庭づくりを始めるとき、まずはシンボルツリーを植える方が多いと思います。シンボルツリーは庭や建物に彩りを与え、生活をより豊かにしてくれるでしょう。ただ、樹木は成長し続けます。伸びすぎた枝は見栄えが悪いだけでなく、時には樹木にとっても悪影響を及ぼす恐れがあります。そこで必要となる作業が枝などを切り落とす「剪定」です。今回はそのためにまず必要となる道具の紹介、また剪定の時期や方法について解説します。

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剪定とは

剪定

剪定とは、植物が成長する過程で伸びすぎたり増えすぎてしまった枝葉を取り去り、樹形を整えることです。樹形の維持、生育のコントロールだけでなく、風通しがよくなることで病気や害虫の繁殖予防にも効果があります。

剪定作業には適切な方法や時期があるので、それぞれの樹種に応じて行うことが大切です。

剪定に必要な道具

剪定道具

剪定をすることで得られるメリットはとても多く、ぜひ行いたい作業です。では自分で行う場合は、どこから始めればよいのでしょうか。まずは剪定に必要な道具について解説します。

剪定ばさみ

剪定バサミ

手の届く範囲で直径1.5cm程度までの枝を切りたい場合は樹木の種類に関わらず、剪定ばさみを使うのがおすすめです。

大小さまざまなサイズがあります。一般的には、自分の掌よりも少し大きいくらいで、握りやすく、力が入りそうなものを選びましょう。

グリップ部分にバネが内蔵されているので、はさみが開きやすくなっています。

上の画像は刃が弧を描いた形をしているバイパス型というタイプのはさみです。グリップを握ることで上側の刃と下側の受け刃の間隔が徐々に狭くなっていき、少ない力でも枝を切ることができます。

また、ラチェット式というタイプもあります。これは刃の形状ではなく、刃が閉じる機構に特徴があるはさみで、テコの原理を使ってより少ない力で枝を切ることができます。

多くの枝を切る場合や女性は、ラチェット式を選ぶと、作業の負担を軽減させることができるでしょう。

植木ばさみ

植木バサミ

木ばさみともいい、日本では古くから庭木や盆栽の剪定に使われてきたはさみです。

上の画像の一番右と、左から2番目のはさみが植木ばさみです。

刃先が細く鋭いので、通常の剪定ばさみより細かい作業をするのに向いています。

枝の直径が1cm程度までの、細く密になりやすい庭木や草花、盆栽などによく使われるはさみです。

持ち手の形やサイズもいろいろ揃っているので、実際に手に取り、扱いやすいと感じるものを使うのがおすすめです。

刈り込みばさみ

刈り込みばさみ

樹木の葉や枝を刈り込み、表面の形を整える際に使うはさみです。

刃の面積が広く、生け垣やトピアリーなど人工的に整枝された広い面積を単一に整えたい時に適しています。

サイズや柄の素材の違いで種類が豊富にあります。大きなサイズがよいのか、あるいは軽いほうがよいのかなど、実際に使う場面をイメージしながら選ぶとよいでしょう。一般的には柄の部分が長いもののほうが疲れにくいといわれています。

また、剪定の際は、両手を同時に動かすのではなく、片手は柄の中程を握って固定し、もう片方の手を動かすようにすると刃先がぶれず、綺麗に刈り込むことができます。

広い範囲の生け垣を剪定する場合は、トリマーと呼ばれる電動用具を使うと時間と手間を省くことができます。

刈り込みばさみは剪定ばさみなどに比べると大きいのですが、太い枝を切るのには向きません。剪定ばさみで切りにくいような太い枝は、刈り込みばさみよりも刃が短い太枝切りばさみを使うと作業効率がよくなります。

高枝切りばさみ

高枝切りばさみ

手の届かない部分の枝を、はしごや脚立を使わずに切ることができるはさみです。多くは伸縮性のある棒の先端にはさみが付いていて、手元の操作ではさみを開閉することができます。剪定可能な枝は直径1cm以内であることが多いです。太い枝を切ることはできません。購入の際は剪定場所に届くかどうかや切断可能な枝のサイズをよく確認しましょう。また、切るだけではなく、枝をつかむこともできるため、高所の果樹の収穫などにも使えます。

高枝のこぎり

高枝のこぎり

手の届かない部分の枝を、はしごや脚立を使わずに切ることができます。棒の先端にのこぎりが付いていて、高枝切りばさみより太い枝を切ることができます。手動式と電動式があり、グリップが付いていて力の入れやすいものや伸縮性のあるもの、また素材も重さもさまざま。剪定箇所や体力に応じて選びましょう。

比較的太い枝を切ることが多いので、枝の落下時には注意が必要です。人や物に当たらないように気をつけて切り進めましょう。

脚立

脚立

はしごを八の字に組み合わせたものを脚立といいます。はしごのように立てかける必要がなく、作業場所を選びません。また昇降面と作業面を正対させるなど適切に天板や踏み台を活用することで、高い位置でも安定して作業ができます。剪定時は、脚立を切りたい枝の真下に置くと、切った枝や枯れ葉が自分に降りかかって作業しにくいので、少し手前に設置して、目的の枝を斜めに見上げるような位置で作業するようにしましょう。

