北側の庭は日当たりが悪い。南側の庭でもお隣の住宅の陰になってしまうケースはよくあるもの。そんな方は必見! ここでは日陰でもステキな明るい庭を実現する庭づくりをご紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。

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和風にも洋風にも合う庭づくり

和風でも洋風でも合わせられる庭づくり
和風の庭 Lijuan Guo/Shutterstock.com
洋風の庭 Hannamariah/Shutterstock.com
洋風の庭 Hannamariah/Shutterstock.com

日陰の庭は一見、暗くて寂しいイメージを持たれがち。そんなハンディを克服する方法があります。

まず、洋風の庭の場合を考えてみましょう。日陰に強いカラーリーフを植えることで明るいイメージになります。黄葉や斑入りの植物はおすすめです。黄色と黄緑、緑色の組み合わせは、類似色といって相性が抜群です。レンガ花壇に赤茶色の銅葉の植物も同系色で品よくまとまりますが、そこに黄緑色の葉物を加えると、いっそう温かみを感じる組み合わせになります。

一方、和風の庭では、景石や敷石を美しく配置し園路をつくります。予算があれば、白御影やさび御影などの自然石を並べ、その隙間に下草や苔類を植えると、雰囲気が出ますし、経年変化で落ち着きも生まれます。

このように、日陰であっても和風、洋風のどちらにも似合う庭をつくることができます。

日陰の庭づくりの5つのポイント

ここでは日陰でもステキに明るく演出できる庭づくりのポイントを5つご紹介します。

1. 高木を少なくして風通しをよくする

日陰の庭は、夏場は涼しいのですが、風通しが悪いと地面がじめじめしてきます。生え始めは一見キレイに見える銭苔(ぜにごけ)は、生長するとともに苔から葉が広がって地面に張り付き、雑草のようになって見栄えが悪くなります。カマで取り除いてもなかなか手間がかかります。また、高木、中木などの樹木が多いと風通しが悪くなるので、病虫害や生育不良の原因になります。

日陰の庭の場合は、低木、下草、グラウンドカバーなどの、背丈の低い植物をデザインに生かすと、見栄えのよい庭づくりができます。敷地を囲むエクステリアには、スノコやルーバー状のフェンスを設置したり、ブロック塀の一部に穴あきのブロックなどを入れて開口をつくるなど、風を通すことも一つの方法です。

2. 日陰に強い植物を選ぶ

陰樹(いんじゅ)とは、直射日光が苦手な、日陰を好んで生育する樹木を指します。陰樹は日差しが強いと葉がやけて枯れてしまいます。日陰の庭では最適な陰樹を選んで植えましょう。詳細は後ほど解説します。

3. 高木は下枝が少ないものを選ぶ

高木の場合は、下枝が少ない樹種を選ぶと、低木やグラウンドカバーが陰にならないので、明るく見栄えがよくなります。したがって、高木は常緑樹より落葉樹を選ぶことで、明るい庭にできます。

例えば、アオダモは下枝が少なく、上部に伸びる樹木なので、枝下が明るくなります。アオダモは半日陰性といって、半日程度日が当たる場所を好みます。西日を嫌うので北東向きの庭に向いています。4~5月に白やクリーム色の花が咲き、少し離れると、雪が積もったように見えてキレイです。

余談ですが、アオダモはバットやスキー板、楽器などの材料として使用されることでも有名です。硬い材質で粘りがあるため、バットの材料に向いているのです。メジャーリーグで偉大な成績を残したイチローも、アオダモのバットを使用していたようです。北海道では苗木から育てて安定したアオダモ材を確保できるよう計画されていますが、バットがつくれる材になるには60年~70年かかります。生長が遅いので、庭木としては管理も楽です。

アオダモ参考記事→https://gardenstory.jp/plants/53900

4. 足元に低木や下草で見栄えを演出

足元は大きな細長い葉のハランや、漏斗のような丸い葉のツワブキなど、特徴のある葉物を選んだり、春先から梅雨時、夏から冬までを花やカラーリーフで上手に配植すれば、明るい庭をつくることができます。

ハランとツワブキ
大きな細長い葉のハラン(左)と丸い漏斗(じょうご)のような葉のツワブキ(右) 画像:「樹木・草花検索CD-ROM庭木画廊」

以前、雑木の庭をテーマにした記事でも述べましたが、地面を明るく見せる方法は、平板や敷石、ゴロタです。白御影などの自然石を並べ、所々に隙間をつくって下草やグラウンドカバーを植えると、固い雰囲気を和らげることができます。明るいレンガや石にコケがつくと見栄えが悪くなる場合があるので、気になる方はマメなお手入れが必要です。

自然石の敷石やゴロタとタマリュウ Katfishsan/Shutterstock.com
自然石の敷石やゴロタとタマリュウ Katfishsan/Shutterstock.com

ここからは、日陰の庭に向く樹木や植物をご紹介します。

日陰に強い植物は・・・

アジサイとガクアジサイ
アジサイの白花と紫花 (左・中)と、ガクアジサイの花(右) 画像:「樹木・草花検索CD-ROM庭木画廊」
ギボウシ(左)とギボウシの園芸品種(右)
ギボウシ(左)とギボウシの園芸品種(右) 画像:「樹木・草花検索CD-ROM庭木画廊」
※園芸品種とは、特定の植物を交配したり、選抜するなどして人が作り出した品種のこと

