各国の花には固有の“色”がある。異国の花の持つ色彩や造形は、インパクトにあふれて鮮烈だ。ここでは美しく神秘的なオーストラリアの植物、バンクシアやユーカリ、アカシア、グレビレア、ボトルブラシなどの樹木のタネを発芽させるのに必要な、驚きのタネ播き法をご紹介。
山火事を経験させるタネ播き
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了された遠藤昭さん。帰国後は、オーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、神奈川県の自宅の庭で100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストでも数々の受賞歴があり、60㎡の庭づくりの経験は20年になるという遠藤さんに、注目のオージープランツの栽培テクニックを教えていただきます。

面白い!オージープランツのタネ播き
バンクシアやユーカリ、アカシア、グレビレア、ボトルブラシなど、我が家でも育つオーストラリアの樹木のタネは、山火事を経験して発芽すると言われている。なので、人がタネを播く時にも、一般的な方法で播いたのでは発芽がしにくい。特にマメ科の植物は難しい。ならばどうするか。それは、擬似的に山火事を経験した状態をつくり出すのだ。
山火事が起きた状態をタネに経験させる方法
山火事が起きたとタネに思わせる方法にはいくつかある。1、熱湯をかけて浸す。2、バッテリー液に浸す。3、フライパンでさっと炒める。4、ティッシュペーパーに包んで一瞬燃やす。5、あるいはタネの表皮に紙ヤスリで傷をつける。6、さらには、スモークウォーターというオージープランツ用の発芽促進剤を使う。タネを熱してしまうのは信じられないと疑いたくなるが、やってみると本当に発芽して育ったのだ。オージープランツの面白さは、タネ播きにまで潜んでいた。

一番簡単な方法は熱湯
もっとも簡単な方法が、タネに熱湯をかけて一晩置く方法だ。写真は、ユーカリの種に熱湯をかけて一週間。根が出てきた。その日中にビニーポットに移植した。

効果的な方法は「スモークウォーター」を使う

スモークウォーター(smoke water)とは煙を通した水で、タネを休眠からさます効果があり、オージープランツの発芽を助ける。使い方は、約10倍に薄め、タネを6〜24時間浸す。もう一つの使用法として、タネを播いたトレー1㎡当たり100㎖のスモークウォーターを薄めずにスプレーし、6〜10日間水やりをする。オーストラリアの旅行時にスモークウォーターを購入したが、そこのスタッフによると約60%程度発芽率が向上するという。匂いは日本でも販売している木酢液に極めて近く、製法も似ているので、同じような効果があるかもしれない。ただし、タケやナラ類からつくった木酢液が、果たしてオーストラリアの植物にも効果があるかは未だ検証したことがない。



オーストラリアの植物は、山火事という大自然の営みをたくみに利用して、長い年月をかけて独自の進化を遂げてきた。不思議大陸ならではの面白い植物の特性だ。タネが発芽しないぞ?という経験があったら、産地はどこか確認するのも方法だ。
Credit
写真&文/遠藤 昭
「あざみ野ガーデンプランニング」ガーデンプロデューサー。
30代にメルボルンに駐在し、オーストラリア特有の植物に魅了される。帰国後は、神奈川県の自宅でオーストラリアの植物を中心としたガーデニングに熱中し、100種以上のオージープランツを育てた経験の持ち主。ガーデニングコンテストの受賞歴多数。川崎市緑化センター緑化相談員を8年務める。コンテナガーデン、多肉植物、バラ栽培などの講習会も実施し、園芸文化の普及啓蒙活動をライフワークとする。趣味はバイオリン・ビオラ・ピアノ。著書『庭づくり 困った解決アドバイス Q&A100』(主婦と生活社)。
ブログ「Alex’s Garden Party」http://blog.livedoor.jp/alexgarden/
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