野菜や草花が元気に成長するためには、よい土が必要です。よい土づくりに欠かせないのが腐葉土(ふようど)。ここでは、腐葉土の働きや、ほかの堆肥などとの違い、腐葉土の作り方・使いこなし方を紹介します。園芸の基本資材である、腐葉土の基礎知識を身につけて活用しましょう!

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腐葉土の役割と効果

土

腐葉土は樹木や草花の葉などが微生物に分解されたり、風化したりしてできたもので、よい土壌に欠かせない重要な要素です。

ではまず、その役割をご紹介します。

痩せた土を改善する

痩せた土

「痩せた土」とは、植物がよく育たない土に対しての呼称です。

痩せた土には植物が利用できる肥料分が少なかったり、植物に害を及ぼす微生物が多くいることがあります。こうした土は落ち葉や枯れ枝などの植物由来の有機質を加えることで改善することができます。

有機質は多くの微生物の食料となることで、有害な微生物だけが増えるような環境を改善することができます。

また、有機質は微生物によって分解されることで植物の栄養分になっていきます。速効性の化成肥料であれば、水に溶けることですぐに植物が栄養として利用することができますが、有機質肥料はこうした微生物の力によって植物が利用できる栄養分へと変化するので、多様な微生物が豊富にいることは肥料の効果も高めます。

土の通気性や水はけをよくする

鉢栽培の植物

腐葉土を土に加えることで、通気性や水はけをよくすることができ、根の生育もよくなります。化成肥料ばかり使っていると土が硬くなって通気性が悪くなり、保水性も悪くなってしまいます。

腐葉土の中には、葉や枝の形が残っていることがあります。

こうして元の形が残っていることで、土に混ぜ込んだときにすき間ができ、通気性や水はけがよくなるという説があります。

一方、元の形が残った腐葉土の中には、完全に発酵が終わっていない、いわゆる「未熟」な腐葉土があります。こうした腐葉土を使うと、土の中で発酵が続き、根を傷める熱やガスが発生することがあるので、できるだけ発酵が完了した「完熟」の腐葉土を使うようにしましょう。

よく、「よい土は団粒構造をしている」などと言います。

これは完熟した腐葉土が細かくくずれた「腐植」と、土の微細な粒がくっつき合った状態です。土に混ぜ込まれた腐葉土は、この腐植の素材としても有用です。

マルチング材になる

マルチング

腐葉土は、野菜や草花の栽培でよく使われる「マルチング」の素材としても使うことができます。

マルチングとは、植物の生育を助ける目的などで、さまざまな素材で土を覆うことを言います。畑などで作物を育てる畝を、黒や透明のビニールで覆っているのを見かけることがあります。そうすることにより、ビニールシートによるマルチングで、地温を上げ、土の乾きすぎを防ぐことで作物の生育をよくしています。

また、雑草が生えにくくなるので、省力化、ローメンテナンスになるという効果もあります。

腐葉土を使ったマルチングも、地熱を上げたり乾燥を防ぐ効果があります。また、冬の寒波で植物の根が傷むのを防ぐために使うこともできます。

地中海などの雨が少ない地域原産の植物は葉がずっと濡れていたり、雨が地面に落ちて跳ねた泥がつくと傷んだり、病気になりやすいものがあります。こうしたことも、株元に腐葉土をマルチングすることで防ぐことができます。

マルチング材にはビニール、ウッドチップ、水苔など色々あり、素材によって役割や効果が変わります。

腐葉土は自然と朽ちて土壌の改良にも繋がるので、使いやすくて有用なマルチング資材といえます。

腐葉土と堆肥の違い

堆肥

腐葉土はほぼ落ち葉のみを原料としていますが、堆肥は牛ふんや動物由来の素材を含むことがあります。

腐葉土は土壌改良資材の一つとして扱われますが、牛ふん堆肥や、落ち葉以外の植物性素材を発酵させたものは、法律上は肥料の一種として扱われます。

家庭用コンポストボックスで野菜くずから堆肥を作ることがありますが、植物性のものだけを入れているようであれば腐葉土と近いものになります。ただし、野菜(植物)の種類によっては含まれる炭素などの量が異なるので、土に混ぜたときの効果も若干異なります。

