今年の夏も酷暑の日が続き、人にとってもバラにとっても過酷な日々となりました。特に、無農薬や低農薬でバラを育てていると、落葉や害虫による被害が顕著に見られる時でもあります。神奈川県在住で「日本ローズライフコーディネーター協会」の代表を務める元木はるみさんによる庭づくり奮闘記第8話。今回は、8月下旬~9月上旬にかけて行う、夏に弱ってしまったバラを元気に回復させ、無事に秋の開花へ導く方法をご紹介します。

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夏バテから回復させて次のシーズンにつなぐお手入れ

まだ残暑が厳しい時期ですが、秋になってからのバラの恩返しに期待して、元気を取り戻してくれるよう、少し心と手をかけてあげましょう。

また、害虫予防や夏剪定によってカットしたバラのつぼみの利用法もご紹介します。

周辺をきれいに整える雑草取り

雑草取り

まずは、バラの株元や周囲の雑草を取り除きましょう。株元や周囲の草を取り除くと、固くなってしまった用土が軽く耕され、水分や栄養分が地中に染み入りやすくなります。

しかし、草が大きく育ち、その根が地中深く張ってしまっていると、草を抜いた時にバラの根が切れて傷めてしまうことがあるので、雑草は小さなうちに、こまめに取り除くのがベストです。

水切れに注意して、2週間に1回活力剤

気温の高い日は、水切れに特に注意し、2週間に1回は活性液(活力剤)を与えます。

この時期は、花を咲かせることよりも、株の元気を回復させることに重点を置きましょう。株が元気になれば、また美しい花を咲かせてくれます。そのためには、水分や栄養分を吸い上げる根の力をまず回復させるために、活性液(活力剤)を使います。さまざまな活性液(活力剤)が市販されていますので、使用方法を守って与えてください。

整枝と夏剪定を行います

バラの夏剪定
夏剪定の目安は、株全体の1/3~1/4をカット。

枯れ枝や細く弱々しい枝、内側に向かって伸びたふところ枝、不要な枝などを切り除き、整枝を行います。

秋バラは、10月中旬~11月頃が最も美しく咲く時期です。剪定から開花までは、約50日前後かかりますので、バラが最も美しく咲く時期に開花を迎えられるよう、つる性のバラ以外は、9月上旬~14日頃までに、株全体の1/3~1/4をカットする夏剪定を行います。

これは、あくまでも目安ですので、下葉や新芽がほとんどなくなってしまうようでしたら、剪定はもっと浅めに行い、株の保護のため、光合成が少しでも多く行われるようにします。

バラの夏剪定
外芽の5枚葉や7枚葉の上でカットします。

一季咲きのバラは、剪定をしなくても構いませんが、枝が暴れているようでしたら、管理しやすいように整枝や剪定を行っておくと後々楽です。

つる性のバラは、来年の樹形を頭に描きながら、残す枝を決め、不要な枝や暴れて管理が大変な枝は、整枝や剪定を行っておきます。

夏の元肥

株に栄養を補充し、秋の開花を促す施肥を8月下旬~9月上旬に行います。

以前は、四季咲き性の地植えの株には、株元から半径約20cm離れた場所に円を描くように溝を浅く掘り、そこに、完熟堆肥バケツ1.5ℓ、炭小粒または燻炭150g、有機質肥料適量をすき込む方法を行ってきました。しかし昨今の酷暑の中、なかなかその作業は大変だということと、溝を掘った時に根を切って傷めてしまった場合、株を弱らせることにも繋がるため、最近では、草を取り除いて軽く耕された状態の土に、有機由来の原料で栄養分がバランスよく配合されたペレット状の固形肥料を、ぱらぱらと撒くようにしています。

バラの肥料
「特選有機濃いバラの肥料」ニーム入り(株式会社花ごころ)
肥料の含有率は、窒素(N)5 : リン酸(P)5:カリ(K)3の製品。

また、鉢植えの株にも、肥料を地植えと同様に施していますが、用土が減っている場合は、上に盛り土します。そして、引き続き、水枯れに注意し、活性液(活力剤)を利用しながら、株の回復を促します。

葉が増えてきたなどの回復が見られた株には、リン酸分(花肥)の多い即効性のある液肥を2回ほど、つぼみが色付く頃まで与えます。

※リン酸分の多い液肥は、葉が落ちてしまっている株にはいきなり与えず、葉が元気に復活してから与えます。つぼみが色付いたら、全ての施肥はストップします。

新葉を守りながら秋の開花シーズンへ

バラの新葉
この時期発生する新しい葉。

新しい葉がたくさん出てきたからといって安心はできません。高温の日が続けば、ハダニが発生しますし、新鮮な新しい芽や葉を狙う害虫たちもまだたくさんいます。

ご自身のバラを育てる目的に合わせた育て方で、薬剤を利用するか、無農薬で頑張るかを決めて、新しい葉を病害虫からしっかり守ろうという意識を持って、秋の開花シーズンに繋げていただきたいと思います。

切り取った夏のつぼみの利用法

夏のバラ
小さな夏花。

真夏の花は、咲いても小さく、残念ながらきれいな花は望めません。

また、コガネムシを集め、食害され、卵を産み付けられ、孵化した幼虫にバラの根を食害されることにもつながる可能性を秘めています。

害虫予防とバラの体力温存のために、私は夏のつぼみはほとんど切り取ってしまいます。

しかし、ただ捨ててしまうのでは、かわいそうでもったいないので、切り取ったつぼみを暮らしに活用しています。

バラ‘アシュリー’(S)のつぼみ
切り取った‘アシュリー’(S)のつぼみ。

香りのあるバラのつぼみは、よく水洗いし、ハーブティーや紅茶に入れて楽しみます。

バラのハーブティー
ハーブティーにつぼみを浮かべて。

香りの少ないバラのつぼみは、ドライにして保存し、エッセンシャルオイルを足したポプリやクラフト作りなどにも利用しています。ささやかな楽しみを実践しながら、秋の到来に期待して過ごしましょう。

バラのつぼみの活用
左/ドライにしたつぼみ。右/つぼみをドライハーブと混ぜてポプリに。

Credit


写真&文/元木はるみ
神奈川の庭でバラを育てながら、バラ文化と育成方法の研究を続ける。「日本ローズライフコーディネーター協会」代表。近著に『アフターガーデニングを楽しむバラ庭づくり』(家の光協会刊)、『ときめく薔薇図鑑』(山と渓谷社)著、『ちいさな手のひら事典 バラ』(グラフィック社)監修など。TBSテレビ「マツコの知らない世界」で「美しく優雅~バラの世界」を紹介。
http://roseherb.exblog.jp
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