コツがいっぱい! 美しい寄せ植えの作り方
寄せ植えの花の入れ替え時期です。ビオラなど春の花はまだ咲いていたとしても、徒長し始めて、寄せ植えの形が崩れてきていませんか。そろそろ夏の花に入れ替えましょう。鳥取県米子市でクリニックの庭を丹精する面谷ひとみさんと、ガーデナーの安酸友昭さんが、植え替えを丁寧に実践してくれました。土の入れ替えや植物の置き方、水やりにもコツがいっぱいですよ!
目次
花が徒長し始めたら、次のシーズン用に植え替えを
早春に植え込んだ、ビオラとアネモネの寄せ植えです。花はまだ咲いていますが、徒長して寄せ植えの形が崩れかけています。夏に向けて寄せ植えの植え替え時期です。
土の入れ替えのコツ
ガーデンフォークを使って、根が張っている植物を起こしていきます。根に土がたくさん付いているので、フォークで根をたたいて土を落とします。その際、土の中に残った根も取り除きます。この根を取り除く作業で土もほぐれ、空気が入ってふわっとします。
ここで大事なのは、引き抜いた植物をすぐに捨てずに、様子を確認してみることです。葉っぱがこんもり繁っているにもかかわらず、根がない、または極端に少ない場合は、土の中にコガネムシの幼虫がいる可能性があります。もし幼虫を発見した場合は取り除き、土を全量、またはできる限り入れ替えます。そして、土の中に殺虫剤のオルトランDXを適量すき込みます。土を入れ替えできない場合は、ていねいに幼虫を取り除き、オルトランDXをすき込みます。
全て抜き終わったら、少し土を入れ替え、元肥と有機肥料を適量まき、その後よくすき込みます。
さらに、新しい土を全体の1/5程度入れます。新しい土を加えると、失われた肥料分が補給されるのでしょう、よく育ちます。
植物はジグザグに置くとナチュラルに
メインになる苗を仮置きします。同じ植物が直線上に並ばないように、調整しながらジグザグに置いていきます。写真はロベリアとベロニカ。今回、植え込む植物は、以下の通りです。夏に向けて涼しげな雰囲気になるよう、ブルー系の花を揃えました。植え込んだ直後から植物が馴染んで見えるように、結構たくさんの苗を使います。
<使った苗>
- ロベリア×4
- ベロニカ×4
- オンファロデス×3
- ラベンダー×4
- タマシャジン×2
- サルビア×4
- オダマキ×6
- バコパ×5
ロベリアとベロニカの隙間に、1つ目のつなぎの植物となるラベンダー、タマシャジンを置いていきます。ここでも直線上に並ばないように注意します。「つなぎの植物」というのは、ちょうどバラのブーケにカスミソウが入って、なんとなくブーケがふんわりとまとまるようなイメージです。メインとなるクッキリ・ハッキリとした色形の植物の間に、チラチラとした小花を入れることによって、間が自然につながって、全体に調和が生まれるのです。さらに、2つ目のつなぎとなる植物、オンファロデス(草丈の高い白い花)を隙間に入れていきます。この段階では仮置きなので、狭くて苦しそうな場所は、隣同士の苗を動かして調整し、並べていきます。
位置が決まったら、植えていきます。苗の株元を持って、優しくポットから抜きます。よほど根が回っていない限り、根はほぐさなくてOK。苗を隙間に入れる時は、周りの植物を傷つけないように、手の甲で隣の苗をそっと押さえながら植え付けます。
さらに、隙間にオダマキを植え込むと、もっと自然な感じになります。
手前にも隙間があるので、やさしいピンク色のバコパを植えます。花がら(しぼんだ花)がたくさんあると見苦しいので、花がらがある場合は取り除いてから植え付けます。最後に隙間に土を入れていきます。私は自作のペットボトルの土入れを使っています。細くて土がたっぷり入るので便利です。作り方は、以下の記事でご紹介しています。
こんな感じで植え付けは終了です。この後は、水まきです。植え付け直後の水まきには、ちょっとしたコツがあります。
寄せ植えの植え付け直後の水やりのコツ
まず、ホースで水やりをする場合、はす口をつけますが、いきなり植物にホースの水をかけてはいけません。というのも、ホース内に残っていた水が日光で温められて、意外なほど熱いお湯に変わっていることがあるからです。ですから、しばらく水を出しっ放しにして、手で触って冷たくなっているのを確かめます。次に水がやわらかく当たるよう調整します。あまり水の勢いが強いと、表面の土に穴があいてしまい、植物の根が露出してしまいます。苗と土が密着するように株元に水をまいていきます。
さらに少し高いところから、苗についた土を洗い流していきます。植え込み作業中は注意していても、植物の葉っぱなどに土がついてしまっています。特にペチュニアなど、葉が毛羽立っている植物は土がつきやすいので、優しい雨のように上からシャワーをかけて、洗い流します。植物に近づけすぎないことが大事です。
活力剤をあげて完成!
最後に、メネデールやリキダスなどの活力剤をジョウロでまき、完了です。活力剤は植え込んだばかりの根の生育を助ける働きがあります。
生育するとお互いの植物が絡み合い、さらに馴染んでナチュラルな雰囲気になります。
この横長の鉢は待合室の窓のすぐ側に置いてあり、室内からも花がよく見えます。ですから、手前から見ても、後ろから見ても綺麗な眺めになるよう植え込んでいます。植え込み後の管理は、基本的に水やりと花がら摘み。水やりの際、ときどき液肥を混ぜてやると花のもちがよくなります。
華麗なる寄せ植えの四季
同じ鉢を使った過去の季節違いの花の様子です。冬/ビオラ、ストック、アリッサム、ネメシア、カルーナなど。
早春/ビオラ、フォックスリータイム、オレガノ、チューリップなど。
初夏/ミニバラ、クレマチス、スーパーチュニア、ユーフォルビア‘ダイヤモンドフロスト’、クレオメ、ゼラニウムなど。
真夏/スーパーチュニア、ビンカ、セダム。
秋/コスモス、スカビオサ、サルビア、タイムなど。
寄せ植えは、庭がなくても一鉢の中で、こんなふうに季節の彩りを豊かに楽しむことができます。ぜひチャレンジしてみてくださいね。
寄せ植えアドバイス&写真/安酸友昭(Yasukata Tomoaki)
ガーデンデザイナー、ガーデナー。園芸専門学校を卒業後、地元造園会社にて日本庭園作庭を学んだ後、イギリス(ブライトンカレッジ・オブ・テクノロジー)で、ガーデニングを学び、NVQ(イギリスのガーデニング技術者国家資格)1・2を取得。その後、地元米子に戻り、ラブリーガーデンを設立、庭づくりを始める。2007年、ラブリーガーデンのショップをオープンする。2010年に、英国ドライストーンウォーリング協会認定の石積み技術の資格をイギリスで取得。NHK出版『趣味の園芸』テキストで面谷さんとの庭づくりの日々の連載が2020年4月よりスタート。
ラブリーガーデン http://www.lovely-garden.jp
Credit
話 / 面谷ひとみ - ガーデニスト -
おもだに・ひとみ/鳥取県米子市で夫が院長を務める面谷内科・循環器内科クリニックの庭づくりを行う。一年中美しい風景を楽しんでもらうために、日々庭を丹精する。花を咲き継がせるテクニックが満載の『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(KADOKAWA)が好評発売中!
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まとめ / 3and garden
スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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