地植えの場所がなくてもガーデニングを楽しめる「ハンギングバスケット」について、ご存じでしょうか。「ガーデンスペースが限られている」、「ベランダやテラスしかない」、という住環境の方におすすめなのが、ハンギングバスケットで空中花壇を楽しむ方法です。この記事では、ハンギングバスケットの魅力とその作り方、管理方法などについて、詳しくご紹介します。

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ハンギングバスケットとは

ハンギングバスケット

ハンギングバスケットとは、植物を植えて吊り下げたり、掛けたりできる花鉢のことをいいます。プランターなどのように地面に置くタイプとは異なり、空間を縦に彩ることもできるのが特徴です。

ハンギングバスケットにはいくつかの種類があります。まず、鉢の縁に3〜4カ所フックを設け、ワイヤーやチェーンをかけて吊るすタイプ。使われる鉢はプラスチック、素焼き、木製などさまざまで、形もボウル型やスクエア型など多様です。吊り鉢タイプは、四方から美しく見えるように草花を植栽することがポイントです。

また、壁に掛けることを前提とした壁掛け鉢もあります。壁側がフラットになるように、バスケットの形は半円やスクエア型になっているのが特徴。中には、側面にも苗を植えられるようにスリットの入ったプラスチック鉢もありますよ! 高い塀やフェンスなど、圧迫感のある場所に壁掛け用ハンギングバスケットを飾ると、瑞々しい空間へと生まれ変わります。こちらは、正面から見ることを前提に草花を植栽するとよいでしょう。

もう一つ、注目しておきたいのが、ワイヤーバスケット。これはワイヤーで作った円形や半円形、長方形などのカゴの中に、水苔またはヤシの実の繊維などを敷いて培養土を入れ、草花を植え付けるものです。側面など、ワイヤーの隙間から植物を植え込むことができるため、より自由な植栽ができ、立体的に仕上げられるのが特徴です。

ハンギングバスケットの起源はイギリス

イギリスのハンギングハケスケット

ハンギングバスケットは、イギリスから広まった草花による空間装飾法の一つです。イギリスは「ガーデニングが国民の趣味」といわれるほど、庭いじりが大好きな人々が暮らす国。ハンギングバスケットも生活に浸透していて、ロンドンでは気候のよい6月になると、花々で彩られたハンギングバスケットが街のあちこちに飾られ、風物詩的な景色が広がります。

日本では、1990年に大阪で開催された「国際花と緑の博覧会」を機に、徐々にハンギングバスケットが普及してきました。ハンギングバスケットを作るワークショップに参加する人々も多く、ガーデニングを始めるのにぴったりのスーターターキットとしても人気があります。マンションが増えて、ガーデンを持つ人が減っている昨今だからこそ、ニーズにマッチしているのかもしれません。

ハンギングバスケットのメリット

ハンギングバスケット

ハンギングバスケットは、なんといっても手軽さがいいですね。掛けたり吊したりすることで、花壇や庭がなくても、草花たちが元気に咲く姿を身近に楽しめます。花を目の高さに飾れることも、メリットの一つといえるでしょう。草丈の低い植物を近くでじっくり愛でたい時は、しゃがんで覗き込むことになりますが、ハンギングバスケットなら、立ったままでOK。花がら摘みや枯れ葉の整理などのメンテナンスも楽にできます。

また、一般家庭では耐荷重などに配慮して、掛けたり吊したりが簡単にできるサイズで作ることが多いので、好きな場所への移動も楽。気軽に模様替えを楽しむことができます。季節が巡り、アイキャッチにしたい場所が変わっても、空間にディスプレイの強弱をつけやすいのがいいですね。

草花たちにとってもメリットはありますよ! ハンギングすることで、風通しがよく蒸れにくい環境になるので、病害虫も発生しにくくなります。

ハンギングバスケットのデメリット

枯れたハンギング

ハンギングバスケットのメリットばかりを挙げても不公平なので、デメリットについても触れておきましょう。ハンギングバスケットは、地面よりも高いところに飾るので、風通しがよくなる分、乾燥しやすいともいえます。そのため水やりの手間が増えがちです。真夏は特に乾燥しやすく、朝夕2回の水やりを忘れると、しなびた状態になることも。でも、手間をかける分だけ、愛情も深まるかもしれませんね。

