力から、設置する際の注意点、作り方までを詳しくご紹介します。
目次
バラのアーチとはどのようなものか

バラのアーチは「フラワーアーチ」や「ガーデンアーチ」とも呼ばれ、アーチ形の構造物の両側につるバラを植え、枝(シュート)を誘引して仕立てます。アーチの素材は、鉄や樹脂製、さびにくいステンレスやアルミ、ナチュラルな雰囲気の天然木などさまざま。大きさも千差万別で、人一人が通れる程度の幅で奥行きが短いものから、回廊のように幅広で距離も長いものなど、置き場所や用途によって異なります。
バラのアーチの魅力

バラのアーチを庭に取り入れるメリットは、景観に高低差が生まれることです。高低差があると空間を立体的に演出することができ、広がりが生まれます。さらに見た目も華やかで、庭をよりロマンチックな空間にしてくれます。
またバラを自然樹形で植えっぱなしにするよりも、アーチに仕立てることによって、花が密集してより多く咲き、バラの美しさを強調して見せる効果も期待できます。
バラのアーチに適した品種の選び方

バラのアーチは、どんなバラでも仕立てられるわけではありません。美しいバアーチをつくるためには、バラの性質を知って適した品種を選ぶのも重要です。
バラの樹形には大きく分けて、枝を2m以上伸ばして生育するつる樹形(クライミングローズ)、枝を1〜2m伸ばして半自立する半つる樹形(シュラブローズ)、支えがなくても自立する木立樹形(ブッシュローズ)の3タイプがあります。このうち、アーチの仕立てに向くのは、しなやかな枝を長く伸ばすつる樹形のバラ(クライミングローズ)。小型のアーチであれば、半つる樹形のバラ(シュラブローズ)を誘引するのもおすすめです。
では、バラのアーチに適した品種選びのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
バラの選び方その1
アーチの大きさに合った品種を選ぶ

アーチに仕立てるバラを選ぶ際に最も重要なのは、アーチの大きさや高さに合った品種を選ぶことです。門のように大きなアーチには枝(シュート)がしなやかな硬さでよく伸びる品種を選び、小型のパイプアーチには自立性が強い樹高の低い品種を選ぶとよいでしょう。樹勢が強く大きくなりすぎる品種もありますので、バラが根付いて成長した姿を考慮して選ぶのもポイントです。また、うつむきがちに咲く品種を選べば、下から見上げた時に花の顔を楽しむことができます。
バラの選び方その2
つるバラがベストとは限らない

アーチに仕立てるバラは、基本的にしなやかな枝を長く伸ばし、誘引しやすいつるバラ。ですが、常につるバラが最適というわけではありません。枝を長く伸ばすつるバラは樹勢が強い品種も多いため、剪定などの手入れに非常に手間がかかってしまうことも。また、一季咲きや返り咲きの品種が多く、選択肢が限られてしまう場合もあります。
初心者の方には、シュラブ系の品種もおすすめです。シュラブ系の品種は四季咲き性も多く、ものによっては春から秋までバラの咲くアーチを楽しむことも可能です。花形や花色も多く、香りの強いものやトゲの少ないものなど、幅広い選択肢から選ぶことができます。ただし、シュラブ系は、つるバラに比べると枝が長く伸びにくいので、小型のアーチなどに取り入れるとよいでしょう。
バラの選び方その3
慣れてきたら複数の品種を取り入れる

バラのアーチを作る場合、経験の少ない初心者のうちは1品種でつくることをおすすめしますが、慣れてきたら複数の品種を取り入れると表現が広がります。
複数の品種を組み合わせることで、異なる色や花形のバラが混ざり咲く風景をつくることができます。アイデア次第でさまざまな表現ができるのはバラのアーチの醍醐味ですので、慣れてきたら、ぜひチャレンジしてみてください。
バラのアーチをつくるときの注意点

バラのアーチを美しく、そして安全に作るためには、いくつか気を付けなければならないことがあります。ここではバラのアーチを仕立てる際の注意点について、項目ごとにご紹介します。
注意点その1
設置場所は慎重に選ぶ

バラのアーチは倒壊すると大変危険です。設置する際は、強風などで倒れたり飛ばされたりしないように、設置場所を慎重に選び、アーチをしっかり地面に固定する必要があります。
周囲に大きな建物や風よけになるものがない場所は吹きさらしになり、直接風を受けて倒れたり飛ばされたりしてしまう可能性が高いため、できるだけ避けたほうがよいでしょう。アーチを固定するために、アーチの脚をしっかりと地中に埋めてセメントなどで固定するのも重要です。
注意点その2
品種選びにも気を配る

特に初心者の場合は、剪定や誘引の作業が負担にならないよう、樹勢の強すぎない品種を選ぶことが大切です。手入れが大変な品種は、作業だけで手いっぱいになってしまい、せっかくのバラのアーチを楽しむ余裕がなくなってしまうことも。枝が硬くて曲げにくい品種や、毎年強いシュートが何本も伸び出て、スペースに収まらないような品種は避けたほうが無難でしょう。
注意点その3
場所によってはトゲに注意する

