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堆肥は使ったほうがいい? 種類別の使い方や肥料との違いについて

堆肥は使ったほうがいい? 種類別の使い方や肥料との違いについて

kram-9/Shutterstock.com

皆さまは堆肥(たいひ)をご存じでしょうか? 家庭菜園をしている方は、きっと聞いたことがあると思います。この記事では、堆肥とはどのようなものなのか、堆肥を使うメリットや種類ごとの使い方、肥料との違いについて詳しく解説します。

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堆肥とは?

堆肥
Marina Akinina/Shutterstock.com

堆肥とは、稲わらや落ち葉、家畜ふん尿、食品残渣などの有機物を、微生物の力を使って分解させ、腐熟させたものです。堆肥は用土に混ぜると、土の中の土壌微生物や作物の根から放出されるクエン酸などにより分解・溶解されて、養分として作物の根から吸収されます。吸収されずに土に残った腐植は水分や肥料の成分を保持し、よい土にするとされています。

堆肥と肥料の違い

土壌
Criniger kolio/Shutterstock.com

肥料と堆肥は似ていますが、それぞれ役割が異なります。

肥料は植物の栄養を補うもので、窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)が三大要素となっています。

一方で堆肥は、肥料分を補うだけでなく、土壌の改良も大きな役割です。堆肥を使うことで適度な水はけと水もちのよい土を作ります。

堆肥を使うメリット

家庭菜園
wertinio/Shutterstock.com

ここでは、堆肥を使うことにより得られるメリットをご紹介します。

土が柔らかくなる

土
Sorapop Udomsri/Shutterstock.com

有機質を加えることで、土の中の有機質や粘土などの微細な粒が集まって団子状になる「団粒構造(だんりゅうこうぞう)」という土の状態を作りやすくなります。団粒構造ができると、土中に微細な隙間がたくさん生まれて、水や空気が多く含まれる土になります。こうして常に土の中に適度な水と空気(酸素)があることで、根が健全に育ちやすくなります。

また、土が固いと植物は根を伸ばすことができず、水はけも悪くなります。土壌中に隙間ができると土がふかふかと柔らかくなり、根が伸ばしやすくなります。土が柔らかくなることで根がよく張り、植物の生育にもよい影響をもたらします。

収穫高のアップにつながる

収穫
DedovStock/Shutterstock.com

土が改善されることで根が張りやすくなり、地上部も健全に大きく生育できるので、野菜などの栽培では結果的に収穫量も多くなります。また、有機質が豊富な土は水や空気(酸素)を多く含みますが、同時に肥料分も多く保持することができます。日本は雨が多い気候なので、肥料を施しても雨により流されてしまいやすいのですが、土の保肥力(肥料を保持する力)が高まるのも、野菜の収穫量が増える理由の一つです。また堆肥自体にも肥料となる成分が含まれていて、根から吸収されることで植物の成長を促します。

病害虫の発生を抑えられる

害虫
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堆肥により土壌が豊かになることで、土中に多様な微生物が棲むようになります。これにより特定の病原菌だけが極端に増えることが起きにくくなり、病気の発生が抑えられ、植物が健康に育ちます。健康な植物や土壌は害虫の発生も抑えることができます。

植物由来の堆肥の種類

堆肥
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植物性堆肥は、肥料成分は少ないながらも有機質を多く含みます。土を柔らかくするだけでなく、土中の生物多様性が高まることで病気の発生も減らせるなど、高い土壌改良効果があります。土壌の通気性や保水性を改善する植物性堆肥の種類について、詳しくご紹介します。

わら堆肥

堆肥
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わら堆肥は、窒素、リン酸、カリウムを微量に含んでいます。一般に稲わらに米ぬかや鶏ふんなどを加え、発酵させて作り、畑にまいてすき込んで使います。稲に多く含まれる「ケイ酸」が豊富な土壌になり、病害虫などの発生を抑えることができます。