代表的なものでは、アジサイやギボウシなどがあります。アジサイはよく見かける庭木で、白や紫色の小花が集まったマリ状の花を咲かせます。小さい粒状の花が可愛いガクアジサイもあります。アジサイは冬場に剪定すると、芽を摘み取ってしまうので、花の咲く量が少なくなってしまいます。花が咲き終わった直後に剪定することをおすすめします。

また、ギボウシは和風の庭向きの植物で、池や水の流れに沿って数株ずつ植えたり、高木の足元にたくさん植えると雰囲気が出ます。全国どこでも育ちやすい植物です。洋風の庭なら、紫色の花や白い筋の入った品種を選んで、草花と寄せ植えにすると、いっそうオシャレになります。

冬場は葉がなくなり、寂しくなるので、常緑性の宿根草も植えて、明るさや華やかさを保ちましょう。常緑の宿根草は、クリスマスローズ、アガパンサスなど。常緑の低木はシャクナゲ、アセビなどがおすすめです。

クリスマスローズは12~3月に花が咲きますが、3~4月に咲く、レンテンローズといわれる春咲きクリスマスローズもあります。常緑樹のシャクナゲはもともと高山で育つ植物ですから丈夫です。白、赤、ピンク、オレンジ、黄、紫など、さまざまな色の花と品種があります。アセビはスズランに似た釣り鐘状の小さな花を咲かせます。紅色や白い花が春を感じさせる植物です。

クリスマスローズとシャクナゲ
シャクナゲ(左)とクリスマスローズ(右)OlgaOtto,minkim31/Shutterstock.com

メンテいらずのシンボルツリーは・・・

カクレミノ(左)とイチイ(右)
カクレミノ(左)とイチイ(右) 画像:「樹木・草花検索CD-ROM庭木画廊」

一番丈夫で日陰に強い樹木は「イチイ」や「カクレミノ」。イチイは寒冷地では極めて重要な庭木です。刈り込みや生け垣、トピアリーにも向いています。トピアリーとは鳥や動物、球形や三角錐など、さまざまな形に刈り込む園芸技法です。また、カクレミノはバスコートや中庭、北側の庭でも植えられるので重宝です。葉の形がわらで編んだ蓑(みの)に似ていることから「カクレミノ」の名称がついたといわれています。

ヒメシャリンバイは小さい葉で光沢があり、芽吹きの時期は赤みを帯びて緑色とのコントラストがキレイです。秋は一部の古い葉が赤く染まるため、紅葉のような雰囲気を感じることもできます。

円柱や円形などの幾何学的なトピアリー
円柱や円形などの幾何学的なトピアリー maxfluor/Shutterstock.com

中低木で見栄えよくする

アオキ(左)と斑入りアオキ(左)
アオキ(左)と斑入りアオキ(左) 画像:「樹木・草花検索CD-ROM庭木画廊」

北側の庭におすすめの樹木で最も一般的なものでは「アオキ」があります。周辺が冬枯れの時期には、アオキの赤い実の彩りが印象的です。斑入りアオキやホソバアオキもオシャレに演出できます。

また、やや日陰や湿地を好む「オトコヨウゾメ」は落葉樹ですが、5~6月に白っぽい紅色の小さな花が、枝にぶら下がるように数輪ずつまとまって咲く、可愛らしい庭木です。花が咲いた後、長さ1cmほどの楕円形の実をつけ、秋には赤く熟します。

常緑樹の「ジンチョウゲ」は、早春に香りのよい花を咲かせます。全くの日陰では開花しない場合もあるので、西日の当たらない北東向きの庭がよいでしょう。

基本的に間引き剪定程度で大丈夫ですが、6~7月に花芽がつくられるので、夏以降の剪定はやめましょう。

斑入りアオキと実
斑入りアオキと実 simona pavan/Shutterstock.com

和風に合う常緑樹のセンリョウは、11~3月にかけて赤い実をつけるお正月のおめでたい庭木です。また、和洋ともに合うアセビは、小ぶりで垂れ下がる白花や赤花が可愛らしい庭木です。

垂れ下がる白花のアセビ
垂れ下がる白花のアセビ 画像:「樹木・草花検索CD-ROM庭木画廊」
センリョウと実
センリョウと実(手前はツワブキ)

まとめ

北側や日陰の庭は暗く、寂しい印象を受けますが、カラーリーフを使って明るい洋風イメージにしたり、平板や飛び石で園路をつくり情緒ある和風庭園の雰囲気も演出できます。

日陰に強い庭木はメンテナンスが楽なものも多いのが魅力です。日陰でも諦めずに、楽しい庭づくりを研究していきましょう!

次回は日陰に強い食用ハーブやカラーリーフを取り上げ、明るい庭づくりをご紹介します。乞うご期待!!

Credit

文:松下高弘

文&イラスト/松下高弘(まつしたたかひろ)

長野県飯田市生まれ。元東京デザイン専門学校講師。株式会社タカショー発行の『エクステリア&ガーデンテキストブック』監修。ガーデンセラピーコーディネーター1級所持。建築・エクステリアの企画事務所「エムデザインファクトリー」を主宰し、手描きパース・イラスト・CG・模型等のプレゼンテーションや大手ハウスメーカー社員研修、エクステリア業の研修講師およびセミナープロデュースを行う。

著書には、『エクステリアの色とデザイン(グリーン情報)』、『住宅エクステリアのパース・スケッチ・プレゼンが上達する本(彰国社)』など。新刊『気持ちをつかむ住宅インテリアパース(彰国社)』、好評につき絶賛発売中!!

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