バラのアーチは、ベランダや人通りの多い場所など、設置場所によってはトゲが当たって怪我をしないように気を配る必要があります。バラのトゲも美しい造形で、魅力の一つといえますが、あまりに鋭かったり数が多いと、服や体に引っ掛かり安全に通行できなくなってしまいます。特に小さなお子さんなどは、トゲに気づかずに触ってしまう恐れもありますので、十分に注意が必要です。
バラの品種の中には、つるバラの‘サマー・スノー’など、トゲがとても少ない品種もあります。人に触れる可能性が高い場所には、トゲのない品種や少ない品種を選ぶのもおすすめです。
注意点その4
鉄製のアーチは錆に気をつける

アーチは定期的なメンテナンスが必要です。鉄製のアーチは比較的安価で頑丈なつくりで、取り入れやすいというメリットがあります。しかし、錆びやすい材質のため、定期的に錆止めを塗るなどのメンテナンスが必要です。錆びて腐食しボロボロになってしまうと、落下したり倒れたりする危険性も高まるので、注意が必要です。木製のアーチの場合も、経年変化による腐食や老朽化に注意が必要です。メンテナンスの手間が気になる場合は、錆びにくいアルミ製やステンレス製のアーチを選びましょう。
注意点その5
庭の大きさに合わせたアーチを選ぶ

アーチを選ぶ際には、置き場所にあったサイズを選ぶのも重要です。庭の大きさに比して大きすぎたり小さすぎたりすると、全体のバランスが崩れてしまいます。庭全体の雰囲気に合わせて、大きさや圧迫感の有無など、完成図をイメージしながら選ぶようにするとよいでしょう。玄関のアプローチや小道に設置する場合は、道幅に収まるサイズを選ぶと見栄えがよくなります。
バラのアーチの作り方の手順は?

ここまで、バラのアーチの魅力やバラの選び方などについてご紹介しました。魅力あるバラのアーチを取り入れてみたいけれど、どのように作ればいいんだろう? とお悩みの方へ、ここからは、バラのアーチの作り方について詳しくご紹介します。
手順1
設置場所を決めて脚の位置に穴を掘る

はじめにバラのアーチを設置する場所を決めます。風の影響を受けにくい場所を選びましょう。
設置場所が決まったら、アーチの脚を埋めるところを事前に土壌改良しておくとよいでしょう。アーチを設置した後に苗を植え付ける穴を大きく掘りたくても、アーチの脚が邪魔になって、掘り起こしたり土壌改良がしにくくなるためです。また、アーチの脚元にも根が伸びて丈夫に生育するように、あらかじめ脚を埋め込む位置の近くを深さ50cmほど掘って、1苗につき10ℓ以上のバラ専用培養土を入れておきます。
手順2
掘った穴に脚を埋め込み、しっかり固定する

アーチの脚は、30cmくらいの深さを目安に埋め込みます。アーチがぐらつかないように固定するためには、穴あきブロックの穴が上向きになるように地中に埋め、ブロックの穴にアーチの脚を差し込むのも一つの方法です。ブロックの穴とアーチの脚の隙間にはセメントなどを流し込んで固定しましょう。さらにブロックが安定するよう、ブロックの周りには小石などを詰めてしっかり踏み固めます。
アーチが風などで倒れないよう、しっかりと固定することが大切です。
手順3
バラを植え込む

アーチの脚の外側にバラの苗を植え付けます。バラは肥料を多く必要とするので、植え付けの際に効きめの長いタイプの元肥を植え穴の底に入れたり、培養土に混ぜておくとよいでしょう。バラ苗の隙間に培養土を入れたら、仕上げに株元の周りにドーナツ状の土手を作ります。その後、バラの株元に水たまりができるくらい、たっぷりと水やりをしましょう。そうすることで、根の隙間に用土が入り込んで株が安定します。
手順4
枝を誘引して麻ひもなどで固定する

植えたバラが成長してシュートが伸びてきたら、適宜アーチに誘引します。アーチ本体に枝を沿わせるように麻ひもなどで固定すると綺麗なバラのアーチになります。バラは成長とともに枝が太くなるので、紐はあまりきつく縛らず、緩めに固定するのもポイントです。バラを植えてからアーチ全体を覆うまでには、一般に約1年以上かかります。バラが休眠する冬には剪定と誘引を行い、綺麗な姿を維持しましょう。
●つるバラの誘引方法についてはこちらの記事もご参照ください。
『バラの専門家がズバリ答える! 美しく咲かせるための作業「つるバラの誘引」』
バラのアーチで庭を素敵に演出しよう!

バラのアーチはゴージャスで、庭を華やかに演出してくれます。アーチの形や品種選びによって、さまざまなバラの咲き姿を楽しむことができます。庭をオリジナリティ溢れるバラ咲くアーチで彩ってみてはいかがでしょうか。
Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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