トップへ戻る

ボーダーガーデンとは? つくり方やおすすめの植物をご紹介

ボーダーガーデンとは? つくり方やおすすめの植物をご紹介

Shelli Jensen/Shutterstock.com

ボーダーガーデンと聞いてどんな庭をイメージしますか? ボーダーガーデン(ボーダー花壇・帯状花壇)は花数の多さや、庭に取り入れやすいなどのさまざまな魅力から、多くのガーデンファンから人気を集めている庭デザインの一つです。この記事では、ボーダーガーデンとはどんなものかについての説明から、どのような手順で作るとよいか、そして、ボーダーガーデンづくりのコツまで解説します。おしゃれな庭に憧れている人や、庭のリニューアルなどの際の参考にしてください。

Print Friendly, PDF & Email

ボーダーガーデンについて知ろう!

ボーダーガーデン
Anjo Kan/Shutterstock.com

まずは、ボーダーガーデンとはどのようなものなのかについて、詳しくご紹介します。

ボーダーガーデン(帯状花壇)はイングリッシュガーデンに見られるスタイルのこと

イングリッシュガーデン
Henk Vrieselaar/Shutterstock.com

ボーダーガーデンについてより理解しやすいように、まずは基本的なガーデンの様式の種類についてご説明しましょう。

今回ご紹介する「ボーダーガーデン」は、西洋風庭園の様式の一つである「イングリッシュガーデン(イギリス式庭園)」の中の代表的なスタイルです。また、イギリス発祥のイングリッシュガーデンのほかに、イタリア式やフランス式などもあります。

日本ではイングリッシュガーデンというと、洋館の周りに草花があふれ、緑豊かな田園風景が広がっているなど、自然風の景観づくりを施された庭園を指すことが多いようです。郷愁を誘うひなびた小さな家屋に調和する庭は「コテージガーデン」と呼ばれ、特に、これを指してイングリッシュガーデンということもあります。こうしたイメージが流布することで、日本では現在のような自然美にこだわる庭のスタイルがイングリッシュガーデンとして浸透・認識されるようになりました。実際は、花壇をツゲなどで囲んだり左右対称にデザインされた整形式庭園やキッチンガーデン(ポタジェガーデン)など、さまざまな様式を含む場合もあります。

そして、ボーダーガーデンとは自然風ガーデンの園路の脇などにつくられる、帯状の花壇のことです。

ボーダーガーデンの魅力と特徴

ボーダーガーデン
Shelli Jensen/Shutterstock.com

ボーダーガーデンの特徴として、花壇が建物や塀、庭の小道などに沿って細長くつくられていることが挙げられます。花壇には、手前に背丈の低い植物を、奥に行くにつれてだんだん背丈の高い植物になるように植栽することも特徴の一つです。この配置によってイギリスの田園風景を彷彿とさせるような代表的なスタイルに近づけることができます。

植える草花は、毎年芽吹き花咲く「宿根草(多年草)」と、花後は枯れてしまうけれどたくさんの種子をこぼす「一年草(二年草)」をメインに使うことが多く、より華やかな仕上がりになるバラ(樹木)を混ぜることもあります。どれらも毎年、季節になると多くの花が咲きますが、じつは花の数に対してそれほど苗代のかからないことから、コストパフォーマンスが高い花壇という利点があります。

ボーダーガーデンのつくり方

花苗
Sally B/Shutterstock.com

見栄えのよいボーダーガーデンをつくるにはどのようにすればよいのでしょうか。季節ごとの草花や彩り、配置のバランスなどを考えて計画的につくっていくことで、より素敵な仕上がりにすることができます。ここではボーダーガーデンを制作する上での「手順」について詳しくご紹介します。

必ず入れたいメインの花と色を決める

ガーデニング
LightField Studios/Shutterstock.com

まず庭の主役になるような、好みの花を決めることから考え始めれば、つくりやすいです。例えば、メインに選ばれる代表的な植物にはバラがありますが、華やかな見た目が加わることで、イングリッシュガーデンの雰囲気にぐっと近づきます。

また、複数の草花を組み合わせて植え付けると豪華な仕上がりになるので、なるべく開花期がばらけるように種類を選ぶと、季節の移り変わりに合わせて常に花が楽しむことができ、色々な花色があれば見栄えがよくなります。