落ち葉堆肥

落ち葉
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落ち葉堆肥は窒素が多く、リン酸やカリウムも少し含んでいます。ミネラルが豊富で、土の保水性や排水性を高め、肥料成分を保ちます。一般に落ち葉に米ぬかや油かすなどの有機質肥料を混ぜて発酵させて作ります。主成分は落ち葉で、土と混ぜて使用します。腐葉土は落ち葉だけを積んで発酵させた資材ですが、広い意味では落ち葉堆肥ともいえます。

バーク堆肥

バーク
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バーク堆肥は樹の皮(バーク)を発酵させたものです。軽くて通気性と保水性に優れ、土が柔らかくなります。バーク堆肥は土全体の20〜30%になるように混ぜ込んで使用します。

もみ殻堆肥

もみ殻
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もみ殻堆肥はもみ殻を主原料とし、植物かす・微生物その他、良質の有機物を使用しています。余分な水分を排出し、保水性もあります。土に対して15%のもみ殻堆肥を混ぜて使用します。

動物由来の堆肥の種類

動物
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動物性堆肥は、リン酸、カリウム、窒素が多く含まれており、土壌改良効果よりも肥料としての役割を果たすことが多いです。そんな動物性堆肥の種類をご紹介します。

牛ふん堆肥

堆肥
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牛ふん堆肥は炭素を豊富に含んでおり、植物性の有機質の残渣がたくさん含まれる資材です。植物性の有機質が多いので、土壌改良効果もあります。肥料成分は豚ぷん堆肥や鶏ふん堆肥よりも少なく、緩やかに長く効果が続きます。使用方法は腐葉土のように土に混ぜ込んで使います。やや肥料分が多い腐葉土という感じですが、肥料分は土中微生物の餌にもなるので、微生物の多様性を豊かにして病原菌の増殖を防ぐ効果が期待できます。

豚ぷん堆肥

豚
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豚ぷん堆肥は牛ふん堆肥と鶏ふんの間くらいの肥料成分が含有されていて、銅や亜鉛が含まれているのが特徴です。デンプンやタンパク質が多く含まれ、植物性の繊維質は少なく、肥料分の効き目は緩やかです。

馬ふん堆肥

馬
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馬ふん堆肥は他の動物由来の堆肥と比較すると肥料成分は少ないですが、動物性堆肥の中でも土をふかふかにする土壌改良効果が高いとされています。そのため保水性や保肥性の向上効果に優れていますが、同じように土壌改良効果がある牛ふん堆肥と比べると、馬ふん堆肥のほうが高価です。効果は緩やかで、使用する際には土づくりの段階でよく混ぜ込んでおきます。

鶏ふん肥料

肥料
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鶏ふんは、それ自体に植物性有機質があまり含まれないため土壌改良効果はほとんどなく、一般に堆肥ではなく肥料として扱われます。動物性資材の中で一番肥料成分の含有量が高く、速効性の化学肥料に近い性質を持っています。土に混ぜて使いますが、速効性があるので追肥として利用することもできます。未発酵のものは根を傷めるので、作物から少し離して施しましょう。

堆肥を使うときの注意点

ガーデニング
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堆肥を使用する際は、必ず完熟しているものを使いましょう。堆肥の発酵段階では熱が発生しますが、この熱は病原菌の繁殖を抑え、有用な微生物だけを残すというメリットがある一方、未熟な堆肥をそのまま土に混ぜ込んでしまうと、発酵の際に発生する熱やガスで植物の根を傷めてしまうことがあります。また、未発酵の堆肥は、有害な微生物や雑草の種子を持ち込む原因ともなります。

植物の栽培には堆肥を使うと大きなメリットがありますが、それも適切に土と組み合わせることで生まれるものです。大量に使いすぎると土壌のバランスが悪くなり、植物の生育に影響を及ぼす可能性があるので、少量ずつ使用しましょう。

堆肥を使った豊かな土壌で植物を育てよう

家庭菜園
Pixelbliss/Shutterstock.com

堆肥にはさまざまな種類があり、土壌を豊かにする効果や植物の成長を助ける役割があります。目的に合った堆肥を使い分けて、ぜひ日々のガーデニングに生かして園芸を楽しんでください!

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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