堆肥は、牛などが食べた藁が消化されたものが含まれていたり、機械などで細かくされた樹皮(バーク)、パルプくずなどから作られているために粒が細かく、見た目は土に近いことがあります。

腐葉土はあえて中途半端に発酵させた不完全な状態であるのに対し、堆肥は完全に発酵させたものという説もありますが、実際には完全に発酵していない堆肥も売られているので、使う場合には注意が必要です。

腐葉土は微生物の餌となって排せつ物として放出されたり、風化によって粉々になって細かな腐植質となり、最終的には土の粒と結びついて土壌になっていきます。

東日本を中心によく見られる「黒ボク土」はこうして生まれていますが、腐葉土も土を構成する素材の一種といえます。

腐葉土と培養土の違い

培養土

市販されている植物のための用土には、種まき用、挿し木用、野菜用、草花用、観葉植物用など、さまざまなものがあります。

一般的には植物の栽培のためにさまざまな種類の土や、肥料分をあらかじめ配合したものが培養土と言われています。

野菜用、草花用、観葉植物用などがよく販売されていますが、土の質によって咲く花の色が変わるアジサイ用、酸性土壌を好むブルーベリー用、湿りすぎを嫌うサボテン・多肉植物用など、細分化された用土もあります。

培養土のベースとなっているのは地面から掘り上げられた土のほかに、ピートモスやココヤシ繊維などさまざまです。また、土の質をよくするために、バーミキュライトやパーライトなどの土壌改良資材が混ぜ合わされていることもあります。

培養土(ばいようど)は多種多様な素材がすでに配合された用土ですが、腐葉土は赤玉土や鹿沼土、庭土などと混ぜ合わせて土壌を改良するための資材の一つで、腐葉土単体で植え付け用土として使うことはあまりありません。

腐葉土とバーク堆肥の違い

バークチップ

腐葉土は落ち葉を原料としていますが、バーク堆肥はその名の通りバーク=樹皮を素材にしており、いずれも土壌改良のために土に混ぜ込んで使います。

バーク堆肥も、腐葉土同様、水はけをよくして土を軟らかくし、植物の栄養分を補給する働きがあります。

バークは落ち葉よりも固く、塊のままのこともあるため、微生物に分解されるスピードが腐葉土よりも遅くなります。

バークや落ち葉は、微生物に分解されることで土をフカフカにする腐植になり、また、分解した微生物が植物の生育をよくする有機酸を放出することで、土が肥沃になっていきます。

こうした効果は、分解のスピードが速い分、腐葉土のほうが早く出ます。

腐葉土の使い方

腐葉土

腐葉土は園芸用の資材としてはとてもポピュラーなので、ホームセンターなどで買ってお手軽に使うことができます。

厚手のビニール袋に入っていることが多いので難しいこともありますが、購入するときは匂いを嗅いでみて気になる匂いがしないかチェックしてみましょう。ドブのような不快な匂いがするようであれば、酸素が足りずよい発酵をしていない可能性があるので、購入を避けましょう。

買った腐葉土から不快な匂いがしているようであれば、広げて2週間ほど風に当てておくと匂いが気にならなくなります。

使い方としては、赤玉土7に対して腐葉土を3程度混ぜ合わせたり、掘り返した庭土に適量混ぜ込むなどがあります。

また、植え付けた植物の株元にまいて、保湿のためのマルチングとして使うこともできます。マルチングとして使う際は、3〜4cm程度の厚みになるように、地表に敷きます。腐葉土は乾燥するととても軽く、風がよく通る場所だと吹き飛ばされることがあるので気をつけましょう。

腐葉土のなかには未熟なものもあり、そのまま使ってしまうと植物の根を傷めることがあります。買ったら1カ月ほど置いておき、しっかり発酵させてから使うのが安心です。いつも多めに買ってストックしておいて、しばらく寝かせたものを使うのもよいでしょう。