ハンギングバスケットの花選び

ハンギングバスケット

ハンギングバスケットに向いている植物は、草丈が10〜20cmくらいに収まるコンパクトサイズのものです。ただし、つる性や半つる性、下垂するタイプのものなら、やや長めに伸びてもOK。さらにおすすめなのは、よく分枝してこんもりと茂るタイプ。幼苗のうちに切り詰めて摘心しておくと、茎葉の数が増えてボリュームを出すことができます。一方で、草丈が高くなる植物はNG。バランスが崩れやすく、落下の原因にもなります。

また、組み合わせる植物の開花期を揃えるのが、華やかに見せるポイント。あらかじめ花が咲く時期のほか、互いに好む環境などの相性も調べておきましょう。開花期が長い植物なら、仕立て直しの手間が省けるので、よりベターです。

そして、草花に主役と脇役の役割を持たせることが大切。主役級の花ばかりを盛り込むと、煩雑でまとまりのないハンギングバスケットになってしまいます。脇役の植物として、シルバー、ブロンズ、斑入りなどの葉色が美しいカラーリーフプランツを取り入れるのもいいでしょう。

おすすめの草花は、春はデージーやネモフィラ、初夏はペチュニアやベゴニア、夏はインパチェンスやニチニチソウ、秋はパンジーやビオラ、冬はプリムラやガーデンシクラメンなど。カラーリーフプランツでは、アイビーやハツユキカズラが使いやすい素材です。

手づくりハンギングバスケットが人気!

一鉢飾るだけで、ゴージャスな雰囲気を演出してくれるハンギングバスケット。「でも、お高いんでしょう?」と思っている方も多いのではないでしょうか。ハンギングバスケットは簡単に手作りできますよ! ネット通販でも手頃な価格で材料は揃うので、ぜひチャレンジしてはいかがでしょうか。

ハンギングバスケット作りに必要なもの

ハンギングバスケット作り

ハンギングバスケット

ハンギングバスケットの種類はさまざまですが、初心者でも簡単に作れる、スリット入りのプラスチック製壁掛けハンギングバスケットからスタートするのがおすすめです。ハンギングバスケット専用の製品の場合、土留め用のスポンジがセットされていて、扱いやすいように工夫されています。

ハンギング用培養土

ハンギングバスケット用にピートモスやバーミキュライト、パーライトなどがブレンドされた、軽量かつ保水性に優れる市販の培養土を使うと便利です。

元肥

植栽する草花が長く咲き続けるように、穏やかにゆっくり効く、緩効性肥料を準備。ニオイがしない化成肥料を使うと便利です。

水苔

直置きのプランター栽培では、水はけをよくするために鉢底にゴロ石や軽石などを敷きますが、ハンギングバスケットの場合、軽量化のために水苔を用います。

花苗

開花期や配色など、組み合わせを考えて花苗を準備しましょう。ビギナーの場合は、2〜3種類でまとめるのがおすすめです。

いずれもネット通販で手に入るものばかりです。

ハンギングバスケットの作り方

ハンギングバスケットの作り方
右端がハンギングバスケット専用のスリット入り鉢。

ここでは、このスリット鉢への植え付けをご紹介します。

  1. 用意した花苗を、ハンギングバスケットのどこに植え付けるか、あらかじめ配置を決めておきましょう。
  2. 土留め用のスポンジが付属しているハンギングバスケット専用の鉢を使用する場合には、まずスポンジを鉢の内側に真ん中から貼り付けていきます。鉢上部の縁からスポンジがはみ出ないように貼るのが、美しく仕上げるポイントです。
  3. スポンジを貼ることでスリット部分の土留めになり、後の作業がしやすくなります。ただ、表側から苗を植え付ける際、スポンジについているノリに茎葉が張り付きやすく煩わしいので、植え込む前に土を全体にかけておきましょう。スリット部分のノリがベタつかず、作業がしやすくなります。
  4. 鉢底に水苔を敷き詰めた後、ハンギングバスケット用の培養土を深さ1cmくらいを目安に入れます。
  5. 花苗の植え付けは、まず側面のスリットからスタート。用意した花苗をポットから出し、根鉢を崩して一番下から差し込んで植え付けていきます。一番下の苗は、根鉢のお尻を上げてやや下向きに植え、中央は正面、上段は上向きにするとバランスよく仕上がりますよ! 1段植え付けるごとに培養土を足して、スリット部分の植え込みを仕上げていきましょう。
  6. 次に、頂部に苗を植え付けていきます。苗と苗の間に培養土を割り箸などでしっかりと詰めていきましょう。
  7. 最後に頂部の土に水苔を置いていきます。土の流出と乾燥を防ぐだけでなく、水やりの際の泥はねを防いで病気を予防する効果があるので、この一手間を忘れずに。最後に頂部に植えた草花の株元をねらって水やりをしましょう。培養土は乾燥しているので、底から水が流れ出すまでたっぷりと与えます。

