ガーデニングを始めるにあたっては、植木鉢に草花の苗を植え付けて飾るのが一番手軽なのではないでしょうか。でも、ホームセンターや花苗店に植木鉢を探しに出かけると、さまざまな種類が並んでおり、「どれを選んだらいいの?」と困惑してしまうほどです。ここでは、そんなビギナーさんに向けて植木鉢の形状やサイズ、深さ、材質、鉢カバーとの違いなどについて解説します。ガーデニングをよりよく楽しむために、植木鉢への知識も深めましょう。

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植木鉢の基礎知識

「植木鉢」とは、植物を育てるために使用する容器の総称で、「コンテナ」と呼ばれることもあります。ひと口に植木鉢といっても、材質や形状、サイズ、デザインなどバラエティに富んでいるのはご存じでしょうか。それらの中から、植えたい植物に適したものを選ぶことが、上手に育てるコツにもつながります。植木鉢の特性を詳しく知り、ガーデニングをもっと楽しみましょう。

植木鉢の形状

植木鉢の形状に注目してみると、丸形、正方形、長方形、多角形や変形など、多様に揃います。形の違いによってどんな差があるのでしょうか。ここでは、植木鉢の形状ごとにその特性についてご紹介します。

丸形

丸形植木鉢

植木鉢の中でも、最もスタンダードな形です。そのため、サイズ、デザイン、カラーなどのバリエーションが豊富で、用途や好みに合わせて選ぶ楽しみがあります。全体に丸みのあるフォルムが、空間にソフトな雰囲気をもたらしてくれます。

正方形

正方形の鉢

スタイリッシュな印象で、土もたっぷりと入ります。一般的に深さがあるので、大きくなる観葉植物などを植えてインテリアとして飾るのがおすすめ。鉢の側面が直線なので、いくつかまとめ置きしてもコンパクトにおさめることができます。

長方形

長方形の鉢

プラスチック製のプランターに多く見られるデザインです。奥行きがあまりないので、ベランダやテラス、通路などに配しても邪魔になりにくく、草花を数株寄せ植えして華やかに飾るのに適しています。

その他

ストロベリーポット

壁掛け用のフック穴がある半円形鉢や、吊り金具の付いたボウルタイプの吊り鉢などもあります。ほかにも樽をリサイクルして作られた樽鉢や、イチゴを栽培するためのストロベリーポット、さまざまな形状に焼き上げられたテラコッタ鉢などもあります。

植木鉢のサイズ

植木鉢には、草花や樹木のボリュームに応じたサイズがたくさん揃っています。育てたい植物に適したサイズが分かるとガーデニングの幅が広がるので、ぜひ知識を深めましょう。

普通鉢の場合

標準鉢

一般的な円形の「普通鉢」は、口径と高さが同じサイズで、「標準鉢」とも呼ばれています。鉢の口径のサイズで大きさが決められており、その単位は「号」です。1号鉢は、口径と高さが1寸で約3cm。例えば5号鉢の場合は、口径も高さも約15cmとなります。0.5号から9号までは0.5号きざみ、9号からは1号きざみ。一般的には3号から12、13号までが園芸用に流通しているようです。土の容量の目安は、5号が約1ℓ、8号が約5ℓ、10号が8.5ℓ。買い求めたポット苗の号数よりも、2〜3号大きな鉢に植え付けるとよいでしょう。

プランターの場合

プランター

長方形のプランターでは、サイズ表記に「型」という単位が使われています。外寸の長辺の長さで表され、長辺が30cmなら、30型と呼ばれています。サイズは普通鉢ほど多様性はなく、30型、36型、43型、65型などが主に流通しています。土の容量は、ポピュラーな65型で12〜13ℓほどです。

植木鉢の深さ

これまで普通鉢、プランターのように、一般的な鉢についてご紹介しましたが、植木鉢の中には、浅鉢や深鉢など、鉢の深さもいろいろあります。植物の根の張り方の特性に合わせて適した深さの鉢を選び、より健やかに育てましょう。

浅鉢

浅鉢

普通鉢に比べ、高さが半分〜1/3くらいの鉢を、浅鉢、または半鉢、平鉢といいます。主に根が浅く横に張る、サツキ、アザレアなどツツジ科の植物や盆栽などに用いられます。また、種まきや挿し木など、育苗用の鉢として利用してもよいでしょう。

