多くのハーブは、地中海沿岸・ヨーロッパが原産です。これらの地域は、雨が少なくカラッと涼しく、冬も比較的暖かい気候が特徴。そのため、夏は高温多湿で冬は寒い…といった日本の環境下でハーブを育てるには、季節を乗り越える工夫が必須です。というわけで、今回は冬越し管理の方法をご紹介します。
目次
ハーブの冬越し! まずは、耐寒性があるか、ないかを見極める
まずは、ハーブの種類によって、耐寒性があるか・ないかを調べましょう。ここで大切なことは、お住まいの地域によって差があること。書籍類などは、関東以南を基準として、耐寒性のあるなしを記載しています。ですが、日本の地理は南北に長く、ヨーロッパと似たような気候の場所もあれば、熱帯アジアに近い場所もあり…と、かなりの差が。お住まいの地域の最低気温がどのくらいになるのか、その植物はどのくらいまで耐えられるかを調べ、外に植えたまま(鉢の場合は出したまま)でいいのか否かを見極めましょう。
耐寒性のあるハーブの冬越し方法
それでは具体的な作業を見ていきましょう。まずは、庭に植えっぱなしでも冬越しできる寒さに強いタイプから。
耐寒性がある常緑低木
ラベンダー、タイム、ローズマリー、ローレルなどは比較的耐寒性のある種類ですが、そのまま放置するより、寒くなる12月頃を目安に、一度剪定をしておくとよいでしょう。春には新しい柔らかい芽が出てきて、美味しく食べたり飲んだりできます。
【ローズマリーの場合】
枯れている枝・混み合っている枝をカットして、まずは本数を減らします。そのあと、飛び出ている枝を小さくカットして、サイズダウンします。いきなり丸坊主のように剪定してしまうと、寒さに耐えられず枯れてしまうこともありますので、見た目があまり大きく変わらない程度にとどめておくのがポイント!
【ラベンダーの場合】
花後の剪定がしっかりできていれば、そこまで短く切り詰める必要もありませんが、全体の2/3ほどを残すようカットします。万が一、雪が降り積もった場合、株が大きいままだと雪の重みで枝が折れたりすることがありますので、切っておくと安心です。
耐寒性がある多年草
ミント類・セージ類・ヤロウ・サラダバーネットなど、いったん枯れて、春になるとまた出てくるタイプと、ラムズイヤーやワイルドストロベリーなど、葉がそのまま残るタイプがあります。葉がそのまま残るタイプは、古い葉を取り除く程度の作業でOK! いったん枯れるタイプは枝葉の整理をして、来年に備える作業をします。
【カラミンサの場合】
カラミンサは、ミントの近縁種。この枝葉はそのままにせず、地際からばっさりカットです。花音の森の庭では、もう足元に小さい次の芽がスタンバイ中でした。雑草で周りを囲うように寒さ除け(マルチング)をします。マルチングについては、この後に記載します。
耐寒性がないハーブの冬越し方法
一方、寒さに弱く、このままでは枯れてしまうタイプのハーブもあります。花音の森の庭では、レモングラス・ニオイゼラニウム類・レモンバーベナがこれに当たります。
このタイプは、地植えではなく鉢植えのほうが管理が楽ですが、やはり地植えのほうが大株になるので、私は毎年掘り上げて冬越しさせています。やり方は、地際でカットしたあと、根全体を掘り上げ、寄せ植えを作るように鉢に植え替えればOK! 霜が当たらない軒下などで管理して、暖かくなったら地植えにします。
寒さに弱い一年草は、抜くのではなく、地上部をカットするだけ
バジルやシソ、マリーゴールドなどの寒さに弱い一年草は、タネ採りをして終わり。通常なら、根から抜いてしまうところですが、私は抜かずに地上部をカットするだけにしています。
【シソの場合】
シソはかなり根を張っていたので、枝を落とした後、のこぎりで茎をカットしました。根は土の中の微生物たちにより分解され、次の植物の栄養になります。
春、この場所に植物を植える頃には、スコップもさくっと入るくらい土が柔らかくなっているので、微生物の力にはいつも感心させられます。
抜くということは、大変な労力であると同時に一緒に土や根を捨てることになります。根は微生物のえさとして活用されますし、特に、土は1cm堆積するまで100年もかかるのです。ちょっとだってゴミにはしたくない気持ちで、大切にしています。
庭で出たものはゴミにしない! マルチングとして活用しよう
作業をしながら、土の表面にはマルチングをします。マルチングとは、腐葉土やわら、もみ殻、黒ビニールなどで、株元や畝全体を覆うこと。
マルチングは地温調整・雑草防止・降雨時の泥はねによる病害虫の予防・保水作用など、いいことばかりです。マルチングの材料は購入もできますが、私は、落ち葉や刈った草たちを活用し、木々の足元に置くことにしていて、庭から出たものをゴミにしないように心がけています。
こちらは、先ほどカットしたラベンダーの枝葉。他の植物の足元に置き、土の表面を覆います。これから乾燥のシーズンがやってきますが、マルチングがしっかりしてあれば、水やりの回数も減らせますよ。ぜひお試しください!
Credit
写真&文 / 堀久恵 - 花音-kanon- 代表 -
ほり・ひさえ/ガーデンセラピーナビゲーター。一般社団法人日本ガーデンセラピー協会専門講師。
生花店勤務を経て、ガーデンデザイン・ハーブ・アロマセラピー等を学び、起業。植物のある暮らしを通じて、病気になりにくい身体を作り健康寿命を延ばすことを目指した「ガーデンセラピー」に特化した講座の企画運営と庭作りを得意とする。埼玉県熊谷市の『花音の森』にて、日々植物に囲まれ、ガーデンセラピーを実践中。
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