具体的なおすすめの植物については、後の段落でご紹介します。

全体の色合いを考える

ガーデニング
Alexander Raths/Shutterstock.com

メインの花や色合いが決まったら、メイン以外の花の色合いを考えていきます。例えば、バラのように赤やピンクなど暖色系がメインになる場合は、それ以外には暖色が引き立つように寒色系の青や紫・白色を選ぶ、などといった具合に決めていくとよいでしょう。

特に白は使い勝手がよく、全体がまとまった印象になったり、庭を明るく見せる効果もあります。白の場合は花の色だけでなく、斑入りの葉っぱや銀がかったシルバーリーフなどを組み合わせると、洗練された雰囲気がプラスされます。

隣り合う植物は、葉の形や株姿が異なるものを組み合わせるとお互いが引き立ちます。似たような葉の形や株姿の植物を並べて植えると、印象が単調になりがちです。

高低差を考えながら植物を組み合わせる

ボーダーガーデン
SGM/Shutterstock.com

色合いを決めたら、次は実際に使う植物の草丈のバランスを考えてみます。植え付ける時は小さな苗でも、育ったら背が思ったより高くなったり、横に広がっていくものもあります。購入時に苗に添えられているラベルや図鑑などに記載された草丈を参考にしながら、それぞれの大きさを確認しておきましょう。そして、簡単な配置図を書いておくと、植え付ける時にスムーズに作業を進めることができます。

さらに選んだ植物が日向を好むのか、日陰が向いているのかなど、どのような環境を好む性質であるかをしっかりと把握し、それらも意識しながら手前から奥にかけて高くなるような配置を考えていきます。

最後に全体のバランスを調整する

ガーデニング
Paul Maguire/Shutterstock.com

ここまでの流れを経て完成図をイメージする際には、必ず庭全体を俯瞰するように見渡すことが重要です。植物を植えたところを想像したとき、少し色合いが寂しい場所があったり、植物が密集してしまうところがないように計画しましょう。

細かい部分では、植えたい植物の葉の形を実際に見ながら、異なる形のものが隣り合うようにすると花壇が綺麗に見えやすくなります。ところどころに小花などでアクセントを加えるのも華やかさがアップする方法です。

種類別! ボーダーガーデンにおすすめの植物一覧

花
Andrey_Popov/Shutterstock.com

ここからはボーダーガーデンにおすすめの植物を順にご紹介します。

一年草と宿根草

ボーダーガーデン
Dean Clarke/Shutterstock.com

まずは一年草(二年草)のおすすめをご紹介します。

一年草には花数が多く、開花期間が長い種類があるので、季節ごとに植え替えることで庭に彩りを添えてくれることでしょう。

個性的な花形のキンギョソウや、冬の寒さにも強く花色が豊富で育てやすいパンジーやビオラ、たくさんの花をつけるのが魅力のデイジー、小花が密集して咲いて花期が長いスイート・アリッサムなどは、背丈が低めなので手前に植えるのがおすすめです。

背丈が高めで優美な花をつけるカンパニュラストックリナリアニゲラなどは花壇の中景に植えるとよいでしょう。

次は、宿根草(多年草)のおすすめをご紹介します。宿根草と同様に、耐寒性の球根植物も一度植えたら長生きをする植物なので、同じように選ぶとよいでしょう。

球根では、春に咲くラナンキュラス・ラックスフリチラリア、初夏に咲くアリウムユリアガパンサスなど、大きな花が魅力の植物を取り入れると、ボーダーガーデンの主役になります。

そのほかにも、俯き加減に美しい花をつけ半日陰でも育つクリスマスローズや、ピンクの花が可愛らしいナデシコ、暖色系のバラエティ豊かな花色があるピオニー(シャクヤク)などは、庭に使う色合いに合わせて取り入れるとよいでしょう。つるが伸び、建物の壁面やオベリスクに仕立てられるつる植物のクレマチスなども花が咲き続けるのでおすすめです。

また、見た目を楽しむだけでなく、収穫して楽しむことができる植物を植えるのもいいですね。例えば、香りがよい葉が茂り一年中収穫を楽しめるローズマリー、花を積んでハーブティーにもなるカモミール 、ドライフラワーにしても飾れるスターチスなどがあります。

