ロックガーデンでステキに演出 Vol.1 お庭も玄関まわりもナチュラルに!!

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「せっかく広い庭があるのに、草ボウボウで使っていない」「オシャレなファサードにしたいけど、植栽すると水やりや草むしりなどのメンテナンスが面倒で…」などとお悩みの方にオススメの庭提案があります。「ロックガーデン」をつくってみてはいかがでしょうか? 庭でも玄関まわりでもおしゃれで、メンテナンスも楽なガーデンです。写真やイラスト入りで楽しくご紹介します。参考にしてみてくださいね!
ロックガーデンとは
ロックガーデンとは、大きめの岩や石、荒い砂利などを配置した隙間に植栽した庭の一つのスタイルです。
ロックガーデンの起源はヨーロッパの高山植物園やアメリカのドライガーデンで、例えば、イギリスでは19世紀後半から庭園様式としてロックガーデンが流行しました。これはアルプス山脈の自然を模倣し、高山植物を配置したものが多かったようです。

ロックガーデンは岩や石を並べたところに植物を配置するので、ワイルドな雰囲気を楽しむことができます。例えば、高山系やサボテンなどの植物でコーディネートすれば、水やりの必要がほとんどなく、生長も遅い植物なのでメンテナンスが楽にすみます。
岩や石の形・色、植物の種類によってガーデンのイメージが大きく変わるのがポイントです。
どんな色使いやデザインのロックガーデンにするか?
それでは、どんなデザインのロックガーデンがよいのでしょうか?
砂利を敷き、景石を並べた和風庭園もロックガーデンの一つです。道路より敷地が高い場合では、道路と敷地の高低差部分に、コケの生えた石を積み上げて土留めをし、その石の隙間にシダ類などの植物を植えると、落ち着きのある和風のロックガーデンになります。
丸石のゴロタは和風や和モダンのデザインに合わせやすく、モノトーンの色の石は洋風、和風の両方に合いそうです。
また、茶色や黄土色などのアースカラーといわれる暖色系はアジアンテイストや、ドライガーデンといわれるカリフォルニアスタイルの洋風デザインに、最もなじむでしょう。

ゴツゴツした大きな岩でワイルドなイメージ、大きさの違った岩や石をバランスよく並べるとナチュラルなイメージのロックガーデンをつくることができます。
どんな石を揃えたらよいか?


ロックガーデンに使う石は山や川原の石を拾ってきても構いませんが、機能性を考慮すると溶岩石、軽石がおすすめ。溶岩石や軽石は多孔質(沢山の小さな穴が空いている)なので吸水性があります。
次いで、ゴロタ、割栗石などもあります。溶岩石や軽石は多孔質といって、たくさんの小さな穴が空いているので吸水性が高く、植物を乾燥から守ります。また、地上に石が並んでいることで、直射日光をカットし地中に熱がこもらないことから、植物の根を守ることもできます。
石の組み方(並べ方)は、単調でないゴツゴツした石を選び、大きさも不揃いなものをバランスよく組むことがポイントです。石が多いとシンプルなイメージ、植物が多いとナチュラルなイメージになります。
独自の自然風なロックガーデンを演出してみましょう。
どんな植物と合わせるか
ロックガーデンは岩や石の隙間に土を入れ込み、植物を植えこみます。そのため、その隙間が植木鉢の代わりになるので、雨や水やりで土が流れていかないように、上手に「植栽ポケット」をつくることが重要です。
また、ロックガーデンは岩を見せることが大事なので、植物で隠れない生長の遅いものや、水はけがよいところでも育つ、乾燥を好む植物を選ぶとよいでしょう。
例えば、石や岩影でも育つ半日陰植物や、耐寒性や乾燥に強い高山系の植物、日当たりの良いところは日向の好む植物があげられます。園芸ショップでは水やりをあまり必要としないサボテンや多肉植物が人気上昇中ですし、山野草やシダ類はナチュラルなイメージにできます。
また、植物の植え方にもポイントがあります。高いところに乾燥を好む植物、低いところに湿った環境を好む植物、中間にそれ以外の植物を配置しましょう。このように土の保湿具合に合った植物を選んで植えるのが大事。例えば、多肉植物は高いところ、山野草やシダ類、ほふく性(茎が地面に沿って伸びる性質)の植物は低いところ、草花や球根植物は中間の場所に植えます。
ロックガーデンにおすすめの植物をご紹介
それでは具体的なおすすめの植物をご紹介します。
和風に向くおすすめ植物

(画像:「樹木・草花検索CD-ROM庭木画廊」)
和風イメージでは高木はヒメシャラ、中木はジンチョウゲ、低木では多少の日陰に強いセンリョウ、マンリョウなどが似合うでしょう。また、グラウンドカバーは、寒さや暑さに強いイワナンテンや、梅雨の時期に花を咲かせるカキツバタが落ち着いた雰囲気のガーデンを演出します。
洋風におすすめの植物