植える時のポイント

ハンギングバスケットの作り方

スリットの入ったハンギングバスケットや、ヤシマットなど、サイドに穴を開けて苗を植え込むことができる場合は、鉢の頂部よりも側面に視線が集まりやすいことを考慮して、主役・脇役のバランスを整えるとよいでしょう。植え付け後も植物は成長するので、最初から密に植えすぎずに、ゆとりを持たせておきます。ビオラやパンジー、クリサンセマム、ネモフィラ、ペチュニアなど、多花性の草花は、最初に摘心しておくと、分枝が促されて株張りがよくなり、隙間を埋めていってくれます。

草丈の高さが異なる植物を組み合わせる場合は、背が高くなるものを奥に、低いものを手前に、が鉄則。枝垂れる植物やつる性植物を入れて動きを出したい場合は、脇役として縁のほうに加えるとよいでしょう。

ハンギングバスケットを作る場合、吊り鉢タイプのものは四方どこから見ても美しいように、壁掛けタイプのものは、正面から見て美しいように植栽するのがポイントです。鉢の種類によって、また飾る場所や高さによって視線を集めるポイントが異なってくるので、どこがすぐに目に飛び込んでくるスポットかを意識して、草花の配置を決めましょう。

管理のポイント

水やり

ハンギングバスケットは、空中花壇として楽しませてくれる分、風にさらされて乾燥しやすいのが難点。まめに水やりをして、健やかな草花の状態をキープしましょう。茎葉がくたっとして下向きになっていたら、水を欲しがっているサインです。日々観察していると、植物たちのメッセージが分かるようになり、愛情もいっそう増しますよ!

ハンギングバスケットには、開花期が長く、花つきのよい植物が選ばれることが多いもの。終わった花がらや枯れ葉は早めに摘み取って、株まわりを清潔に保ちましょう。タネをつけると、そちらに養分が取られて株が消耗し、花が咲かなくなります。早めに花がらを摘むと、子孫を残そうとして長く花が咲き続ける効果もあります。

また、あまりに繁茂しすぎて込み合っているようなら、適宜間引き剪定をして整理し、蒸れるのを防いでください。草花の寄せ植えでは、日光の奪い合いになってバランスが崩れてしまいがち。美しい草花のハーモニーを長くキープするには、人の手によるパワーバランスの調整が大切です。

飾る場所

ハンギングバスケットの飾り方

大きめのハンキングバスケットは華やかで、一鉢でアイキャッチとなる効果があるので、門扉まわりや玄関先などに飾って、お客様にウェルカムのサインを送ってはいかがでしょう。小さめのハンギングバスケットは、境界線の塀などに外向きにリズミカルに飾ってもおしゃれです。ベランダやテラスなどでは、専用のスタンドやフックで固定して楽しむとよいでしょう。

ハンギングバスケットの注意点

ハンギングバスケットの飾り方

ハンギングバスケットは、土や植物の重さに、含んだ水分の重さが加わるので、サイズによっては4㎏以上になります。そのため、落下しないよう、十分な注意が必要です。特にマンション上階のベランダや高い塀まわりに吊るしたものが、落下すると、人に当たったりして大事故を引き起こす可能性が。設置器具の安全性を確認しておくとともに、周囲への配慮が必要です。台風や春の嵐など強風の天気予報が出ている場合は、下ろして避難させておきましょう。

でき上がったハンギングバスケットは、安全な場所であればどこに飾っても構いませんが、植物の生育をよくするためにも、日当たりと風通しのよい場所を選ぶことが大切です。

園芸を諦めてしまったあなたに

ハンギングバスケット

庭がなくてもガーデニングを楽しめる、「ハンギングバスケット」についてご紹介してきました。広い庭を望めず、ガーデニングを諦めかけていた方には、一歩踏み出すきっかけになるのではないでしょうか。一鉢だけでも抜群の存在感を発揮してくれるハンギングバスケットを飾って、ぜひ瑞々しい植物のある暮らしを楽しんでください。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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