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地中海風ガーデンのつくり方Part2! 地中海風の演出におすすめの植物6種

地中海風ガーデンのつくり方Part2! 地中海風の演出におすすめの植物6種

Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

ドイツ出身のガーデナー、エルフリーデ・フジ=ツェルナーさんによる、地中海風ガーデンの演出ポイント解説の第2弾。なかなか旅行ができない今こそ、自宅の庭やベランダに海外を感じるガーデンコーナーをつくって、旅行気分を味わってみませんか? 今回は、より異国情緒を演出できるおすすめの植物6種をご紹介します。

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地中海風ガーデンに+αで取り入れたい! おすすめ植物

地中海風ガーデン
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

前回の『自宅を地中海風に! 地中海風ガーデンの雰囲気作りのコツとアイデア』では、地中海風ガーデンのデザインポイントや、地中海らしさを出すガーデン要素などの基本情報に加え、1株でも地中海風の雰囲気を味わえるおすすめの植物として、キョウチクトウ、オリーブ、柑橘類の3つの樹木をご紹介しました。

今回は、小さなスペースや、これらの樹木に+αで取り入れたい、つる植物や草花などのおすすめ植物をご紹介したいと思います。

2021年5月現在のドイツ

本題に入る前に、ちょっと近況報告を。現在のドイツでは、新型コロナウイルスの感染状況は日が経つにつれて次第に落ち着いてきていて、テレビや報道では毎日のように規制の変更が報じられています。

このウイルスが人々に及ぼした影響を考えると、ちょっと信じられないほどですね。世界中で大きな影響が出たことと思いますが、私の生活にもさまざまな変化が起こりました。例えば、先日地元のホームセンターで収納ボックスを購入しようとしたときのこと。以前であればなんということもない買い物ですが、これが今ではとても簡単な仕事ではないのです。店内は消費者の立ち入りが禁止されているため、お店で商品を見ながら購入することはできません。そこでまず、自宅で実際にどの商品を購入するかまで決めなくてはいけないのです。商品が決まったら、購入方法は2通り。オンラインショッピングで注文するか、電話で予約し、お店でピックアップするかです。たった1つの収納ボックスを入手するために、これだけの手間がかかるのが現状ですが、感染状況が落ち着けば、この面倒なシステムもまた変更されるかなと期待しています。

ビアガーデン

感染状況が落ち着いてきたので、朗報もあります。つい先日、ようやくビアガーデンが再開しました! ということで隣人と共に久しぶりに出かけたビアガーデンは、ミュンヘンの空港にあるお店。屋外のビアガーデンで、屋根は透明で開放感があり、風の当たらないエリアや、舗装された地下エリアもある素敵な場所です。ここでも名前や住所、到着時刻や出発時刻などをQRコードで登録する必要があり、今しかできないユニークな体験もできました。

ビアガーデン

テーブルとテーブルの間には、コンテナに植えられた3~4mほどの高さのリンデンの木が置かれていて、葉色は新芽特有の明るい黄緑色。細い優しげな葉はまるで赤ちゃんの髪の毛のよう。この柔らかな雰囲気は、この時期ならではの光景ですね。

さて、久しぶりのビアガーデンでいただいたランチは、ローストポークのダンプリング添え。アツアツでとっても美味しかったのですが、食べている間も身震いするほど気温が低く、すぐに冷めてしまったのがちょっと残念。この日、外気温は15℃ほどしかなかったのです!

自宅の一隅に地中海を演出する、おすすめ植物6種

地中海風ガーデン
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

前回もドイツ人の地中海好きはお伝えしましたが、5月になっても震えるような日が続くのですから、人々が地中海地域やそのライフスタイルにあこがれを抱くのにも納得していただけるのではないでしょうか。一日中外にいても快適な20~30℃の気温に、海からの穏やかな風、そして扉を開けると広がる海。そしてもちろん、満開の花々とカラフルな植物が織りなす美しいガーデンも忘れてはいけません。

さて、今回私がご紹介したいのは、自宅やベランダ、バルコニー、玄関、そして庭に地中海風の雰囲気を加えるおすすめの植物たち。特にいま、多くの人が自宅で過ごす時間が増え、リモートワークなど家で仕事もしている状況では、いつもと違う要素を取り入れることが引きこもりがちな日々の気分転換にもつながることでしょう。お好きな生きた植物を取り入れると、リフレッシュにもなりますし、海外旅行気分を味わったり、以前訪れた場所を思い出す手助けにもなります。

旅先のような気分にさせてくれる植物なら、大切な人と思い出を分かち合うなどコミュニケーションのきっかけにもなりますし、疲れているときも、心地よい香りや鮮やかな色彩が癒やしてくれますよ。植物から元気をもらいましょう!