建設工事などで使われる脚立は、平らな床面で使うことを前提に4本脚になっていますが、園芸作業では、でこぼこした地面の上に置くことも多いため、バランスの崩れない3本脚タイプもあります。

剪定時期

剪定作業

樹種によって、剪定に適した時期や作業内容は異なります。年間を通して美しく元気な姿を保つために、ここでは代表的な剪定時期と内容、及び樹種に応じた作業の仕方について解説します。

夏剪定

夏剪定

夏剪定は軽剪定ともいい、6~8月の間に行います。

日差しの強さ、気温の高まりと共に多くの植物は樹勢が強まります。

春以降、温かくなると枝葉を伸ばしますが、過密に茂った状態だと日光が全体に当たらず、また風通しが悪くなるため、一部が枯れてしまったり、病害虫が発生する原因になります。

また、強風で枝が折れてしまうこともあるので、夏剪定は大切な作業といえるでしょう。

伸びすぎた枝や不要な枝を間引き、樹形を整えることで日当たりと通気性が改善し、健全な生育につながります。

ただし、夏に咲くムクゲサルスベリは、春以降枝が伸びながら花芽が成長します。こうした樹種はこの時期に剪定すると花数が減ってしまうので注意しましょう。

また、アジサイやサツキ、ツツジなどは花が終わったら剪定を行います。

これを「花後剪定」といい、行うことで新しい枝が伸び始め、新しい枝に翌年咲く花芽ができます。

冬剪定

冬剪定

冬剪定は基本剪定ともいい、11~2月の間に行います。

落葉性の植物は気温の低下とともに葉を落とし、生育活動が止まる「休眠(きゅうみん)」という状態に入ります。

この休眠の状態に入ると、植物は多少手荒に扱ってもダメージが少ないので、秋から春は剪定や植え替えの作業に向く時期です。また、休眠期は葉が無いため枝の様子がよく見え、樹形を確認しながら整えるのにもよい時期といえます。

大きくなりすぎた樹木の高さを低くしたり、バッサリと枝を落としたりする強剪定は、この時期ならではの大切な作業といえるでしょう。ただ注意する点もあります。

花木の種類によっては翌年の花芽がすでに枝に作られているので、強剪定で花芽ごと切ってしまうと、翌年花が咲かない場合があるということです。ですから剪定したい木が花芽をいつ、どの枝に付けるかを知っておくことが大切です。

春から初夏に咲く花の多くは、前の年の秋にはすでに花芽ができています。

代表的なものとしてはサクラウメモモなどのバラ科の花木や果樹、アジサイ、サツキ・ツツジ、フジ、ザクロハナミズキヤマボウシなどが挙げられます。

モミジは落葉してから休眠が終わるのが早いため、葉が落ちたらすぐに剪定するようにしましょう。

常緑針葉樹(コニファー)

コニファー

常緑針葉樹とはその多くが針状の細長い葉を持つヒノキ科やコウヤマキ科など、一時期で一斉に葉を落とすことのない針葉樹の総称です。いわゆる「コニファー」と呼ばれる樹木もこのタイプに分類されます。

これらの剪定の適期は3~4月の芽吹きの時期です。

スギやマツは日本の山などに多く自生し、庭木や木材としての利用が盛んです。あまり剪定を必要とせず、放任でも綺麗に育ちますが、生け垣などに利用している場合は剪定が必要です。

コニファー類の生け垣は、一般的な生け垣用の樹種と同じように刈り込みばさみなどで刈り込むと、葉の断面が茶色くなって目立ってしまいます。丁寧に葉のつけ根で切るか、なるべく芽吹きのギリギリになって刈り込み、その後に伸びた葉で切り口が隠れるようにするとよいでしょう。

軽い剪定であれば、真夏と真冬以外いつでも可能です。特にヒノキ科の樹木は葉が密になりやすく、光の当たらない内側は枯れ込みやすいため強剪定は向いていません。コンスタントに剪定を行うことが樹形維持のポイントです。

例外として、マツの仲間は春に新芽を摘み取る「ミドリ摘み」と、秋に古い葉を落とす「もみ上げ」という作業をすることが美観の維持に不可欠です。

コニファー類は、緑の葉がないところからは新しい芽が出にくい性質を持っています。

木が大きくなりすぎたからといって葉が無い太い枝のところまで剪定してしまうと、新しい芽が出ないでそのまま枯れ込んでしまうことがあります。コニファーが大きくなってしまったら、葉のあるところまで剪定して、なるべく木の内側に新しい芽が出るのを待つしかありません。

