前回は、日陰に強いいろいろな庭木をご紹介しました。Vol.2ではカラーリーフや特徴のある葉や花を生かした、日陰でも明るく見せる庭をご提案します。写真やイラストを使って楽しく解説します。参考にしてみてくださいね。
目次
北側でもステキな庭になる
南側の庭は、冬は日当たりがよいと暖かく、夏は日差しが強く暑いのでウッドデッキやテラスにシェードをつけて日陰をつくります。北側の庭は自宅の影になり、夏は涼しく冬は寒いですね。
しかし、北側の庭でもマンションのルーフバルコニーの専用庭や自宅の庭が高台になっていれば、冬場でも日差しがあるので暖かく、夏場は通風効果のある目隠しフェンスの設置で、涼しい快適な居場所になります。
北東寄りの庭は、冬場の午前中は暖かいので、家事のみでなくブレイクタイムでくつろぐ場としても、満足できるサービスヤードになります。
日陰に強い植物を上手に植えて、和風や洋風などの好みに合わせたステキな庭をつくってみましょう。
キッチン前の庭にオススメの食べるハーブガーデンを
ハーブは、けっこうメンテナンスいらずで、楽に育てられます。ここでは、日陰でも育つメジャーなものをいくつかご紹介します。
まず食べるハーブでは、爽やかな香りでカクテルに使える「ミント」、ハーブティーやお菓子の香りづけに良い「レモンバーム」、料理の付け合わせに向く「パセリ」などがあります。北西のキッチン前の庭で育てれば、料理をする際に便利です。
香りのよいものでは「ラベンダー」があります。直射日光が苦手なので日陰で育ちやすく、蚊を寄せ付けない防虫効果もあります。冬場は寒いことから日当たりを好むので、鉢植えの場合は日中に日当たりの良い場所に移動するのも良い方法です。
変わった葉の形やカラーを生かして
日陰の庭は日当たりが悪いので暗くなりがちです。そこで、塀際や高木の足元には、カラーリーフを植えて、明るいイメージにしてみましょう。
例えば読者の皆さんにおなじみのものでは、冬場では白ベースで淡いピンクや紫、黄色などの葉ボタンがあります。葉ボタンは冬場から春先まで長い間、楽しめるカラーリーフです。冬はキャベツのように整った形ですが、暖かくなってくるにつれて菜っ葉のように伸びて塔のようになってきます。
また、紫色の葉のヒューケラは梅雨時から夏(5~7月)にかけて花が咲きます。赤、白、ピンク、緑などのさまざまな色の花があります。常緑なので冬枯れもしません。カラーリーフは、他の植物の花が咲いていない時期でも、いろいろなカラーでにぎわいを見せた庭になります。
大きな葉や変わった形の葉の植物も混ぜて、オシャレな雰囲気をつくって楽しみましょう。
メンテナンスいらずの庭木
最近、マンションのエントランス前や、ご自宅の門回りに多い植栽をご紹介します。
どの植栽にも共通しているのは定期的な水やりなどのメンテナンスがあまり必要のないこと。
特に多いのが「マホニアコンフーサ」です。細長いギザギザした葉がスタイリッシュなイメージで、和洋どちらでも合わせやすい植栽です。10~12月に黄色い花を、5~6月にブルーベリーのような紫色の実をつけます。
また、「サルココッカ」は2~3月に目立たない小さな白花を咲かせ、早春にはジンチョウゲ(沈丁花)に負けない香りがステキです。
そして、夏は緑色の葉も冬では赤色でキレイになる「オタフクナンテン」は、クリスマスに飾りたい一品です。ナンテンの園芸品種で、40~50cm以上の高さにしかならないので低木やグラウンドカバーとして便利に扱えます。
日陰の庭で気をつけること
日当たりが悪い庭では、湿気が多くなりコケが生えてきます。透水性のある平板やインターロッキングを敷くと、雨が降ってもすぐ水を吸収するので、水はけがよくなります。
また、地面より高い位置の立ち上がりのあるレイズドベッドというプランターがあります。こんなプランターを使えば、土の湿気が残らないので安心で、オシャレな庭になります。
余談ですが、身体障がい者や介護者もガーデニングがしやすいレイズドベッドです。立ち上がりがあることで、いすや車いすに座ったまま、季節の植物を植えることができます。
和風や洋風に合う素材と庭木は?
和風や洋風のデザインに合わせた素材を使い、庭木を上手に組み合わせるとステキな庭がつくれます。そんなオシャレになるコツをご紹介します。
庭木の種類は、高いものから低い順に、高木、中木、低木、グラウンドカバーになります。植えた時の各高さは、おおむね高木:3.5m程度、中木:1~3m、低木:1m以内、グラウンドカバーは50cm以内です。庭木の高さに合わせてバランスよく植えましょう。
それでは和風と洋風イメージに合う庭木をご紹介します。参考にしてくださいね。
和風
◯素材:白い玉砂利、敷石、白い塀など
◯高木:アオダモ、カクレミノ、ソヨゴ(比較的丈夫)
◯中木:斑入りアオキ、ジンチョウゲ、ヤブツバキ、サザンカ(生け垣向き)
◯低木:センリョウ、ツワブキ、イワナンテン
◯地被(グラウンドカバー):シダ類や杉苔
*その他は、北東側の庭では半日陰のヒメシャラも、柔らかい葉が風でそよぐイメージで人気です。
洋風
◯素材:馬目地レンガ、平板、バークチップで明るくする。すのこ状のフェンスなど
◯高木:シマトネリコ、イチイ(トピアリーも可)
◯中木:アジサイ、マホニアコンフーサ
◯低木:アジュガ、シラン、ギボウシ、斑入りヤブラン(いずれも和洋向き)
◯地被(グラウンドカバー):タマリュウ
*アジサイ、シランは冬場では葉がなくなるので寂しくなるので常緑樹でカバーする。
まとめ
日陰の庭では北側よりも北東側のほうが、多少日当たりがよくなります。庭木は日陰に強い日陰性と半日程度の日当りが必要な半日陰性があります。植える場所に合わせて庭木を選び、高さのバランスも考えましょう。
また、素材選びでイメージが変わります。和風には白玉砂利、洋風はバークチップやレンガを使って明るいイメージをつくりましょう。透水性のある舗装材や立ち上がりのあるプランター(レイズドベッド)を用いれば湿気対策もできます。
庭木選びをしていると、自然に樹木や植物に興味を持つようになります。
読者の皆さんも素材や庭木を選び、日陰でもステキな庭づくりを楽しみましょう!
Credit
文&イラスト/松下高弘(まつしたたかひろ)
長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、手描きパース・イラスト・CG・模型等のプレゼンテーションや大手ハウスメーカー社員研修、エクステリア業の研修講師およびセミナープロデュースを行う。
著書には、『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』、『住宅エクステリアのパース・スケッチ・プレゼンが上達する本(彰国社)』など。新刊『気持ちをつかむ住宅インテリアパース(彰国社)』、好評につき絶賛発売中!!
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