今回ご紹介するのは、構造物や壁面に伝わせることで風景を演出してくれるつる植物4種と、小さなスペースでも取り入れやすい草花2種。前回の記事でご紹介した樹木に加えてもよし、今回ご紹介するものだけで楽しんでもよし、作りたい庭シーンやスペースに合わせて選んでください。

ブーゲンビレア Bougainvillea

ギリシャのブーゲンビレア
Adisa/Shutterstock.com

ブーゲンビレア(ブーゲンビリア)は、地中海地域のガーデンでよく見られる植物。もともとは中南米を原産とするずんぐりとしたつる性の花木で、熱帯地域でもよく育てられています。白く小さな花は目立ちませんが、その周りを包む紙のような苞は鮮やかな色彩で、とても華やか。苞なのでもちもよく、長く観賞することができます。色のバリエーションは豊富で、白から紫までさまざまな色合いがあるほか、斑入りの葉を持つ品種などもありますよ。

ブーゲンビレアという名前は、フランスの提督ルイ・アントワーヌ・ブーゲンヴィルLouis Antoine de Bougainville ( 1729 -1811 )にちなんで名づけられました。花の象徴するメッセージや花言葉は国や地域によって異なりますが、私が好きなのは、旅人や美しさを歓迎するというメッセージ。ハワイでは、特別な日のためにこの花でレイ(首などにかける装飾品)を作ることもあるそうです。

ブーゲンビレア
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耐寒性がやや弱いので、屋外で育てる場合は大株に育ったものを購入し、素敵なコンテナに植えて、日当たりがよく風が直接当たらない軒下に置くと安心です。日本では霜が降りないような地域であれば地植えでも冬越しできるでしょう。ドイツの場合、10月から4月、時には5月くらいまでの間は、5~10℃以上の温室などへ移動しなければなりません。地中海地域で育つ植物たちはほとんど全て、ドイツの厳しい寒さを乗り越えるための冬越し作業が必要なのです。

ブーゲンビレアには基本的にトゲがあるので、手入れの際は注意が必要。つる性なので、トレリスやアーバーなどの構造物に絡ませて育てるとよいでしょう。また剪定が必要ですが、樹形は整えやすく、思い通りの姿を作ることができます。グラウンドカバーやハンギングバスケットにも利用でき、もちろんアーチやトレリスにも。中央にステムを残し、スタンダード仕立てにしてもいいですね。

ルリマツリ Plumbago auriculata

ルリマツリ
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南アフリカを原産とする植物で、青や白の花色があり、コンテナに植え込んでパティオに絡ませれば、とても素敵な雰囲気に。花は10~15個ほどが塊になって咲き、花期も長く楽しめます。涼しげな青色は、どんな背景の中でも美しいコントラストになります。

この花の甘い蜜は、チョウやハチの大好物。育てていると、蜜を吸いに遊びに来てくれるかもしれません。

ルリマツリ
AliaksaB/Shutterstock.com

ルリマツリはつる状に生育しますが、つるバラと同様に自力では構造物に絡まないため、誘引が必要です。私のイチオシの誘引は、ラティスに絡ませること。かぶれることがあるので、剪定の際は必ず手袋をしましょう。生育が旺盛で、特に開花中は水切れしやすいので、日々の水やりを欠かさずに行いましょう。

ジャスミン Jasminum

ジャスミン
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香りのよい花として有名なジャスミンの仲間も、異国情緒を演出するのにおすすめです。半つる性の常緑低木で、濃い緑色の葉に、甘く濃厚な芳香を漂わせる花を咲かせます。多くが白い花ですが、中には黄色い花を咲かせる種類もあります。つるがよく伸びるので、トレリスやフェンスなど誘引できるものに沿わせて植えるとよいでしょう。ルリマツリなど、他のつる性植物と組み合わせて誘引するのもおすすめです。

