引っ越しとともにバラの苗を新しい敷地へ移植し、初めて迎えた冬。昨年12月に行った誘引・仮剪定の後も引き続き行う春の開花に向けてのバラのお手入れは残り5つあります。神奈川県在住で「日本ローズライフコーディネーター協会」の代表を務める元木はるみさんによる庭づくり奮闘記第13話。今回は、元肥(寒肥)・植え替え・鉢植えの土替え・本剪定・病害虫予防について解説していただきます。

Print Friendly, PDF & Email

仮剪定が終わった冬の庭より

新しい庭に引っ越して、2020年の2月に植え付けたバラ苗たちも、ほとんどの苗が無事に根を張り、2年目を迎えることが出来ました。

冬は、バラの1年間を見通した作業を行う大切なお手入れシーズンです。今回は、先月ご紹介した『冬のバラ仕事第1弾~仮剪定と誘引』に続き、冬のバラ仕事第2弾として、「元肥(寒肥)・植え替え・鉢植えの土替え・本剪定・病害虫予防」について説明します。

バラの庭の冬
12~1月上旬にかけて行った仮剪定の終わった庭の様子。

バラは落葉が始まり、生育期から休眠期に入り、冬の元肥(寒肥)のすき込みや、植え替え、鉢植えの土替え等、この冬にしか行えない作業ができる時期となりました。

バラ ‘マリア・テレジア’(F)
‘マリア・テレジア’(F)

温暖化や品種の特性か定かではありませんが、近年、落葉する時期が遅れていると感じるバラが増えてきたように思います。

上写真の‘マリア・テレジア’も、我が家ではなかなか落葉せず、つぼみを上げ続けていましたが、落葉しない葉やつぼみを取り除き、仮剪定を行い、強制的に休眠期に入らせました。

バラ ‘マリア・テレジア’(F)
‘マリア・テレジア’(F)の春の花。

作業1.地植えのバラに元肥(寒肥)を与える

「元肥(寒肥)」とは、すでに植えられているバラに、冬の休眠期間中に施す肥料のことをいいます。また、バラを植え付ける際に、用土に混ぜる肥料を「元肥」ともいいます。

有機質系肥料を施し、すき込むことで、土の団粒構造と有用土壌微生物繁殖を促し、土をフカフカな状態に近づけ、根張りを促進し、株の生育や花付きをよくします。

【元肥(寒肥)を与える適期/1月上旬~2月上旬】

地中の温度が徐々に上がり始める2月中旬前には、元肥(寒肥)を済ませておきましょう。なぜなら、地中の温度が上がり始めると、地中の中では、根の生育が活発になり、栄養分や水分を吸い上げる大切な根の先端部分の成長も盛んになります。せっかく成長し始めた大切な根の先端部分を、元肥を遅くすき込んだばかりに切って傷めてしまってはもったいないことです。

【元肥(寒肥)の与え方】

バラの肥料

今回使用する元肥(寒肥)は、昨年から使用を始めた「特選有機バラの堆肥」と「特選有機濃いバラの肥料」(両商品とも販売/花ごころ)を使用します。

  1. バケツに、「特選有機バラの堆肥」5ℓと「特選有機濃いバラの肥料」200gを入れ、よく混ぜ合わせておきます。
    冬のバラ手入れ
  2. 株元から約20cmほど離れた所にスコップなどで円を描き、外側に溝を作ります。
    冬のバラ手入れ
  3. 溝に、①をすき込みます。
    冬のバラ手入れ
  4. シャベルで、すき込んだ①に庭土をかぶせ、軽く混ぜ合わせます。
    冬のバラ手入れ
  5. 最後に、水をたっぷり与えます。この際、根の生育を促す活性液「高濃度フルボ酸 微生物活力液アタックT-1」を、10ℓの水にキャップ6杯(200mLボトル)入れ、株元に与えると、なおよいです。
    高濃度フルボ酸 微生物活力液アタックT-1