深鉢

深鉢

普通鉢よりも高さのある鉢を、深鉢、または長鉢、腰高鉢といいます。シンビジウムやコチョウランなどラン科の植物、上根と下根を出すユリなど、根が深く張る植物に向いています。スマートな鉢なので、草丈が比較的高くなる植物とも相性よくまとまります。土の量がたくさん入るので、水もちのよい鉢ですが、逆に水が抜けにくいともいえるので、多湿に弱い植物の場合は、鉢底にゴロ土や軽石などを多めに入れたり、土の配合を工夫したりするとよいでしょう。

植木鉢の材質

植木鉢の材質は、素焼きやテラコッタが最もポピュラーですが、ほかにもプラスチック・FRP、陶器、木、ブリキ・缶など、さまざまな素材が用いられています。ここでは、素材それぞれの特性についてご紹介します。

プラスチック・FRP

プラスチック鉢

プラスチック鉢は軽くて持ち運びしやすいのが最大のメリット。落としたり衝撃を受けたりすることで破損することも、ほとんどありません。色や形も豊富で、ひと昔前は白がポピュラーでしたが、テラコッタに似せた明るいブラウンやグレー、濃いグリーンなどもあります。また、鉢底穴の加工がしやすいことも長所の一つ。排水しやすく、また内部に根が回るのを防ぐ加工を施したスリット鉢は、実用性が高いことから特に人気があります。

スリット鉢

プラスチックの特性上、鉢壁から水分が逃げにくいので、水やりのしすぎに注意し、加湿にならないように管理しましょう。夏は直射日光が鉢の表面に長時間当たると温度が上がり、根が傷むことがあるので、置き場所に注意を。また、長く使っていると経年劣化により割れてしまうので、耐久性にはやや劣るといえます。

FRPは、プラスチックにグラスファイバーなどの素材を混ぜて強化した鉢で、より耐衝撃性に優れています。特に大鉢に向いており、土の重さにもゆがまずにしっかり耐える強度があります。デザイン性にも優れ、一見テラコッタ製などと見分けがつかない製品もあるほどです。

素焼き・テラコッタ

素焼き鉢

粘土で形作り、高温で焼成して作られる鉢を素焼き鉢といいます。古くから植物を育てのに利用されてきました。素焼き鉢は表面が多孔質で、空気や水分を通しやすい特徴があります。つまり、余分な水分が鉢壁から蒸発しやすく、鉢内の空気も入れ替わりやすいので、蒸れにくいのです。そのため、水はけのよい環境を好む植物に向いています。ただし、真夏は特に乾きすぎる傾向にあるので、土の配合に工夫し、水やりでコントロールするとよいでしょう。

素焼き鉢は重量があるため、大鉢になるほど運搬が大掛かりになることも知っておきましょう。大鉢を使う場合は、あらかじめ配置する場所を決めておき、移動は避けたいものです。また、衝撃に弱く、落としたりぶつけたりすると、欠けたり割れたりします。恒久的に使えるというものではなく、風雨にさらされて年月が経つと、もろくなって割れやすくなるので、取り扱いに注意しましょう。

また、寒冷地では、冬期に鉢に含まれた水分が凍ることにより、割れたり、亀裂が入ったり、部分的に剥離したり、鉢底が抜けることもあります。そのため、地域によっては素焼きを避けるのも必要です。

テラコッタは、イタリア語で「素焼き」という意味。1,000〜1,300℃で焼かれ、通気性や耐久性は生産される国や地域によっても異なるようです。素焼き鉢と同じ素材ですが、現在は日本で生まれた普通鉢と区別して、洋風デザインのおしゃれな素焼き鉢を総称してテラコッタ鉢と呼び分けているようです。鉢底がフラットな形状のものが多いので、足をかませて地面から浮かせ、蒸れを防ぐようにするとよいでしょう。

陶器

陶器鉢

素焼き鉢に釉薬をかけて、1,100〜1,200℃で焼いた鉢が、陶器鉢です。デザイン性に優れることから、化粧鉢とも呼ばれています。瀬戸焼や信楽焼、織部焼などがあり、釉薬による色やモチーフなど、デザインのバラエティが豊かで人気の素材です。形もスクエア形や壺形など、さまざまに揃います。また、釉薬がかかっているため、多孔質の素焼き鉢のように鉢壁から水や空気が抜けることのない、非多孔質の素材です。ラン科の植物や観葉植物、多肉・サボテン植物、盆栽などを植えて、観賞用として利用するのに向いています。素焼き鉢と同様に衝撃に弱いので、落としたりぶつけたりすることのないよう、丁寧に扱いましょう。