腐葉土の作り方

腐葉土作り

腐葉土はホームセンターで買うだけでなく自作もできます。

作り方を順を追って説明します。

発酵させる場所を用意する

落ち葉

山や森では自然に落ち葉が積み重なって腐葉土ができていくので、落ち葉をまとめてそのままにしておけば本来ならば自然にできあがります。

しかし、家の周りのスペースで作る場合には、積んだ山がくずれたり、風で飛び散ったりしないようにしておいた方が扱いやすいでしょう。

腐葉土を作るためには、まず落ち葉を貯めておける容器や枠を用意しましょう。

たくさん作りたいときや、場所に余裕がある場合は畑や庭に穴を掘って利用するのでもかまいません。木材などを使って枠をDIYしてもよいですし、・ホームセンターやネット通販で販売されている堆肥枠を購入することもできます。

雨が当たるとうまくできないので、ビニールシートなど覆いにできるものも用意しておきましょう。雨の吹き込みや虫、匂いの発生が気になる場合は、しっかりとふたが閉まる市販のコンポスト容器がおすすめです。

枯葉を集める

落ち葉かき

腐葉土にするには、落葉広葉樹と呼ばれる樹木の落ち葉が適しています。

比較的身近にある樹種としてはクヌギ、ナラ、ケヤキ、ポプラなど、葉が薄いものが挙げられます。厚い葉が多い常緑樹や固かったり、脂分を多く含むものも少なくないスギ、マツ、イチョウなどは発酵が進みにくく向きません。

樹種は図鑑などで確認するほか、公園の植栽に添えられている種類を書いたプレートなどでも確認できます。

また、大きな公園であれば、植栽されている樹種の情報がウェブで公開されていることもあるので、現物を見て確認することもできます。

材料を混ぜ合わせ発酵させる

集めた落ち葉は、適度な湿り気を持たせ、庭土などを適宜混ぜて積んでおけば、自然と腐葉土になります。

市販の発酵促進剤を混ぜ込むと、早ければ2カ月ほどで腐葉土を作ることができます。

落ち葉が腐葉土になるためには微生物の活動が必要不可欠ですが、微生物はある程度温度が高い時期でないと活動が鈍くなるため、冬は発酵があまり進みません。

米ぬかやピートモス、おがくずなどを混ぜ込むと、発酵を進ませることができますが、落ち葉や土以外の材料を混ぜ込んだものは堆肥やボカシ肥になります。

スーパーマーケットや米店で手に入る米ぬかはそれ自体が肥料分を含んでおり、肥料分が適度に含まれたボカシ肥をつくることができます。米ぬかを使う場合は、落ち葉と米ぬかを交互に積み重ねていくと、全体が均等に発酵していきます。

ミミズは落ち葉や腐葉土を食べてフンとして排泄し、豊かな土を作ってくれます。落ち葉を分解してくれるミミズは購入することもできます。

週に1回混ぜ水分量を調節する

腐葉土作り

落ち葉はそのまま置いておくだけでも腐葉土になっていきますが、適切な管理をすることで、全体が均一かつ迅速に発酵し、腐葉土が早くできます。

落ち葉を発酵させる菌は酸素を好むので、週に1回程度全体をかき混ぜると、隅々まで酸素が行き渡って菌の活動が活発になります。

発酵が進むとだんだん熱を持ってくるようになるので、かき混ぜることで適宜温度を下げることになります。

かき混ぜるときには、上の層と下の層を入れ替えるようにおこなうとよいでしょう(上にあるものを下へ、下にあるものを上へ攪拌することを天地返しといいます)。

発酵に関わる菌はあまり乾燥していると活発に働かないので、乾きすぎているようであれば軽く湿る程度に水をかけておきます。

葉の形の崩れ具合を確認する

腐葉土作り

腐葉土の発酵が進んだかどうかは、葉の形と匂いで判断することができます。

葉がくずれてきていれば、発酵が進んだ証。匂いを嗅いでみて、イヤな臭いがしなければ大丈夫でしょう。

ドブくさいようなイヤな臭いがするようであれば、かき混ぜが足りていない証拠です。

しっかりとかき混ぜて、様子を見ましょう。

順調に発酵が進んでも、腐葉土ができるまでには最低2カ月かかります。

腐葉土を活用してみよう!

土づくり

腐葉土はよい土づくりにとても役立つ園芸資材です。

広く使われていて、手に入りやすいので、是非とも有効に使いこなしましょう。また、落ち葉がたくさん手に入るようなら、自家製の腐葉土を作ることもできます。

腐葉土を気軽に活用し、植物がよく育つ土づくりに役立てましょう。

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Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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