実録! バラがメインの庭づくり第15話「美しいバラの新緑の時期と鉢植えギフトローズの管理方法」

3〜4月のバラは、まだ病害虫の被害も少なく、日に日に新緑を増しています。花はなくても、本当に瑞々しい赤や緑の葉が展開し始めてきれいです。今回は、さまざまなバラの新緑について、その観賞ポイントを神奈川県在住で「日本ローズライフコーディネーター協会」の代表を務める元木はるみさんに教えていただきます。また、近年人気の鉢植えのギフトローズの管理方法も併せてご紹介します。
3月の庭の様子

写真は、現在の庭の様子です。今年は3月に気温の高い日が多く、昨年に並んで桜が観測史上最も早く開花し、バラの展開も早いように思います。

テラス前の四角いアーチに誘引しているバラ‘フランソワ・ジュランヴィル’(R/仏 1906年/Barbier Frres & Compagnie作出)も、葉が茂り始めました。

今年は、バラが植わる花壇の縁取りに、コンパクトな株で花付きのよいマーガレットの‘スマッシュ’と、斑入り葉のアベリア‘コンフェティ’を交互に植栽しました。

鉢植えのバラの縁取りは、芝地との境界線が馴染むよう昨年から植えているカレックスの間に、バーベナやセダムなどを追加しました。

すでに小さなつぼみを見せてくれているバラもいくつか現れています。

欠かせない毎日の見回り時に、ゾウムシによる被害を発見することもあります。

上写真のように、新芽がカサカサした状態になっていたら、新芽の基部をゾウムシに食害されているサインです。

これが、ゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)です。3mmほどの小さな甲虫ですが、新芽やつぼみに与える被害は甚大です。

ゾウムシは、新芽の基部に潜んでいることが多く、また捕らえようとすると、自ら地面に落ちて逃げてしまいます。捕獲する際は、写真のような箱の蓋などを利用すると逃さず受けやすいです。
バラの新緑が美しい季節! 葉の特徴を見比べましょう
‘ギスレーヌ・ドゥ・フェリゴンド’

白いフェンスに、鮮やかなグリーンの小葉を展開する‘ギスレーヌ・ドゥ・フェリゴンド’。
ロサ・ムルティフローラ・アデノカエタ

爽やかな黄緑色の葉を展開する丈夫なバラ。九州に自生し、温暖な気候や日当たりを好みます。
‘マリー・アントワネット’

光を受けて輝く、艶のある照り葉の‘マリー・アントワネット’ 。
食香バラ‘豊華’

中国山東省平陰のバラの村からやってきた食香バラ‘豊華’(日本名)。ロサ・ルゴサの縮んだシワのような特徴の葉を持ちます。こちらのバラは、花を食用に使用しますので、ずっと無農薬で育てていますが、病害虫で特に困ったことはありません。
‘サフラノ’

ティーローズの多くの品種が、赤茶色の新芽や新緑を見せてくれますが、こちらの‘サフラノ’も、現在とても美しい葉色を見せてくれています。
‘ヴィウー・ローズ’

葉色のみでも存在感のある赤茶色の新芽は、艶のある紫を帯びたグリーンへ。その後、花の咲く頃には、特徴的な黒色を帯びた艶のある深いダークな濃緑色へと葉色が変化します。
‘オデュッセイア’

鉢植えで管理している ‘オデュッセイア’。赤紫の新芽は、徐々にグレーがかり、モダンな雰囲気を纏いながら美しい新緑を見せてくれます。
ロサ・ルキアエ・ヴァリエガータ

ピンク色の新芽は、やがて白い斑入りの美しい小葉に変化します。この新芽の色は、今の時期しか見られない貴重な一瞬です。
人気の鉢植えギフトローズの管理方法

2月、3月のバレンタインデーやホワイトデー、卒業や退職や移転、また、5月の母の日やバースデーなどのギフト、それに加えて、おうち時間の増加による自分へのギフトとしても、鉢植えのギフトローズが最近人気を集めています。
私も、ホームセンターに行った際、お洒落なラッピングに包まれ、花が綺麗に咲いていたコンパクトな鉢植えのギフトローズを、一つ自分用に買って帰りました。
鉢植えギフトローズは、一番きれいな時に販売されていることが多く、生き物ですから、次第に花は枯れて、葉は茶色くなったり落葉します。
今回は、花を楽しんだ後の、鉢植えギフトローズの簡単な管理方法をご紹介します。

バラの品種名は記されておらず、名前が解らないのは残念でしたが、ダークな濃緑色の葉に、オレンジの花色がマッチし、モダンな印象です。
株は小さく、花はミニバラとフロリバンダの中間のパティオローズのような大きさです。このような鉢植えギフトローズが家にやってきたら、まずは、ラッピングを外し、鉢が小さい場合が多いので、毎日水やりをし、なるべく日光が当たる場所に置いてあげましょう。

現在、花はほとんど終わり、葉はまだ茂っている状態です。株元を見ると、1株ではなく挿し木が6本ほど植栽されていることが分かります。
鉢が小さく、このままだと根詰まりを起こしたり、またウォータースペースが少ないため、バラが育ちにくく、弱ってしまうかもしれません。
きっと四季咲き性のバラだと思いますので、一回り大きな鉢に植え替え、肥料や水を与えることで、また次の花を咲かせたいと思います。
*挿し木を1本ずつ鉢に分ける作業は、冬の休眠期に行います。
ギフトローズの植え替えの方法
<用意するもの>バラの用土と肥料(肥料は元肥用で、根に触れても安心なものに限ります)、現在植わっている鉢より一回り大きい鉢、鉢底石、鉢底用ネット


鉢底にネットを敷き、鉢底用の土を入れ、その上にバラの用土とバラの肥料を適量入れます。

用土と肥料を軽く混ぜ合わせておきます。

植え替え時には、咲き残っていた花や枯れ葉を取り除き、枝を少し詰めて整えておきましょう。

根鉢を崩さないように、引っ張って抜くのではなく、鉢を逆さにしてからやさしく抜き取ります。

根鉢を崩さずに、元の鉢より一回り大きな鉢に植え付けます。
なお、鉢植えの場合は、いきなり大きすぎる鉢に植え付けず、徐々に鉢を大きくしていくほうが生育がよく、花付きもよくなります。

植え付け後、株元にたっぷりと水を与えます。屋外に置き、雨天以外には水を与えましょう。

このように少しの手間で、バラは、また暮らしに癒やしや潤いをもたらしてくれるはずです。
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