*鉢植えの場合、冬は基本的に鉢の土替えを行い、同時に元肥(寒肥)を施肥します(詳細は、【作業3.鉢植えの土替え作業】参照)。

作業2.地植えのバラの植え替え作業

【バラを植え替える際の注意点】

どんなに植栽計画を練り、その通りに植栽しても、全てが納得いくようになるとは限らないのが、庭づくりの大変さでもあり、面白さでもあります。

より納得したデザインに近付けたい思いから、すぐに植え替えをしたい衝動に駆られるものですが、バラは、冬以外に植え替えを行うと株が弱って枯れてしまうことが多いものです。そうして、ずっと我慢し、ようやく植え替えのできる時期が到来しました。

バラの土
「特選有機バラの土」(販売/花ごころ)

そして、バラは、一度植えた場所に別のバラを植えると生育が悪くなります。この現象を「嫌地現象」と呼び、一度バラを植えた同じ場所に、別のバラを植える場合は、その場所の土を新しく替えないといけません。そのような時は、バラ用にブレンドされた上写真のような市販の用土を使用すると便利です。

【植え替え作業の適期/1~2月上旬】

  1. 掘り上げた株は、土を落とし、水を張ったバケツに浸けておきます(この際、根の生育を促す活性液を水に入れて使用するとなおよい)。
    バラの植え替え
  2. 根鉢や根元付近などに癌腫病などが無いか、またコガネムシの幼虫などが潜んでいないか、根をチェックします。
    バラの植え替え
  3. 枯れた根や、極端に長く伸びた根を少しカットし、根の長さを整えます。
  4. 枝も、根とのバランスを考え長すぎるようならカットします。
  5. 植え付ける場所に、深さ、幅、約40cmの穴を掘ります。
  6. 1株(1穴)につき、「特選有機バラの堆肥」10ℓ+「特選有機濃いバラの肥料」400gを用意します。
  7. ⑥の約半量を穴に入れ、穴の土とよく混ぜ合わせます。
    バラの植え替え
  8. ⑥の約半量と掘り上げた土をバケツの中で混ぜ合わせておきます。
  9. 植え穴の⑦の上に、根を広げて株を置き、株の接ぎ口が地表に出るよう調整しながら➇を入れ、植え付けます。

    バラの植え替え
    写真は、‘ラリッサ・バルコニア’(F)。
  10. 水をたっぷり与えます(この際も、根の生育を促す活性液を水に入れて使用するとなおよい)。

作業3.鉢植えの土替え作業

【鉢植えの土替え作業の必要性】

限られた鉢の中の用土は、1年も経つと、栄養分が不足し、栄養分のバランスが悪くなっていたり、根詰まりを起こしていたり、また害虫による被害も受けているかもしれません。冬の休眠期間中に、根の病害虫をチェックし、新しい用土に取り換えて、また鉢でもバラが元気に育つよう促してあげましょう。

【鉢植えの土替え作業の適期/1~2月上旬】

  1. 鉢から抜いた株は、土を落とし、水を張ったバケツに浸けます(この際、根の生育を促す活性液を水に入れて使用するとなおよい)。
  2. 根鉢や根元付近などに癌腫病などが無いか、またコガネムシの幼虫などが潜んでいないか、根をチェックします。
  3. 枯れた根や、極端に長い部分の根を少しカットし、根の長さを整えます。
  4. 枝も、根とのバランスを考えカットします。
  5. バケツに、体積比、赤玉小粒5:完熟堆肥5を入れ、炭の小粒1握りと、根に触れても安心な発酵済み有機質肥料を適量プラスしたら、よく混ぜ合わせます。
    *または、先にご紹介した「特選有機バラの土」などのバラ専用にブレンドされた市販の用土を使用すると便利です。
    *鉢植えの場合、用土の中に混ぜる有機質肥料は、必ず根に触れても安心な発酵済み有機質肥料を選びましょう。
  6. 鉢底は、防虫ネットや鉢底網を敷いたら、赤玉土大粒または、炭の小粒を入れます。私は長年、炭の小粒を使用しています。炭の小粒を入れると、根(白根)の発生がより促進されます。
    バラの植え替え
  7. ⑥の上に、⑤の用土を少し入れます。
    バラの植え替え
  8. ⑦の上に、根を広げた株を置き、株の接ぎ口が地表の上に出るよう調整しながら残りの⑤の用土を入れ、植え付けます。