木製

木製の鉢

木材を加工して作られた鉢で、なんといってもナチュラルな素材感に人気があります。形状は長方形などがメインですが、籐で編まれたバスケットも木製素材の一つです。木は水分を保持する性質があるため、鉢土が乾きにくく、素焼き鉢ほどではないにしても通気性や排水性があります。また、断熱性が高い特性があり、真夏に直射日光が当たっても、鉢内の土まで熱を通さずに根を傷めないのが最大のメリットといえるでしょう。落としたり多少ぶつけたりしても割れにくく、素焼き鉢や陶器鉢よりも軽い素材です。ただし、木材の種類によって多少異なりますが、耐用年数は2〜3年ほどで、風雨にさらされるうちに腐食してきます。また直接地面に置くと底から腐りやすいので、台の上や軒下に置くなど、工夫が必要です。

セメント・コンクリート

コンクリートの鉢

石のような重量感があり、クールな印象を与えます。多肉植物やサボテン、観葉植物など、モダンな表情を醸し出す植物と相性よくまとまります。耐久性があり、屋外で使いやすい素材ですが、真夏は特に長時間直射日光に当たると、鉢内の土に熱が伝わって高温になりやすく、根が傷むことがあるので置き場所に注意しましょう。堅牢に見えますが、意外に落とすと割れてしまったり、衝撃によって欠損したりすることもあります。大鉢を使う場合は重くなるので、先に置き場所を決めてから植え込むとよいでしょう。

ブリキ・金属

ブリキの鉢

市販のブリキ缶やスチール缶などにデコパージュやペイントなどを施しておしゃれにリメイクし、植物のディスプレイに使うのがポピュラー。リメイクしなくても、100円ショップなどで鉢植え用素材として販売されているものもあります。注意したいのが、鉢底に水抜き用の穴があいているかどうか。あいていない場合は自身で穴をあけて、根腐れするのを防ぎましょう。熱が伝わりやすく、夏は長時間直射日光に当てたままの状態だと根が傷むことがあるので、置き場所に注意を。センスアップしたブリキ缶には、多肉・サボテン植物や観葉植物が似合います。

ガラス

ガラス鉢

ガラス鉢は、室内で育てるハイドロカルチャー(水耕栽培)用に使われるのが一般的です。特殊な人工土のハイドロボールを使って植物を植え込むので、水抜き用の穴は必要ありません。主にミニサイズの観葉植物などを植えて、インテリアとして楽しむ素材です。熱が伝わりやすく、直射日光に当たると土の温度が高くなって根腐れしやすくなるので、屋外では利用しない方ほうがいいでしょう。また、衝撃に弱く割れやすいので、取り扱いにはご注意を。

植木鉢と鉢カバーの違い

鉢カバー

ホームセンターや園芸店では、植木鉢の売り場近くに鉢カバーが置かれていることがあります。鉢カバーは、植木鉢よりも一回り大きく、鉢をすっぽりと覆う大きめのサイズで、鉢底には穴がありません。軽い素材でデザイン性に優れており、室内に観葉植物などを飾る時に鉢をそのまま入れて用います。鉢カバーは、インテリアや植物の雰囲気に合うものを選ぶとよいでしょう。数鉢をまとめ置きしたい場合は、同じ色、素材で揃えると統一感が生まれます。

鉢カバーの形が底よりも口径のサイズのほうが大きくて倒れやすい場合は、重しを中に入れて使うのがおすすめ。水の受け皿は、鉢カバーの底に入れておきましょう。表土にはバークチップやヤシの実の繊維、玉石、砂利などの化粧材を敷き詰めると、さらに見映えがよくなります。

さっそく鉢で植物を育ててみよう

植木鉢

植物を手軽に育てるのに、欠かせないアイテムの植木鉢。形やサイズ、深さ、素材など、種類もさまざまに出回っていることをご紹介しました。育てたい植物に合う大きさの鉢を選ぶことも大切ですし、素材によっては断熱性や通気性、水もちに違いがあることもお分かりいただけたのではないでしょうか。植物に合ったサイズや素材、デザインを吟味し、お気に入りの植木鉢を見つけて、ガーデニングを楽しみましょう。

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

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12)3and garden

参考文献:『別冊 NHK趣味の園芸 よくわかる土・肥料・鉢』日本放送出版協会 2008年3月20日第1刷

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