種は野菜によって適したまき方が異なります。このまき方で発芽率や、最終的な収穫量も変わってきます。ここでは、代表的な「すじまき」や「点まき」などを中心に、正しいまき方やコツをご紹介します。
目次
まきどきをしっかり確認
野菜が発芽するには、適度な水と光、そして土が必要です。発芽は日光や土の温度に左右されますから、種子袋に記載されている「まきどき」をしっかり確認しましょう。
タネを選ぶときは、できるだけ新しいものを選び、持ち帰ったら涼しい場所に保管。冷蔵庫に入れておくのもおすすめです。
〈タネから育てるのに向いている野菜〉
移植しにくい根菜類や、すぐに成長する葉菜類。そのほか、シソやバジルなどのハーブ類や、マメ類、キュウリやスイカ、カボチャなどのウリ科の野菜もタネから育てるのに適しています。
〈タネのまき方は3種類〉
野菜の種のまき方は、すじまき、点まき、ばらまきの3種類です。畑やプランターに直接タネをまく場合も、ポットで苗を育てる場合も、タネのまき方は3種類うち、どれかになります。また、いずれのまき方も、成長に応じて間引きが必要になります。ばらまきは簡単ですが、種子が偏りやすいので、初心者は避けたほうがよいでしょう。
種まき用の土づくり
発芽率をアップさせるには、土づくりが最も大切です。まず種まきの床づくりから始めましょう。種まき用の土は、できるだけ細かい粒子を均一に混ぜてつくることで、発芽率がアップします。
用意するものは、種まき用バット、鹿沼土、赤玉土、フルイ、整地用の板材などです。
1.鹿沼土をふるう
鹿沼土をフルイにかける。フルイに粒が残りやすいので、手でつぶしながらふるいます。最後に残った粒は角材などで押しつぶし、細かくなった土のみを使います。
2.鹿沼土と赤土を混ぜる
鹿沼土と赤玉土を、手でよく混ぜ合わせます。このとき、それぞれの用土は均一量を混ぜ合わせるとよいでしょう。
3.バットなどに土を入れる
混ぜ合わせた土を、バットやトレーなどのタネをまく容器に入れます。このとき、板材などで土をならすと、簡単に平らにできます。
4.土を水で湿らせる
タネをまく前に、ジョウロや霧吹きなどで土をよく湿らせておくとよいでしょう。
バットを使った育苗用のタネのまき方
すじまきは、コマツナやホウレンソウなどの葉菜類や、ラディッシュなどの小さな根菜に向いています。点まきは、ひと株が大きくなる果菜類や根菜類に向きます。いずれの場合も、タネをまいたら水をたっぷりとかけることが大切です。タネが水に流れないように霧吹きなどを使いましょう。
幼苗になったら、9cmポットに移し変えてさらに成長させると定植しやすくなります。
用意するものは、土、種子、バット、ポット、厚紙、割りばし(先端をナイフなどで細く削っておく)、板材や支柱です。
すじまき
1.土に溝をつくる
板材や支柱などを使い、土に溝をつくります。深さは5〜10mmほど、溝と溝の間隔は3cm以上離します。
2.種をまく
タネ(写真はコマツナ)を厚紙に移し、割りばしを削ったものでひと粒ひと粒、ていねいに土に落としていきます。タネとタネの間隔は3cmほど空けます。
3.土をかぶせ、鎮圧する
手で全体に土をかぶせ、板材などを使ってかぶせた土をならします。板材などで、軽く鎮圧し、霧吹きでたっぷりと水をやりましょう。
点まき
1.土に穴をあける
割りばしの先を細く削ったもので、直径5mm、深さ1㎝ほどの穴をあけます。
2.種をまく
タネ(写真はダイコン)を厚紙に移し、割りばしを削ったものでひと粒ひと粒、ていねいに土に落としていきます。ひとつの穴に2~3粒のタネを落とします。
3.土をかぶせる
手で全体に土をかぶせ、板材などを使ってかぶせた土をやさしくならします。鎮圧はせず、霧吹きでたっぷりと水を与えます。
幼苗のポット上げ
1.ポットを用意する
直径9cmのポットに、移植用の土を用意します。
2.幼苗をポットから外す
移植適期に育った幼苗を、ポットからていねいに外します。
3.移植する
9cmポットに移植し、定植適期までさらに育てます。
種まきにチャレンジしよう
この記事では、タネのまき方とポット上げの方法をご紹介しました。野菜に合ったまき方と、まきどきをきちんと確認し、上手に育ててみてくださいね。
Credit
監修/矢澤秀成
園芸研究家、やざわ花育種株式会社・代表取締役社長
種苗会社にて、野菜と花の研究をしたのち独立。育種家として活躍するほか、いくとぴあ食花(新潟)、秩父宮記念植物園(御殿場)、茶臼山自然植物園(長野)など多くの植物園のヘッドガーデナーや監修を行っている。全国の小学生を対象にした授業「育種寺子屋」を行う一方、「人は花を育てる 花は人を育てる」を掲げ、「花のマイスター養成制度」を立ち上げる。NHK総合TV「あさイチ」、NHK-ETV「趣味の園芸」をはじめとした園芸番組の講師としても活躍中。
参照元/『菜園生活 パーフェクトブック』(監修・著:藤岡成介 発行元:株式会社日本インテグレート)
※『菜園生活 パーフェクトブック』のご購入は「ガーデンストーリーWeb Shop」で!
協力者/藤岡成介
新着記事
-
ガーデン&ショップ
「第3回 東京パークガーデンアワード 砧公園」 ガーデナー5名の“庭づくり”をレポート!
第3回目となる「東京パークガーデンアワード」が、東京・世田谷区にある都立砧公園でキックオフ! 作庭期間は、2024年12月中旬に5日間設けられ、書類審査で選ばれた5名の入賞者がそれぞれ独自の手法で、植物選びや…
-
宿根草・多年草
花束のような華やかさ! 「ラナンキュラス・ラックス」で贅沢な春を楽しもう【苗予約開始】PR
春の訪れを告げる植物の中でも、近年ガーデンに欠かせない花としてファンが急増中の「ラナンキュラス・ラックス」。咲き進むにつれさまざまな表情を見せてくれて、一度育てると誰しもが虜になる魅力的な花ですが、…
-
ガーデン&ショップ
都立公園を新たな花の魅力で彩る「第3回 東京パークガーデンアワード」都立砧公園で始動
新しい発想を生かした花壇デザインを競うコンテストとして注目されている「東京パークガーデンアワード」。第3回コンテストが、都立砧公園(東京都世田谷区)を舞台に、いよいよスタートしました。2024年12月には、…