    バラの植え替え
    写真は、‘ボレロ’(F)。
  9. 鉢底から水が流れるくらい、たっぷり水を与えます(この際も、根の生育を促す活性液を水に入れて使用するとなおよいです)。
    バラの植え替え

作業4.本剪定について

「本剪定」とは、「冬の強剪定」のことで、一年で最も枝を深くカットし、株を若返らせ、株をリセットできる剪定でもあります。本剪定は、充実した枝の芽(外芽)の上で切ることがポイントです。

【本剪定の適期/2月下旬まで】

私は、12月中旬~1月上旬に「仮剪定」を行った株に、1月上旬~2月上旬に「元肥(寒肥)」を与え、2月下旬頃に「本剪定」を行います。

*まだ小さな株やコンパクトな樹形の株、鉢植えにしてコンパクトに育てている株等は、仮剪定は行わず、本剪定のみで大丈夫です。

【本剪定時の切り詰める長さの目安】

本剪定時の枝のカットの目安の位置は、

・ハイブリッドティーローズなら1/2~1/3

・シュラブローズなら2/3~1/2

・ミニチュアローズやフロリバンダローズなら1/2~1/3

を残してカットするとよいといわれますが、仮剪定を行った株は、枝先を少しカットしてあることや、植栽場所や思い描くバラの風景を考慮しながら、カットする一番よい位置を決めてください。

バラの剪定
花壇前方に植栽したコンパクトな樹形のイングリッシュローズ‘オリビアローズ・オースチン’(S)。剪定前。
バラの剪定

本剪定は、約2/3を残しました。

*既に誘引したつる性のバラは、特に本剪定は必要ありませんが、もう少しカットが必要な場合は、必要に応じてハサミを入れて下さい。

つるバラ
誘引済みのつる性バラ。

【切り戻し】

「本剪定」後、雪が降る等の強い寒さにより、新芽が傷んだ場合や、何らかの理由で先端の芽が上手く成長しないなどの場合は、その下のよい外芽の上で枝をカットし「切り戻し」を行います。

作業5.病害虫予防について

病気や虫の被害を次の季節に持ち越さないためにも、冬のお手入れは大切です。特に、葉を取り除くことは、新芽を病気から守ることにも繋がりますので、落葉せず残っている葉や落ち葉は、全て取り除いておくことをおすすめします。

バラのカイガラムシ

枝に付いた「カイガラムシ」は、葉を取り除いた枝で発見することも。退治するのは簡単ですので、見つけたら葉ブラシでこすり落としておきましょう。

コガネムシの幼虫

地中に潜む「コガネムシの幼虫」は、バラの白根を食害します。放置すると、いくらバラに肥料や水を与えても、根がほとんど食害され、バラが枯れてしまいます。見つけ次第、駆除することが大切です。

ご紹介した冬のバラのお手入れは、寒空の下での作業が多く、大変ではありますが、春のバラ咲く季節を楽しみに、お手入れをがんばりましょう。

Credit


写真&文/元木はるみ
神奈川の庭でバラを育てながら、バラ文化と育成方法の研究を続ける。「日本ローズライフコーディネーター協会」代表。近著に『アフターガーデニングを楽しむバラ庭づくり』(家の光協会刊)、『ときめく薔薇図鑑』(山と渓谷社)著、『ちいさな手のひら事典 バラ』(グラフィック社)監修など。TBSテレビ「マツコの知らない世界」で「美しく優雅~バラの世界」を紹介。
http://roseherb.exblog.jp
Print Friendly, PDF & Email