こうしたことを避けるためにも、定期的な剪定を行うのがよいでしょう。

落葉針葉樹

落葉樹

落葉針葉樹とは、針葉樹の中で休眠期に一斉に葉を落とす針葉樹の総称です。イチョウやメタセコイヤ、カラマツなど公園や庭木としてよく植えられています。自然樹形できれいに育ちますが、大きくなるので必要に応じて剪定しましょう。適期は木が葉を落とし、休眠に入った12~3月です。休眠期は枝ぶりがよく見えるので、今後の樹形を考えながら剪定することができます。

常緑広葉樹

常緑広葉樹

常緑広葉樹とは、その都度葉を落とし、一斉に落葉することのない広葉樹の総称です。

カシの仲間やツツジ、オリーブツバキなどが庭木としてよく植えられています。

新芽の出てくる前の3~4月、または新芽が出そろった5~6月に剪定するとよいでしょう。

常緑広葉樹は樹種によって翌年の花芽ができる時期が異なります。花芽のできる時期を確認してから剪定しましょう。

その後は成長のスピードに合わせて夏剪定を行っていきます。寒さに弱い種類もあるので冬剪定はやめましょう。

落葉広葉樹

落葉広葉樹

落葉広葉樹とは、冬期に一斉に落葉し、休眠する植物の総称です。

サクラやカエデの仲間など多くの種類が庭木として植えられています。

適期は12~2月の間、落葉が終わったあと枝ぶりを見ながら不要な枝を間引くなどして進めましょう。適期以外でも枝葉の伸びを観察しながらあまり茂るようであれば適宜剪定します。

ただ生育期の夏に強剪定を行うと弱らせてしまうこともあるので注意しましょう。

春から初夏に花が咲くものは、花芽を確認しながら剪定するとよいでしょう。

剪定方法

剪定

剪定にはさまざまな方法があり、樹種や季節に合わせて行うことが大切です。ここでは具体的な剪定の種類と方法について解説します。

切り返し

剪定

樹冠を大幅に小さくしたいときに行う剪定です。

「切り戻し(剪定)」と呼ぶこともあります。

残したい芽のすぐ上部の枝を切り落とすことで伸びた枝を小さくしたり、更新したりすることができます。

また分岐した枝の片側を切り落とすことで栄養を集中させ、果実や花を大きく、充実したものにすることができます。

切り詰め剪定

剪定

伸びすぎた枝の途中で切り詰めて樹冠を小さくするための剪定です。

基本的には前年、あるいはその年に伸びた枝を剪定します。芽の向きや方向をよく見て、今後の成長を想像しながら剪定しましょう。また、その際は芽の上3mmくらいのところを斜めに切ると見栄えよく仕上がります。

あまり太い枝を分岐部ではないところで切ってしまうと、見た目がよくないので気をつけてください。

枝下ろし剪定

剪定

太い枝を切って取り除くことを「枝を下ろす」などといいます。

太い枝を中途半端なところで切ってしまうと見栄えが悪いだけではなく、切ったところから強く伸びる枝(徒長枝)がたくさん出てしまうので、必ず分岐部で切ります。剪定ばさみでは切れないような太い枝は、のこぎりを使うこともあります。

樹冠や樹高を小さくしたいときや、仕立て直したいときに行います。

また、植え替えなどで根の量が少なくなったり傷んだりしたときにも行います。大きな枝を切って地上部の枝葉を少なくすると、根とのバランスが取れて、活着しやすくなります。

枝抜き剪定

剪定

「間引き剪定」、「枝透かし剪定」ともいいます。

長期間剪定しなかったときや、樹種によっては枝葉が密になってしまいます。

込み入った部分や不要な枝をそのままにしておくと日の当たり方に偏りができたり、風通しが悪くなったりして成長が阻害されてしまいます。

樹形を見ながら一枝ずつ剪定ばさみで間引き、均一な日当たりと風通しを確保するための剪定です。

余計な脇芽を出させないためにも、不要枝の付け根ギリギリで切りましょう。

剪定の度合いにより「大透かし」「中透かし」「小透かし」ということもあります。

刈り込み剪定

刈り込み

樹高や樹幅を整えるために行う剪定です。

生け垣やトピアリーなどで樹形を整えるために行うもので、刈り込みばさみや電動のバリカン、トリマーなどで、表面を全体的に均一に刈り込みます。

作業の際は、下から上に向かって刈り込むようにすると、万が一刈り込みすぎた場合でも比較的早く回復することができます。

剪定は素敵なボタニカルライフの第一歩

剪定

植物を育てる上で、剪定の知識は必要不可欠です。それぞれの植物の特性を理解し、適切な剪定をして美観を保ち、健康に育てましょう。植物の様子をよく観察すれば愛着も増すことでしょう。また作業の道具にも、ぜひこだわってみてくださいね。ちょっと億劫な剪定作業ですが、お気に入りの道具が使えると思うとやる気も湧いてくるもの。「木を見て季節を感じる」ことは、とても素敵なボタニカルライフですよ。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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