(Ekaterina Mamontova M2K,Nevada31,Martin Christopher Parker,stockt0_0/Shutterstock.com)
一方、洋風イメージでは晩秋から初夏まで咲き続けるプリムラの仲間達は、白やピンク、紫色などの可愛らしい花が咲く植物です。寒さに強いポリアンサやジュリアン、暖かい地方向きのマラコデイス、日陰に強いオブコニカなど長期間の花々を楽しめます。
余談ですが、プリムラの和名は「サクラソウ」であることをご存知ですか? 江戸時代に育種が進み、数百に及ぶ品種がつくられた園芸植物です。欧米だけでなく、日本にもあったんですね。
また、トロピカルなイメージにする場合は、長く先のとがった葉のドラセナやニューサイラン、ぽってりと肉厚のあるアロエやサボテン、多肉植物などが一風変わったドライガーデンを演出してくれます。
ハーブ類は、ラベンダー、ローズマリー、ミント、レモンバームなどがおすすめで、岩のゴツゴツとした雰囲気を和らげるのに効果的です。
失敗しないロックガーデンのつくり方は?
それでは、DIYでつくるロックガーデンをご紹介しましょう!
まずは、どんなイメージのロックガーデンにしたいのか、石の大きさと植物の高さのバランスを考えて、イメージイラストを描いておくのもよいでしょう。
1. 地盤づくりをします。
土を少し盛って傾斜した地盤をつくります。傾斜に石を組む場合は安全性とつくりやすさから、30°以下の斜度にしましょう。
2. 水はけをよくするために、土を30cm掘り、その中央部を20cm程度掘り下げます。
3. 掘り下げた土の中に、大きめのレンガを敷き詰め、その上に自然石を並べていきます。
市販の土留め用の石を使うと、石の一部が平らになっているので、土に固定しやすく、安定し安全性も増します。大きい石を並べる場合は、運搬や設置が大変なことや、石でケガや事故にもなることもあるので、専門業者に依頼した方が無難です。
手ごろな大きさの石を組んでみましょう。
4. 組んだ石の間にゴロ石をまき、 石の2/3が隠れるように土を戻します。
ゴロ石とは、通気性と排水性をよくする軽石などで作られた石のことです。ホームセンターなどでは小石を鉢の底に敷く、鉢底石という名称で購入できます。
5. 石の隙間が鉢の代わりなるよう、植物のサイズに合わせて、いくつかの石を組みポケットをつくります。
6. ポケットに培養土を入れ、高木、中木、低木、グラウンドカバーの順に植物を植えると作業がしやすくなります。高いところは乾燥を好む植物、低いところは湿ったところを好む植物、それ以外の植物は中間に植えていきます。
乾燥を好む植物は砂を多めに、湿ったところを好む植物は培養土やピートモスを多めに混ぜるなど、植物に合わせて土の配合を工夫することがポイントです。
自分のイメージしたイラストを描いた感じに植えていきますが、庭の背景や見た目の雰囲気で植える場所を変えたほうが良い場合も出てきます。石を見せるところと植物を見せるところのバランスを考え作業しましょう。
最後に植物にあわせて、水やりをして完成です。
ロックガーデンのイメージデザインのご提案
ここでは和モダンと洋風のイメージデザインのご提案をします。イラスト入りで解説します。ぜひ、参考にしてみてください。
和風 土留め石積み風

和風イメージのデザインです。明るい色の軽石を組んでシダ類などのグラウンドカバーの葉が目立つようにしました。高木はヒメシャラ、中木はジンチョウゲ、グラウンドカバーはヒューケラを植えました。暖色系のキャラメル色のヒューケラは、緑の中にワンポイントカラーとして植えると、落ち着きの中に変化があってステキに見えます。アプローチ階段はグレー系の石貼り、門袖はポストや宅配ボックス付きで、くし引きの塗壁仕上げにしました。くし引きの影でテクスチャーが濃く強調され、シンボリックになります。

洋風 トロピカルガーデン

黒い溶岩石を組んだ洋風ロックガーデンです。高木はドラセナ、中低木は、エンジ色のコルディリネやサボテン、アロエなどを植えてトロピカルなイメージにしました。乾燥に強い植物を選んでいるので水やりなどのメンテナンスが容易です。
まとめ
ロックガーデンは、吸水性のよい石を使って並べ、高いところは乾燥に強い植物、低いところは湿った環境を好む植物を植えましょう。傾斜した部分に石を並べ、イワナンテンや石の間にシダ類などを植えれば和風イメージ。サボテンや多肉植物などを植えればメンテナンスがほとんどかからない洋風イメージに。オンリーワンなロックガーデンをつくって楽しみましょう!
次回のVol.2では、一風変わったロックガーデン風の現場をご紹介します。お楽しみに!!
Credit

文&イラスト/松下高弘(まつしたたかひろ)
長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、手描きパース・イラスト・CG・模型等のプレゼンテーションや大手ハウスメーカー社員研修、エクステリア業の研修講師およびセミナープロデュースを行う。
著書には、『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』、『住宅エクステリアのパース・スケッチ・プレゼンが上達する本(彰国社)』など。新刊『気持ちをつかむ住宅インテリアパース(彰国社)』、好評につき絶賛発売中!!
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