育てやすく初心者の方にもおすすめなのが、 脇役としても活躍する葉物、カラーリーフプランツです。日陰でも花をつけ細長い葉がアクセントになるヤブランや、大小さまざまなサイズがあり春から秋まで緑が美しいギボウシ、早春に繊細な花茎を伸ばすヒューケラやティアレラなどがあります。

ここでご紹介した植物をバランスよく取り入れて、ぜひ素敵なボーダーガーデンづくりに役立ててください。

メインになる花

フェンス
Jorge Salcedo/Shutterstock.com

ボーダーガーデンのメインにおすすめの植物には、イングリッシュガーデンの代表選手ともいえるバラが挙げられます。一輪が大きな花を咲かせるものよりも、花数が多く軽やかな印象の種類が多いオールドローズや春以降も繰り返し咲くイングリッシュローズはボーダーガーデンによく取り入れられています。ただし、バラを育てる際は、病害虫対策や冬の剪定をするなどの個別の管理が必要になります。

そのほかにはアロマ効果も期待できるハーブとして、優しい色彩のラベンダーや、赤やピンクが鮮やかなセージサルビアをメインにするのもよいでしょう。

高低差のある植物

ボーダーガーデン
Maria Evseyeva/Shutterstock.com

バランスのよい花壇をつくる上で重要な、植物の背の高さに着目しておすすめの植物をご紹介します。

背が高く背景になる植物として樹木も選択肢の一つですが、大きくなりすぎないように低木を選ぶとよいでしょう。例えば、比較的育てやすく樹高1~3mのブルーベリージューンベリー、樹高2m以下のアジサイ、濃厚な香りが魅力で樹高1~2mのクチナシやジンチョウゲどがあります。

次に中間の位置に取り入れたい草花をご紹介します。草丈が約1~2mになり花が縦に並んで咲くタチアオイ、草丈150cmほどで赤や黄色の花をたくさん咲かせるルドベキア、草丈150cmほどに伸びた花茎に下から上へ順に花を咲かせるデルフィニウムやハイブリッド・ジギタリスなどです。

背の低い草花では、草丈約20~30cmのワスレナグサエリゲロン・カルビンスキアヌス、草丈が約15~50cmで耐寒性が高く初心者でも育てやすいアネモネなどが挙げられます。

ボーダーガーデンをつくる際のポイント!

ガーデニング
CokaPoka/Shutterstock.com

ボーダーガーデンを美しく維持するためにはどのようにすればよいのか、そのコツをご紹介します。

庭に植える植物を決める段階で、宿根草と一年草はゾーンを分け、それぞれで固めて植えるとお手入れがしやすくなります。また、日陰になってしまう場所には日陰でも育つ植物を植えるように注意して選ぶ必要がありますが、その際に斑入りの葉物やラムズイヤーなどの色の明るい植物を選ぶことで、暗い日陰の印象を明るく変えることができます。

また、種類にもよりますが、植物は秋か春に植えるとよいでしょう。その際、植物の種類ごとに少し間隔をあけて植えるように注意します。秋頃には忘れずに追肥をして、冬には剪定や球根の株分けなどの手入れをしましょう。

日ごろから草むしりなどの手入れが必要ですが、植物の根元にウッドチップを敷いたり、タイム、リシマキアなどのグラウンドカバープランツを植えることで雑草が茂りにくくなります。土壌は水はけのよい土づくりを心がけ、夏の水やりは高温多湿にならないよう朝か夕方に、冬場は土が凍らないよう夕方以降は避けるようにしましょう。さらに、こまめに植物の状態を観察して病気や害虫がいないかのチェックを定期的にすることで早期に対策することができます。

自分だけの素敵なボーダーガーデンをつくってみよう!

ガーデニング
Shelli Jensen/Shutterstock.com

この記事では、ボーダーガーデンとは何かから、その魅力やつくり方までを詳しくご紹介いたしました。自然に囲まれ落ち着けるような庭園に仕上げたい方には非常におすすめのボーダーガーデン。ぜひ記事を参考に、自分好みの素敵なボーダーガーデンをつくってみましょう。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

Print Friendly, PDF & Email

人気の記事

連載・特集

GardenStoryを
フォローする

ビギナーさん向け!基本のHOW TO