ペットと暮らす庭づくりVol.3「コロナ禍だからこそ犬も人もノンストレスの環境作り」
コロナ禍で暮らしが変わったのは人だけでなく、犬も今までとは違う生活を送らざるを得ません。じつは、リモートワークなどで人がずっと家にいるのに慣れない犬も多く、これまでとは違う環境に、人知れずストレスをためていることも。ノンストレスで暮らしていくために、庭という戸外空間を犬のためにも人のためにも、今こそ活かしましょう。
目次
犬と快適に過ごすために庭を充実させよう
コロナ禍でストレスがたまるのは犬も同じ。いままで飼い主が会社や学校へ行っている間は家でお留守番していた犬たちにとって、飼い主の在宅ワークはうれしい半面、なんだかいつもと違う環境にじつはストレスを感じている場合も少なくありません。特に子どもがいる家では、騒がしくて静かに眠れない、常に構われる…などのストレスが。犬も、コロナ禍で変容したライフスタイルにプチパニックになるものです。
そんな時こそ、お互いが心地よい環境を意識的に作ることが大切。庭を充実させて、犬と人が一緒に楽しめる空間を作ってみてはいかがでしょうか。戸外空間は季節感も感じられ、リラックスして過ごせるものです。
犬にとって心地よい庭づくりのポイント/フェンス
愛犬の安全を守るためのフェンスの高さ
犬を庭で放す際には、愛犬の安全や近隣への配慮のためにも、必ず庭を囲うフェンスが必要です。
フェンスの高さは犬種や犬の体格、性格に合わせて選びますが、小型犬でも最低120cmは確保したほうが安全です。体格の小さな犬でも、運動能力が高かったり、好奇心が強かったりといったそれぞれの性質によって必要となるフェンスの高さは変わるので、愛犬の普段の様子をよく見て高さを設定しましょう。
フェンスは足かけできない縦格子がおすすめ
フェンスは高さだけでなく、どんなデザインかも重要。犬の跳躍では飛び越えられない高さに設定していても、足をかける場所があると、犬によっては器用によじ登って外へ出てしまいます。足をかけられる場所がない「縦格子」のみのデザインのほうがおすすめです。
フェンスの隙間にはカバーを
フェンスはパブリックスペースとの境になる重要な要素です。犬の保護と近隣の方への配慮、特に通りかかる子どもへの配慮を徹底する必要があります。
子どもは犬に興味を持って、なでたり触ったりしようとして、フェンスの隙間から手を差し入れたりすることがあります。すると、犬がびっくりして噛んでしまうケースがありますが、こうした不幸なアクシデントが起こらないよう、フェンスの隙間は狭く手が入りにくいものとし、さらにネットカバーなどをつけたりすると安心です。
犬にとって心地よい庭作りのポイント/床面の整備
ベストは天然芝、人工芝は厚さを選んで
床面は犬の足腰の負担になりにくく、温度も上がりすぎない天然芝がおすすめです。草木の匂いがしたり、四季に合わせて手足に感じる感覚も変わるので、犬にとっては楽しくて、よい刺激になるようです。
芝刈りが面倒という場合は、人工芝でもよいでしょう。人工芝の場合は、厚さ40mmのものがクッション性もあり、おすすめです。私は「犬と住まいる協会」の会員でもある「グリーンフィールド」のリアリーターフという抗菌防臭機能のある人工芝を使用しています。消臭機能はありますが、おしっこをしてしまったら、すぐにしっかり水で洗い流すことが大切です。天然芝の場合も芝が傷むことがあるので、水で洗い流しましょう。
段差や滑りやすい環境は避けて
犬種に合わせて凸凹があるドッグランもいいですが、足の短い犬種や老犬には、ぜひバリアフリーを心がけてください。スロープも急斜ではなく、ゆるやかなほうが上りやすく下りるのも安全です。タイルを敷く場合には表面がツルツルではなく、ザラつきのある滑りにくい素材を用いましょう。
手洗い場があると便利
犬の体格に合う手洗い場があると、外で体を洗ってあげられるので便利です。お湯も出るようにしておくと、外でシャンプーができます。そのまま乾かしてあげられるようドライヤーが使えるコンセントがあると、なおよいですね。
犬にとって心地よい庭作りのポイント/日除けと植栽
日除け対策はお忘れなく
毎年、激化する夏の暑さ。とくに外飼いの犬にとっては、つらい季節です。木陰を作ってくれる樹木を植栽したり、パーゴラやパラソルなど、日除け対策をして涼める場所を作りましょう。
食べてはいけない植物に注意
前回ご紹介したように、犬にとって危険な植物は身近にたくさんあります。本やネットなどでしっかり調べてから植えましょう。
室内でも犬の暮らしのペースに配慮を
きちんと整えられた屋外空間で遊べば、ストレスもたまりにくくなりますが、室内でも少し犬の暮らしのペースに配慮してあげてください。
例えばリモートワークをする時は、犬を同じ部屋へ入れないようにして、別々に過ごすことも大事です。噛んで遊びながら食べられるボーンを与えたり、お気に入りのおもちゃを渡したりして、別の部屋にいても楽しいと思えるような環境を作ってあげるといいですね。
いつもお留守番に慣れていた犬にとって、お昼寝は大切な睡眠時間。ましては老犬の場合は、寝ることで体力を回復する大切な時間です。寝顔が可愛いからと触ったり、起こしたりせず、静かに寝かせてあげましょう。
犬はいうまでもなく大切な家族。お互いを思いやり、ぜひ庭も活用しながら上手にストレスを発散させて、楽しく暮らしましょう!
Information
(一社)犬と住まいる協会 九州エリアマネージャー/㈱クラフト・リノベーションスタジオ
江口礼奈
https://www.instagram.com/claft_renovation.studio/
Credit
執筆/株式会社グリーン情報
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