ジャスミンの花は、ジャスミンティーの材料としてもお馴染みですね。精油は香水などの原料にも使われ、ジャスミンの香りはバラ、スズランとともに、香水の三大フローラルノートと呼ばれています。

マンデビラ Mandevilla

マンデビラ
Boryana Manzurova/Shutterstock.com

マンデビラは熱帯や亜熱帯地域で育つつる植物。中央アメリカから南アメリカ大陸といった地域を原産としています。一般的な花色は、ピンク、赤、白の3つで、春から秋まで長く咲き続いてくれます。きれいに咲かせ続けるコツは、水切れや肥料切れに注意し、日当たりのよい場所に置くこと。手入れをすることで、美しい景色を保つことができますよ。

こちらもつる性なので、構造物に絡ませて仕立てるか、ハンギングバスケットに植えるとよいでしょう。他の宿根草や一年草と合わせて、鉢植えにするのもいいですね。ほかの植物に負けずによく育ちます。壁面に誘引したり、ボーダーガーデンにもおすすめです。オーソドックスな金網のフェンスも、マンデビラを誘引すれば華やかな風景に一変します。

マンデビラ
Boryana Manzurova/Shutterstock.com

アガパンサス Agapanthus

アガパンサス
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ここまでつる性の植物をご紹介してきましたが、残る2つは省スペースでも育てやすい草花です。

宿根草のアガパンサスは、丈夫で育てやすいおすすめの植物。青や白の爽やかな花は、目を惹きつけるアイキャッチャーになります。南アフリカ原産なので、英語では( South ) African lilyとも呼ばれます。日当たりを好み、真夏にも球形に集まった花を咲かせてくれます。品種により草丈は45cmほどから1m以上とさまざま。鉢植えでも元気に育つので、素敵な鉢に植えてバルコニーや玄関前などに置けば、雰囲気がぐっと変わります。コロナウイルスの流行前に旅したニュージーランドではどこでも見られ、道路脇などによく植えられていました。

ラベンダー Lavandula

ラベンダー
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地中海風ガーデンには、ラベンダーは欠かせません。美しい色合いに素晴らしい香り、草丈もちょうどよく、どんなガーデンシーンにもよく似合います。鉢植えでも育てやすく、バラと組み合わせたり、ほかのハーブ類と合わせても素敵です。

小さなバルコニーや玄関のちょっとしたスペースで植物を育てるなら、このラベンダーやタイム、バジル、オレガノ、セージ、ローズマリーといったハーブ類がおすすめ。樹木ほど大きくなりませんし、なにより香りがあるのが魅力です。葉を数枚摘むだけでも、立ち上る香りが疲れを癒やし、リラックスさせてくれます。デザインのポイントとして取り入れる際は、小さな苗ではなく、ある程度見栄えがする大きさの株を選ぶといいですよ。

地中海ガーデン
Friedrich Strauss Gartenbildagentur / Strauss, Friedrich

前回もお伝えしましたが、テーマを持たせた庭づくりのコツは「Less is more」。たくさんのものを並べるよりも、ポイントを絞ることで見せたいシーンがはっきりします。引き算の美学を常に頭に置いて、素敵なガーデンをつくりましょう!

Credit

ストーリー/Elfriede Fuji-Zellner
ガーデナー。南ドイツ、バイエルン出身。幼い頃から豊かな自然や動物に囲まれて育つ。プロのガーデナーを志してドイツで“Technician in Horticulture(園芸技術者)”の学位を取得。ベルギー、スイス、アメリカ、日本など、各国で経験を積む。日本原産の植物や日本庭園の魅力に惹かれて20年以上前に日本に移り住み、現在は神奈川県にて暮らしている。ガーデニングや植物、自然を通じたコミュニケーションが大好きで、子供向けにガーデニングワークショップやスクールガーデンサークルなどで活動中。

Photo/ Friedrich Strauss Gartenbildagentur/Stockfood

取材/3and garden 

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